デート・ア・ライブ 千璃ホロコースト   作:泰邦

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第十八話:悪夢の歌劇

 

 

「本当にこれで上手くいきますの?」

「疑問に思う気持ちもわかるよ。でもいまの士道君なら、このアプローチでこちら側に引き込める」

 

 来禅高校から幾分離れたビルの屋上。双眼鏡片手に状況を見極める千里と狂三の本体がいた。

 狂三が『天使』を使えるのは本体だけだが、屋上を覆い尽くすほどの物量ならば如何に真那といえども倒しきるのは厳しいだろう。

 状況を打破するには、それこそ士道が『天使』の力を使うか──あるいは、誰か別の精霊が手助けするしかない。

 とはいえ、空間震など起こしては誰も対処できない。だから最初のあれはあくまでも見せ札にすぎないのだ。

 

「この状況を一番歯がゆく思っているのは誰か──そんなの、自分でやらせておきながら何もサポートできていない〈ラタトスク〉くらいしかいないからね」

「……どうにも、貴女のシナリオ通りに進むと碌なことが無い気がしますけれど」

「酷いねぇ。これでも結構慎重に動いてるつもりなんだけど」

 

 からからと笑う千璃は、相変わらず何を考えているのか読めない。

 表情は豊かだが、だからと言って何をやろうとしているのかがわかるわけではないのだ。

 

「今までの行動からはそうと見えませんけれど」

「弁解の余地もないね。でもまぁ、上手くいくよ。人生経験は私の方が豊富だから、信用してくれていいって」

 

 そんなことを言う千璃は双眼鏡でずっと監視を続けている。その後ろで狂三はすっと目を細めた。

 

 ──人生経験、ですか。

 

 彼女は以前は人間で、人から精霊に『成った』存在だという。それを聞いたとき、狂三は彼女のことを徹底的に調べ上げた。

 イギリス人の母と日本人の父親を持ち、イギリスの片田舎で幼少期を過ごす。生まれたのは第二次世界大戦の渦中であり、敵対国である日本人とイギリス人の子供ということで迫害を受けていたことは想像に難くない。それでも才覚はあったためにオックスフォードを卒業。

 ここまでは大学に残っていた資料で調べ上げることが出来た。

 だが、逆に言えば調べられたのはここまで(・・・・)だ。

 これ以降の記録はろくに残っておらず曖昧模糊とした記述を見つけるばかりである。狂三としてもこれには困ったが、人海戦術でようやく一つの手がかりを見つけた。

 

 ──『黄金』。

 

「……『黄金』、ですか」

「……おや、どこでそれを知ったのかな?」

 

 ぽつりと呟く狂三の言葉に、千璃が反応を示した。

 その眼は先程までのものとは違う、鋭く射抜くような眼光。知られて困るものでもないが、どこから情報が漏れたのかくらいは把握しておきたい。

 

「貴女のことを調べるためにまずは住民票から、少しでも脈がある場所を人海戦術で徹底的に、ですわね」

「大学あたりから漏れたってことかな?」

「それでわかるのは途中まで。そこから先はほとんど情報が手に入りませんでしたけれど──一人だけ、その後の状況を知っている方を見つけ出しまして」

 

 かつて千璃と共に大学で学んだ者の中で一人だけ、彼女の大学卒業後の進路についてそう漏らしていた人物がいた。

 彼女の学友は「彼女は優秀だった。優秀であるがゆえにオカルトに傾倒したのだ」と語り、狂三は眉をひそめた。

 狂三にとっての千璃とは「狂気的な科学者」であり、決してオカルトに傾倒するような女性ではなかったためだ。困惑する彼女に対し、千璃の学友は苦笑した。

 続けて「あくまでも当時の話であって、今では立派な科学の一分野として理解されている」と。

 かつて"化学"が"錬金術"と呼ばれていたように。いまでは科学の一分野とされていても、当時は"科学"ではなく立派な"オカルト"だったのだ。

 

