デート・ア・ライブ 千璃ホロコースト   作:泰邦

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第九話:警戒心

 霊力を纏った雨の中を弾丸が疾走する。

 弾丸もまた霊力によって形作られた理外の魔弾である以上、ASTの誇る随意領域(テリトリー)さえ容易に貫き通す。

 結果として存在するのは、狙われた隊員の絶命だ。

 弾丸は空中を高速移動するASTを正確に捉え、随意領域という壁を貫いて脳漿を街中にばらまく。赤い花を咲かせた隊員たちは皆横たわって動かなくなり、編隊飛行を続けるほかの隊員たちにも動揺が出ているのがわかる。

 しかしそれでも、散開して狙撃から逃れつつ四糸乃を追うだけしかできない。正確な位置が特定できていないのだ。

 方向だけならまだしも、正確な位置がわからないのでは対処も難しい。

 

「ヒット。計四人の死亡を確認」

『編隊機動を不規則に変えているようだ。次は四糸乃に一番近い隊員への牽制を』

「了解」

 

 高層ビルの屋上から二メートル近い砲身の銃を手繰る千璃と、その横で観測手(スポッター)の役割を果たす金髪の青年。

 青年の指示通りに弾丸が飛び、四糸乃へと向かっていた隊員の一人のCR-ユニットを掠る。それでバランスを崩したのか、やや態勢を崩して速度を落とす。

 打ち殺す絶好のチャンスではあるが、優先すべきは四糸乃の無事であってASTの殲滅ではない。

 よしのんがいない今の四糸乃は精神が非常に不安定だ。『天使』の操作にも問題が出てくる以上、一刻を争う四糸乃の防衛を優先すべきであった。

 だからと言ってAST相手に手加減する意味も意思もなく、狙える時は確実に殺すためのヘッドショットを狙う。そもそもの話、精霊の命を狙うASTを生かしておく(・・・・・・)理由が無い(・・・・・)

 

「……おっと」

 

 頭部に直撃させた弾丸はその脳漿をぶちまける──そのはずなのだが、あてられた少女が極限まで随意領域を絞り込んで壁にしたせいか、それとも牽制のために霊力を込める量を減らしたせいか、少女は頭部から血を流すだけで気絶すらしていない。

 これはまずい。四糸乃が逃げる方向は千璃が狙撃していた場所だったが中間地点にASTの隊員が複数いて壁になっているため、直接的に狙える位置ではない。

 それほど離れているわけではない以上、千璃が直接向かって止めたほうが早いと判断する。

 

「狙撃は任せるわ。適当に散らしておけば何とかなるでしょ」

『了解した』

 

 大多数のASTを引き付けることには成功した。後は四糸乃を殺そうとしている一人だけで、彼女を止めればあとは士道をけしかけるだけで十分だろう。

 ビルの屋上に設置されているフェンスは既に引き千切られており、その端からスカイダイビングでもするかのように落下を始めた。

 その途中で緊急着装装置を使ってCR-ユニット用のワイヤリングスーツを霊装の下に纏い、随意領域を不可視迷彩(インビジブル)として使うことによって正面のASTを素通りする。今もなお狙撃は続いている以上、真正面から抜けていくとは思わないだろう。

 千璃がたどり着いたときには既に一度切られた後だったものの、傷はそれほど深くない。続けて振り下ろそうとしていた刃を左手で掴んで引き止め、安堵の息を漏らす。

 

「ダメだってば。殺されると困るんだよねー」

 

 驚きに染まった表情で振り向く少女に対し、千璃は不敵に笑みを浮かべながら右手で少女の喉を掴もうとした瞬間、至近距離から強力な霊力を感じた。

 感情を爆発させた四糸乃のものだと気付くのに時間は要らず、気付いた瞬間にそれは起こっていた。

 

「う……あ、ぁ、あ、あああ、ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ──ッ!」

 

