短編集(仮)   作:くまたいよう

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ご察し時期辺りのリアスアンチ系。


ラノベ系
母の望み バッドエンド間際?


冥界。

 

日本の本土程もあるグレモリーの敷地にある屋敷の一つ、そこの一室に彼女はいた。

 

赤く美しい髪をなびかせる美女、リアス・グレモリー……が、その表情は暗い。

 

扉が開き、入って来たのはリアスの髪の色を亜麻色にして多少年上にしたような女性、姉妹とすら見間違う若々しさを保つリアスの母、ヴェネラナ・グレモリーである。

だが、リアスを見るヴェネラナの顔には母としての情は一切無い……ただ哀れむような、見下すような、落胆を隠せないと言うものだ。

 

「酷い顔ねリアス……」

 

「お母様、イッセーは……」

 

「イッセー君?……いい加減に現実を見たらどうなの?彼はあるべき所へ行っただけの事よ、赤龍帝が向かうべき場にね……」

 

そう、トライヘキサを倒す為の隔離空間に兄サーゼクスや各勢力の首領クラスは赴いた……そして、魔王に主神と言った層だけではない、若き世代もイッセーを始めとして、ヴァーリ、曹操、サイラオーグと、新世代の頂上を争う戦士達も数多く旅立ったのだ。

 

「まあ、細かいところはさておき、貴女の落ち度は流石に庇いだては出来ません」

 

そう、リアスの落ち度……兵藤一誠と言う最強の兵士を得る以前に彼女の眷属には稀少な者達ばかりが集った。

 

アザゼルが言うところの、稀少な駒を自分の元に引き付けて、集った者達にどこまでも情を深く注げて、ロスヴァイセのような薄幸な者に組織人として便宜を図れる類いの王としてリアスは一種の理想ではある。

 

だが、それこそが今回の事態を招いたと言っても良い。

 

何故、自分は考えなかったのか?

 

そもそも、自分はゼノヴィアが評した悪魔の囁きのような便宜を図る保険のお姉さん等ではない。

 

……『王』

 

イービルピースを持つ王として極端に言えば、あのセラルフォーのような立ち位置を目指してイッセーではなく自分がトライヘキサと戦う立ち位置に立つべき王なのだ。

 

そのような王として、リアスは落第点だった。

 

世間が評した。リアスは王ではない……『姫』なのだと。

 

『姫』……そう、ライザーとの婚約を自分で解決出来なかった時点で、今のリアスが決定づけられた。

 

イッセーと言う、自分に都合の良い男性を求めていた惰弱な姫……女としては有り得るのだろう。

 

しかし、自分は朱乃のようにそのような存在を必要とするような生い立ちは無い……単にワガママなだけ。

 

家の都合で恋愛の自由までは失いたくはない、今思えば当時からライザーのような不良要素があるのを除いても貴族系からサイラオーグのような尊敬に値する男ではなく、自分が世話を焼かなければならない男……自分の下僕で例えれば佑斗やギャスパーのような系統でもなく、それこそイッセーのような突き抜けたおバカでどこまでも勢いのあるようなタイプを求めていた。

 

せめて自分好みの男と結ばれたい……一見正当性のあるようだが、貴族の有り様としては論外、ヴェネラナが理解してくれたのは自分はジオティクスと言う夫と巡り会えたからリアスの願望を多少は考えてやる猶予は与えた。しかし、リアスは少なくとも自分の主義主張を認めさせる程の努力をしていなかった。

 

そもそも、イッセーが『禁手』に至ったのは思春期の欲望と同時に清々しいまでに自分を求めつつイッセーなりの忠義でライザーとの婚約を破談にしてくれたのだが、見方を変えれば自分のワガママのせいで本来は不用意に至るべきではない域に駆け足で上らせた。場合によっては最悪の事態を招いたかもしれないのだと気にしてはいたのに。

 