「そっか……アイツ、まだ生きてたんだ」

「余命は長くないとお聞きしましたわ。死を待つだけの余生だと」

 

 それだけに、狂三の質問には嬉々として答えてくれた。家族でさえ今は彼に近づかないのだ。一人寂しく死にゆくだけだった彼は、突然の来訪者と懐かしい友人の話で楽しい一日を過ごせたと笑っていた。

 同様にかつての学友を思い出して懐かしそうに微笑む彼女は、まるで年を取った老婆のようにも思える。

 先程までとは一転した雰囲気に目を白黒させて驚く狂三。少なくとも、千璃はそういった色恋沙汰とは無縁だと思っていたからだ。

 

「……大事な人だったのですか?」

「当時は各地を転々としててね。そんな中でも、アイツにだけは手紙を送ってた。ちゃんと届いてるか不安だったけど、なんだ、ちゃんと届いてたんだ」

 

 可笑しそうに笑う千璃。

 かつて千璃はイギリスで活動し、その後ユーラシア大陸各地を回った。アフリカにも行ったし、アメリカも短い間だが居たことがある。

 その中でも彼女はずっと手紙を送り続け、無事を知らせ続けていたのだという。

 

「私にはどうしてもやり遂げたいことがあったんだ。だから各地を回ったし、当時はオカルトと呼ばれてたことも相当やった」

 

 当然、その目的の為には他者のことなど歯牙にもかけなかった。故に人体実験にも戸惑わず、当時としては破格の科学技術と知識を有することになった。

 だがしかし、彼女の足取りは三十年ほど前に日本でぱったりと足取りが途絶えている。

 狂三はそこで精霊に成ったのだろうと確信したし、事実としてそうだった。

 実際はもう少し悲惨なものだったが。

 

「三十年前、私は一つの研究を完成させた。それは人類史に刻まれることだと思ったし、私の目的も大きく前進した」

 

 ──その時に、裏切られた。

 

「アイザック。エレン。エリオット。こいつ等三人は私の研究成果を手に入れるために私を殺して奪い取ったのさ」

 

 だから殺す。

 当時一つの集団として裏社会でそれなりに売れていた名前である『黄金』の一団。売れていたとはもちろん悪い意味で、である。

 それも当然。人を人と思わぬ実験を繰り返し、常人には理解できない行動を繰り返す集団。常軌を逸した面々を世界は非難した。──『黄金』という名を忌むべきものとして。

 

「調べればわかるけど、その当時の悪行は全部"私のせい"になってる。まぁそんなことはどうでもいいけど、一番ムカつくのは正義面して精霊を手に入れようとしているエリオット・ウッドマンだ」

 

 アイザック・ウェストコットとエレン・メイザースはまだいい。彼らはまだ自分の欲望に従って動いているだけだ。同類である千璃にもまだ理解がある。

 だがウッドマンはそれすらない。かつて『黄金』に所属したというだけで自分を恥じて偽善者ぶる小物っぷりには、千璃もため息をつくしかなかった。

 見るに堪えない。仮にも殺してまで奪いたかったものがあったはずなのに、自分の信念を常識にそって捻じ曲げた小心者。あるいは常識があったからこそ常識外れの行動をしていた千璃を許せなかったのかもしれないが、最初から止めようとしていない時点で同罪である。

 一般的に見て狂人と称される千璃の言葉を鵜呑みにすることなど出来ないが、狂三はその怨嗟の言葉に思わずたじろぐ。

 

「……そのために、士道さんを利用すると?」

「どちらかといえば利用するのはその義妹の方だけどね。〈ラタトスク〉みたいなクソくだらないモノで精霊を救うとか馬鹿げた思想を持ってるなら、いずれにしても私が潰してる」

 

