デート・ア・ライブ 千璃ホロコースト   作:泰邦

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第三十五話:出会いと決別

 

「天央祭?」

 

 夏休みも終わり、九月に入ったある日のこと。

 毎度の如くお茶請けとお茶を勝手に持って行く七罪の所業に対して遂に重い腰を上げた千璃は、ロープで簀巻きにした七罪の上に座り込んで返答した。テーブルについたままの十香たちはそちらは気にしないことにしたらしい。

 千璃の視線は声をかけてきた十香に向けられており、十香の後ろでは夕弦と耶倶矢があそこに行きたいだのあの店に寄りたいなど雑談をしていた。

 

「うむ。そういう大きな祭りがあると今日聞いたのだ」

 

 天宮市は元々空間震による被害を受け、それらの災害で被害を出来る限り減らすことを前提に考えられて作られた町のモデルケースだ。

 以前は人が少なく、協力関係を強めるという意味もあって合同での文化祭が開かれていた。それは町が大きくなっている今も続く天宮市の風習であり、今ではテレビなどでも取り上げられるほど大規模になっているということらしい。

 もっとも、昔と違って協力関係ではなくライバル関係のようになっているそうだが。

 

「なるほどねぇ、ところで士道君は? いつも一緒に帰ってるけど、今日は違うの?」

「シドーは実行委員に選ばれたとかで、遅くなると言っていた」

 

 美少女を侍らせまくっていると嫉妬の嵐を受け、何時の間にか実行委員に祀り上げられている士道の様子が目に浮かんだ。まぁ、高校生ならそんなこともあるだろうと千璃は思う。

 彼女は学校では基本独りだったので、特にそういうことに思い出はない。『黄金』に入ったのも大学を出た後のため、人付き合いなどほとんどしていないのだ。

 とはいえ、彼女は一人で大抵のことをこなすので周りの手助けを必要としなかったことも大きい。

 それはさておき。

 

「大変だねぇ、士道君も。私なら頼まれた段階ですっぽかすけど」

「責任感がなさすぎるだけでしょ。てか、重いんだから早く退いてよ」

「君は反省しなさい。大事にとっておいたお茶請けのショートケーキ食べたんだから、今回ばかりは許さないよ」

 

 もぞもぞと動く芋虫状態の七罪を尻に敷き、千璃は脅しかけるようにそういう。しかもちょっと高いやつだったので余計に食べられたことに腹が立つ。

 それもおいておくとして、三人がこうやって話すからにはそれなりの理由があると千璃は踏んでいた。

 この家に住んでいるのは変わらないが、話の根幹が士道に関することだと判断したからだ。士道に関することなら彼女たちは何を置いても優先する。

 狂三が消えてから士道が少し元気がなかったのも関係しているのだろう。

 

「それで、何か相談でもあるの?」

「うむ」

「士道の奴め、天上の美を誇る我らを侍らせておきながらほかの女にうつつを抜かすなど到底信じられんからな」

「解説。狂三が消えてから、士道はあまり元気がないのでどうにかしたいのです」

「あー……まぁ、なんだかんだで精霊の中では十香ちゃんの次に付き合いが長いからねぇ」

 

 出会った順番でいえば四糸乃が先になるのだが、付き合いの長さという見方でいえば実は狂三の方が長い。四六時中一緒にいたのだからある意味当然のことではあるのだが、だからこそ問題でもある。

 なお、琴里は意図的に外して答えている。士道の中では家族という枠組みに捉えられているので、精霊の一人という見方はほとんどされていないためだ。

 ……というか、この手の話を振られるあたり、彼女たちの中で千璃は気心の知れた近所のおばちゃんのような位置づけなのだろうか。千璃もこの手のことは経験がないと言っても過言ではないのだが。

 

