ありふれてないアークスはその力で何を守護るのか 作:時空 雄護
大分長くなると思うので、よろしくお願いします。
南雲が奈落の底へ落ちた。
たったそれだけの情報でクラスメイト達は阿鼻叫喚となる。
特に助けられなかった累斗と廻斗が虚空を仰いだまま黙っており、今すぐにでも南雲を助けに奈落に行こうとする香織。
「離して二人とも!お願い、南雲君のところに行かせて!離してよぉ!」
雫と光輝で羽交い絞めにしているが、その細い体ではわからないほどの力で二人を引き剝がそうとする。
そこにメルドが歩み寄り、首筋に手刀を落とし、気絶させる。
「すまん、だが今は脱出が先だ……彼女を」
「分かってます…光輝君、私が香織を。累斗君、廻斗君。いけ、る……?」
雫が二人を見たとき、二人の雰囲気が異質であることに気づいた。
直接見た雫と、ちらっと二人を見た光輝、メルドだけがその状態に気づいていた
「ふ、二人とも……?」
「「…………………」」
二人に声を変えた雫だが、二人は何も反応せず、そのまま前衛の方へ行く。
「………あの雰囲気、見覚えがある。」
「奇遇ね、私もよ。でも今は…。」
「分かってる……香織を頼む。」
光輝もまた、前衛の方へ赴く。
そして、メルドの指示が走り、一同は階層から脱出し、階段を上り始める
~20階層~
長い、長い階段を登り切り、登り切った先の壁の仕組みを起動させた扉を潜り、元いた20階層の部屋へとたどり着いた。
たどり着いたという事実で、既に疲労困憊だったほとんどのクラスメイト達が壁によりかかったり、座り込んだり、中には泣き出すものもいた。
その中で、そんなこともせず戦闘態勢を取り続ける累斗と廻斗。
「……メルドさん。魔物は沸くのに時間がかかりましたね?」
「ん?ま、まぁそうだが…待てお前ら!?」
メルドの注意も聞かぬまま、ちらっと見えた魔物の群れに突撃する累斗と廻斗。その先から魔物の断末魔が大量に響き渡り、さすがのクラスメイト達も気を引き締める。
「累斗、廻斗………。」
光輝が二人の名前を呟く。20階層には、射撃音・斬撃音と共に、魔物たちの断末魔が響き続けていた。
~ホルアドの宿屋~
疲労困憊のクラスメイト達の多くは、部屋に付く瞬間にベッドにダイブし深い眠りに着いていた。
中には生徒同士で話し合っている者もいたが、そのほとんどは寝ていた。
しかし、四人だけ、メルドがいる部屋にいる生徒がいた。
累斗・廻斗・光輝・雫である。
「それで、どうしたんだお前ら……?今日はもう休めといったろ?」
そうメルドが口にするが、累斗と廻斗が放つ異質な何かを感じ取ると、部屋に魔法をかける。
「…防音魔法をかけた。まさかこんな使い方をするとは思わなかったがな…。」
そう言うと、メルドは四人に紅茶擬きを作る。
いただいた紅茶擬きを飲み切り、まず累斗が発言する。
「すまないメルドさん。どうしても、この面々だけで話がしたかった。」
その言葉を聞き、メルドは思いわたる節を考えようとするが、直後の累斗の発言に驚愕する。
「ハジメを奈落に落とす原因を作ったやつについてだ。」
「「「!?」」」
「……………。」
メルド・光輝・雫が驚く中、神妙な顔をする廻斗。
「ど、どういうことだ!?」
「今から見せるものは、あの時俺がマグを使って撮った動画だ。」
「「「マグ?」」」
マグ、という言葉に疑問を抱く三人だが、部屋に突如現れたモノに大いに驚く。
それは、宙に浮かぶ丸い機械であった。正面にある目のようなものを動かし、メルド・光輝・雫を見た後、累斗と廻斗を見、空に映像を映し出す。
「……!?こ、これは……!?」
「嘘、だろ……!?」
「……何でよ……!?」
