不死の吸血鬼と神喰いの狼   作:雲海月

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※オリジナルアラガミあり
 全てが捏造と超解釈によって構成されています。


侵喰

 

 もっと早い時期に動いていれば何かが違ったのではなかったかと、後々何度も考えた。

 

 

 

「西のミナトが、壊滅?」

「ああ。どうも短期間で落ちたらしくてな……詳細は不明だが、また何か新たなアラガミが出現した可能性もある。一応、頭に留めておいてくれ」

「わかった。しっかし、次から次にとまあ色々起こるもんだなぁ」

「フィムもがんばる!」

 

 始まりは、北西の端に位置するとあるミナトの壊滅だった。

 アインからクリサンセマム、及びハウンド達へと齎されたその情報は、しかしそれを齎したアインを含めそれ程急を要するものだとは捉えていなかった。

 灰域種、灰嵐種、灰煉種。灰嵐、大灰嵐。加えて、通常アラガミや灰域そのものの脅威。蓄積された知識と経験、技術等によって新たな対抗策が生み出されてはいるものの、未だこの地において人類は弱者でしかない。灰嵐からの退避に失敗したか、灰嵐種や灰煉種にミナト本体を襲撃されたか。ごく一般的なアラガミだとしても、ミナトの内部に入り込まれれば一溜まりもない。

 何より、襲撃に対する応援要請や退避手段の援助依頼等であれば駆け付ける事も考えたが、既に壊滅してしまっているのであれば、もうどうしようも無いのだ。

 

 だからこの時気にかけていたのは、それを成した何かが自分達や使用する航路に影響があるか否かのみ。

 新種或いは変異種が誕生したのであれば、やがてそれらと戦う事もあるだろう。情報が無いのは痛手ではあるが、あらゆるものがミナト毎に断絶気味である現状でこれ以上は望みようが無いのも事実。

 故に、今出来る事と言えばこれまで確認されていないアラガミと作戦エリアで鉢合わせする可能性があるとあらかじめ覚悟しておく事程度だった。

 

 

 〝それ〟が、ある意味では厄災以上に危険な……嘗てアラガミが姿を現したその現象にさえ匹敵するような事態の始まりだったとは、誰も気付いてはいなかった。

 

 

 

 だが、それからひと月足らずの間に、事態は急変していく事になる。

 

 

 

◇ ◆ ◇

 

 

 

「何なんだ……何なんだよコイツら……っ!!」

 

 AGEが、GEが、その区別無く必死の形相で斬撃を、砲撃を繰り出していた。

 それは、彼等の確執を知る者達からすれば驚くべき……ある意味では喜ぶべき光景であり……そして同時に、どうしようも無い絶望を表すものでもあった。

 

「何で……何で退いてくれないの…っ!」

 

 その眼前に迫るのは、大小様々なアラガミの〝大群〟。高位の接触禁忌種や灰域種さえ含んだそれは、それだけでも絶望を齎すに十分な光景で……なのに現実は、更にその上を行っていた。

 大小神属特性を問わないアラガミの混成群。アラガミの好む〝食材〟の少ない場所を選んで建設されたミナトの周辺は、当然奴らの腹を満たすものなど無い。……だというのにそのアラガミ達は、お互いへ牙を剥く事も無くただ一直線に攻め込んで来ているのだ。

 その上、どれ程の手傷を負わせて消耗させても尚、回復や食事の為に退く事が無い。例え途中で力尽き倒れる個体が出ようとも、それを捕食する事さえせず踏み越え踏み潰して前へ前へと進む波濤。ただそれだけしか頭に無いかの様に神機使い達へ……そしてその後ろにあるミナトへと進軍して来ているのだ。

 

 

 〝まるで赤黒い霧の様な〟ものを薄く纏わせ、身体の至る所を歪に変形させたアラガミ達が進撃する。赤光に塗り潰されたその眼に映るのは、不遜にも神に抗わんとするニンゲンと、それが造り上げた邪魔なモノ。――壊セ、喰ラエ、進メ。不思議な程にするりと入り込み命じる音無き聲に従って、荒ぶる神々は全てを腹に収めんと突き進んで行った。

 その圧倒的な数と力の暴威の前に、その日一つのミナトと数千人の人々が地球上から姿を消した。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「集まったみたいね。……前置きは省くわよ。凡そひと月前に確認されたと思われる新種のアラガミ……仮称『血蝕種』による被害が拡大中。それも、灰域種なんかよりもよっぽど早く、広範囲に。既に落ちたミナトは5つ。その上で、アラガミ群は加速度的に数を増やしながら東へと向かっているわ」

