氷河が自宅近くの駐車場から近くの道に氷河が車を回してる間、アイザックはスマホの翻訳アプリを使って意思疎通を試みる。
心愛たちも大手検索サイトが提供する翻訳サービスでざっくりと返答する。
お互いの経歴から氷河ついてまで、他愛のない会話を続ける。
机に伏せていた真夢が、うーんとうめきながら目を覚ました。
「あれ、ここは?
瞬くんのノートを手に取ってから記憶がないんだけど。
え、目の前の男の人は誰?」
心愛が真夢にアイザックを紹介し、りぼんが頑張って拙い英語と翻訳サービスを併用してアイザックに状況を説明した。
「真夢さん、そのノートを見せてくれるかな?」
アイザックがゆっくりと聞き取りやすい英語で頼む。
「え、ええ」
戸惑いながらノートを袋から取り出し、アイザックに手渡す。
そこには瞬が微笑みながら花束を持つ姿。
日本語が読めないが、恐らく下に書かれている文字は出演している番組名だろう。
紙媒体にも関わらず、
アイザックはスマホでまず、そのノートの表紙を撮影する。
そして、ノートの中身をペラペラめくって調べ始める。
途中、小さな紙が挟まっていのを見つけた。
書かれた文字は漢字のようだが理解できない。
その紙を確認しようと手に触れた瞬間、電流のような痛みを感じた。
毒物だった場合の事を考え、凍気で己の血流を緩慢にする。
そして他人気づかれないように超能力で浮遊させようとすると、まるで吸い付くようにすぐにノートに戻っていく。
呪具だとすると、自分では対処できない。
ノートの存在を念話で共有する。
「なら少し待っていろ、オレが直々に向かう」
返事をしてきたのはアイアコス。
神々の財宝管理者でもあるハーデスの、管財役を代行するアンテノーラの長である。
「真夢さん、このノートを売って欲しいんだ。
同じノートをまた購入して渡すから」
アイザックは翻訳アプリで伝える。
「何かオプション付けてくれますか?」
真夢も同じ方法で交渉してくる。
アイザックが少し考えてから口約束をする。
「今すぐは無理だが、瞬に直接持って行くよう伝えようか?」
真夢の表情が一気に晴れやかになる。
隣の二人もワーキャー騒ぎ始めた。
アイザックは千円札を渡し、真夢からノートを受け取った。
定食屋のドアが開き、黒髪の男があたりを見回しながら入店する。
「スニル、こっちだ」
アイザックが英語でアイアコスを呼び寄せた。
外国人がもう一人増えた事に対し、女子高生三人がまた騒めく。
「ハジメマシテ、スニル・スワール です」片言の日本語で話しかける。
「アイザックからノート うけとりにきました」
アイアコスは模様がついた布手袋をはめ、ノートを受け取る。
「確かに何か呪い的なものがあるな」
そうギリシャ語で話すアイアコスはノートを手に取った瞬間、何かに気づいたらしい。
「おそらく東洋系だな。
資料と照合としたら、さらに詳しく分かるだろうが。
持ち帰っていいんだな?」
「売買交渉は成立したから大丈夫だ。
ただ、いつでも良いからあそこの女と瞬が会う手筈だけ整えてくれ」
「人のボスを勝手に交渉カードとするな」
そう言いながら同じく何か模様がついた袋にノートをしまう。
「じゃあ何かわかったらまた情報を回す」
そう一言伝えると、出口に向かった。
駐車場に車を止めた氷河が交代で入ってくる。
すれ違いざまに、アイアコスと一言二言喋り、こちらの席に戻った。
「氷河せんせー、真夢が起きたよー」
「それは良かった。
体調は大丈夫ですか? 真夢さん」
「ええ。
初めまして、氷河先生」
会計を済ませたあと、アイザック以外全員が駐車場に向かう。
「もしかしてスポーツカー? おかねもちー!」
心愛が騒ぎ、りぼんがまた変な妄想をしているのかぐふふと笑っている。
真夢も高級車にうっとりしていた。
「まぁ一応スポーツ仕様だな」
そう言いながら座席を倒し、後部にアクセスできるようにする。
実は懸賞で当てたので、初期費用はタダだったというのは言わない。
全員が席に着いたのを確認後、始動する。
心地よいエンジン音があたりに響いた。