俺の鬼狩りは間違ってない   作:大枝豆もやし

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今の八幡のレベルは初期の義勇さんよりほんの少し強いレベルです。
あの頃は油断していたとはいえ呼吸未収得の炭治郎に不覚を取ったのですから、決して累を一瞬で倒せたほどの実力はなかったでしょう。おそらく、時期的に考えても柱に成り立てだったんでしょうね。

柱も最初から強いというワケではないのです。
だって、煉獄さんは甲の時は下弦の弐に大分苦戦したし、実弥は二人がかりでやっと壱を倒したぐらいですから。


また逃げられた

 

 しくじった。

 

 あの鬼、俺が首を斬る前に自分の首を斬って逃れやがった。

 大方、予め首に糸を巻き付け、自切出来るように仕込んでいたのだろう。

 小癪な奴だ、だが、首が再生次第また斬り落として……。

 

 

 

 

「お、丁度いいくらいの鬼だ!」

「これなら俺らでも殺れるぜ!」

「!!?」

 

 茂みから五人ほど隊士が出てきやがった。

 後で知ったことなのだが、俺と鬼は戦う際中で大分移動していたらしい。

 しかも、殺し殺されるとお互いに本気だったのも気づくのが遅れたことに拍車を掛けていた。

 

「(ま、マズい!)」

 

 この状況は思った以上にヤバい。

 この後、鬼にとってと最善手と言えば……。

 

 

【血鬼術 刻糸牢】

 

 

「やっぱりか!」

 

 何も知らない第三者を人質に取る事。

 ソレを先読みした俺は咄嗟に行動。

 隊士たちの前に立ち、赤黒い糸の牢を切り伏せる。

 クソ、本当は血鬼術が発動する前に腕を銃なり霹靂一閃なりでぶっ飛ばしたっかのだが出遅れたぜ。

 

 

【血鬼術 流水弦・雨】

 

【水の呼吸 参の型 打ち潮】

 

 

 今度は赤黒い糸による弾幕。

 集中豪雨の如く降り注ぐそれらを剣戟のみで切り伏せる。

 だがソレだけ。

 防ぐだけでは何れ逃げられる。

 

「な…なんだコイツは!?」

「こんな鬼、俺らの手には負えねえよ!」

「は、柱…!柱を呼んでこい!」

 

 後ろの奴らは役に立たなさそうだな。

 まあいい。最初からアテにはしてなかったし。

 ソレよりも今はこの状況は打破する策を考えないと。

 この鬼の猛攻を止める手段。ただでさえコイツの血鬼術は強力なんだ。

 俺が離れたコイツらなんて直ぐにバラバラになる。今は胴体だけだから戦力が下がっているから成立しているだけで………ん、待てよ。

 

「(なんでアイツ、首なしでこれだけ強い血鬼術使えるんだ?)」

 

 いくら鬼でも、万全の状態でなければ戦力は下がる。

 この鬼は確かに強かったが、首の無い状態でここまで力を発揮できる程ではなかった。

 首を斬った今、もっと戦力は下がる筈。なのに一体何故……ああ、そういうことか。

 

 この鬼……いや、胴体は自分の肉体を糸に再構成しているのか。

 

 術を使う度に首なし胴体が小さくなっていく。

 おそらく、供給源がないので自分の肉体を削っているのだろう。

 

 蜥蜴の尻尾切り成らぬ鬼の身体切り。

 コイツを遠隔操作で操って足止めして、本体は逃げるというわけか。

 

「させるかよ……!」

 

 折角もう少しで狩れそうな獲物をみすみす逃がしてやるものか!

 テメエは何が何でも俺が狩り獲る!

 

 

【天の呼吸 雷の型 大雷】

 

 

 無理やり突破。

 糸の弾丸の雨を雷のように突き抜け、赤黒く染まった右腕を切断した。

 多少のダメージは貰ったが相手は十二鬼月なのだ。この程度の駄賃で済むのなら万々歳だ。

 

 念のため全身をバラバラに切断。

 身体を材料に血鬼術を使用していたせいか、それとも首がないせいか。

 首なし胴体はさっきまで戦っていた鬼の肉体とは思えない程にあっさりと刃が通った。

 

 次はあの鬼の首だ。奴は何処に……ああクソ、やられた。

 

「あの野郎……!」

 

 匂いを嗅ぐとすぐに見つかった。

 あの野郎、空を飛んでいやがる。

 

 敢えて首だけの状態から再生せず、身体が軽い状態にして、蜘蛛の糸をパラシュートみたいに使って逃げていた。

 子蜘蛛がよくやる移動手段だ。よく知っていやがったな、明治時代生まれの癖に。

 

 バンバンバン!

 咄嗟に飛んでいる奴に目掛けて銃撃。

 見ないうちに遠くまで飛んでいるが、俺の射撃能力なら十分届く。

 

 弾丸が当たる音が鼓膜に響く。

 どうやら三発中二発だけ当たったらしい。

 墜落する鬼の首。

 今のうちに追うか。

 

「お前らはここにいろ。アレは俺の獲物だ」

「「「………」」」

 

 何も言わない隊士達。

 ソレでいい。万全の状態のアイツと足手まとい付きで戦うなんて冗談じゃねえからな。

 

 ソレじゃあ行くか。

 あの距離だから逃げられるとは思うが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とある洞窟。

 一体の鬼がその奥でひっそりと膝を抱えていた。

 その鬼は日光が入り口に差すのを眺め、ギシリと歯軋りする。

 

「鬼狩りめ……!」

 

 思い出すのは先程の鬼狩り。

 自身の家族を皆殺しにした挙句、十二鬼月である自分を追い詰めた剣士。

 アイツのせいで、今の僕はこんな惨めな思いを……!

 

「許さない……何時か殺してやる!!」

 

 確かに自分は負けた。

 最初から相手が格上であり、終始劣勢だった。

 地の利を得ても五分止まり。そして最後は首をあと一歩で切られるところだった。

 

 だが、ソレは力を分け与えてしまったからだ。

 

 本気の僕ならあんな奴に負けない。

 苦戦こそするかもしれないが、必ず勝利してみせた。

 万全の状態なら、あんな奴なんかに……!

 

「(ああ……そうか。これも全部あの屑共のせいだったんだ)」

 

 そうだ、最初からあんな奴らなんかに力を分けなければよかったんだ。

 所詮は弱い屑。力を分けてやったのに誰も自分の役割を果たそうとしない。

 どいつもこいつも役立たずだった。誰一人僕を守れやしないし、しようともしない。

 

 いつもそうだった。最初から自分でやった方が早く確実。足手まといなんて必要どころか邪魔だ。

 

「……こんなにも腹が立ったのは久々だよ」

 

 何もかもが苛立つ。

 使えない屑共にも、こんな目に遭わせた鬼狩りも、欲しいものが手に入らない現状も。

 だが、その大半はどうしようもない。屑は死んだからもう制裁を咥えられないし、欲しい者に限ってはもう何なのか分からない。故、怒りを晴らせられる対象は一つしかない。

 

「あの鬼狩り……何時か必ず殺す!」

 

 累は怒りを胸に、復讐(リベンジ)を誓った。

 

 

 

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