人とは何ぞや   作:オオタ キム

27 / 43
26. 推察

 氷河と洋に、詰所をハインシュタイン社から城戸邸に移したとの連絡が入ったので、氷河はバイクを城戸邸へと走らせた。

 走行中、氷河たちに緊急連絡として峰岡梨佳の死の一報が入る。

 後ろに乗っている洋の動揺を氷河は背中で感じていた。

 

 暫くして豪邸の前に到着すると、洋がぽかんと口をあけて門を見上げた。

 「東京のど真ん中に、ジュリアン様の邸宅と同じサイズの家ってありえないじゃないっすか」

 「表向きは二人とも世界的大企業のトップだからな。

 ちなみにパンドラに至ってはドイツの巨大な古城を引き継いでるから、サイズだけではこの比じゃないはずだ」

 氷河の説明に洋は目をぱちくりさせる。

 

 「りんりんが死んだってどうことですか?!」

 洋は部屋に入るなり、声を荒げて質問を投げかける。

 「そのままの意味だ。瞬の目の前で急死したそうだ」

 バイアンが動揺する部下へ分かってる範囲で説明する。

 「スマホと死が連動してるんですかね」

 少し落ち着いた洋が単純に感想を述べる。

 「変死体となった被害者は全員、俺たちと違い神の加護を受けてない人間だ。

 そして、瞬が感じたという神クラスの小宇宙。

 神なら死体をどうとでも変異させられる事には納得いく。

 逆にオリエッタはポセイドン様との契約があったから、肉体を直接傷つけるなど、正攻法でしか殺す事が出来なかったはずだ」

 ラダマンティスが説明を加える。

 

 パンドラが瞬間移動で入ってくる。

 ラダマンティスが跪くと、パンドラは面を上げるよう指示した。

 「その事について、追加の情報がある。

 梨佳は死の直前、スマホ画面に『初期化しますか』という文字と選択肢が出て、『いいえ』を押したらしい」

 「スマホとの関連がさらに強まった、か」

 一輝が考えるそぶりを見せる。

 何かに気づいたのか

 「ゼラ、確かあちこちの新興企業のトップに対し、宗教勧誘まがいの事をしてくる奴らがいたはずだ。

 そいつらについて詳細が分かるか?」

 「今は無理ですが、後ほどで良ければ調べます」

 今はアテナの結界の中なので、ネット環境も遮断さているのだ。

 「一輝、どういうことです?」

 沙織が尋ねる。

 「俺の所にも昔、何度か来たので思い出したんですがね。

 こういう事です。

 最近起業されたようなところは、まだまだ知名度も資本力も足りない。

 だが最近は環境やらに配慮した運営をしていかないと、一気に叩かれてつぶされてしまう。

 そこで、色々なコンサルタントや啓蒙団体が入り込んもうとしてくる。

 その中には新興宗教じみた奴らもいたわけです」

 「宗教といえば、神そのものか、神的な何かと関連付けして権威付けしている事が殆どですよね。

 って、そういうことですか、一輝様」

 ゼラの一言に、他の一同も気づく。

 「どこかの企業が宗教団体と癒着し、『神』を利用した実験を行ってると見た方が良いだろう」

 

 その後、さらに動きがあるかと警戒していたが、24時を回っても何も起こらなかった。

 ラダマンティスの副官であるバレンタインに監視を引き継ぎ、各々は休息するようパンドラが提案する。

 そうして各々が戻る準備を始めてる時、おもむろに洋が疑問をぶつけてきた。

 「そういや、一輝さんと瞬さんって同じ苗字ですよね?

 全然顔が似てないし、偶然同じ苗字なんとか?」

 一輝は洋を一瞬睨むが、言われ慣れてるのかすぐに準備を再開しながら、 

 「俺と瞬は、血の繋がった実の兄弟だ。

 ここにいる連中は皆知ってる事だがな」

 「似てるところが全然なくて気づかなかったですよ」

 「強いていったら、目尻あたりとかは似てるかもなあ。

 あと、持ってる最強技は同じ風圧系だな」

 二人と付き合いの長い星矢が続けた。

 

 沙織が見送る中、次々と皆が帰っていく。

 パンドラは沙織ともう少し打し話をしたいというので、一輝は部屋の端で待つ。

 それが終わったのか、一輝に近寄ってきたパンドラに対し、

 「終わったか、どうした?」

 「なに、宗教がらみとお前が言ったから、日本の宗教に詳しい奴を紹介してもらっていた。

 極東地域はどうしても手薄になりがちだからな。

 あと、個人が持っていた『神殺しの武器』が闇オークションにかけられそうだとアイアコスから連絡が入ったから、それの介入だな。

 ジュリアン・ソロにも沙織を通じて伝えてもらった。

 これに関してはお前の情報網を通じて、オークションの参加権の手配など手伝ってもらう必要があるだろう。

 ただ動揺が広がるから、他の闘士たちには伝えるな」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。