 荒れ狂う暴風と雹と化した雨は千璃とASTの少女──折紙を襲い、千璃はとっさに掴んだままの<ノーペイン>を振り回して折紙を投げ飛ばし、雹を弾いて自身も離脱する。

 四糸乃を覆うようにして形作られた吹雪のドームは他者を避け付けず、千璃と折紙の随意領域さえも凍らせようとするほど。千璃はそれに対して随意領域の密度を極限まで高めることで防ぎ、折紙は停止・再起動のシークエンスを経て逃れ出た。

 安全な距離まで離れた千璃はどうしたものかと悩むが、ことここまで至ってしまえば解決するのはASTではない。随意領域が凍らされる以上は近づくことさえできないのだから。

 不可視迷彩を再び身に纏い、千璃は密かに離脱した。

 

 

        ●

 

 

 五河士道は走っていた。

 四糸乃が再び現界したと聞き、さらにはASTと交戦までしているという。きっと彼女は今回も反撃せずに逃げてばかりで傷つけることをしないのだろうと思うと、士道は自然と拳を握っていた。

 あんなに優しい子は救われなきゃならない。不条理に殺されていい訳がないのだと、決意を新たに四糸乃のいる方向へとひた走る。

 爆発したかのような音が数度聞こえてくるが、雨の音にまぎれていて士道にはよくわからない。

 しかし<フラクシナス>はそうではないため、インカムから聞こえる琴里の声からすぐにその正体が露見した。

 

『……樋渡千璃がASTを狙撃しているわ。状況から四糸乃を守ろうとしているように見えるわね』

「四糸乃を……?」

 

 いや、それ自体は不思議ではない。千璃の能力のことも以前の映像で見て知っているし、その時もASTを容易く退けていた。

 精霊を守ろうとしているのも、彼女なりの考えがあってのことだろう。それ自体は士道と<フラクシナス>も歓迎すべきことのはずだ。

 なのになぜ、琴里はとても不機嫌そうなのだろうか。

 その理由は、すぐに知れた。

 

「……な、あ……ッ!?」

 

 雨の降る街中に誰かが倒れている。空間震警報が鳴っている以上、この場にいるのは士道かAST、精霊のどれかしかないのだが──倒れている者たちは総じて、ASTの特徴を備えていた。

 全身を覆うワイヤリングスーツとCR-ユニット。

 だがそれ以上に士道が混乱したのは──倒れている者たちは総じて首から上が存在しなかったからだ。

 あたりにまきちらされた脳漿と多量の血液。血の匂いは雨でかき消されており、血もまた雨で流されている。

 濃密な死の感覚に、一瞬士道は前後不覚になって、吐いた。

 胃の中のものをすべて出す勢いで吐いた士道は、少しだけ落ち着きを取り戻して彼女たちを見る。

 見るも無残に殺されている彼女たちだが、四糸乃がこれをやるとは思えない。傷つけることさえ厭う彼女が、ましてや殺すことなどあり得ない。

 

「……まさ、か」

『そのまさかよ。そこに倒れているのは、樋渡千璃が何の躊躇もなく頭を撃ち抜いたASTのメンバー』

 

 最悪に近い予想が当たった。

 今まで十香も四糸乃も、能動的に人を害そうとしていた訳ではないためにこのような状況に陥ったことはない。だが、可能性としては確かに存在する。

 四糸乃を守るためという大義名分のもとに仕方なく行われたものなのか、それとも自分の意思で進んで犯した殺人なのか。

 ──いや、それを考えるよりも先に気にしなければならないことがある。

 

「琴里、折紙は……折紙は、無事なのか!?」

 

 練習などと称して一度告白し、そのままの流れで付き合うことになってしまった士道だが、もしも彼女が千璃に殺されていたら士道は千璃を許せなくなるかもしれない。

 そう思いながら琴里からの返答を待つが、いつまで経っても帰ってこない。それはまるで、最悪の結果を伝えるのをためらっているようで──。

 士道は必死にインカムを叩きながら返答を催促する。

 それでも帰ってこない返事に絶望的な気持ちになる士道だったが、それゆえに正面に現れた青年のことに気付かなかった。

 

