ありふれてないアークスはその力で何を守護るのか   作:時空 雄護

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この話からは南雲と技嶋兄弟の視点で行き来します。

ステータスが貧弱ゆえに知識でカバーする南雲、かつての経験を体に思い出させるため、規格外の特訓を行う技嶋兄弟。

彼らに起こる運命は、着々と近づいていた………!


第五部 特訓

 

~南雲Side~

自分のステータスがクラスの中で一番貧弱であると知った日から二週間ほど経った。

僕は今、訓練の休憩時間を使って王立図書館で調べ物をしている。

圧倒的にステータスが足りない分を、知識で補うつもりだ。

何せステータスだけでなく、魔法の適正や成長率も最弱であることがはっきりしてしまったからだ。

魔法の適正については、本来の世界の自分の方が詳しく説明してくれるだろう。

「……?何いってるんだ僕?」

それは置いといて、だ。こうして「北大陸魔物図鑑」というひねりもないタイトルの本を読んで知識を蓄えている。

こうでもしなければクラスのみんなに迷惑をかけてしまう。それだけは回避したい。

なにせ小悪党組に「最弱」のレッテルを貼られてから、彼らにちょっかいを出されているのだ。

清水「お~い南雲ー、そろそろ訓練再開するぞ~。」

「今行くよ。」

そう言い、本を元の場所に戻しに動く。

(そういえば……累斗と廻斗は何してるんだろう…?)

別の場所で訓練しているらしい二人を思い出しながら、僕は訓練施設に移動する。

 

 

 

 

 

 

 

 

~何処かの草原~

~廻斗Side~

相変わらず何でもできる奴だと、今模擬戦をしながら思う。

現在、私と累斗は南雲たちとは別の場所で訓練を行っている。……いや、これは訓練ではなく、かつての自分たちの動きを思い出すための「戦闘」だ。

ある程度は動けるように、筋力等はキープしていた。だが「戦い方」は体にはなく、ただ知識として残っているだけだったのだ。

そのための「戦闘」だ。こうして規格外のことをするためにわざわざ場所を用意してくれたメルド氏には後で感謝w

累斗「思考に沈んでる暇があるなら体動かせよ!ペルソナ!」

「!!」

思考の海から外れ、即座にバックステップすると、そこにカタナ…【コートサーベル】を振り下ろす累斗。

「なに、メルド氏に感謝を、な!あと殺意高いなお前!?」

累斗「そういいながらっ、ダブルセイバーでパリィしてる方も凄いんだよ!」

即座に出したダブルセイバー…【コートダブリス】で斬撃を受け流しながら攻勢に出ようとする。

「ハッ!」

累斗「うぉっと!?」

ほんの少しの隙…0.1秒近い時間の隙にダブリスを振るう。少し驚いた声を出しながら、その場で跳躍し避ける累斗。ホンットこいつは、こう軽々と……!

「貴様は相変わらずだな!こうやってっ、私の予測を超えてくる!」

ダブリスで累斗を切り捨てようと近づき、何度も斬撃を放つ。

累斗「その予測を、超えるのが俺だからなっ!ってお前の方が殺意高くないか!?フォトン纏ってるぞおい!」

「あ」

…どうやら思っている以上に熱が入っていたようだ。一旦止まり、深呼吸をする。

「すぅ~……ふぅー……すまん。」

累斗「いや大丈夫だ。それより……どうだ?」

「上々だ。漸く戻ってきた。」

かつていた世界で繰り広げた数多の戦い……その全てではないが、ほとんどを思い出すことができた。

「あとは戦い方だな……下手にフォトンを使えば南雲や清水にばれてしまう。」

累斗「ホントは隠したくないけどな~、あいつらなら喜々するだろうけど、上がきな臭い。」

「全くだ。」

こうして我々だけ別で特訓をする原因として、

1,アークスということをばれないようにするため

2,国の政治機関に操られないようにするため

主にこの二つだ。あとはルーサーやゲッテムたちと合流できたときに腕が落ちてたら嫌である。(byペルソナ)

累斗「んじゃみんなのとこ戻るか。」

「あぁ。」

 

 

 

~南雲Side~

訓練施設で訓練を初めて一時間ぐらいたった。施設に来た時に子悪党組にちょっかいをかけられそうだったから、先に作っておいた深めの落とし穴に落としておいた。なんだか喚いてたけど天之河君に怒られてたからスカとっした。

そんなこんなで訓練をしてると、視界の端に見覚えのある二人が見えた。

ほかのみんなも気づいたのか、一目散に向かっていく。

「………後で聞けばいいかな?」

あの二人はとんでもない無茶を……知らないところでしてそうだが、自分の目があるところではしていない。何か気にしていそうだが、それは聞かない方がいいと勝手に思ってる。

「……そうだ、防御用の壁でも作ってみようかな。」

累斗たちがみんなに質問でしったかめっちゃになってる間、僕は僕でやれることをやってみる。

……そういえば、服は綺麗なのに全身がすごい汚れてるな二人とも。どんな訓練してたんだろう?