 千璃が必要なのは士道であって〈ラタトスク〉ではない。現在は士道が〈ラタトスク〉側だから手を出していないのであって、そうでなければ既に潰している。

 目的をはき違えることなどあってはならない。だから士道という少年を計画の中心に据えているし、彼が千璃側に傾くのなら今以上に動きやすくなる。

 狂三がどうしても叶えたい悲願があるように、千璃もまた叶えたい願いがある。

 もっとも、精霊が救われることそのものを否定しているわけではないのだが。

 

「──っと、そうこう話してるうちに状況が動いたみたいだね」

 

 爆炎が立ち上る来禅高校を見て、千璃は静かに呟いた。

 

 

        ●

 

 

 時間は少しさかのぼり、大量の狂三が現れた直後。

 その数に圧倒された真那だったが、流石に戦闘慣れしているためかすぐさま士道を連れて折紙と十香のもとへ移動する。

 辺りにいる狂三はくすくすと笑うだけで手出しはしない。彼女の目的は千璃の策による"炙り出し"であって、何も真那や折紙たちを殺すことではない。

 無論、チャンスがあれば士道を"食べ"ようという気概はあるが。

 

「これは……」

「おそらく奴の『天使』によるものでしょう──〈ナイトメア〉を殺しきれない理由ってのがようやくわかりましたね」

 

 驚く折紙と十香を尻目に、真那は忌々しげに呟く。

 おそらくは分身体。こんなものを創り出せるなら殺しきれないはずだ。そもそも本体を殺さない限りは意味がない。

 

「うふふ──そう、『わたくしたち』は写し身。再現体に過ぎない以上、殺しきるのは不可能ですわよねェ」

 

 先程右腕を切られ、隻腕となった狂三が口元が大きく弧を描いて笑みを形作る。

 この場に現れた狂三だけでおよそ数百体。一対一ならばともかく、一対多という状況を現実的に考えて、真那一人ではとても対処しきれない数だ。

 折紙と十香がいると言っても二人ではたかが知れている。特に十香は完全状態ならともかく今は霊力の大半を封印されているのだ。勝てる道理が無い。

 

「鳶一一槽、どれくらいやれますか?」

「……全部、と言いたいけれど、正直厳しい」

「でしょうね。私も全員を相手にするのは厳しいです」

 

 だが、先ほどの狂三の言葉を考えると、この場にいるのは写し身だけであって本体はいない。

 即ち、完全に殲滅する以外にどれだけ殺そうとも終わりが無いことを示す。それと同時に協力無比な『天使』を使うことが出来ないということも示していた。

 ならばまだ勝機はある。

 

「──本当に、そうお思いですの?」

 

 隻腕の狂三がまるで真那の心を読んだように呟き、残った腕で真那の方へと銃を向ける。

 現代的なデザインのリボルバー。六発の弾丸はしっかりと込められており、あとは引き金を引くだけで射出されるだけの状態だ。

 真那はそれを見て眉をひそめた。

 まともな銃なら随意領域があれば防ぐことはたやすい。それは狂三とて承知の上だろう。伊達に長い間殺し合ってきたわけではないのだ、あちらは随意領域というものを知る機会はいくらでもあった。

 だからこそ解せない。今更そんなものが通用するとは考えないはずだ。普通なら(・・・・)

 

「単なる銃弾なら効かないでしょうねェ。ですが──霊力によって形作られた理外の魔弾ならば話は別でしょう?」

「まさか……ッ!?」

 

 気付いた。

 無数の狂三はそれぞれ銃を持っている。

 ある者はリボルバー。ある者はオートマチック。ある者はサブマシンガン。ある者はアサルトライフル。

 多種多様な武器群を持つ狂三は、一見すると軍隊の様相さえ醸し出していた。

 それほどの武器を手に入れられる当てがあったとしても真那たち魔術師(ウィザード)には通用しない。だが、通用する武器があったなら?