『鳶一折紙ならば無事だ。怪我をしてこそいるが、生きているか死んでいるかでいえば生きている』

 

 かつて士道に千璃を救わせようとした青年。意思を持ちながら精霊ではないと判断された青年は、琴里がいくらかの要素を加味して『千璃の天使である可能性』を示唆していた存在。

 彼とも彼女ともつかない青年は相変わらず微笑みを浮かべたまま、士道の疑問に答えるように口を開く。

 士道はそれを、呆然とした表情で聞くだけだ。

 

『四糸乃を殺されるわけにもいかないのでね。敵対するなら手加減する意味もない以上、勢力を削る意味でも殺害した』

「殺す必要は、無かったんじゃないのか……?」

『何を言う。彼女たちの力を削ぐことは君たち<ラタトスク>にとっても有益だろう』

「違う! 俺たちは、あくまでも平和的に空間震を解決するための組織だ!」

 

 そのために作られた組織なのだと、士道は琴里から聞いている。

 ならば、千璃の行う殺人はそれを阻むことはあっても有益とはならない。青年は士道の主張を聞いて嘆息した。

 あまりに幼稚な理想論。平和的に解決するのは確かにすばらしいことだろうが、それを良しとしない者たちが武力をもって戦っているのだ。武力には武力をもって応戦しなければいずれ殺されるしかない。

 まぁ、今それを論議したところで状況が変わるわけではない。

 青年がここに来たのは、そんなことを話すためではないのだから。

 

『そのあたりの議論は千璃本人とやってくれたまえ。元より興味もない──君の前に現れたのは、これを渡すためだ』

 

 青年が士道に手渡したのは一体の人形。見覚えのあるそれは、四糸乃が必死になって探していたそれで。

 驚いて目を丸くする士道だが、何か言葉を発しようとしたその瞬間に背後から雨音に交じって声が聞こえた。

 士道をシドーと呼ぶ独特のイントネーション。その少女は誰かなど、士道にとっては論ずるまでもなくすぐにわかる人物だ。

 

「十香……? なんでここに──」

「退け、シドー!」

 

 叫ぶが早いか、十香はその手に持った剣で青年へと勢いよく切りかかる。

 青年はわずかたりとも動揺することなく、冷静にその剣を避けて距離をとった。十香はシドーと青年の間に立つようにして剣を構えており、どんな状況でも士道を守ろうとしているように見える。

 微笑みを絶やさない青年は何を言うでもなく、十香は緊張した様子で剣を構えたまま硬直状態を続ける。

 

「い、一体どうしたんだよ、十香」

「シドー、こやつと何を話していた?」

「なに、って……」

 

 ふと周りを見る。

 首から上が存在しないAST隊員たちの亡骸があたりに散らばっており、その中で士道が見たこともない怪しい青年と話している。

 確かに状況だけを見れば、士道を害そうとしているようにもみえる。だが実際は邪魔だからASTを排除しただけであり、少なくとも青年に士道を害そうとする意思はなさそうに思えた。

 警戒心をあらわにする十香は、体の要所に美しい光の膜が揺れていた。

 見覚えのあるそれらはおそらく十香の霊装。手に持っている剣は<鏖殺公(サンダルフォン)>だろう。

 精神が不安定になった時、士道から霊力が逆流して一時的に『天使』や霊装の力が戻ったが、あくまで一部であるために中途半端な状態で収まっているのだ。

 

「十香、確かにこの状況だけ見れば危険かもしれないが──」

「違う。周りのこともあるが、それだけじゃないぞ、シドー」

「じゃあ、一体なんだってんだ……?」

「こやつは危険だ。なんとなくだが私はそう感じる。だからシドー、絶対に私の後ろから出てくれるなよ」

 

 ピリピリとした雰囲気のまま、振り返ることさえなく士道へ告げる。鋭い眼光は常に青年の挙動を見張っており、何をしようと見逃すまいとしているようだった。

 いつもと違いすぎる雰囲気に面食らう士道だが、十香が精霊だからこそ青年の『何か』を感じることが出来るのかもしれない。

 それがどんなものかはわからないが、少なくとも十香が面と向かって警戒心を露わにするほど危険なものである可能性は十分にある。

 

