少し短めです。
後書きに本シリーズにおけるキャラ達の捏造年表?を載せています。
それは吸血鬼と呼ばれる彼らが極東を訪れ、幾らかの日を過ごしてほんの少し馴染んできたとある日の出来事だった。
「……カレン姉とルイ兄?」
「? ルイ、カレン。多分、呼ばれてるぞ。知り合いか?」
ふ、とヤクモが聞きとったのは聞き慣れない男性の声。振り返った先にたっていたのは、黒髪に緑がかった虹彩を持つ成人男女2人。色彩の共通だけでなくどことなく似て見えるから、血縁者だろうかとは思う。
その声にも姿にも覚えは無い。無いが、紡がれた名前はこれ以上なく馴染みのある音だ。聞き慣れない呼び名のため人違いかとも思ったが、暫くここに世話になった中でルイやカレンの同名は見かけていない。取り敢えずは敵意も害意も無さそうだと判断して、少し前を歩いていた為に聞こえなかったらしい相手に声をかけた。
「呼んだか、ヤクモ。……お前達は?」
「ルイ、どうしたの?……あら?」
振り返るのは、黒髪に朱色の虹彩の姉弟。何か引っかかるのかじぃっと見返す2人と、目を見開いて固まっているあちらの2人。取り敢えず、邪魔にならないよう他の奴等と一緒に場所を変えて観察。気のせいかもしれないが、こっちも何となく違和感の様な既視感がある。
こっちの2人とあっちの2人がそれぞれ似ているのは良いというか当然として……こっちとあっちも、似てるとまではいかなくても何処か、近い。
「……もしかして、ツバキとリンドウ?」
「!ああいや、そう言われると面影がある、か?…生きて、いたのか」
そして、先に思い当たったのはどうやらカレンだった。これまた聞いた事の無い名前が二つ。で、それを聞いたルイもどうやら心当たりがあったようだ。
そう言えば、ヴェインでは使う機会が無かったが、ルイも日本語を話せたなと思い出す。孤児院を出て傭兵となったヤクモ自身には、さして故郷の知り合いや親族は居ない。が、ごく普通の家庭を出たのだろうと思えるルイ達なら、確かに古い知り合いがどこかに居ても可笑しくは無いだろう。こんな場所での再会となればその偶然に驚きはするが、そういう事だと分かれば警戒する必要も無い。
ただ気になるとすれば……大崩壊前の知り合いと言うことは、年齢的に考えて相手さん大分小さかったんじゃないのか? なんていう他愛の無い疑問。……ああいや。だからこその、さっきの特徴のある呼び方か。
「そりゃこっちの台詞だ!」
「2人とも、生きていたのか?! いや、それよりもその姿はどういう事だ?!」
「落ち着いてくれ。こっちも聞きたい事が……」
「3人とも落ち着いて。ね?ちゃんと話すから、ここで騒いだら迷惑になるわ」
「知り合い…というよりも親族かしら?」
「うーん、似てる…といえば似て、る? 何にしても凄い所に知り合いがいるんだねー」
「まあ大崩壊前なら世界中動き回れたんだから、何処に誰がいても可笑しくは無いけどな」
「それでもお互いに生き残ってるって中々無いし、良かったんじゃない?」
「……生き残っていても、何処にいるか分からない事も多い」
「体の捌き方から見るに2人とも実力者だ。腕輪もある。ここの戦闘員の様だが……」
興奮状態にあるあちらさんに中々の勢いで詰め寄られて混乱が伝播しかけてるルイと、それよりは落ち着いているカレンを眺めつつ会話する。
特徴のある、初対面の奴にむけるものじゃない呼び方と、外見的な特徴を考えれば大体どんな関係だったのかも想像はついた。――恐らくは、生き別れになっていた親戚あたりなんだろう、ってな。
生きていてたのか、なんて言葉が出るあたり、やっぱりお互いに所在や生死は把握できていなかったらしい。……まあ、20年以上も音信不通だったんなら、今の世界じゃほぼ生存は絶望的だと思って良い。
