俺の鬼狩りは間違ってない   作:大枝豆もやし

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最終選別

 

 最終選別。

 その試験内容は、藤襲山という一年中藤の花が咲き誇る山の中で一週間サバイバル生活を行う事。

 ただサバイバルをするだけではない。この山には五十体の雑魚鬼が彷徨っており、コレらに対処して生き残らなくてはならない。

 ここで肝なのは、あくまでも生き残る事。別に鬼を倒せとも何とも言ってない。

 無論、俺なら雑魚鬼の一匹や二匹、すぐに倒せる。

 こちとら手だけとはいえ変異した鬼や、しょうもない技とはいえ血鬼術を使う鬼を倒したのだ。それぐらい出来る。

 けど、戦いを避けられるのなら避けるに越したことはない。

 実際、この六日間、藤の枝を折ってバリケードを作り、その中で悠々自適に過ごしている。

 そうやって楽をしすぎたせいか……。

 

「ご飯炊けた?」

「こっちはお味噌汁出来たよ~」

「魚連れたぜ~!しかも大量だ!」

 

 けっこう、人が集まっていた。

 

 安全に寝れるベースを確保したとはいっても、水や食料を確保するために出なくてはいけない。

 その際は鬼の気配や臭いを避けて行動していたのだが、流石に誰かが襲われていたら放っておけない。すぐさま鬼を倒し、この場所を教えた。

 ソレだけならここまで人は集まらない。俺の救助は偶発的なものであり積極的にやっているわけじゃない。では何故ここまで集まったのか

 こいつ等が俺のことを他の仲間にも吹聴しているのだ。

 

 コイツ達は俺と違ってやる気に満ちている。

 このまま鬼を狩る事なく選別を突破する事に思うことがあるのか、補給がてら鬼を狩りに出向くのだ。

 道中、疲弊していたり鬼に襲われている人を見つけたら、ココを教える、或いは連れて帰る。

 ソレを繰り返した結果、ここは選別受験者の大半が集まるようになってしまった。

 というかこれっていいのか?反則とかに後でならないよな?

 

「う、うわあああああああああ!!?」

 

 突然、山の方からキャンプメンバーが狼狽えながら降りて来た。

 ただ事ではない様子に他のメンバー達も何があったのか落ち着かせながら聞く。

 

「お…鬼が出た! な、何十人も食って…変異してる奴だ!」

「「「!!?」」」

 

 ソレを聞いた瞬間、キャンプ場に動揺の空気が走った。

 

「ほ、本当か!?」

「どういう事?ここは人を一人二人食った鬼しか出ないじゃ・・・?」

 

 マズいな、動揺の空気が伝番している。

 このままじゃ集団パニックに陥って余計なトラブルを起こしかねない。

 余所でヒステリーを起こすなら構わないが、俺のベースでは勘弁してほしい。

 

「(……そんなこと考えてる余裕はないか)」

 

 鬼の気配がする。

 真っすぐこちらに向かってくる。

 臭いも濃くなり、大体の情報も察せられる。

 この鬼、前に戦った鬼よりも強そうだ。もしかしたら、このバリケードも突破される可能性がある。

 

「仕方ない、か……」

「お、おい…。まさか行くつもりか……?」

 

 刀を持って気配のする方に向かうと、肩を隣にいた女子に奴に掴まれた。

 

「ああ、鬼退治にな」

「よせ!あの鬼は強そうな気配がする! たぶん隊士になってない俺らには無理だ! ここは一旦逃げて報告しよう!」

 

 お、コイツちゃんと気配が分かる上に力の差も理解出来るのか。

 けど、人間相手にその能力は活かせてないようだ。

 

「大丈夫。俺、この中じゃ一番強いから」

 

 

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