彼の思いこみはどうなったのか?
「こちらで着かえて。あと、カノン様はぶっきらぼうだけど、怖くないから大丈夫」
テティスさんがそう言いながら、小部屋の鍵を開けてくれた。
建物の外観は遺跡だが、建物の中は現代とそう変わらない。
そういやテレビかなんかで、ヨーロッパは外観そのままで建物内は現代風に作り変えるのが普通とか見たことある。
「あの、テティスさん、昨日とか聞けなかったんですけど、実はかなり強いですよね?」
テティスさんは少し驚いたような表情を浮かべるも、すぐ微笑みながら
「君は
「
「君は相手の力を感じる事が出来るんでしょ? その能力の事を
さて、カノン様がお待ちになってるから、着かえて頂戴」
話を打ち切られたが、また後で詳しく聞かなければ。
あと、テレポートってリアルであるなんて知らなかったぞ。
学校指定ジャージに着かえて出てくると、最初にあった場所に変わらずカノンさんが立っていた。
「さて実力を見せてもらおうと思うが、お前、その力を人に向かって揮ったことがあるか?」
「力…とは?」
もしや石を壊せる事をカノンさんにも見抜かれている?
不安そうな顔をする俺を見透かしたように
「大丈夫だ、俺はお前よりはるかに強いから、お前が持つ最大級の力でこちらにかかってこい」
そう言うと、こちらに挑発するジェスチャーをしてきた。
「本当に大丈夫なんですね、なら行きますよ」
そう言うと自分の中の力が沸き上がるのを感じながら、カノンさんに殴りかかった。
バチッ!!
激しい音はしたが、こぶしはカノンさんの左手に収まっている。
「なるほど、今からでも鍛えたらさらに強くなるな」
そういいながら軽く手を払うと、俺は尻餅をついてしまった。
「何者なんなんですか?! あなたたちは!!」
「ここから先は俺たちの仲間になるなら教えてやる。あと当然ながら、その力をより強固にもしてやる」
悔しい。
相手を大怪我させるからとその力を対人にふるったことはないが、それでも自分が地上最強だと思っていた。
テレビの格闘番組を見ても、俺より弱そうだと思っていたのに。
俺より強い人間が世の中にゴロゴロいるみたいな雰囲気があるじゃないか。
「…本当に俺はもっと強くなりますか?」
「俺たちの仲間になるのならばな」
「分かりました、この保安部に所属します」
それを聞いたカノンさんが怪訝な顔をしながら
「ここが保安部? 誰がそんなことを言った?」
「部署名こそ書いてませんが、だってテティスさんや資料を読んだ感じだと、そうとしか思えなかったんですが」
テティスさんが、何か申し訳なさそうな顔でカノンさんを見ている。
しかしカノンさんが
「保安部か…。ここを隠すのではなく、対外的にその名前を採用しても良いか、ジュリアン様に提案してみるのもありだな」と頷く。
そうして俺は高校卒業後、この「ソロ海運・保安部」に内定したのだった。