大崩壊で寸断された世界は、繋がりさえも物理的に断ち切っちまった。――その切られた先の片割れに出会える奴が、吸血鬼の中にどれだけ居るだろうか。
(ま、何にしても、家族と無事に再会出来るってのは良いもんだな)
つまりこれは、その数少ない幸運な事例であり、十年以上ぶりになる感動の再会って訳だ。だったら、邪魔をするのは野暮だろう。
「それにしても立派になったわね。最後に会った時はまだ腰位だったかしら」
「そうだな。……何か騒がしく無いか?」
そんなこんなでまったりと見守っていたんだが、何か相手側の様子が変だ。つっても、ルイ達本人が何か変な事をしてる訳じゃあ無い。久し振りに再会した相手と微笑ましいやり取りをしてるだけだ。妙なのは、あちらさんの2人と…ついでに周りにいる奴等の反応だ。
別に、敵意があるとか何かやらかそうとしてる感じはしない。……これは、疑念と困惑、混乱、か? 後、何か説明を求める、みたいな視線がこっちに向かって来てるんだが……。
「……ねぇ、一つ気になったのだけど」
「どうした?」
「私達、吸血鬼の特徴についてどこまで説明してたかしら…?」
「え?…………あ、あぁあっ!!」
「?!」
「……やらかしたわ。"人間"は、普通に年を取れば姿が変わるのよ」
「「「「あ」」」」
エヴァの疑念と、ムラサメの絶叫と、アウロラの説明に、やっとそれに気付く。そして気付けば、あちらさんの状態にも納得だ。
若い奴等が中心になってるここで、それなりには年長の部類に入るだろう2人。戦闘員の証らしい腕輪もつけてるし、周りにいる奴等の反応を見てもここの実力者か権力者なんだろうと察しはつく。……問題はその2人の年齢がどうみても成熟した二十後半から三十前半程度には見えるのに対して、ルイ達が二十前半に見える事だ。
その上で4人のやり取りを思い返せば、まあ確かに妙だよなあとなる。
――誰がどう見ても、ルイ達の方が年下に見えるというのに、やり取りの中身が逆転してしまっているからだ。
自分達にしてみれば、"大崩壊前の知り合い"である事と"ルイやカレンが吸血鬼である"事を前提にしてたから何も気にしちゃいなかったが、"吸血鬼である意味"を知らなければ、その前提から崩れている。……神機使いが普通の人間と同じ様に歳を取るのなら、尚更勘違いさせてしまっていた事だろう。
「と、取り敢えず2人に伝えてくるね! そしてちゃんと説明しよう!」
「おう、頼んだ」
多分こっちと同じで、"それ"に思い当たって無いルイ達のとこに走るムラサメを見送って全員で溜息をつく。
"それ"は自分達にとっては当然の事で。ついでに吸血鬼と共存が長いヴェインの人間達も、もう誰も何も言わないから忘れていた、吸血鬼の特徴ってか特性の一つ。
吸血鬼には"時間による肉体的な変化が無い"。成長も老いも無い身体は、人として死んだ時のものから大きく変わる事が無い。
つまりは、古い吸血鬼程外の奴等との時間差や外見と実年齢の差は大きい訳なんだが……それを知らない奴等からしたらそりゃ混乱するだろうなぁ。大崩壊前の知り合いだってんなら、覚えてんのは二十年は前の姿だろう。……本来なら四十も半ばになってる筈の相手がその頃の姿のまま突っ立ってたら、殆ど怪奇現象だな。
「……もう一度、1から説明し直した方が良いかも知れんな」
「それが無難ね」
ついでに思い返すと色々と抜けてる気がしたのは、俺だけじゃ無かったらしい。これは説明し直しだなと頷きあって、一先ずラウンジに向かう事にしたらしい4人を追う事にする。
今日は近場でバケモノ相手の実戦をやる予定だったが、別に今日じゃないといけねぇ訳でも無い。それよりもまずは、ちゃんと説明するのを優先した方が良いだろ。……ぐるっと確認したら他の奴等も考えは同じみたいだし、今日はもう質疑応答の日にしようと頷きあった。
「えっと、改めて自己紹介するわね。私はカレン・アマミヤ。日本……極東に合わせるなら、雨宮カレン。そして、こっちが弟のルイよ」