三人が思い思いにその映像に驚愕する中、累斗が話し始める。
「……この映像を見ればわかると思うが、南雲はただ逃げきれずに奈落に落ちたんじゃない。
あいつはな……南雲に嫉妬してたんだよ。」
累斗の発言にあっけにとられるメルドと雫だが、何とか感情を抑えている光輝が累斗に質問する。
「……嫉妬?南雲に?檜山が?」
「香織だよ。」
「「「!?」」」
更に驚く三人。そして、静かにしていた廻斗がその悪意の中身を暴露する。
「あいつは、香織のことが好きだったそうだ。クラスのマドンナ的存在だったからな。それ故あいつも恋をしていた。だが……」
「香織は南雲に気をかけていた…ということか?」
メルドの言葉に肯定するように、しっかりと頷く。
「………ただ、嫉妬で南雲を殺すマネをしたっていうのか…?」
「そうだ。」
光輝の発言に肯定した累斗。瞬間、光輝から
「………ふざけるな!なんでそんな理由で、クラスメイトを殺そうとするんだ!どうして…どうしてなんだ……!」
光輝がその場に崩れ、涙を流す。その言葉に廻斗が発言する。
「やつにとってはそれだけで十分だったんだろう……自分の好きな女が気にかけている男だ、いじめもするさ。」
その言葉にまたもや驚く光輝。だが、その顔は困惑であった。
「……これから、どうする気なんだ?二人とも。もしこんなことをみんなの前で言ったらクラスは!」
「……待て光輝、貴様隠す気か?」
光輝の発言から隠蔽しようとしていると判断したのか、廻斗が口をはさむ。
「こんなの、みんなの前で言ってみろ……クラスは崩壊するかもしれないんだぞ!仲間を殺したんだ!そんなやつと一緒にいられるわけ「ふざけるなぁ!」!?」
光輝の言葉に被せ、更に光輝の首を掴む累斗。
慌てて止めようとするメルドと雫だが、廻斗に制止される。
「それこそ内部崩壊のきっかけになるんだ!ぼかして「この中に殺人鬼がいる」と言ってみろ!それこそ完全な崩壊だ!今までの全てがパァになる!全員で生きて帰れなくなるんだぞ!」
「!?」
累斗の発言に驚愕する光輝。そして、首を離し光輝を降ろす累斗。
「メルドさん、明日の朝時間をくれ。そこで、すべてを話す。」
「………分かった。」
「メルドさん!?何を」
「光輝、これは隠してはいけない。それ以上に…これを有耶無耶にしたらもっとひどいことになる。」
メルドはそう言うと、光輝は悩みに悩む。
……そして、口を開く。
「…分かり、ました…でも累斗。檜山が否定したり、逃げたりしたらどうする?」
「決まっているだろう?」
そう言い。その右手に
「俺が裁く。」
その言葉を聞き、光輝ははぁ…とため息をつく。
「そこは変わらないね、ホント……任せるよ。」
「分かった。」
~そして翌日~
宿屋の近くにある広場にて、生徒たちは集められていた。
あんなことがあったのに、訓練をするのかと思っている生徒もいれば、まだ眠いのか目をこすったりうたた寝したりする生徒がいる。
そこへ、メルド・累斗・廻斗が皆の前に立つ。メルドさんははともかくなんであの二人も?という考えをする生徒が出る中、メルドが声を張り上げる。
「おはようみんな!まずは…昨日はお疲れさまだ。よく生きて戻ってきたな。」
その言葉で数名かがざわざわする。
「でもメルドさん、南雲は……。」
そう言った清水の顔は、沈んだ顔をしている。
そこへ、累斗が発言をする。
「今日集まってもらったのは他でもない。南雲が落ちた原因が分かったからだ。」
「「「「「「「「!!??」」」」」」」」」(鍵括弧省略)
累斗の発言に驚愕する生徒達。その中で、一人震えだす
(な、なんで原因とか言うんだ!?あの時累斗はあのデカブツの方に…!)
