「ロム、ラム、私、女神やめてヒップホップで食べていくことにしたわ」 作:烊々
「四ヵ国ツアーをやる? へー、やるじゃないあなたたち」
「え……? 相変わらずボーカルが不在? 私やネプテューヌが抜けてからも新曲出してたじゃない。あー、ゲスト呼んでフューチャリングしてもらってたのね」
「それにしても、ボーカル不在のグループがライブツアーを企画するなんてイカれてるわね。私に断られる可能性を考えていなかったわけ?」
「まぁ出るけど」
「今度の週末に合わせるのね。わかったわ」
「じゃ、当日会いましょ」
「……というわけで、ロム、ラム、私女神やめてヒップホップで食べていくことにしたわ」
「次はどこでライブするのー?」
「四ヵ国ツアーよ。ルウィーでもやるわ」
「わたしたちも行っていい……?」
「ガキにヒップホップが理解できるわけないでしょ。家でお絵描きでもしてなさい」
「うわっ! ヒップホップやるって決めたからか、お姉ちゃん思考が既にアングラのラッパーみたいになってるわ!」
「でも、そう言われると思って候補生の権力で既に席は抑えてあるよ……!(えっへん)」
「……強くなったわね、あなたたち」
-数日後-
「集まったは良いものの、なんでコレがいるのかしら?」
「『コレ』呼ばわり⁉︎ 酷いよブラン〜。ブランがダメだったら時のためにわたしも呼ばれてたんだよ。でも今回ちゃんとブランが来れたからわたしはサブボーカルかな」
「サブも必要ないわ、帰りなさいネプテューヌ」
「わたしだってライブやりたいもん! 帰らないよーだ!」
「しょうがない……なら、実力行使といかせてもらおうかしら……変身」
「女神化……っ⁉︎ ブラン、やる気⁉︎」
「あぁ、やる気だぜ。お前を叩き潰してやるよ……」
「く……っ! 刮目せよ!」
「……ラップバトルでな!」
「変身完り…………え? ラップバトル……?」
-数分後-
「負けた……主人公たる私が負けるなんて……」
「はっ、お前のクソみたいな語彙じゃ私には勝てねえよ。リリックの質が違え」
「くっ……私の負けね。文学の才能は無いのに音楽の才能は凄まじいわね……」
「うるせえな殺すぞお前」
「私は帰らせてもらうわ……敗者は勝者に従うものよ」
「おい、待てよ」
「ブラン……?」
「お前の実力はわかった。タダで帰らせるには惜しいってこともな。だから……サブボーカル、頼めるか?」
「ブラン……えぇ、わかったわ」
「まぁ私の方がボーカルとしては上だからな。それを覚えておけよ。私が上だからな。わかったな? 私が上、な?」
「ムカつくぅ!」
-数ヶ月後-
「なんで初公演がプラネテューヌなのよ……ホワイトハーツなのに……」
「えー、良いじゃん近くて」
「近いのはあなただけよ」
「それに、会場の大きさとファン数の多さもプラネテューヌがダントツだしね」
「それは否定できないわ。プラネテューヌは、ゲイムギョウ界におけるサブカル文化の発信地のようなものだしね」
「わかってんじゃん、ブラン」
「さて、間もなく開演ね」
「緊張してる?」
「そんなわけないでしょ。さぁ行くわよネプテューヌ」
「うん、行こうブラン!」
「「ホワイトハーツライブツアーにようこそーッ!」」
\ 大歓声 /
-数週間後-
「最終公演が終わったわね……始まってみれば一瞬だったわ」
「楽しかったねー!」
「ええ、とっても。ライブを重ねれば重ねるほどファンとの一体感が増していくように感じるわ。賑やかな場なのに、安らぐような心地よささえ感じてしまうわね」
「それにしても、まさかロムちゃんとラムちゃんがルウィー会場のVIP席を陣取ってるとは思わなかったよ」
「ほんと、来るなって言ったのに」
(その割には嬉しそうだったけど、ね)
「さて、私はまたルウィーの女神に戻ることにするわ。あなたもプラネテューヌの女神に戻りなさい」
「戻るも何もわたしは最初から兼業だよ。いーすんに無許可だから毎回怒られてるけど」
「ふっ……その身勝手さもアーティストたる所以ね。じゃ、さよならネプテューヌ。メンバーのみんなもありがとう。また誘ってちょうだいね」
-翌日-
「お姉ちゃんのライブ楽しかった!」
「楽しかった……! だからね、しばらくお仕事はわたしたちがやるから……」
「お姉ちゃんは音楽やってていいよ!」
「……え?」
「じゃあしばらくバイバイだねお姉ちゃん」
「音楽、がんばって……!(ふぁいと!)」
「……え? え?」
「……」
「……」
「……」
「……まさか女神の方をクビになるとは思わなかったわ」