「雨宮ツバキだ。こいつは弟のリンドウ」
「名字が同じ? 兄弟が他に居たんですか?」
「いや、親父の兄貴の子供だから……従兄弟だな。んで、何に驚いてたかって言うと、だ。……記憶が合ってたら俺達より10歳以上は年上…の筈なんだがなぁ」
「はぁああ?!」
「え、いやいや冗談だろ?!」
「この様な冗談を言う必要があるか?……最後に会ったのは、私達がまだ10にもならん時期だ。海外の大学に留学すると日本を出国。そのままアラガミの出現によって航路が寸断され、音信不通となっていた」
「幾ら餓鬼の頃の記憶だって言っても、流石にざっくりした姿位は覚えてる。当時で高校生位はいってたんだから、今ならどー考えても、40前後にはなってる筈……筈、なんだけどな…」
「はい????」
「そーいう反応になるよなぁ」
ラウンジで繰り広げられる会話に一々反応する神機使い達。それを咎めなんてしない。説明し忘れてたのはこっち側だし、多分つーか確実に、騒動の原因は2人が本来の年齢に見えないって事だ。――当然っていや当然だが、それは俺達にとっての当然であって人間のそれとは違うものだ。
だから、取り敢えず他の奴等にした説明をざっくり伝えた後に、新しい情報を追加する事になった。
「2人の言っている事は真実よ。私達吸血鬼には、年月による外見変化が殆ど無いの。だから吸血鬼となったその時の姿のまま、ずっとずっと長い時間を過ごす事になる」
「俺達が吸血鬼になったのはこの姿……俺が20、姉さんが24の時だ。ただそれが2050年代の事だから、生年からの計算であれば40以上なのは間違ってはいない」
「なんて言うか、当然過ぎて説明忘れちゃってたんだよね。だからえっと…少し例外も居るけど、私達なら大体皆20〜25歳位足して考えて貰えたら良い、かな」
取り敢えず具体例と数字を出して説明していくが…理解が追いついて無いみたいだ。まあ、仕方無いっちゃ仕方が無いんだろうけどな。……吸血鬼の事知らなけりゃ、ニコラの外見で実は30超えてますって言われて信じる奴は居ないだろう。シルヴァとか、確か実年齢で言ったら70代の半ばだか後半だかの後期高齢者だ。
俺達だって、中年に見えるかと言われたら流石に難しい事位は分かる。
「えっと…つまり不老不死?って事??」
「ひとまずは不老…ではある筈だ」
「なんか曖昧だな」
「今の所、吸血鬼になった後に老化した、という例は無いわね。それこそ、シルヴァなんて吸血鬼化した時点で確か50位で、普通ならもう老人といって良い歳だけどアレだから」
「ただ……吸血鬼としては私達がほぼ最年長だから、本当に不老なのかとか、この先もずっとなのかとかは分からないのよ。ある日突然、老化が始まって塵になってしまう可能性だってあるし、終わりが無い訳じゃ無いから」
そう。聞けば聞くほど突貫……ってよりも、臨床試験無しのぶっつけ本番で作られたのが吸血鬼だ。計画の中核だったアウロラやカレン、シルヴァ……後はあのミドウにさえ、能力や制限は兎も角理屈や原理は分かって無いらしい。
これこれこういう特徴と能力と制限がある。これこれこんな欠点と問題点がある。だから対処法と予防策はこれで、注意はアレである。……と、まあ大体がそんな感じで、良く実行しようと思ったもんだと呆れを通り越して感心したのも、もう随分前の事だ。
で、更に申し訳ない事に、だ。
「……そして多分、説明し忘れがまだある」
「まだ?!?!」
本当に申し訳無いが、ヴェインだと説明する必要が無いもんだから色々すっぽ抜けてる状態だ。取り敢えず1から説明しようとは思うから、一先ずアマミヤ家?の再会のやり取りは一段落させて欲しい。それが終わったら後は吸血鬼全般についての説明その他なんだが…吸血鬼についての説明書でも作ってくれば良かったか?