 少なくとも──真那はそれを知っている。

 

「〈サイレント〉……厄介なことをしますね」

「ふふ……今、わたくしと彼女は共闘関係にありまして。邪魔者を優先的に排除しよう、ということでまとまっておりますの」

 

 千璃の創り出した武器は普通に作られたそれよりもずっと威力が高い。人知の及ばない領域の力で作られているのならそれも当然かもしれないが、真那ならともかく折紙ではその弾丸を防げない。

 かといって、よければ士道に当たる。防ぐためには壁になるしかない。

 だが、そんなことをやっても時間稼ぎにしかならない。ASTで最も強いのは折紙で、出向社員とはいえDEMでもナンバー2の真那がダメなのだ。ほかのメンバーが来たところでろくに戦力に数えられるとも思えない。

 だったら、一人でやるしかない。

 

「鳶一一槽、兄様をよろしくお願いします」

「……一体何を──」

 

 その言葉が紡がれる前に、真那は弾丸のように飛び出した。

 

「あああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」

 

 叫び声をあげながら暴風のように狂三を薙ぎ払う真那。

 その手に握られたブレードを振るい、襲い来る狂三の五体をバラバラに引き裂いて殺す。一人一人は大したことが無くても、これほどの数が集まってしまえば関係ない。

 質を超える量。狂三はそれを体現しようとしていた。

 

「周りを見る、というのは大事なことだと思いませんこと? 真那さん」

「生憎ですが、私は随意領域内部なら目で確認せずともわかるんですよ」

 

 現に、死角から放たれた複数の弾丸をまるで見えているかのように避けている。弾丸そのものを知覚しているのではなく、撃とうとしている狂三の動きを感知して射線上から外れているのだ。

 怪物じみた処理能力に狂三は思わず笑みを浮かべる。

 最早彼女は人の域を超えている。半分精霊の域に至った彼女の相手は、狂三の分身体では厳しいだろう。

 狂三の分身体だけ、ならば。

 

「視野が狭いというのでしょうか、この場合は」

 

 真那の体が撃ち抜かれる。

 至近距離での話ではない。真那の随意領域の範囲外から飛来した高速の弾丸は寸分狂わず真那の肢体を撃ち抜き、その動きを止める。

 一番最初に警戒しなくてはならない狙撃という手段。狙ったのは千璃ではなく狂三の分身体の一人だが、これによって状況は完全に覆った。

 まともに足を動かせなくなった真那は的でしかなく、すぐに多数の狂三によって押さえつけられる。

 十香と折紙も奮戦空しく押さえつけられ、士道もまた同じようにとらえられる。

 

「大分やられてしまいましたが、まぁ許容範囲でしょう。──さて、士道さん。それではこの歌劇も終わりにしましょうか」

「くっ……シドーに近づくな、狂三!」

「離し、て……ッ!」

 

 十香と折紙の叫びなどどこ吹く風とばかりに聞き流し、士道のもとへと歩み寄る隻腕の狂三。

 二人の狂三に左右から腕を抑えられ、隻腕の狂三は士道を正面にたつ。

 見下ろす形となった狂三は微笑を浮かべながら残った左腕を掲げた。──その瞬間、先ほどと同じように空間震警報が鳴り響く。

 

「さぁ、どうしますか士道さん。このままわたくしが空間震を起こしてすべて失うか、それとも奇跡を願って神様にでも祈るか」

 

 ぎりっ、と歯を食いしばる士道。

 彼は恐怖という感情を無くしたが、それ以外の感情は残っている。

 空間震をどうにかして止めたいと思う気持ちはあるし、十香たちが大丈夫かどうかも心配だ。

 しかしそれ以上に、あたりに積み上げられた狂三の死体の山が士道の精神に悪影響を与えていた。

 血の繋がっている実の妹が迷うことなく刃を振るい、積み上げた死体の山。屋上を赤く染め上げた血の海は否応なく目に入り、鉄臭いにおいは鼻孔をつく。

 自分が、十香が、折紙が……それだけでなく、学友、先生。顔見知りが死ぬ。

 ──それは、嫌だ。

 

