司波深雪の答辞を聞き終えた暁は深雪が答辞でかなり際どいワードの『みんな等しく』『魔法以外にも』『一丸となり』『総合的に』と言ったことに対して思った。
一科、二科の溝がまだ深くある時に、ここまで言える胆力は凄いと……。
まぁ、聞いていた新入生のほとんどは深雪の美貌にやられて話半分も聞いてないのが真実であるけど。
「ギリギリのワードをやっぱり言ってきたか」
やはり知ってる身としてはブラコン深雪にとっては大事なことなんだろうなっと理解できていた。
その後、入学式も終わり、自分のIDを受け取ってどこのクラスになってるかを確認する。
「1年Aクラスか」
深雪とほのかに雫と一緒のクラスであると分かった。
俺はどうするかを考えていた、今教室に行っても特に何かがあるわけでもない。
教室に行って学友と親交を深めるかは自由となっている。
「今回は家に戻っておくか」
俺はそのまま下校する事にした、校門を通る道すがら司波達也、千葉エリカ、柴田美月の3人とそれに近付く司波深雪の姿を見かけた。
俺は校門を出ると、誰にも見られないように手に持つブックゲートを開いて、ワンダーワールドにある家に戻った。
───翌日
「っ‥‥ん~!……朝か」
「おはようございますマスター」
「おはようイカロス」
翌朝、目が覚めた俺の目の前にいるのは、この家の家事全般をするエンジェロイドの1体であるtype
「朝食の用意が出来ています」
「分かった」
俺は起き上がり、一校の制服に着替えてからイカロスが用意した朝食を食べてから一校に行く準備が終わった。
「行ってくる」
「お気を付けてマスター」
ペコリとお辞儀をするイカロスに見送られながら、俺はオーロラカーテンを出現させ、ワンダーワールドから出る。
アキラはオーロラカーテンを使い、第一高校近くまで移動し校内へと足を運ぶ。
「ここが俺のクラスだな」
俺はプレートにある1-Aと書いてあるクラスに入ろうとした。
「ん?」
「あっ」
ちょうど入ろうとしたタイミングで反対側からも入ろうとした人と鉢合わせになった。その相手に鬼龍院は少ない驚きを感じた。
「初めまして
「初めまして」
司波深雪は丁寧で綺麗なお辞儀を見せた。リクもこのタイミングで互いを認識するとは予想していなかったから驚いた。
「俺は同じクラスの鬼龍院リクだ。よろしく」
「よろしくお願いします。鬼龍院くん」
リクは身体を退かして深雪に道を譲り、深雪もそれを察して先に教室へと入る。
その時、リクは周囲の反応が分かった。皆が皆、司波深雪に見惚れているのだ。
「おはようございます」
丁寧なお辞儀も見せられ誰しもが見惚れる現場を見せられている俺はこの子スゲーな……重度のブラコンだけどっと感じた。
司波深雪の後に俺も教室に入るが、誰もが深雪を方を見ているからか俺が入ったことには気付いていないようだ。
そのまま、俺は決められた指定の席へと向かう。ありがたいことに俺の席は後ろの方であったけど、よく見れば近くに北山雫と光井ほのかの2人がいた。
「あっ」
深雪に挨拶しようとしていたほのかが転けた。しかも顔からぶつけたのを見て痛そうだなと俺は思った。
「プッw」
「このクラスにあんな鈍臭い奴がいたのか」
ほのかが転けるのを見て小さく吹き出す奴もいたがリクはそんな輩に哀れみの視線で見ていた。
1年の総合において、この光井ほのかよりも上の人間なんてほとんどいないのだから、こいつらの他者に対する観察力は圧倒的にないと言える。
「大丈夫ですか?」
転けて倒れたほのかに手を差し伸べたのは、注目の的である深雪自身だった。その時の光景はまるでドラマの1シーンのような場面を見た。
その後はほのかは深雪と友人になり、雫も深雪との友人関係を築いた。
俺は自分の指定の席に座って時間が過ぎるのを待っていた。さすがに女子の会話にいきなり入り込む勇気は俺にはなかった。
「初めまして」
「・・・・」
ですよねー!隣の席に座るならコミュ力が高い君達とかは話しかけるよなー!