『……ふむ。やはり精霊相手には警戒が先に出るか。彼女もそうだった以上、これは最早確定事項だろう』

 

 時崎狂三と会った時も、彼女は青年のことを必要以上に警戒しているように感じた。あの時は彼女の警戒心が高いからだと思っていたが、今の十香の言葉を聞く限りだとそうでもないようだ。

 精霊から警戒を受ける存在。それは、意思を持つことも含めて単なる『天使』ではないということの証左である。青年はそのあたりのことがわかってしまう(・・・・・・・)精霊に対して何らかの対策を講じねばならないと思案するが──。

 そこまで考えて、今はあまり時間をかけるべきではないと判断した。考察は後でもできるが、今は一刻を争う。四糸乃の処遇を含めて解決できるのは士道だけだ。

 

『私のことはこの際どうでもよい。急がねば手遅れになりかねないのでね』

「手遅れ、だと? どういうことだ!」

『四糸乃がASTに襲われ怪我をしている。まさか浅いとはいえ霊装ごと傷を負わせるとは、ASTには存外優秀なものがいたのだな。早く行ってやるといい。それが最良だ』

 

 四糸乃のいるであろう方向を指さし、言うだけ言って青年は空気に解けるようにして消えていった。

 少しの間警戒したまま辺りを見回す十香だったが、青年が本当にいなくなったと悟ると息を吐いて四肢を弛緩させた。

 警戒するのはわかるが、初めて会ったはずの十香が警戒心と同時に完全な敵意まで露わにするのはなんだか奇妙にも思える。

 無論、あの青年は相当に怪しいので士道とて警戒を怠ったつもりはなかったのだが……周りの死体やら何やらと余裕がなかったのが本音でもある。

 

「……どうしてそこまで警戒したんだ?」

「……なんとなく、嫌な感じがしたのだ。ともかく、あの男とは出来るだけ会ってくれるな」

 

 士道とて会いたくて会っているわけではないのだが、反論しても仕方がないと思い頷いておく。

 これで青年関係はいいとして、次のことだ。

 士道の手には先ほど渡された四糸乃の人形。四糸乃のヒーローであるよしのんがここにあるということは、四糸乃は未だ見つけられていなかったのだろう。

 どうやって青年が見つけたのか気になるところではあったが、それは今はおいておく。

 早く四糸乃のいる場所へ向かわなければ、何が起こるかわからない。

 

「シドー、どこへ行くのだ? 避難をしないのか?」

「十香、俺はちょっと行かなきゃいけないんだ。このままだと四糸乃が危ない」

「四糸乃? ……四糸乃とは、先日のあの娘か?」

 

 十香は前に四糸乃が家にいた時、キス間際まで行ったことを覚えている。

 今もなお残る胸のもやもやに戸惑いを隠せないが、士道が四糸乃を助けに行くといったことでもやもやは痛みに変わった。

 とても、いやなかんじだ。

 その様子に気づいてか、士道は少し悩んだように目を伏せると、少しして十香の目を見て話し始めた。

 

「ああ。あの子は……あの子も、ASTに襲われてるんだ」

「ASTに……? 何故だ?」

「あの子も精霊なんだよ、十香。お前と同じで、どうしようもない理由で襲われて、自分の意思じゃどうにもならねえ力を持っちまってるから……ずっと、苦しい思いをしてきたんだよ」

「…………」

「だから頼む。力を貸してくれ。俺は、あいつと約束したんだよ──あいつのヒーローになるって。でも、俺だけじゃどうしようもないことだってある。だから、十香。……情けないと思うかもしれないが、俺に力を貸してくれ……ッ!」

 

