人とは何ぞや   作:オオタ キム

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28. 確認

 死体遺棄事件発生翌日の夕方、氷河とアイザックが現場となった公園を規制線の外から見ていた。

 まだ野次馬は多いが、昨日ほど人混みはない

 「死体が大量にあった割には死臭を全く感じないな」

 「最初の時も見た目は腐敗してたが死臭が無かったから、恐らく同じだろう」

 日が落ちたら現場を荒らさない程度に現場に踏み込むかなどとお互いに相談していたら

 「あれ、氷河せんせーじゃん!

 やっぱ野次馬?」

 家庭教師として教えている心愛が、友達と思われる2人と共に近づいてきた。

 「隣にいる片目のイケメンさんは友達?

 ていうか、ニュース的に天宮瞬くんとも友達だったんだ」

 心愛が騒がしくまくしたてる。

 隣の女子高生は

 「あの金髪美形お兄さん二人、実は恋人同士とかだったり…?!」

 と、顔が赤くなる。

 日本語の分からないアイザックは何を騒いでいるか理解出来ないでいる。

 氷河は「変な妄想掻き立てないで欲しいんだが」

 と苦情を入れる。

 「ごめんねー、りぼんってBL脳だし許してあげて」

 アイザックはどういう意味か訳して欲しいと氷河に訴えたが、拒否した。

 

 「で、何故此処にいるんだ?」

 「多分半分はせんせーと同じ理由かな?

 うちの近所の公園と同じ感じだったんでしょ?

 そりゃ気になるよ。

 あと半分は番組公式グッズを買いにね」

 ちらりとTSSスタジオを見る。

 「真夢(まゆ)の目的のノートとキーホルダー買えたからもう帰ろうとは思ってたんだけどね」

 もう一人の女子高生が無言で、氷河の友人の写真が表紙のノートを見せた。

 「あの…サイン貰ってきてもらえますか?」

 恥ずかしそうにノートを差し出すも、氷河は約束出来ないと断った。

 

 「天宮瞬くん、よく炎上してはすぐ鎮火を繰り返してるけど、燃料投下する奴ってやっぱやっかみだよね?」

 「瞬くんはなんでも完璧にこなすもの、羨む人も多いはず。

 でもそこが尊いの」

 瞬のファンとかいう真夢がうっとりと言う。

 こういう会話を聞くと、瞬がやはり芸能人だと実感する。

 「氷河先生と瞬くんの組み合わせも悪くないわ…!」

 一方、あいつの頭はどんだけ腐ってやがるんだと氷河は心の中で毒づく。

 隣の友人は相変わらずよく分からないという顔をしていたが。

 

 「せっかくだし、せんせーも一緒に晩御飯食べない?

 あ、おごりじゃなくて良いしさ」

 「ハナから奢る予定はないがな」

 しかし、まだ日が完全に落ちるまでは時間があるので、一緒に食事の提案には乗ってやった。

 全国チェーンの和風定食屋に入る。

 英語メニューをアイザックに渡してから、各々注文した。

 「ロシア語で喋ってたから、てっきりそっちのおにーさんは英語出来ないかと思ってた」

 「ヨーロッパでは英語は小1から習うから、年配者以外は喋れるぞ」

 

 食事が運ばれてきたので皆食べ始めた。

 その最中、真夢が急につぶやき始める

 「瞬くんの気配… でも違う… やっぱそうなの…?」

 氷河が緊張した表情で真夢の方を見る。

 彼女から普通とは違う小宇宙を感じたので、アイザックも驚いてそちらを見る。

 「ごめんねー 真夢って時々妙な事を口走るのよね」と心愛。

 「それは構わんが、どういう時にそんなことを言ってるのだ?」

 「何々? 真夢みたいなのが好みなの?

 そだねー、一昨日の昼頃とかもこんなんだったかなぁ」

 瞬が神力を使っていた時間帯と一致する。

 今も通夜で魂を視ているはずだ。

 「本当にただの瞬のファンなんだろうな?」

 氷河が真夢に向かって尋ねる。

 「そうよ。

 だから()()()()サインが欲しかったのに」

 にたりと嗤うと、彼女は脱力して机に突っ伏した。

 

 「え、何があったの?」

 友人二人が慌てふためく。

 氷河が真夢を抱きかかえると、寝息のような音が聞こえてきた。

 「アイザック、彼女は多分何かに憑依されてたと思う」

 念話で友人に伝える。

 「俺は彼女たちを家まで送るついでに、最初の公園を再確認する。

 俺が車をこっちに回すまでは彼女たちを見張っててくれ。

 俺たちが出発した後にでもこの近くの公園の方を頼む。

 同時に確認した方がいいかもしれないしな」

 「了解だ、氷河。

 バイアン達にも憑依された女の件は伝えるぞ」

 

 「真夢さん、体調悪そうだな」

 「でもタクシー使うと結構かかるしなぁ」

 「俺が車で送ってやっても良いが」

 「自動車持ってたんだ。そしたらお願いしよっかなぁ」

 「イケメンの運転なら死ねる!」

 「寝るのは構わんが、りぼんさんは死ぬとか物騒な事言うな。

 少し待ってろ、車を回してくる」

 そういうと、会計を先に済ませ、店を一人出て行った。

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