これで終わりです。
「全て終わりましたよ、比企谷さん」
豪華な墓場の前。
花や武器などの供え物が大量に積まれており、その周囲にも大勢の人々が集まっている。
比企谷八幡。
かつて、柱の一人であり、天柱の称号を受けた剣士。
彼の死を労わり、彼を想う者たちが弔っていた。
「比企谷さん、貴方は俺たちの……いや、人類の英雄です。命を捨てて、無惨を倒したんですから」
炭治郎は事の成り行きを思い出す。
空亡。
珠世が八幡と協力し、彼の血を元に開発した
鬼の細胞のみを食らうウイルスであり、無惨のDNAと結合することで完成。理論上では無惨の細胞をも食い尽くす。
八幡は自身の肉体にコレを植え付け、無惨に自身を食わせる事で倒したのだ。
天候を操る八幡の血鬼術は無惨にとってかなり魅力的。この力を使えば完全ではないとはいえ日中でも曇りや雨ににすることで自由に行動できるのだから。よって、なんとか隙を突いて八幡を取り込もうとしているのは読めていた。
その隙を黒死牟と戦って消耗しているように見せかけることで演じたのだ。
結果、狙い通りに八幡を取りこみ、空乏に感染。まさかこのような自爆技をあの八幡が使うとは予想すら出来ずに滅びた。
空亡の効果は凄まじかった。
原作でも珠世が老化薬を使って自爆特攻同然のやり方で盛ったが、上弦をも超える八幡の血を研究して作り上げられたのだ。強いに決まっている。
ともあれ、鬼は滅んだ。
王である無惨が死ねば、全ての鬼は滅びる。
もう、鬼による悲劇が起きるようなことは無くなったのだ。
鬼殺隊は解散。
鬼がいない以上彼らに存在理由はない。
鬼に奪われた分の人生を、今取り戻そうとしている。
□□□
「ようやく結婚したか、錆兎」
晴れた日の午後。
錆兎と真菰、そして鱗滝は義勇の持ち家である水屋敷に集まっていた。
縁側で鱗滝とその弟子三人は集まり、錆兎が持ってきた茶菓子でお茶会を開いている。
「……まさか、こうしてお前たちの結婚式を見られるとはな」
「鱗滝さん……」
湯呑を置いて、仮面の下で顔を綻ばせる鱗滝。
弟子が鬼殺隊に入隊した時点で、こんな日が来るとは思ってもいなかった。
鬼との戦いは常に死中。幾多の剣士が討たれ、その中には鱗滝の弟子も多くいた。
しかし、鬼がいなくなった今、もうあんな辛い思いをしなくてもいい。
その思いは弟子たちも一緒だった。
鬼殺隊に入った時点で死ぬ覚悟は出来ていた。
しかしその覚悟も今はいらない。捧げてきた分の人生を取り戻す為に……幸せに生きるために使っている。
「次は前の番だな、義勇」
「八幡から聞いたよ、しのぶちゃんといい感じなんだって?」
「……あの人は」
ハァ~と、溜息をつく義勇。
鬼殺隊解体後、結婚ラッシが起こっている。
義勇はしのぶと、実弥はカナエと、伊黒は蜜理と、炭治郎はカナヲと。
鬼という脅威がなくなった今、気兼ねなく一緒にいられる。
彼らは愛する人と共に生きれるようになったのだ。
「……これも全部お前のお陰だな。けどな…」
錆兎が空いた一席の座布団を眺める。
「お前も、この席にいて欲しかった」
座布団の前には、両頬に雷と風の、額に水の紋章が刻まれた狐の面があった。
□□□
「待った!」
音屋敷の一室。
宇随天元と産屋敷耀哉は将棋をしていた。勝負は耀哉が劣勢。いつもの先見は何処に行ったのか。
「待ったは無しだぜ耀哉。お前が言い出した事だろ?」
「ック、僕は君の雇い主だったんだぞ!?」
「気にするなってさっき言ったばっかりだろ!?」
鬼殺隊は解散した。よって今の産屋敷はただの金持ちな家になった。
今の彼は、ただの産屋敷耀哉である。
「そういや行冥さんの孤児院はどうなったんだ?」
鬼殺隊解散後、産屋敷家は事業を立ち上げることにした。
その中の一環として孤児院も開き、経験のある行冥を院長に任命。
孤児だった隊士たちが中心となって従業員になり、その中には不死川兄弟もいる。
「順調だよ。実弥たちも慣れないながら良くやってくれている」
「本当か? あの顔じゃガキ共も派手に怖がりそうだけどな」
「最初は実際怖がって泣いてたそうだよ」
「ハハハッ!やっぱりな!」
泣いている子供たちに振り回される不死川兄弟を想像して天元は派手に笑った。
「……行冥さんの痣はもう大丈夫なんだっけか?」
「うん、八幡が治したみたいだ」
痣による寿命の前借。
八幡もまた同じ事態になったが、彼は鬼になることでソレを克服した。
だから、行冥も同じようにしたのだ。
一度鬼に変え、すぐ人間に戻す。
結果、痣は無くなった。
「流石に目を戻すまではいかなかったけどね」
「十分すぎるぜ。ソレでお前の病気も治したんだっけ?」
「見ての通り絶好調さ。病が治っただけじゃなく、侵食して衰えた視力も戻ってきたよ」
「八幡が行冥さんにやったのと同じか?」
「ソレもあるけど、波旬……八幡の羽のおかげもあるね」