「‥‥初めまして」
俺は難とか返事をした。
その後はそれぞれが受けたい内容の授業を選びそこに行くっとなるが、このクラスで自分でそこを見学に行こうと考えてる奴はほとんどいない。
何故なら大半の奴は司波深雪の行く場所に勝手に付いていくストーカー集団か一科生二科生での待遇の違いを見せびらかすのも司波深雪も巻き込んでしたいと望むバカがいるからだ。
「確か、こっちだったかな」
俺は敢えて静かな所に行きたいと思い、ほとんどの一科生が教師の解説有りの方に行くために教師の解説無しの方に来ていた。
「あれは……」
俺の目線の先には司波達也、西城レオンハルト、千葉エリカ、柴田美月の4人がいた。
それぞれのメンバーが入試の試験方法により二科生と判断されようとも類い希なる才能や実力の持ち主達である。
ハッキリと言うならば、そこら辺の一科生よりも評価は圧倒的に上だと俺は考えている。
「凄いな」
俺は今2人の人物の内側を視ていた。片方には膨大な魔法力が片方には膨大な生命力があった。普通ならばこの2人の半分もあれば1級とも呼べるだろうと思った。
「きゃっ!?」
「ん?」
「何だ?」
「美月?」
「どうした?」
今の段階だと俺から話しかける理由もないから普通に見学してようとしたら彼女──美月が突然驚いたような声を上げた。
それに伴って知人の達也、エリカ、レオの3人は美月を心配しそちらを見る、俺も急な声に疑問を感じながら美月の方を見た。
「あっ!?いえ、すみません」
「大丈夫、美月?」
「どうかしたのか?」
「少し‥‥驚いちゃって」
彼女が驚くような物がこの辺りにあったかと頭を捻らせるリクだった。
「何か驚くもんがあったのか?」
「アンタと同じ意見なのは癪だけど私も思ったわ」
「んだとっ!」
「何よ!!」
レオは美月が驚く何かがあったのかと疑問に感じた。エリカの疑問に感じて、レオと口喧嘩をしかける。
「い、いえ、急に視界に入ったものに驚いてしまって」
「どうかしたのか?」
俺は念の為に自分から彼らに近付いて声をかけた。
「あぁ、すまない。煩くしてしまったか?」
「いや、そんなことはないよ。急に声が聞こえたから何事かと思っただけだ」
特に冷静な達也が対応してきた。そこはリクも特に何かが起こるとかはない。
「名乗りが遅れたな、俺は鬼龍院リクだ。よろしく」
「司波達也だ」
達也は俺の制服の八枚花弁のエンブレムを見て一科生だと理解した。
「それより、そちらの彼女は大丈夫か?」
「はっはい!大丈夫‥‥です」
美月の方を見るが彼女は俺の方を極力見ないようにしていた。
「彼女に何かしてしまったか?」
「美月。彼と知り合いなのか?」
「いえ、少し彼から見えたものに驚いてしまって」
「・・・」
彼女の眼は普通の人と違い、普通は見えない魔法師のサイオンや精霊の光などが特定の血筋の魔法師並かそれ以上に見える
俺は美月が持っているのを知ってはいるけれど、ここは知らない振りをするのが得策かな。
「なるほどな。君は眼が良いんだな」
「あっ‥いえ」
こう言えば、俺が彼女に霊視放射光過敏症を持っていると知ったことに何の違和感もないだろう。
まぁそれでも俺が驚いた事実も無くならないけどな。
彼女の眼は達也の持つ
「霊視放射光過敏症を持っているのかな?それでも、そこまで見える人に会ったのは初めてだな」
「え‥‥えっと」
俺が美月の眼を見つめていると──
「はいはい、そこまでにしてくれる。この娘が怖がってるから」
「ワリィな」
エリカとレオが壁になって俺と美月の間に身体を挟み込んだ。
「……すまないな。さっきも言ったけどそこまで見える人は初めてだったからな」
「他にも会ったことがあるのか?」
「何人かは、ね」
「そうか………」
リクの言葉に反応する達也。少しばかり警戒心が上がったように感じた。
(ちょっと面倒になったな~)
リクは達也が警戒する