「その証拠を今ここで全員に見せる。よく見ておけ……!」
その言葉と共に、累斗の横にマグが現れる。ほとんどの生徒が驚く中、キラキラした目でマグを見る清水。
(あとで説明してくれ、でもこれいい!って目をしてやがる。)
そして、マグからあの時の映像が流れ始める。
最初に映るのは階段側で戦っている面々の様子。
一人一人を映していき、遠目から通路側…ベヒモスの様子を映す。
その様子に驚愕する生徒達だが、次の視点に映ると更に驚愕する。
継ぎに映ったのは、撤退する直前。つまり、魔法によるベヒモスの足止めの時の映像であった。
しかしそれは全体ではなく、
檜山だけを映す映像に違和感を抱く生徒達だが、次の映像を見たとき、誰もが檜山の方を振り向いた。
それは、檜山の手から放たれた火球が放たれ、その軌道が変わり、南雲の元へ飛んでいく映像だったからだ。
「「「「「「「「!!??」」」」」」」」(鍵括弧省略)
「ひぃ!?」
こんなものを見せられればこうなる。寧ろばれないと思っていたのか、
「ま、待ってくれ!これは嘘なんだ!南雲が落ちた理由を俺に擦り付けて正当化しようって「黙れよ」…ヒィ!?」
言い訳を言っていた
「お前が言い訳をせず、この場で謝罪して心を入れ替えると言っていたのなら、まだ許していた…だが、もう限界だ。」
累斗の手に
「ま、待って……!?」
「……その身、断ち切る。」
上段に構えられた刀を振り下ろし……
「ぁ…ア…ガッ・・・!?」
「左腕だけで良いと思え。本来なら一刀両断するところを、メルドさんが止めろと言ったんだ。」
そう言い、刀を納める累斗。渋々とした顔で止血を行い、無理やり檜山を立たせる。
「じゃあメルドさん、あとは頼みますわ。」
「分かった……立て檜山、こう見えて俺も怒ってるんだ。相応の覚悟をしておけ。」
「っ……はぃ……。」
こうして、檜山は南雲を殺そうとした、というより殺したも同然の罪で王国の方で裁かれることになり、暫くは王国の地下牢獄に入れられるのであった。
~4日後~
檜山が断罪されてから四日後。
ハイリヒ王国の王宮、その中の一室で眠っていた香織が目を覚ます。
無論、南雲がいないことを知り探しに行こうとするが、雫から火球の放った檜山のこと、檜山を累斗が裁いたことを聞き、驚愕する。
「そう、だったんだ……檜山君が……っ!」
「大丈夫……ではないけど、今は牢獄にいるらしいわ。累斗が言うには香織が一言いえば後は問題ないって。」
「私が……?思いっきり殴っちゃダメなの?」
「どうかしら……一発ぐらい殴ってもいいなら私も殴りたいのだけれど。」
この二人、意外にも強い。
すると、部屋の扉が開き、累斗・廻斗・光輝・清水が入ってくる。
「あ、累斗君たち……。」
「起きたみたいでよかった。累斗と廻斗が俺たちに話したいことがあるっていうからここにきたんだ。」
「私たちに?」
それに対して頷く累斗。その後ろで扉と部屋全体に魔法をかける廻斗。
「施錠と防音を施した。これで問題ない。」
「よし……四人とも、今から言うことに対して何度も驚いたり困惑するだろう。でも最後まで聞いてくれ。」
累斗のその言葉に頷く四人。
「では単刀直入に言う。俺と廻斗は……
「「「!?」」」
「やっぱそうだよなぁ……。」
光輝・雫・香織が大いに驚く中、納得したように大きく頷く清水。
「清水、いつから気づいてたんだ!?」
「いやまぁ、最初は訓練の時だよ。わざわざ俺たちとは別で訓練をしてるってことは、何かとんでもない力を持ってて、それに慣れるために隠れて訓練してるって考えたんだ。それに、同学年にしては超大人びてたし、極めつけは檜山が斬られた日。あの丸いやつ…マグっていうんだよ。あれで確信した。」
「「流石俺たちの同志。分かってくれていて感謝している。」」
「だろ?」
「???」
清水のヲタク思考による超把握を聞いて感謝する累斗と廻斗。それを聞いて頭に?マークを浮かばせる香織。