何にせよ、もう暫くは話合いが中心になりそうだ。
●生年月日のようなもの。
GE3を2087年、CVの大崩壊を=アラガミ出現と考えて2050年と仮定。言うまでもなく、CV側は完全に捏造な上に多分このあたり……レベルです。
◇=GE ◆=CV
2002年前後 ◆グレゴリオ・シルヴァ
2009年 ◇百田ゲン
2010年前後 ◆デイビス
2024年 ◇ペイラー・榊。
2026年 ◇ヨハネス・フォン・シックザール
2028年前後 ◆ヤクモ・シノノメ
◆ジャック・ラザフォード
◆アウロラ・バレンティーノ
◆カレン・アマミヤ
◆ココ
2029年 ◇グレゴリー・ド・グレムスロワ
2031年 ◇エイブラハム・ガドリン
2032年前後 ◆クルス・シルヴァ
◆ルイ・アマミヤ
◆ミア・カルンシュタイン
◆エミリー・スウ
2034年 ◇ダミアン・ロドリゴ
2036年 ◇九条ソウヘイ
2036年前後 ◆リン・ムラサメ
2035〜45? ◆エヴァ・ルウ
2042年 ◇雨宮ツバキ
2042年前後 ◆ニコラ・カルンシュタイン
2045年 ◇雨宮リンドウ
◇アイザック・フェルドマン
2046年 ◇レア・クラウディウス
◇真壁ハルオミ
◇ケイト・ロウリー
2048年 ◇大森タツミ
2049年 ◇ジーナ・ディキンソン
◇ブレンダン・バーテル
2050年 ◇高峰サツキ
◇橘サクヤ
2052年 ◇台場カノン
◇ギルバート・マクレイン
◇カレル・シュナイダー
2053年 ◇楠リッカ
◇ソーマ・シックザール
◇小川シュン
2054年 ◇エリック・デア=フォーゲルヴァイデ
◇竹田ヒバリ
◇エミール ・フォン・シュトラスブルグ
◇真壁テルオミ
◇ジュリウス・ヴィスコンティ
2055年 ◇ロミオ・レオーニ
2056年 ◇アリサ・イリーニチナ・アミエーラ
◇藤木コウタ
◇リヴィ・コレット
2057年 ◇香月ナナ
◇葦原ユノ
2058年 ◇フラン=フランソワ=フランチェスカ・ド・ブルゴーニュ
◇シエル ・アランソン
2059年 ◇星野ウララ
◇イルダ・エンリケス
2060年 ◇エリナ・デア・フォーゲルヴァイデ
◇リカルド・スフォルツァ
2064年前後 ◆イオ
2065年 ◇千倉ムツミ
◇シオ?
2067年 ◇ユウゴ・ペニーウォート
2068年 ◇ルル・バラン
2069年 ◇クレア・ヴィクトリアス
2071年 ◇エイミー・クリサンセマム
◇ジーク・ペニーウォート
2073年 ◇ニール・ペニーウォート
2074年 ◇キース・ペニーウォート
CV側の圧倒的高齢者率(実年齢)
大半がガドリン総督の同年代でダミアンよりも上な、GEメインキャラ達の下手しなくても親世代。ニコラの方がリンドウよりも年上で、GE3組と比べればイオでさえ年上なレベル。GE2の時点で大半が40歳を越え、GE3の頃には大体皆50後半で爺孫レベルに(ニコラ30後半、シルヴァ80後半)。多分本人達も年齢は気にしていない。
そのうち年表も纏めて載せたいと思います。