 

 

~累斗Side~

訓練施設まで戻ってきたはいいが、南雲以外のクラスメイトがこぞって来た。

やれ「何をしてた?」とか「なんで二人だけ別なんだ」とか言われたが

メルド「二人は今ここにいる全員より強い。悔しいが、俺たちも超えられているからな。それに、二人は《自分たちがわざわざ指導しなくてもメルドさんがやってくれるだろ?》と言われてな……全く、俺たち以上に大人びていているよ。」

「同年代のやつより大人の指導の方が身になるだろ?実際南雲もあんたのおかげで少し吹っ切れてるからな。」

あいつ、この短時間でウィザードのディフェーンド!出来てるじゃん。しかも結構堅そう。

メルド「そうだな。《力が足りないのなら知恵で補う》……工夫をこらせば非戦闘員もある程度は自衛できるってことを知れた。ありがとう。」

「気にしなくていいですよ。それよりみんな、その顔は「どんな訓練をしてた?」って顔だな?」

クラスメイト「「「「「うん」」」」」」(鍵括弧省略)

んなこったろうと思ったぜ。さて、どうボカして話すか……

メルド「俺も気になっていたんだ。わざわざ二人だけ別で訓練すると言ってたが、一体どんな訓練をしてたんだ?」

「あんたもかよ」

下手なこと言うと根掘り葉掘り聞かれるな……

廻斗「そうだな……まず先に言っておくが、俺たちが行っていた訓練は魔物との戦闘を想定としていない。主に行っていたのは対人戦だ。」

クラスメイト「「「「「「!!??」」」」」」(鍵括弧省略)

メルド「……そうか、もう見据えていたのか。」

クラスメイト達が驚く中、メルドだけは落ち着いている。

「そもそもだぞ?俺たちは戦争をするんだ。いつかは人と戦うんだ。なら今のうちに慣れておくのがいい。」

檜山「で、でもよ……二人とも、人殺しをするんだぞ!?何言ってんのかわかってんのか!?」

檜山が喚き散らすように言ってくるが

廻斗「では檜山、お前は魔人族を殺さずに戦争を終わらせられるとでも?」

檜山「!!それは、そうだけどよ……」

「そもそもてめぇに人殺し云々言われたくないね。お前、今まで南雲に何してたか分かってるか?」

メルド「?それはどういうことだ?」

檜山「あ、いや。それは……」

(ざまぁ味噌ラーメン。あ、やべラーメン食いたくなってきた…)

檜山に対して愉悦を感じた累斗。ラーメンのことを考えて涎が出そうになったようだが、飲み込んだようだ。

メルド「あとでいろいろ聞きたいことができたが……ちょうどいい。皆、聞いてくれ。」

そういうと、メルドは明日の予定を言う。実践訓練の一環で【オルクス大迷宮】へ遠征しに行くとのことだ。ようやくか…

メルド「今までの王都外での魔物との実戦訓練とは一線を画すと思ってくれ!要するに気合を入れろってことだ! 今日はゆっくり休めよ!では解散だ!」

そう言ってササッとどこかに行くメルド。

またも騒がしくなっていくクラスメイト達に倒して、落ち着かせるように動く累斗と廻斗であった。

 

 

