俺の鬼狩りは間違ってない   作:大枝豆もやし

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ボッチの戦い

 

 とある日没の山。

 一体の巨大な鬼がいた。

 上半身は中年の女だが、下半身は巨大な岩のような鬼。

 

 この山はこの鬼が支配している。

 血鬼術によって分身のようなものを操り、常に縄張りを監視している。

 故に、ここまで自分に気づかず侵入することなんて不可能。見つけ次第にすぐ殺す。

 現に、この山に侵入してきた鬼殺隊や鬼を返り討ちにしてみせた。

 

 自分は強い。

 誰にも倒されるわけがない。

 今はまだ十二鬼月でも何でもないが、ソレも時間の問題。

 何時かは下弦となり、何時かは柱を倒し、何時かは上弦も倒す。

 

 

【雷の呼吸 壱の型 霹靂一閃】

 

 

 鬼の首が刎ねられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うし、仕事完了」

 

 随分と簡単な仕事だった。

 敵に見つからないよう山に侵入し、迂回して死角を取り、気づかれる前に首を斬る。

 いつも俺がやっている手口である。

 

 迂回ルートの確保は楽だった。

 山中に血鬼術で出来た分身みたいなのが徘徊してが、普通の人が通れるような道にしかいなかったから。

 岩場を跳び回り、木の上から木の上へ跳び移り、断崖絶壁を渡る。俺にとってコレらは普通の道と変わりない。

 そうやって接近し、首を取った。

 

「じゃあ帰……!!?」

 

 鬼の気配がした。

 さっきの鬼と全く同じ気配。……いや、同一だ。

 

「クソ、仕留め損なったか!?」

 

 どうやら、アレは分身のようだ。

 まさか、こんなのに騙されるとは。

 

「ちきしょうが」

 

 土の中からボコボコと出て来る分身共を一瞥する。

 俺を囲むかのように、三百六〇度全てから現れる鬼の分身たち。

 全員、蟻と人間を無理やり足したような姿をしており、鋭く長い爪と牙を持っている。

 

「まあいい。さっさと狩って帰るか」

 

 俺は刀を構えて周囲の敵を睨みつけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 新月の夜のとある山奥。

 月は勿論、星の明かりすらない山の中、一人の剣士が蟻に似た複数の鬼と戦っていた。

 

 剣士の名は比企谷八幡。

 一人でありながら複数の蟻鬼達を次々と切り伏せている。

 

 この蟻鬼たちは分身である。

 血鬼術によって作られたものであり、いくらでも用意できる。

 よっていくら切ってもすぐに補充されてしまう。

 本体はこの中に紛れており、ソレを探して倒さなくてはならないのだが……。

 

「クソ、どれがどれだか分らん!」

 

 そう、分身たちは八幡の鼻や耳を以てしても見抜けない程に精巧なのだ。

 ソレも当然の事。何故ならこの分身は血鬼術だけでなく、蟻鬼の肉体の一部を使って出来ているのだ。

 音も匂いも気配も同じなのも当然。見分けがつくわけがない。

 

「シャアア!」

 

 一体目。

 鬼がナイフのような爪を振りかざす。

 八幡は振りかざされた腕を刀で刎ね飛ばし、返しの刀で首を刎ねた。

 

 二体目。

 振り向き様に、背後にいた鬼の首を刎ねる。

 振り向く際の回転を利用した斬撃は、ほぼノーモーションで威力を発揮した。

 

 三体目から五体目。

 同時に三体の蟻鬼が襲い掛かる

 三体目を銃で牽制し、四体目を投げ飛ばし、五体目を蹴り上げる。

 そして倒れている三体の鬼をすぐさま斬り飛ばした。

 

 五体目から六体目。

 鎖鎌を駆使して対処する。

 刀と銃を投げ捨て、鎖鎌を瞬時に取り出す。

 分銅付きの鎖を八体目に投げて拘束し、引き寄せた。

 そして五体目に投げつけて足止め。二体がもたついている間に二体ごと首を刎ねた。

 

 六体目から八体目。

 鎖鎌の鎌部分を投げる。

 離れている八体目の首を鎌で刎ね、鎖を引っ張って長さを調節し、接近した七体目の首を切断。

 鎖をコントロールして鎌を手繰り寄せ、鎌をキャッチ。至近距離まで接近した六体目の首を斬り飛ばした。

 

 八体目から十三体目。

 霹靂一閃で首を斬る。

 鎖を投げて木に巻き付け、ワイヤーアクションのように駆使して方向転換。

 三次元的な動きで五体まとめて一気に片づけた。

 

「クソ、もしかして無限沸きかよ!」

 

 愚痴りながらも手は止めない。

 最善手を考えながら、突破ルートを探りながら。

 彼は分身体と戦い続ける。

 

「(そこだ!)」

 

 近づいた敵の首を斬り飛ばし、包囲網に穴を空ける。

 八幡はソコを通って突破し、茂みの飛び込んだ。

 分身体たちは八幡を追うが……。

 

 

【螟ゥ縺ョ呼吸 髮イ縺ョ型】

 

 

「ギィ?」

 

 八幡は既にその場にいなかった。

 

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