任務の後、俺と宇髄は治療を受けるために藤の家に来ていた。
宇髄は嫁達と待ち合わせをしているらしく、ソレで俺と会わせたいらしい。
というかコイツ既婚者だったんだ……。
「天元さまぁ!無事で良かったですぅ!」
「うおッ!?」
部屋に入ると、いきなり天井板が飛んで人が降ってきた。
気配と匂いと音で察知していたのだが、分かっていてもこの登場の仕方はびっくりする。
飛び出す際に此方へ飛んできたた天井板をキャッチして、そっと置く。
「煩いよ須磨!宿屋で騒ぐんじゃない!」
天井からまた一人降って来た。
その女は宇髄に飛び着き、先に引っ付いていた女の子の頭を叩いている。
うるさい以前に屋根裏に潜むのってどうなの? というか嫁ってどっち? 嫁いるのに他の女に引っ付かれて大丈夫?
「おう、戻ったぜ! 須磨!まきを!」
宇髄はニコリと笑いながら二人を抱きしめた。
なるほど、どうやら両方とも嫁らしいな。
この二股野郎が。
「おかえりなさい天元さま。ご無事で何よりです」
「雛鶴か、今戻ったぞ!」
今度は二人より大人びて見える女性が部屋の奥から出てきた。
どうやらこの人も嫁らしい。
このハーレム野郎が。
しかしなんでだろう、嫁や恋人が二人なら二股って思うだけど、参人以上だと三股じゃなくてハーレムって印象なんだよな。ハーレムモノの読み過ぎか?
いや、この場合はソレが相応しいか。
宇髄と三人の嫁達。
須磨。ドジっ子風後輩タイプ。
雛鶴。お姉さま風先輩タイプ。
まきを。ギャル風同級生タイプ
典型的なギャルゲーのハーレムだ。
「ところで天元さま。そこにいらっしゃる方は?」
やっと気付かれた俺。
「俺は――」
「こいつは比企谷八幡!俺のダチだ!人ん家に火を付けるやべえ奴だが、カチコミに行った時は楽しかったぜ!」
おい、何悪印象のあるような言葉を吐いてやがる。
というか俺っていつお前と友達になった?
「火を付ける?」
「カチコミ?」
ほら見ろよ。嫁さん達が俺を犯罪者を見るような目で見てるぜ?
実際に俺のしてることは法に触れてるが、鬼殺隊なら仕方ないだろ。だって鬼殺隊という組織自体が違法だし。
「て、天元さま!?ダメですよそんな危ない人と一緒にいちゃ! 友達は選びましょうよ!」
うっせよ。鬼殺隊自体が危ない集団だろうが。火を付けるぐらい今更だろ。
あと友達じゃねえよ。今日会ったばっかりだし。
「えっと……任務完了、おめでとう……ございます」
おい、そんな優しい目を向けるな! なんか傷つくだろ!
宇随が風呂に入っている間、俺は時間を潰すために嫁ズと雑談をしていた。
「なるほど、鬼を炙り出すために火を付けたのですか」
「けど、やりすぎじゃないですか?」
「いや、私は賛成だぜ? 鬼と戦うならいちいち気にしてられっか」
雑談の中で誤解を解いておく。
別に気にしてなんかいないが、ずっと誤解されたまま一緒の部屋にいるのは気まずい。って、なんで俺はさっさと帰らないんでしょうか……。
「天元さまがご友人をお連れした事に、私はとても驚きました。あの人はいつも私達の事ばっかりで、友達なんて作れた試しがなかったもので……」
宇髄天元、ぼっち兼ハーレムだったことが判明。
「そうそう、わたしも驚きましたよ~。天元さま、里を抜けてからずっと私達のために奔走していましたからね。鬼殺隊に入ったのも、私達ですし!」
「須磨、余計な事は言わない!」
まきをさんが咎めるような声を出した。
なるほど、大体の事情は察せた。けど、初対面の人間が首突っ込んでいい内容では無いのだろう。
「苦労……してたんですね」
「ええ。だからとても嬉しかったんです。あなたの様な人が友となってくれて。ご迷惑をおかけするかもしれませんが、どうか夫をよろしくお願いします」
「………」
友人…ねえ。
ぶっちゃけ、アイツが俺の何を気に入って友人になろうとしたのかさっぱりだ。
俺みたいにコミュ障からボッチになって捻くれたガキとは違って、大事なものを守るためにボッチになった天元。
正直、釣り合わない感が半端ないんだが……。
「あ、雛鶴さんだけずるい! 今すごく奥さんぽい事をしてる! わたしからも旦那様をよろしくお願いします!」
「てんげ…旦那の事、よ…よろしく……」
二人とも敢えて旦那という部分を強調して頭を下げる。
え、ここまでされたら逃げられないじゃん。マジでどうしよ……。
いや、もう答えは出ているか。
「ああ、よろしく頼む」
こういうしか、ねえよな……。