「あー、つまりだな。俺たちはお前らより戦いなれてるし、年も取ってるってことだよ。」
「……何とか納得できたけど、なんで私たちに言うの?」
当然の考えを口にする雫。
「南雲が生きてることを知ってる理由として言っとかないとダメだって思ったからな。」
「!!!!南雲君が生きてるの!?本当!?」
累斗の解答に大きく驚き、ベッドから飛び起きて立ち上がる香織。起き上がりでこの行動ができるのは十分凄い。
「あぁ本当だ。これは俺たちの未来知識と俺が南雲に送ったタクトの反応で確認したからな。」
「「「タクト?」」」
聞き覚えのない単語を聞き困惑する三人だが、目を光らせている清水が代わりに答える。
「タクトってのはペットっていう……簡単に言えば使い魔を使役する棒型のアイテムなんだ。タクト自体でも攻撃はできるけど、最大の特徴はペットを使った攻撃!タクトを指揮棒みたいに振るうと、ペットがそれを確認して攻撃をするんだ!というかやっぱアークスだよな二人とも!早くいってくれよ!」
清水のヲタク特有の早口で説明し。三人はなんとか納得する。
「未来知識…はともかく、なんでタクトの反応で南雲君が生きてるってわかるんだ?」
「タクトの反応があるってことはタクトを使ってる存在がいるってことだ!つまり南雲が生きてて、今ペットを使役して戻ろうとしてるってことだよ!」
「「「!!!!」」」
清水の説明に驚愕する三人。その説明に対して頷く二人。
「よかったぁ……よ”がっだ”ぁ……!」
「よしよし、今のうちに泣いておきなさい。」
「ありがどう雫ちゃん……よ”がった”よぉ……!」
雫が泣き崩れる香りを抱きしめあやす姿は、まごうことなき百合の雰囲気!
「な、なんか二人に百合の花が見えるんだけど……?」
「これが百合だよ光輝。これぞてぇてぇだ。見ろ。」
「「かお×しずてぇてぇ」」
「累斗と廻斗がああなってる。」
「うわぁ……。」
~数分後~
「光輝。お前は後でしばくが、その前にお前らに言っとくことがある。」
「岩盤だけは勘弁してくれ……それで、言うべきことって?」
累斗と廻斗の拝みに引いてた光輝がシバかれることが確定したが、言うべきことを言おうとする。
「特に光輝に言っておく。…戻ってきた南雲を、否定するな。」
「南雲がお前たちの元に戻ってきたときには、見た目も、性格も、価値観も全て変わっているだろう。だが否定するn「否定するわけないよ」…!」
「だって……私は南雲君のことが……大好きだから。絶対に否定しないよ、どんなに姿が変わっても、絶対に。」
「私もよ。というより、光輝が変わったところを見てたんだから慣れたモノよ。」
「俺と南雲は同志だからな!ハーレムになってようが俺は認めるぞ!うらやましいけど!うらやましいけど!」
「清水……俺も気にしないよ。だって、南雲君は南雲君だからね。」
それぞれで違うとはいえ、南雲を否定することはないと言う四人。それに対して累斗の顔が緩み、笑顔になる。
「んじゃ、俺ら二人がいなくてもこれからはなんとかなるな。」
「「「「…………え?」」」」
「そういえば言ってなかったな…私と累斗は、少ししたら旅に出るつもりだ。」
二人のとんでも発言に言葉を失う四人。そして
「「「「………えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!??」」」」
防音された部屋の中で、驚愕の叫びが響き渡るのであった。
~奈落~
「あぐっ、がむっ、やっぱまずいなおい。よく食えるなジンガ。」
「ワンッワンッ!(そういうナグモさんもよく食べる気しますね。)」
奈落の奥底にて、
本来ならば、人間が魔物の肉を食らうことは禁じられていた。しかしこの奈落ではろくな食物があるわけない。なので青年……南雲ハジメは魔物の肉を食らったのである。
その結果、日本人の特徴であった黒髪が白髪となり、細身で筋肉がなかった肉体が、筋肉盛り、チョイ細マッチョマンになったのである。