~その日の夜~

「ぁーねみぃ……流石にイメトレしすぎたか……?」

訓練が終わり、明日の迷宮遠征のために【ホルアド】という宿場町の宿屋に泊まっている累斗達。

因みに部屋割は技嶋兄弟が一部屋となっている。すでに廻斗は寝ている。

「ったく、檜山はホントやばいな……だが、ここで南雲が覚醒しないとまずいんだよな……」

累斗がそうぼやいていると、コンコンと扉から音がする。

香織「こんな時間にごめんね?香織です。ちょっと話したいことがあって……」

「今開ける。」

扉を開け、香織を招く累斗。

「おや、南雲もいたのか?」

南雲「う、うん。」

「まぁ入れ。粗茶を出すから適当に座って……なんだ起きたのか廻斗。」

廻斗「気配を感じてな…白崎と南雲、どうした?特に白崎」

香織「うっ」

どうやら廻斗は香織が持つ雰囲気に気づいていたようだ。

「はい粗茶。つっても紅茶擬きだがな。」

二人「「いただきます」」

机に置かれた紅茶擬きを飲む二人。それを見て累斗達も飲む。

「うん、相変わらず不味くも旨くもない味だ。」

南雲「本物の紅茶ならもっといい匂いとか味わいが深いんだっけ?」

「俺もそこまで詳しくはない。だが、これは粗悪なのは確定だ。」

そう言い、一気に飲み干す累斗。

「…で、話したい事ってのはなんだ?南雲もいるってことは南雲関連か?」

香織「アハハハ……すごいね、なんでわかるの?」

「俺たちのところにくるならまだしも、南雲を連れてくるってことは南雲関連。しかもその顔だ、よほど深刻なことだと理解できる。」

香織「適わないなぁ……うん、じつは明日のことで……。」

香織が言ったことを要約するとこうだ。

 

 

・少し眠ったときに夢で、南雲がいたが声をかけても気づかず、最終的には消えてしまったこと。

・どうしてもただの夢とは思えなくなり、南雲に相談しに南雲の部屋へ。

・南雲も半信半疑でそれを聞き、念のため累斗達にも言ってみようとなりここへ

 

 

「なるほど……それで、南雲をここに待機させる気か?」

香織「うん……こんな理由じゃ絶対認められないだろうけど、それでも…」

廻斗「……白崎、確かにその夢は恐ろしい。だが所詮夢だ、現実にはならん……とはいえ、いくら周りが守ってくれるとはいえ、南雲はまだ弱い。」

南雲「うっ」

香織「でも!「なら我々が南雲を護衛しよう」……え?」

廻斗の提案に驚く香織。

廻斗「どちらかが先頭でどちらかが殿になるだろうと予測していてな、ついでだから南雲を殿の方で護衛するようにしよう。」

南雲「……いいの?」

技嶋兄弟「親友を守ることに何か理由はいるか?」

そう言い切った二人に、香織と南雲は言葉をなくす。

南雲「………ハハッ、二人はかなわないや…。」

香織「ホントだね。天之河君がずっと負けてるわけだよ。」

そう香織が言うと、累斗が噴き出す。それにつられるように他の三人も笑い出す。

先ほどまでの不穏な空気から一変し、いつもの雰囲気に戻った。

 

 

~約20分後~

 

 

香織「ふわぁ~ぁ~……眠くなってきちゃったよ…。」

南雲「僕らのいた世界の時間だと深夜だしね。そろそろ寝ないと明日に響く。」

しばらく雑談していたが、だいぶ遅い時間だということに気づき、部屋から出ようとする二人。

「メルドさんには俺から言っとくわ。」

二人「「分かった、おやすみ~」」

「おうおやすみ」

そして部屋から二人が出ていき、部屋に静寂が訪れる。

(明日、南雲には最悪の運命がおこる……ぼちぼち、俺たちもルーサーたちを探さないとな。)

そう思考し、就寝する累斗。

廻斗(………ん?今、フォトンを……)

 

 

 

 

~ハイリヒ王国 客人室~

???「ふむ………。」

誰もが寝に入り、静かになっている国の中で、唯一音が鳴る部屋があった。

その部屋…客人室にいる一人の男は、昼間に感じたとある気配に既視感を抱いていた。

???(昼間に感じたあのフォトンの波長……おそらく守護衛士(ガーディアン)【仮面】(ペルソナ)のだ。どうやらこの世界に来たようだね……)

累斗と廻斗が持つエネルギー、【フォトン】を感じ取っていた男……【敗者】(ルーサー)ことルーサー=ラース=レイ=クエント。

ルーサー「どうやら運命は動き始めたようだ。さて、私もいい加減動き始めようか。」

そう言い、ルーサーは身支度を始める。

 

今、数多の運命が動き始めた………!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




更新遅れてすみませんでしたorz
不定期更新といったとはいえ、ここまで長くなったのは難産であったのと、コラボ小説を執筆していたのもありました。

https://syosetu.org/novel/290753/
こちらが、私が参加しているコラボ作品です。よければ、見ていていただけると幸いです。
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