FC版や小説等が混ざって改編だらけです。
ドラクエ4女勇者、乾いた一人称
私は、シノン……地獄の帝王を倒す勇者……。
はっ、お笑いね……幾ら、子供でも?
育った村の皆。
義理でも本当の愛情を持って育ててくれた両親。
姉みたいな幼馴染み。
皆に捨て石に、身代わりになってもらって生き延びた私が?
勇者って何よ?人々の望む勇者と私が当てはまるの?
一応は訓練はしてもらってたお陰で、剣と魔法は戦いの中で多少はものになったわよ?
けど、遅いのよ……何をしても、私は勇者なんかになれない、やってる事は八つ当たりよ、私は肝心な時に無力だった私自身が一番憎いのよ。
そうして、導かれし者達として私は何人かの同行人が増えて世界を回った。
それにしても、お笑い草ね……。
『デスピサロ』
私の村を滅ぼした魔族の王。
この男の住んでた村に着いた私は見たわ。
デスピサロは人間にとっては倒すべき魔王。
けどね、村に住む多種多様な種族の皆からは心底慕われていた。
進化の秘法で喋れるようにして貰った動物、悪意なんか欠片も感じない魔物、ライアンさんが出逢ったホイミンってのと同じなのかしらね。
ああ、私は見たわ……キングレオ城でライアンさんに伝言を頼んだ吟遊詩人、あの吟遊詩人から感じた気で彼のこれまでを見た。
人間になるのを夢見たホイミスライム。
ある日、ライアンさんに同行して旅を続けて、戦いの中ライアンさんを庇って命を落としたホイミンさんは、マスタードラゴンから無傷な人間の肉体をあげようか?との誘いにこう答えた。
『それより、あの人間さんを助けてあげて』
人間として生きて行くのに相応しいとされてホイミンさんは人間として転生したのだ。名乗り出ないのは何かの代価かしらね?
……それに比べたら私は、私は……こんなになるまで放置された。天空人の母は本当の父と恋して私を生んだからマスタードラゴンの怒りに触れて……残された私は地獄の帝王を倒す為の都合良い掃除屋よ、もう私には何もないわよ……怒る気にもなれない……何故か私はわかる。あの神様は、今は良くても、いずれ取り返しのつかない過ちを犯すわ……シンシアが異種族との混血だからって事で聞かされた事も含めて、何かにどうしようって気がいつの間にか消え失せた。
そして、また嫌なものを見た。
ロザリー。
デスピサロが愛したエルフの娘は、魔族の手引きで人間に拐われて惨たらしく、いじめ殺された。
デスピサロには最早、人間を滅ぼす事しか頭に無い。
手引きをしたのは、ピサロ様に魔族の王の自覚を持って欲しかったとからしいんだけど、アホね……ロザリーってのが傍らに居ればデスピサロは魔族や異種族からしたら大層な名君だったでしょうに。
ロザリー・ヒルで皆は複雑そうにしてたわね、ロザリーさんに同情しようにもデスピサロに村を滅ぼされたり国の皆を消されたりデスピサロの手先になったバルザックに父を殺されたりな面子じゃね……皆が甘い考えをしてくれた要因はロザリーさんがエルフだって事かしら?旅の中で人間と異種族の確執は目の当たりにしたからかしらね、アリーナ姫のお父さんがエルフの蜜で失った声を戻したりとかしたのが幸いね。
そう、デスピサロを倒しても他の種族との争いの芽が消える訳じゃない……それが問題だって理解せざるを得ないからかしらね。
そうして、私達は耳にした。世界樹の花を……善良なエルフになら効くらしい都合良すぎなものを……ロザリーさんが生き返れば、デスピサロ様が思い直すハズとか村の老人からスライムに聞かされて、夢物語みたいに思ってたけど、立ちよった場で大きな穴が開いて?妙な場に迷い込んで、それを手に入れたからロザリーさんに使ってデスピサロの前に連れてった。玉子やら鳥やらで揉めてたのが道を開いてくれて天空の塔を昇るまでもなくデスピサロのとこに行く道が出来たりしたし。
大層な喜劇ね、マスタードラゴンは自身の長年の無能考えるのかしら?私達がこんな事をするキッカケになったホイミンさんとかに頭上がらないんじゃない、私達の伝説とやらの語り部にさせた真意が見物よ、デスピサロは私に言った。
『お前の眼は底無しの澄んだ湖のようであり、魔界のような冷たさだ』
詩的ね……吟遊詩人を装って村に入った私を見た時、恐かったと言った。
エビルブリーストってのを始末した後に、けじめとして最後、デスピサロと剣を交えて……敢えて一太刀浴びようとしたデスピサロ……いえ、ピサロに一撃見舞わずに私は皆の前から消えた。
ロザリーさんの傍にいりゃ良いのよ、そっちの方が苦痛でしょ、思うとこがあるなら精々苦しませる方を選ぶわ。
一連の行動がマスタードラゴンへの皮肉だろうと、私には関係無いわよ……私は、私自身を許さない為に……これから馬鹿な事を続けるだけなんだから。
他種族との確執とか、主人公の境遇とか、良く言えば人間以外の種族の上に立ってたデスピサロとか……少し使えばピサロ仲間展開の批判って無かった気がする気分からの産物、但しマスタードラゴンの失態度が浮き彫りになった。