「だがおかげで魔法陣がなくても魔法が打てるようになったのはいい。これでやれることが増えた。」
そう言い、悪魔のような顔をする南雲。この数日で色々変わった彼は、自身の手に入れた技能の力を元に、とあるものを作ろうとしていた。それは、剣や魔法が主なこの世界に似つかわしくない「兵器」であった……。
彼が寝食を忘れ、没頭するするほど時間が経ち、ついにそれは完成した。
そう、ドンナーと名付けられたリボルバー銃である。
「これで脱出と……あの化け熊をヤれる…!」
その顔に薄ら笑顔を浮かべ、南雲は動き出す。
その心に、復讐心と浪漫を浮かべながら……
道中で二尾狼や蹴り兎を狩りつつ、目的である爪熊を探し続ける南雲。その後ろに着いていくジンガ。
南雲は、あの時託されたタクトのことを思い出していた。
(あの時累斗は咄嗟にタクトを俺に投げ渡した……ってことはやっぱアークスだったってことなんだよな。ご丁寧にペットをつけたままってことは、あの時だけサモナーになってたってことだ。瞬時にクラスチェンジできるとかチートか?…いや、今の俺が言える立場じゃないな。)
自分の状態が彼らに近づいていることに嬉しく思いつつも、元には戻れなくなったなという寂しい気持ちが現れ、それをかき消すように首をふる。
「んなことより先にこっちだ………ようやく見つけた…!」
彼の目に、仇敵の爪熊が見えた。彼の左腕を喰らい、彼の心を砕いた宿敵。
自身を変えた要因である爪熊を倒すことで、南雲は今の自分が完成すると踏んでいた。
故に、南雲は爪熊が自身にやったことを思い出し、ドンナーの照準を爪熊の左腕に定める。
自身に向かってくる存在に困惑しつつも、戦闘態勢を取ろうとする爪熊。
しかし、爪熊の死角にいつの間にか移動していたジンガが攻撃をする。
それに気を取られ、そちらを見てしまったが故に、南雲の攻撃に反応できなくなった。
ドンナーから放たれた銃弾は、“纏雷”による電磁加速で更なる加速をもって、爪熊の左腕を吹き飛ばす。
「GuGyaaaaaaaaaaaaa!!??」
今まで感じたこともない痛みだったのだろう。出すことがなかった悲鳴を上げる爪熊。
それを見たジンガが再度攻撃しようとするが、南雲が爪熊の元に投げたものに気づき、後ろを向く。
無論、爪熊は痛みに耐えつつも自身の元に投げられたものに視点を動かす。
緑色に輝く形が整った鉱石、「緑光石」があった。しかし、それが何かを爪熊が認識する前に、緑光石が強烈な光を放つ。緑光石の特性を生かした
視覚情報を失った爪熊がその場で暴れるが、南雲はお構いなしに吹き飛んだ左腕の元に赴く。
そして、左腕の元に着くとその左腕を
少しだけ回復した視角でそれを確認したのか、南雲に襲い掛かろうと突進していく。
しかし、南雲に届く前にその身に雷が襲う。
わざと乱暴に掲げたのは、其の腕から噴出している血を周囲に飛び散らせ、“纏雷”による感電攻撃をするためであったのだ。
感電によるダメージで、自身の血だまりで倒れる爪熊。本家の“纏雷”より火力は低いが足止めには十分だったのだろう。
そして、腕を食べたことによる痛みを我慢しながら、収納していたドンナーを引き抜きながら倒れている爪熊の元に赴く南雲。
南雲も、爪熊も、お互いから目をそらさずにいる。そして、ドンナーを爪熊の頭に押し付け、引き金を引く。
「糧になれ。それがお前の終わりだ。」
こうして、奈落に堕ちた一人の青年は、「ただ生きて、元の世界に戻る」という意思の元に、邪魔するものすべてを滅する存在へと至った。
さすれば、ここで祝福の言葉を捧げよう。
はい、ということでようやく区切りがつくとこまでいきました。
こっからは基本的に累斗達の視点で書きますが、時々南雲君の視点で書くこともあるかもです。
そのうち設定集でも書こうと思ってますので、投稿されたらそちらもどうぞお願いします。