 

 矢継ぎ早にイルダから告げられた内容とモニターに表示された被害の広がりにに絶句する。

 仮称『血蝕種』アラガミ。

 それは約ひと月前に大陸西端付近で数体だけ確認された新種……の〝筈〟だった。進化と捕食を基幹とするオラクル細胞が素となるアラガミは、確かに新種と呼べる存在が時折誕生する。だが今回のコレは――いくら何でも、増殖と侵攻が早過ぎた。

 終末捕食の不発と赤い雨によって感応種が発生し、厄災と灰域によって灰域種や灰嵐種が生じた様に、いかなオラクル細胞とアラガミとは言え、種を違える程の進化と変質には何かしらの切っ掛けや前兆があった。そして、それ程のモノを切っ掛けとした種でさえ、ある程度の時間をかけての発生と定着だったのだ。

 だというのにこの『血蝕種』は、その発生原因の観測もされないまま、僅か一月という短期間で一帯の分布図を塗り替えつつあった。

 

 

「仮称『血蝕種』。血煙じみた霧を纏った、いや、〝霧に纏い付かれた〟変性アラガミ。特徴としては灰域に蝕まれ適応した灰域種に近いが、その原因と推測される〝霧〟が何であるか、そして何故、突然発生したのか。……何もかもが不明だ」

 

 情報を齎したアインが補足するように、その種は本当に突然現れた。

 新たな神属という訳では無く、現生のアラガミが変質するその途上と言うべき形態は、確かに灰域種や或いは初期の感応種に通じるもの。しかし、感応種にとっての赤い雨や灰域種にとっての灰域に当たる赤と黒と紫を混合させるその〝霧〟については、発生原因も詳細も特性も何も分かっていない。

 現状、辛うじてでも分かっているのは、血蝕種アラガミそのものの特徴と、その危険性についてだった。

 

 

「……データ、見たよ。わかり易い共通点としては、素体部分は既に確認されているアラガミのもの。その上で霧状のモノを纏っていて、身体のあちこちが歪に捻れたり飛び出したりしている。変形については個体差が大きくて、同じアラガミを素にしていても形状が全く違ったりする。攻撃手段なんかについては、今の所素になっているアラガミそのままで、行動パターンとしては寧ろ単調化が見られる。そして、一番の問題が……」

「コアが無い。いや、コアに似た器官があっても、そのコアを潰したり摘出したりしても消えない、か」

 

 キース、そしてユウゴの言葉が、改めて『血蝕種』の異質さと危険性を提示する。

 アラガミは、コアと呼ばれるオラクル群を中核として、その形状と能力を維持している存在だ。ハンニバル等のコアを再生させる事が可能な個体は確かに存在するものの、それでもコアそのものが存在しないアラガミは居なかった。なのに『血蝕種』は、コアを持つ既存のアラガミを素体としながら、その維持をコアに依存していないのだ。

 

 否。この場合はその全身のオラクル細胞がコアの役目を果たしている、というのが正しい。――すなわちその躯体は、部位を問わず一定以上の細胞さえあればそれをコアとして維持出来るのだ。

 各部位ごとに分化する事で多様性と巨大化を果たしたアラガミの、その進化に真っ向から逆行するかのような特性。行動パターンの単純化は、恐らく中枢となる機能の分散による副作用だろう。

 単独の戦闘能力や脅威としては灰域種に劣る『血蝕種』アラガミ。しかしその危険度の高さは、ある部分では灰嵐種にさえ匹敵しかねなかった。

 

「戦闘の長期化と、素材確保効率の減少。……限られたリソースを、的確に削ってくるアラガミ」

 

 『血蝕種』アラガミは、その躯体のオラクル細胞の大半を消耗させ活動を停止させる事でしか、討伐する事が出来ないのだ。

 それが示すのは戦闘の長期化であり、そしてリソースの削り合いにおける圧倒的不平等の表出。――コアが得られ無いということはその種に有効な神機や技術の開発が困難になるということであり、全身のオラクル細胞を停止・霧散させなければ倒せないという事は、長期戦を強いるというのに碌な素材を得ることが出来ないという事。

 それだけでも、ただでさえ余裕の無いリソースを削られという性質の悪さだと言うのに、加えて異常な程に強く偏ったその偏食傾向が問題だった。

 

「その上で、人間や神機使い、そしてオラクル技術を用いた建物への強い偏食傾向が共通する。……厄介過ぎるな」

 