「神様に祈ったら止めてくれるのかよ……ッ!」

「さァ。神様は気紛れでしょうから……少なくとも、私はそんなものに命令されても止めませんけれど」

「じゃあ、お前を倒すしかないっていうのか!」

「簡単に言えば、そうなりますわね──言葉で諭そうと思うならそれでもかまいませんけれど」

 

 それが出来ていれば苦労はしない。

 精霊の力を封印できるとはいえ身体能力はそこらの一般人と何も変わらないのだ。精霊を止められるほどの力など持っていない。

 耳障りな警報が鳴り響く中で、士道はどうしても彼女を止めたくて、でも止める方法が無くて。

 どうしようもないと諦められればどれほど楽だったか。

 精霊を救うことと狂三に空間震を止めさせることは矛盾しない。だが、言葉で言い包めようにも頭が回らない。

 

「どうしますの? このままこの町が消えるのをみることにしますか?」

 

 認められない。

 歯を強く食いしばる。どうしようもない理不尽を突きつけられて、どうにも出来ない自分が歯痒い。

 頭が痛い。

 今この状況を打破する力が欲しい。そう、例えば──士道の知る中でも凄まじい力を誇る『天使』である〈鏖殺公(サンダルフォン)〉を想像して──

 

 その瞬間に、爆炎が狂三の身を焼いた。

 

 呆然とする士道。いや、呆然としていたのは士道だけではない。十香も折紙も同じように呆然としており、現状をうまく認識できていない。

 周りの狂三たちが空を見上げているのに気付いて、空を見る。

 赤く染まった空。

 血で染まったのではなく、空が燃えていると錯覚するような炎の塊。そして、その中心に佇む一人の少女。

 和装のような恰好をした少女だ。風にたなびく袂は炎のように揺らめき、腰帯はまるで天女の羽衣のようにみえた。

 何より特異なのはその頭部に生えた二本の角。

 

「琴、里……?」

 

 五河琴里。士道の義妹で、〈ラタトスク〉の司令官。

 彼女は未だ中学生であるにもかかわらずそのような要職につけた理由こそが──まさにこれだった。

 

「少しの間、返してもらうわよ、士道」

 

 言った意味を理解できず、目を白黒させる士道を尻目に、琴里は静かに呟いた。

 

「──焦がせ、〈灼爛殲鬼(カマエル)〉」

 

 その名を呼ぶと同時に炎がうごめき、巨大な棍のような円柱形を形作った。その棍を手に取った瞬間、その側部から真っ赤な刃が出現する。

 それは、あまりにも巨大な戦斧。

 小柄な琴里の体に見合わぬ巨大な武器を、重さを感じさせない動きで構える。

 まずは士道の動きを止めている狂三を屠る。話はそれからだ。

 

「ちょっと待ってなさい、士道。今助けるから(・・・・・・)

 

 『天使』を使えない狂三の分身体では『天使』を十全に使える他の精霊に勝ち目はない。単純な物量などいくらでも覆す力が『天使』にはあるからだ。

 士道の目の前に立ってその戦斧を振るおうとして──突如として現れた巨大な壁にその一撃を防がれる。

 

「な──ッ!?」

 

 驚愕する琴里。

 突如として壁が現れたこともそうだが、強力な一撃を受けてまるで傷のない(・・・・・・・)壁そのものにも異質さを感じさせる。

 その壁の上に、またも今までなかった人影が見えた。

 士道にとっては随分と久しぶりに会う人物で──できれば、会いたくなかった人物でもあった。

 

「よう、士道君。元気してた?」

 

 何時かにあった時と全く変わっていない彼女は、白々しくもそういって士道の方を見る。

 樋渡千璃が、この戦場に乱入した。

 

 

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