「えーと、いなくなったのが七月だから……ほぼ二ヶ月の間ずっと元気がないことになるのかな」

「首肯。夕弦と耶倶矢と入れ替わるようにしていなくなりましたから、そのくらいです。ですが、四六時中落ち込んでいるという訳ではなく、ふと気が付くとぼーっと何かを考え込むような顔をしているのです」

「……ううむ。そりゃ恋煩い……なのかなぁ?」

 

 ふと気が付くと何かを考えている、というのは千璃も時たまあるのだが──士道の場合はそれが狂三のことなのだと耶倶矢は言う。

 実際に聞いたわけではないらしいが、いつもの「颶風の御子たるこの我が云々」という口上を聞いた限り単なる勘らしい。

 だがまぁ、あながち間違いという訳ではないのだろう。考え込みはじめた時期と狂三が消えた時期が一致するなら、自然とそういう風に考えるのも理解できる。

 特に夕弦と耶倶矢は自分たちのせいかもしれないと思っているところが少なからずあるようだし、と千璃は思う。

 

「そのくらいで済んでるならいいじゃない。顔を見て露骨にため息つかれるよりもずっといいわ」

「はいはい君は黙ってようねー」

「むぎゅ」

 

 どこかから取り出したガムテープで七罪の口元をふさぎ、耶倶矢と夕弦の方へ向き直る。

 

「それで、天央祭をきっかけに元気になってもらいたいってところかな?」

「くくく……あやつもこれほどまでに想われているのだから鼻が高いだろうよ」

 

 自分で言っておきながら頬を赤らめているのだが、その辺千璃としてはどうでもいいので放っておくことにした。

 耶倶矢の口上を聞き流し、夕弦と十香の方を見る。

 

「デートプランを考えるくらいなら一緒にやってあげるけどね。あの子だって年頃の男の子なんだし、いろいろあるんじゃない? あんまり気にし過ぎないの」

「しかし……士道が落ち込んでいるのを見ると、私も悲しい気持ちになってしまう。力になれることがあるのなら、私だって手伝いたい」

「同意。私たちを救ってくれた士道が悩んでいるのなら、力になってあげたいのです」

「純真ねぇ……これだけ想われてりゃ男冥利に尽きるってもんでしょうに」

 

 なんだか言動が本格的におばさん臭くなってきた千璃。

 どうせ士道は自分の家に帰るのだし、彼女たちは士道にばれないようデートプランを組み立てられる。全員がデートできるだけの時間を確保できるなら、という前提あってのものだが。

 訊けば天央祭は三日あるというし、三人分の時間くらいなら確保できるだろう。

 もごもごとうるさい七罪の口元のガムテープをはがしてやると、涙目になって痛みに悶えつつ叫ぶ。

 

「リア充死すべし慈悲はない!」

「『天使』を使おうとするんじゃありません」

 

 〈贋造魔女〉の力を持って縄を変化させて抜け出した七罪は、手に持った箒を十香たちに向けて何かしようとした瞬間に千璃に抑え込まれた。

 じたばたと暴れるさまは癇癪を起した子供のようで、それを抑えおこむ千璃は軽くため息を吐いている。

 というかなんで『天使』を使おうとしたのか三人はよくわかっていなかった。

 これ以上は無駄だと諦めて力を抜いた七罪は、そのままばたりと倒れて呟く。その眼にはハイライトがなくなっているようにも見えた。

 

「甘酸っぱい学園生活とか……そんなの、漫画の中だけじゃなかったの……?」

「羨ましいなら初めからそういいなさい。『天使』の使用は御法度です」

 

 さて、と仕切り直して千璃は立ち上がる。床に突っ伏したままの七罪は放置状態だ。

 

「ま、学校生活にあこがれてるんなら何とかできなくもないけどそれは後でね。まず突発的に『天使』を使わないようにするところからね──で、士道君とのことに関してだけど、君らの思うようなアドバイスは出来ない」

「な、何故だ?」

「だって、デートしたことなんて無いもの。その手のことに関しては私より琴里ちゃんとかに聞いた方がいいよ」

 