 『血蝕種』アラガミは、神機使いを含む人とその建造物に対して、極めて強い偏食傾向を種の全てが発現している。それは、挑発フェロモンによる誘引や対アラガミ装甲壁による忌避を無効化し、飢餓に近い状態であっても隣のアラガミや自然物を無視して侵攻し続ける程。

 己の崩壊よりも尚人の捕食へ執着する様子さえ見られる程に強いソレは、当然の流として人が造り数多の人が住まう〝ミナト〟あるいは避難しようとする〝灰域踏破船〟へと偏向する。……少数で分散しての逃亡など灰域の中で出来る筈も無く、しかし纏まり大きくなる程に血蝕種アラガミは其処へと集結する。

 灰域種を始めとするその地のアラガミの縄張りを踏み荒らし、幾らかは縄張りの主に喰われながら、しかし圧倒的な数でもって踏み越えただ人を追う。

  

 

 それはまるで、人を滅ぼす為だけに生まれたかの様なアラガミだった。

 

 

「血蝕種達は今も、ミナトを落とし、人々を喰い荒らし……そして定着せずに東に向かっている。もうすぐ、グレイプニルの拠点に到達するだろう」

「どーすんだよ?」

「……AGE、そして感応能力の高い第2世代のGEが、残存するオーディンを起動させ対抗するそうだ。確実に、壊滅させる為にな」

「はぁ?! ふざけんなよ! アレはもう使わないって話だっただろ?!」

 

 愚直なまでに人へと向かう血蝕種アラガミはその進路や行動が読みやすく、また罠を張る事も容易くはあった。

 故に、多数に対して捕食という絶対的な攻撃を可能とするオーディンが、現状有効な対抗策として再び注目を集めたのも分からなくは無い。――迫りくるアラガミ群に対して捕食孔を壁の如く展開し、受け止め、喰らい尽くす。何処までも人を追う血蝕種アラガミから逃げるだけでは、やがて世界の何処にも安住の地は存在しなくなる。その前に、その種そのものを磨り潰して打ち勝つ他ないというグレイプニルの主張も、分からなくは無いのだ。

 そして同時に、ジークを始めとしたAGE達の憤りも最もだ。……例え今回のそれが正真正銘の〝志願兵〟によるものだとしても、AGEの犠牲を前提としフィムを奪いかけたソレへの心象が良い筈は無い。

 

 そして、アイン自身もまた。それらに対する感情的な拒否感と共に、とある仮説を元にオーディンの起動には反対していた。

 

 

――『血蝕種』の発生及び増殖の機序は、通常のアラガミとは異なる可能性がある。

それこそ、彼等が纏う霧そのものが蝕灰と同じくオラクル細胞の粒子であり……そしてその〝摂取〟によって変異を誘発する、『血蝕種』アラガミそのものをキャリアーとした一種のウイルスじみたものだとすれば。……加速度的に増え続けているそのカラクリが、『血蝕種』となったアラガミのオラクル細胞が分裂・増殖する事によるものではなく、霧に触れた既存のアラガミをそのまま『血蝕種』へと変性させているからだとすれば。捕食によって対象を取り込むオーディンの使用は、却って状況の悪化を招きかねない。

 

 

 それでも、グレイプニルの意思を変える事は出来なかった。明確に迫る脅威を前に、AGE達のそれは感情論であり、アインのそれもまた仮説に過ぎなかった。既に数日圏内にまで接近され脅威に晒されている当人達に、可能性となり得るそれを捨てて逃げろという言葉は届かなかったのだ。

 

 

「……万が一グレイプニルが陥落すれば、ここやダスティミラーも危険だ。グレイプニルへの救援も人々の避難も、もはや間に合わない。……こちらはこちらで、備えるしか無い」

 

 人間を、AGEを見捨てる他無いという状況に、憤りと無力感が空間を満たす。そして同時に、もうどうしようも無いのだと……アインの言う通り、次に危険へと晒される自分達もまた、他を気にしている余裕など無いのだと、理解していた。

 暗澹たる空気の中で、それでも知恵を絞り力と技術を集めて対抗策を練りながら、言い知れない不安が消える事は無かった。

 

 

 

 

 ――そして、最悪の予測は現実となる。

 

 グレイプニル本拠にて起動した数十機のオーディンは、確かに『血蝕種』アラガミ達を薙ぎ払い、喰らって、一時的にであるが戦線を押し返し維持してみせた。退くという事を知らない『血蝕種』達は並べられた捕食孔へと真正面から衝突し、実にその9割程を喰い散らかされて壊滅した。

 それは確かに人類の勝利であり、刹那のと平穏と勝利に湧いた歓喜の声は――しかしその数日後悲鳴と断末魔へと変わる事になる。

 