耀哉は懐から一枚の羽根を取り出した。
八幡が夢で彼に渡した虹色に光を反射させるプラチナ色の羽。
振るう事で光の粒子をまき散らし、粒子には病を……正確に言えば『呪い』を抑える効果がある。
「本当に何でもありだなアイツ」
「まあ、彼は最強だからね。……人間の頃から」
まさか、自分もこうして健康な体で生きられるとは思わなかった。
病に侵された体は万全とは言えないとはいえ回復。
諦めていた筈の人生を取り戻すことが出来た。
「……ありがとう」
耀哉が羽をしまうと同時、奥から二人の妻たちが彼らを夕飯に呼びに来た。
鬼がいなくなり、鬼殺隊が解散して、皆は己の幸せと向き合うようになった。
前に歩もうとしている。自分の人生を生きて、幸福を得るために。
「皆、幸せそうだな。俺が死んだことになってるのに」
皆の幸せそうな光景を、八幡は空から見下ろしていた。
八幡は生きていた。
空亡に適応してウイルスを無毒化させ、逆に食らって能力を自身の物にしたのだ。
そもそも、空亡は八幡の血を元に試行錯誤して作られたもの。失敗作を何度も食らっており、予め予行演習を受けていたようなものである。
しかし、生きていることを知られるわけにはいかない。
なにせ、どのみち死ぬことに変わりないのだから。
八幡は鬼を食う。
禰豆子のように寝るだけで養分を獲得出来るよう便利な身体はしていない。
無惨を倒して鬼がいなくなった以上、彼が生きるには人間を食うしかないのだ。
まあ、人の肉ごときで
とにかく、今の八幡は人を食うつもりがない。
なら行きつく先は一つである。
「じゃ、行くか」
空間を殴り、穴を開ける。
死ぬならせめて元の世界に一度戻りたい。
鬼がいなくなった以上、自分はこの世界に不要なのだ。
そこから
ある時は呪いが跋扈する世界で呪いの王と戦い、悪霊を食らい、呪力というものを学んだ。
またある時は悪魔が跋扈する世界で超越者と戦い、悪魔を食らい、その能力を得た。
悪霊、悪魔、悪鬼、悪神、悪人。他の世界でも悪を食らい、力にしてきた。
サイバーパンクの忍者が魔を討つ世界で、触手の妖魔を巫女が祓う世界で、英霊を従える世界で。
様々な世界で戦い、人外共を食らってその力を身に着け、使い方を学び、その世界で最強となった。
そして遂に元の世界へ……。
「ん?」
気が付くと、俺は草の上に寝転がっていた。
状況を確認する為にゆっくり起き上がる。
間違いない、ここは俺が神隠しになる前にいた川辺だ。
じゃあ、俺は元の世界に戻れたのか?
川の水を覗き込んで自分の顔を確認してみる。
そこにいたのは、黒髪黒目のヒョロい現代っ子……神隠し前の俺だった。
「…………は?」
これが俺?
痣は?あの派手な髪は?
俺は鬼に成った。
様々な鬼を食らって力を付け、上弦の鬼や無惨を食った。
空間を割って異世界に行って、様々な悪の種族を食らってきた。
なのになんだこの姿は?あの世界に行く前じゃないか。これじゃまるで……。
「まさか、夢オチ?」
そのことを理解するのに間が必要だった。
数秒か、それとも数時間かは分からない。
そもそも時間の感覚すらその時の俺にはなかった。
しかし、やっと理解した瞬間、俺を支配したのは落胆でも増して失望でもなく、納得だった。
まあ、普通はそうだなよな。異世界で剣技を学んで、鬼を斬りまくって、最後は鬼に成って相打ちとか、どこの漫画だよ、と。
帰ろう。
何の突拍子もなく家から出たんだから小町も心配してるはずだ。
俺は刀を持って立ち上がった。
「(あれ、こんなに軽かったっけ?)」
以外にも、刀は手に馴染んでいた。
最初持った時はけっこう重く感じたはずなんだが……。
「ん?」
突然、何か嫌な気配がした。
慣れている感覚、けど知らない感覚でもあった。
ああ、よく覚えている。コレは……。
「殺気、か」
刀を引き抜いて構える。
慣れた動作だ。我ながら初めてだとは思えない。
目、耳、鼻、肌。感覚を研ぎ澄まして敵を探す。
鬼でも悪魔でも妖魔でも、ましてや人間でもないこの気配。
敵が何かは分からないが、俺のやる事は変わらない。
何よりも俺の勘が言っている。
獲物を狩れと。
「斬る……!」
【天の呼吸 雷の型 青天霹靂】
俺は虹色と黒の刀を気配目掛けて振るった。
八幡を刀で戦わせたい
八幡を最後は鬼にしたい
刀だけじゃなく色んな武器使いたい
オリジナル呼吸を出したい
原作キャラ救済
原作にはなかった戦い方をする隊士を出したい
潜入や情報収集など戦闘以外の任務もこなせる隊士を出したい
洋画みたいにスマートかつ大胆に任務を遂行するキャラを出したい
塁と戦いを通じて友達みたいな関係になって満足死する展開を出したい
このssで私が書きたかったのは以上になります。
途中放置して時間が空きましたが何とか終わらせました。
応援、誤字報告ありがとうございました!