 至極当然の理論だった。……とはいえ、琴里とて自分がデートを体験したことがあるわけではないのだけども。

 興味すら抱いていない千璃と比べればはるかにましな意見が返ってくるだろう。仮にも「精霊をデートしてデレさせろ」というやり方を発案したのだから──琴里が発案したのかどうかなど千璃は知らないが。

 年代的に今何が流行っているのかなども琴里の方が詳しいだろうし、デートプランなら千璃よりも〈ラタトスク〉を頼った方がずっとましな結果になりそうだ。

 夜はやることがあるので彼女たちは自発的に早く帰るようにしているが、デートの日くらい遅く帰っても千璃は何も言わない。

 

「資金くらいなら出してあげるから、一度琴里ちゃんに相談してみなさい」

 

 千璃はそう言って項垂れているままの七罪をどうにかしようと奮闘し始めた。

 

 

        ●

 

 

「という訳なのだが」

「……それで私のところに、ね」

 

 士道が返ってくる時間の都合で遅い夕食となっている五河家。琴里の我儘でハンバーグになり、一緒に待つ四糸乃も暇そうにテレビを見ていた。

 そんな中で何時ものようにやってきた十香たちが琴里に詰め寄り、千璃と話したことをそのまま伝えた。

 チュッパチャップスを舐めつつ考える琴里。台所で準備する士道には聞こえないようにしているため、必然的に全員小声になっている。

 琴里個人の想いとしては「おにーちゃんに近づく女はデストロイ」なのだが、〈ラタトスク〉の立場やら何やらでそういう訳にもいかない。理性はきちんと残っているので突発的な行動など起こさないのだ。

 今回の相談にしても、彼女たちの精神を不安定にさせているということで手伝わないわけにもいかない。暴走されて困るのはこっちなのだから。

 

「……ふむ。じゃあ、当日どんな出店があるか調べてから、各員コースを決めることにしましょう。かぶっても面白くないでしょうし、いろんなところを回りたいでしょ?」

「そうだな、我らもそれで文句はないぞ」

「賛同。お手伝い感謝します」

「これで士道も元気になってくれれば良いのだがな……」

『ちょっとー、よしのんと四糸乃もデートさせてよー。この頃士道君と遊べなくって、四糸乃寂しがってるんだから』

「あ、あの……えっと……」

「わかってるわ。精霊皆に平等にチャンスを与えるから、安心して。順番はくじ引きでもするけど」

 

 わいわいと騒がしくなってきた。その様子を遠くからハンバーグの種を作りつつ見ていた士道は、ゆるく微笑んでから再度ハンバーグ作りを再開する。

 何を話しているのかは聞こえなかったのだが、楽しそうにしているところを見るとどうでもよくなってくる。

 最近は消えた狂三のことやら、まだ見ぬ精霊のことやら、いろいろと考え込むことが多くなって心配をかけていたと自覚している。その分食事くらいは彼女たちに気を使ったものを作ってもいいだろう、と士道は思う。

 決して千璃が家事スキルゼロのせいで全部放り投げられたとかそういうことではなく。

 

「……よし」

 

 ハンバーグの種は出来た。あとはこれを焼きつつサラダを用意するだけだ──と思ったその瞬間、辺りに空間震警報が鳴り響いた。

 突然の音に一瞬驚く士道だが、その警報が鳴り響く意味を理解して、すぐに調理中の食材を手早く片付けてエプロンを脱ぐ。琴里は黒のリボンをピコピコと動かしつつ、こちらをじっと見ていた。

 

「精霊が現れたわ──行くの?」

「……ああ」

 

 これが士道に出来ることなのだから、と。

 十香たちのことはすぐに現れた令音に任せ、すぐに家を出る。

 家の前に爆音を響かせながら現れた千璃が手に持ったヘルメットを士道に投げ渡し、千璃の後ろに乗って移動を開始した。

 