 前線へ出た、オーディン全ての暴走。

 

 それも、嘗て大灰嵐を捕食した際の様に容量を超過した結果のものではなく、内側から蝕まれ変質しての暴走だった。

 頭部、胸部、背部、腕部、脚部を問わず、硬質な触手じみた棘が捻くれ伸びてその姿を異形へと変えていく。内部の操縦者諸共に捻くれて裂けたその躯体からは、陽を陰らせる程の霧が湧き出して周囲を覆う。

 ギョロリと向けられた赤光宿る眼窩が捉え、振り上げられた腕が向けられるのは、確かに自身が背に庇い守った筈の人々とその住処。――それはまさに、新たな『血蝕種』そのもの。激突で失った戦力を現地で補填し、その種は再び力を取り戻す。

 

 歓喜が悲鳴に、希望が絶望に塗り替えられていく。

 それでも人々を逃がす為、オーディン部隊に加わっては居なかった神機使い達は必死の抗戦を行った。巨躯と捕食という特性を持つオーディンという兵器を相手に彼等は良く奮戦し、人々は数を大きく減らしながらも全滅する事は無く離脱に成功する。先の作戦で血蝕種の数そのものは激減していた事により、退避する彼等への追撃はごくまばらなものとなったのが大きかっただろう。

 

 しかしこの作戦の失敗によりグレイプニルはその戦力の実に7割を喪失する事となり、また決戦兵器の簒奪という衝撃は人々の心を重く暗く覆うには十分に過ぎた。

 

 点在するミナトとそこに散らばる人々を纏め上げる旗頭の不在と対抗手段の不足を抱えたまま、人々は新たなる脅威に立ち向かわざるを得なくなっていた。

 

 

 ……………

 

 

 人々が姿を消し骸と瓦礫のみが残ったその地で、人造の兵器はとある存在を迎え入れる。

 破壊されずに残った十数機はただ静かにその相手に傅き、その手より1つの祝福を与えられる。

 施されたのは冴え冴えとした青き血液。

 かつて同朋に変異を強制する劇毒として作用した一滴を受け、ソレらは変貌を遂げていく。巨大で高密度の躯体と、何より情報の原液ともよべるモノを得た『血霧』はその濃度を増し、そして最悪とも呼べる一つの特性を〝再現〟するに至った。

 

 

【血蝕種アラガミへの捕食は、神機の暴走を招くリスクがあると確認された】

【高濃度の『霧』の中における長時間の戦闘時に、神機使いのバイタル・オラクル制御に乱れが確認された】

【血蝕種アラガミとの戦闘中にアラガミ化した神機使に、血蝕種への変化が確認された】

 

【血蝕種アラガミの構成体及び『霧』は、オラクル細胞そのものを変質させ『血蝕種』への変異と人への偏食を引き起こす特性を確立させた】

 

 

 とある牢獄で『瘴気』と呼ばれた『霧』を纏い、『堕鬼』の性質を一部継いだ『血蝕種アラガミ』が世界へと解き放たれる。

 自我と意識を奪い取られた彼等はその対価に不死身に近い身を与えられ、王たる存在の命に従いその身命を賭す。星の端末では無く、星に生きる生命じみた進化を遂げていたアラガミ達が原初の衝動を思い出す。

 

 

『…………』

 

 地響きと共に進撃を再開するアラガミ達に代わり現れたのは、3つの巨影と1つの人影。

 彼の地と共に長く封印され続けていた原初のバケモノ達が、機能を停止し打ち捨てられた同朋や兵器の残骸へと喰らいつく。……停滞していた学習と進化を進め、この世界で再び最悪の脅威と成る為に。

 

 ――進化の果てに神化へと至り、その身を以て〝王〟と共に終末の獣たらん。

 

 現存するアラガミ達がある種の自主性と生物としての生存本能を宿し始める中、ソレらにあるのは古く…故に純粋な本能と刻まれた役目のみ。

 〝今〟を思えばあまりにも弱く未熟で、だからこそ何にでもなり得る可能性を秘めた原初のバケモノ達は、停滞より解き放たれて再び世界へと牙を剥く。

 〝今〟を学び、残滓を啜り、力を喰らって自らを組み換え強化を重ねる。『吸血鬼』達が旧世代の娯楽になぞらえて『レベルアップ』等と比喩したそれと同質のものによって、進化と並行してその躯体そのものが強大さを増していく。

 本来であれば過負荷で自壊しかねない所業は、しかし再生と維持を司る萌芽を自在に生み出す〝王〟の存在により保証され、止まる事は無い。――そしてそれは、王自身にも適応されていた。