 頭を下げる士道。その言葉を受けて目を見開いている十香。

 数秒とも、数分とも感じられた沈黙が続き、十香が大きく息を吐き出すことで沈黙が破られた。

 そうだ、夜刀神十香を救ってくれたのはこういう男だった。自分と一緒にいたせいで死ぬような思いまでしたというのに、それでもなお一緒にいてくれる特異な男だ。

 ならば、そう。四糸乃を救おうとするのもまた彼にとって当然の行為なのだろう。

 十香は士道に背を向け、四糸乃がいるであろう方向へと向いた。

 

「──あの娘を助けに行くのだろう?」

「……ッ! 十香!」

「それ以上いうな、時間が惜しい」

 

 十香は<鏖殺公>の玉座を蹴って傾け、その形を微妙に変える。

 その玉座の上に乗った十香は士道に乗るよう促し、士道もそれに続いて乗った。形としては玉座というよりむしろ不格好な船かサーフボードである。

 そのまま二人は四糸乃がいる方へと移動を始めた。

 

 

        ●

 

 

 ここまでお膳立てした以上、千璃たちの入る余地は最早ない。

 限定的とはいえ『天使』と霊装が使える十香がいる以上、ASTの相手も必要はないだろう。

 

「<ラタトスク>の方は?」

『通信妨害にやきもきしているようだ。私としては、他者の言を借りて口説き落とすなど無粋でしかないのだがね』

「まー、恋愛経験も少ない男子高校生に世界の命運かけて女の子を口説け、っていうのも無茶な話だし」

『うわべだけの言葉に何の意味がある。相手へと伝える思いを持ってこその言葉だろう』

「そりゃそうかもしんないけどさー……」

 

 千璃は過程に興味が無いといい。青年は過程にこそ意味があるという。

 士道にはいくつか選べる道があった。しかし実際には青年が通信妨害という手をもって他者の手を借りることを良しとしない状況を作り上げている。

 本来、精霊関連のことは士道には手に余る可能性が非常に高い。身体能力も頭脳も並というなら尚更だろう。

 だから、千璃としては<ラタトスク>という組織は十分に利用すべきだと思っている。青年からすれば失敗すればまたやり直せばいいというだけの話かもしれないが、そのやり直しに一体どれだけの時間がかかると思っているのか問い詰めてやりたいところだ。

 これだから長いこと生きている存在は面倒くさい。

 命の危機も当然あるし、選択ミスで精霊に心底嫌われる可能性もある。前者はさておき、後者はまだなんとでもなる範囲ではあるのだが──余り何度も使いたい手ではない。

 

『<ラタトスク>にはしばらく黙っていて貰う。精霊がこの世で生きていくための後ろ盾にはなるだろうが、それも我々の計画が成就するまでの期間でしかない』

「DEMの方も片づけなきゃいけないことあるし……まずは時崎狂三ちゃんってのと接触かな」

 

 氷嵐のドームへと足を踏み入れていく士道を視界に入れつつ、千璃はつぶやく。

 霊力を感知して凍らせる結界であり、同時に物理的に雹で敵を攻撃する嵐のドーム。通り抜けるには霊力もCR-ユニットも用いずに五メートルものドームを通り抜けなくてはならない。

 ふつうの人間なら自殺しに行くようなものだ。

 だが、士道は恐れることなくドームの中へと踏み入っていった。

 

「……あれ、本当に大丈夫なわけ?」

『<ラタトスク>の機密データに<灼爛殲鬼(カマエル)>の所有者とその霊力が封印された旨が記述されてあった。あれならば問題あるまい』

「あらま。<灼爛殲鬼>の所有者がねぇ……で、誰?」

『五河琴里。現在の五河士道の妹だ。血は繋がっていないから義妹となる──ああ、一応言っておくが、彼女はもともと人間だ』

「……なんですって?」

 

 ということは、つまり。

 千璃と同じように人から精霊へと『成った』存在だということ。

 そしてそれは、ただ単純に精霊の数が増えたことを意味するのではない。

 

「……あれの所有者はほとんど不死身だから、死ぬことはないと思ってたんだけど」

『何事も例外とはあるものだ』

 

 肉体的に死を迎え、霊結晶だけが残った結果。そしてその霊結晶を与えられた結果として生じたのが「五河琴里」という精霊なのだ。

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