 

        ●

 

 

「今回、私は遠くから君のことを観察する。まぁ、いざというときのためにインカムはつけてもらうけど、こっちから指示することなんてほとんどないよ。好きなようにやって」

「……いいんですか?」

「下手に私がでしゃばるよりも、君の感性に任せたほうがうまくいくと思うよ。なんだかんだいっても私は"古い"人間だし」

 

 そのまま千璃が指差す方向を見る士道。視界に映るのは巨大な建物──天宮アリーナと呼ばれる多目的イベントホールだ。

 駅からほど近い広場に降り立った士道は暗くなったその場所で一人立っている。基本的に駅前ということもあって人の波が途切れることはほとんどないし、ライブの日などものすごい量の人で溢れかえっていたのを思い出す。

 その場所は、大きくスプーンでえぐったようなすり鉢状のクレーターが出来ていた。

 空間震による被害、である。

 どうするかと考えていると、千璃が先んじて精霊の一をチェックしていたらしい。迷うことなくある方向を指さした。

 

「反応を見る限り、今回の精霊はあのアリーナの中ね」

「アリーナの中?」

 

 なんだってそんなところに、と考えつつ足早に向かう。道中散乱したチラシやうちわなどを見かけたが、いきなり空間震など起こされては誰だってこんなものは放り捨てて逃げざるを得ない。

 どこにいるんだよ、と思っていると、ふと声が聞こえた。

 壁に阻まれてよく聞こえないが、これは紛れもなく『歌』だろうと思う。

 空間震の起こったすぐ近くで、脅威にさらされつつも歌うシンガーなど普通はいない。なら、そこにいるのは精霊ではないかと考えるのも当然だ。

 

「これ、は……」

 

 セットはそのままに逃げ出したせいか、せりあがったステージの中心には煌々とスポットライトが当たって照らされている。

 綺麗だ、と士道は思う。

 光の粒子で縫製されたかと見紛うような煌びやかな衣装を着た少女が一人、そのステージで歌っていた。まるで子守唄のような曲調が士道の鼓膜を振るわせている。

 何時までも聞いていたいと思える美しい声に、士道は思わず聞き入ってしまうほどだ。

 

『ふーむ。……〈ディーヴァ〉……かな?』

「……ディーヴァ?」

 

 ふと聞こえた千璃の声に感謝しつつ、頬をつねって意識をはっきり保つ。思わず聞き惚れてしまうほどの美声なのだから、しっかり気合を入れなければまたやられてしまうだろう。

 

『半年前に一度だけ確認された精霊だよ。データベースに存在こそ記録されているものの、その気性も能力も全くと言っていいほどに未知数。情報がないからこっちのアドバイスは無し』

「わかりました」

 

 よしと気合を入れて踏み出した第一歩で、足元の空き缶をけっ飛ばしてしまい、アリーナに大きく音を響かせてしまう。

 思わず両手で顔を覆ってしまったが、悔やんでいても仕方ない。男は度胸だ、と少女の前に姿を現す。

 舞台の裏から手早く階段を上り、その姿をさらした。

 

「わざわざ上がってきてくれたんですかぁ? こんばんは、私は──」

 

 少女は士道の方を向き、その姿を捉えるや否や、ぴしりと硬直して動かなくなった。

 

 

        ●

 

 

「──これが、貴女が私に見せたかったものでいやがりますか」

「そうだね。士道君がやっていることを知らないままでいるっていうのも、気分が悪いでしょう」

「ええ、最悪ですよ。なんだってあなたがこんなことをさせているのかわかりませんが、危険であることに違いはない。正直、今すぐ連れ戻してやりたいところです」

「彼、私と会う前からこんなことをやってるわよ。やらせてたのは琴里ちゃん。もっとも、彼女も上からの命令があったみたいだけど」

「な──ッ!?」

 