 

 青白い萌芽の傍らに佇み、姿は然程変わらぬまま内包する力を爆発的に跳ね上げて行くバケモノ達を見守りながら〝王〟は東へと視線を向ける。

 再生に繋がる破壊を此処に。4度のそれを超えて尚癒えることを許されぬ世界に終末という救済を。――その役目と望みを果たす為、人々の血より得た情報と本能に従って王は彼の地を目指す。

 

 

 最も古くに誕生し、最も新しく認識された脅威が世界へと牙を剥く。

 

 

 海の先で消えた赤い霧とそれが守り閉ざしていた領域の開放を知る者は未だ無く、深層の奥地に封じられていた古い古い神々と共に姿を消した王の存在を知るものも、未だこの世界には存在していなかった。

 




【不完全なデータベース】

◆血蝕種
ある時期より突然現れ、急速に勢力を拡大しつつある新たなアラガミ種。
その姿は既存種を元としているが、其処此処が歪に捻れており、また血のように赤い眼と血煙の様な霧を纏っているのが特徴。
既存種よりも尚凶暴で捕食欲が強く、時には自己の損壊さえも度外視して戦闘行動を継続するなどの様子が報告されている。人及び人の手が入った建造物等に強い偏食を示し、その対象が存在する限りにおいて同士討ちや共食いも発生しない。
常時活性化している様な状態であるが、現在の所戦闘面において血蝕種固有の能力や特性は確認されていない。
灰域種系統においては、纏う喰灰の大部分が『血霧』へと変化する為か、個体そのものの直接的な脅威度は寧ろ原種に劣る。その凶暴性と群れる性質、人に偏向した偏食に注意が必要だろう。
(追記)
数度の戦闘と撃退の結果、このアラガミ種にはそれまでの種とは明確に異なる特徴がある事が確認された。
それはコアの欠如。……正しくは、異常活性したそのオラクル細胞の全てが擬似的なコアの役目を果たしている様子である。その為コアを摘出しても活動停止に至らず、これまで以上の長期戦を余儀なくされる上回収可能な素材が少ないという致命的な特質を持つ。
しかしその代償か、長期戦を繰り返すと休眠状態へ移行する事があるようだ。
(追記2)
血蝕種が纏う血霧に、他アラガミや神機への干渉能が確認された。
アラガミに対しては捕食欲の増幅及び血蝕種への変異誘発を生じる為、大型の血蝕種が確認されると急激に周囲を汚染する危険性が生じている。
その為、確認され次第の討伐が推奨されるが、神機への干渉が確認された為その危険度は急激に上昇している。
(追記3)
血蝕種との長期戦闘により、アラガミ化を起こかける神機使いが急増している。原因は血蝕種への変異を誘発するその血霧であり、それにより変質した神機がコアを喪失した結果、腕輪による制御が効かなくなった事にある。
短時間で離脱し、適切な処置と整備を受ける事で回避が可能である。が、血蝕種の特性上長期戦となりやすく、また物資や人的資源を酷使する為、直接的な戦闘能力よりも厄介である。
周囲への汚染という特性を加味し、危険度を最上位へ変更する。
(追記4)
既存のアラガミに比べ捕食欲に特化しており、その反面意思と言うものを感じさせない動きが主体である。……が、真偽は不明だが軍勢じみた規律を見せてミナトを壊滅させたという情報もある。
統率個体の出現が危惧される為、より一層の警戒と探査が必要である。

◆?????
血蝕種の侵攻に合わせ、その周囲で極稀に観測される様になった謎の存在。遠目に青年の姿をしている事が確認されているが、灰域を苦とせず活動している事からより人化が進んだ人型アラガミであると考えられる。また、血蝕種アラガミの侵攻後の地域で確認されているにも関わらず捕食されている様子が無い事から、何かしらの関係があると考えられている。
神出鬼没であり目的も能力も一切不明である為、追っての調査と検証が急務である。



◆赤霧の領域
嘗てイギリスと呼ばれた島の一角に存在する、赤い霧に包まれている謎の領域。
嘗てはフェンリルに関係する組織が観測と監視を行っていたが、あらゆる手段を用いても侵入出来なかった事と厄災による移動制限によりここ数年は放置状態となっている。
血蝕種アラガミの発生地域が近く、かつ赤い霧という共通点を持つ為関係性が示唆されているが、観測不能であるため真偽は不明となっている。

旧世代の地図を参照するに、それなりに大規模な都市と山間部が存在していたようだ。
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