……それを考えたら、自分が戦いの場に置いて『スイッチ姫』等と揶揄された要素を除けば、役立たず振りを積み重ねてしまう日々の始まりであり、結果的にイッセーは自分の為に強くなってくれたが、これも見方を変えれば強く『なってくれた』ではなく『ならざるを得なかった』自分の甘えの為にだ。嘗て指摘されたように、リアスは自分のワガママの為に伝説のドラゴンを使役する姫としてスイッチ姫と揶揄されるのが幸せな域に入ってしまった。

 

リアスは決して甘えていたつもりはないが、情勢と立場を考えに入れて自分の主張とイッセー達を守りたいのなら、極端に言えば、ヴァーリやサイラオーグのように家を捨てたり捨てられたりな境遇に入り、身一つで自分に降り注ぐ全てを打ち砕けるような力を得る気概と努力が必要だったが、それをやる事も無かったのだ。

貴族に生まれた運の良いだけの姫君と揶揄されるべきな甘えた小娘なのだと重い知らされた。そして、自分の長所は大なり小なり生まれた家の恩恵に過ぎないのだと。

 

何より、周りは何故考えないのだと、一年に満たない期間の間にリアスに問い続けていたのだ。

 

ライザーの件以降、レーティングゲームからして、本来全くの経験不足なリアスが戦うべきではなかったサイラオーグとまで試合が組まれ、実戦においても……極端に言えば、兄サーゼクスを始めとするクラスが積極的に事態の早期解決に出向かないで自分達が派遣されていた真の理由を。

 

そう、簡単だ。

 

『トライヘキサとの戦いを想定していた』

 

だからこそ、真っ先に出向くべき者達が積極的には前線に出なかった。曹操の持つ槍を危惧したり等は決定打に程遠かった。戦力を温存せざるを得なかったのが真相だ。

 

そして、若手を積極的に前線に送った理由は……これまた簡単だ。

 

『戦力を育てる為』

 

その点に関してサーゼクスは有事の際には前線に赴くのも厭わないと断言するサイラオーグに対して、若い君達はこれからの冥界の宝だからと諌めたが、今思えば若手を今回のような戦いに赴かせる事を必要としながらも、出来れば自分達だけで済ませたいと言う二律背反の思いで躊躇していたのだろう。

 

「サーゼクスが、イッセー君が来てしまう事を危惧してた理由が良くわかるわね、きっとこうなる事を『前科』を含めて見透かしていたのよ……幸いなのは『いたちの最後っ屁』を目の当たりにしなかった事ね」

 

「……」

 

ヴェネラナの言う『前科』と『いたちの最後っ屁』。

 

あの冥界を魔獣が荒らし回った際に、リアスは……恐らく、サイラオーグに立ち直らせてもらえなければ塞ぎ込んだままだったであろう、グレモリーの跡取りな貴族がだ。

そして、あのリゼヴィムは死に際の際にその醜聞を広めた。一度、痛い目に遭わされたファーブニルに怯えた際にやぶれかぶれで立ち上げた揺さぶり策の一つはスキャンダルには及ばないが、僅かな揺さぶりとはなった。

 

が、結局はイッセーの実績と名誉あってのもの。

 

今のリアスは遠回しに父から謹慎を言い渡されているのだ。

 

「では、失礼するわね…他の事を知りたいなら少しは自分で考えてからになさい」

 

「……」

 

ヴェネラナに伝えられた事、実はサーゼクスやイッセーとは度々連絡は取れている。

サーゼクス達からしたら、特にイッセーとサイラオーグのひたすら真っ直ぐな気質には闘志を刺激されている。イッセーは必ずトライヘキサを倒してリアスの元に帰る事を目指して戦い続けていた。ヴェネラナとしたら、ただそれを伝えてはならないと、結局は今まで通りのリアスをイッセーには会わせたくはなかったのだ。

 

「…リアス、イッセー君に出逢えた事だけは感謝なさい、私が母として望むのはアナタが自力で這い上がる事…後は好きになさい…」




風呂敷広げすぎな悪戯書き。

つまるところ、トライヘキサ関連は若い連中ばかりに任せる風潮には上手い真相として使えそうな類いからの発想した頃の試作。
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