 同時刻、アリーナの一室。千璃と真那は手元のスマートフォンで映像を確認していた。士道を下ろした後にすぐ近くで合流したのだ。

 こういった類の会場というのは、基本的に犯罪が起こる可能性もそれなりにある。監視カメラがいくつも設置してあるため、そのうちのいくつかをハッキングして映像を見れるようにすることは可能だった。

 声は士道に持たせているスマートフォン経由だが、そのせいで布が擦れる音も混ざってしまっている。

 これらを使って確認しつつ、二人は会話していた。

 

「どういうことでいやがりますか? 琴里さんが兄様を?」

「だから命令したのはもっと上。琴里ちゃんが選ばれたのも理由があるけど、詳しいことは後で説明してあげるから──ちょっと見て」

 

 千璃が指差した先には、先程までとは一転して排他的な雰囲気を纏っている少女がいた。声も拾えるが、あまり綺麗には拾えていないので断片的にしか会話はわからない。

 だが、それだけでわかるほどに少女は拒絶の意思を示している。ステージから落としかけた上の罵詈雑言の嵐に思わず真那が腰を浮かせたほどだ。

 加えて、そのタイミングでASTがアリーナの中へと侵入してきた。

 今回はここまでかな、と千璃も腰を浮かせたところ、真那が驚愕の表情で画面を食い入るように見ている。

 

「…………何故ジェシカが……?」

「何、気になるやつでもいたの?」

「……ええ、まぁ。元同僚です。ですが、どうして彼女がここに……?」

「同僚……DEMの出向社員?」

「はい。ですが、いくらなんでも日本の自衛隊の一部隊であるASTに彼女たちが配属されるなど……いや、あの社長ならやりかねませんね」

 

 目的の為なら多少のことは強引に押し通す。このあたりは千璃にも通じるものがあるが、あちらはきちんとした社会権力に則っている分タチが悪いかもしれない。

 真那としては、千璃は社会権力など通用しない相手なのでどっちもどっちだという思いもあるが。

 ともかく、ウェストコットの私兵に近い彼女たちがいる以上、単なる精霊討伐が名目であるはずはないと踏んでいた。

 そして、それは嫌な方向に的中することとなる。

 

「──奴ら、何故兄様の方へ」

「士道君が『天使』を扱えるからだよ」

「……天使、ですか? まさか、精霊たちの使うあの武装を、兄様が……?」

「そう。だからウェストコットは彼女たちを使って捕らえようとしているわけだ。中々強引な手を取ってくるもんだねぇ」

「呑気なことを言っている場合ですか! 私は出ます、武装を!」

「はいはい。ブラコンも大概にね」

 

 ひったくるようにして千璃の手から緊急着装装置をとって走り去っていく。

 千璃は一人だけになった部屋の中で椅子に座って煙草を吸い始め、真那が乱入して外国人の女と言いあっているところをモニターから眺める。

 今回は手出しをする気はない。AST側にいろいろ知られるのも面倒だし、真那と因縁がある相手なら彼女が相手をしたほうがいいだろう。真那がDEMと決別するきっかけにもなる。

 或美島に連れて行かず、時期を待ったのはこのためでもある。彼女を連れて行けばエレンとも正面から戦えただろうが、DEMが士道を狙うということを確定させ、かつ真那にとって不利益になるよう調整しなければならなかった。

 このまま連れて行かれれば人体実験の被検体にされるだけだと、彼女もわかっているだろう。

 それをさせないためには、DEMを離れて千璃と手を組むのが一番手っ取り早い。士道と手を組んでいるということも相まって、真那との協力関係はより親密なものとなった。

 

「……ひとまずは情報収集かな」

 

 どこかで見たことのあるような顔の、今回現れた精霊の少女。三十年前にはいなかったが、それでも見た覚えがあるということはそれなりに有名な人物か、それによく似た別人という可能性もある。

 今から情報を集める必要があるため、千璃はゆっくりと席を立った。

 




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