脱獄犯(10歳)のヒーロー(には絶対なれない)アカデミア   作:yakitori食べたいね

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久しぶりに投稿。
これもFGOの七周年が全部悪いんや……!!


逃げて、逃げて、救えない

 

 

オールマイトが引退してから数日が経った。

バーで生活していた頃とは比較にならないほどの見窄らしい生活を続けていた。

 

だが平和の象徴が倒れた今、勧誘を止めることはできない。

荼毘やトゥワイスが特に勧誘を行なっている。

 

そして、トゥワイスがペストマスクをつけた男を連れてきた。

 

「見るからに不衛生だな。ここが拠点か?」

 

「ああ!いきなり本拠地連れてくかよ。面接会場ってとこ」

 

「勘弁してくれよ、随分埃っぽいな…病気になりそうだ」

 

「安心しろ、中の奴らはとっくに病気だ」

 

不満を漏らす男に対し、トゥワイスは倉庫の扉を開けながら説明をした。

倉庫の中には荼毘に黒霧、死柄木などの連合メンバー全員が揃っていた。

 

「話してみたら意外と良い奴でよ!!お前と話をさせろってよ!感じ悪いよな!!」

 

「……とんだ大物、連れてきたな…トゥワイス」

 

トゥワイスが死柄木を指差しながら言うと、死柄木は僅かに口角を吊り上げた。

すると男が不満を漏らす。

 

「大物とは…皮肉が効いてるな、敵ヴィラン連合」

 

「何!?大物って有名人!?」

 

「先生に写真を見せてもらった事がある。いわゆる筋者さ。『死穢八斎會』、その若頭だ」

 

マグネが尋ねると、死柄木が答える。

若頭にしても若すぎるほどだとは思うが。

精々20代後半程度だろう。

 

「極道!?ヤダ初めて見たわ、危険な香り!」

 

「私達と何が違う人でしょう?」

 

「よーし、中卒のトガちゃんにおじさんが教えてあげよう。昔は裏社会を取り仕切る恐ーい団体がたくさんあったんだ。でも、ヒーローが隆盛してからは摘発・解体が進みオールマイトの登場で時代を終えた。尻尾を掴まれなかった生き残りは、敵ヴィラン予備軍って扱いで監視されながら細々生きてんのさ。ハッキリ言って時代遅れの天然記念物」

 

トガが尋ねると、Mr.コンプレスが答える。

完全に煽りに入った口調だったが、意外にも男は特に反応を見せることはなかった。

 

「まぁ、間違っちゃいない」

 

「それでその細々ライフの極道くんが何故ウチに?あなたもオールマイトが引退してハイになっちゃったタイプ?」

 

「いや…ヒーローよりもオールフォーワンの喪失が大きい。裏社会の全てを支配していたという闇の帝王…俺の時代じゃ都市伝説扱いだった。だが老人達は確信をもって畏れてた。死亡説が噂されても尚な。それが今回実体を現し…監獄へとブチ込まれた。つまり今は、日向も日陰も支配者がいない。じゃあ次は、誰が支配者になるか」

 

男が言うと、死柄木は不機嫌そうに答える。

 

「……ウチの先生が誰か知ってて言ってんならそりゃ…挑発でもしてんのか?次は俺だ。今も勢力を掻き集めてる。すぐに拡大していく。そしてその力で必ずこのヒーロー社会をドタマからブッ潰す」

 

すると、オーバーホールが死柄木に尋ねる。

 

「計画はあるのか?」

 

「計画?お前さっきから…仲間になりに来たんだよな?」

 

「計画のない目標は妄想と言う。妄想をプレゼンされてもこっちが困る。勢力を増やしてどうする?そもそもどう操っていく?どういう組織図を目指してる?ヒーロー殺しステインをはじめ、快楽殺人のマスキュラー、脱獄死刑囚ムーンフィッシュ、どれも駒として一級品だがすぐに落としてるな?使い方がわからなかったか?イカレた人間十余人も操れないのに勢力拡大?コントロール出来ない力を集めて何になる。目標を達成するには計画がいる。そして俺には計画がある。今日は別に仲間に入れて欲しくて来たんじゃない」

 

「トゥワイス…ちゃんと意志確認してから連れて来い」

 

男が言うと、死柄木はトゥワイスに文句を言った。

すると男が提案してくる。

 

「計画の遂行に莫大な金が要る。時代遅れの小さなヤクザ者に投資しようなんて物好きはなかなかいなくてな。ただ名の膨れ上がったお前達がいれば話は別だ。俺の傘下に入れ。お前達を使ってみせよう。そして俺が次の支配者になる」

 

「帰れ」

 

オーバーホールの提案を死柄木は却下した。

すると、マグネが布に包まれた巨大棒磁石を取り出して構える。

 

「ごめんね極道くん。私達誰かの下につく為に集まってるんじゃあないの」

 

マグネが個性を発動すると、オーバーホールが巨大磁石に引き寄せられる。

 

「こないだ友達と会ってきたのよ。内気で恥ずかしがり屋だけど、私の素性を知っても尚友達でいてくれた子。彼女言ってたわ。『常識という鎖に繋がれた人が繋がれてない人を笑ってる』、何にも縛られずに生きたくてここにいる。私達の居場所は私達が決めるわ!!」

 

そう言ってマグネは男の頭を磁石で殴った。

その瞬間、男は左腕を振りかぶった。

 

「マグネ!離れろ!」

 

久しぶりに出た声だった。

大事な物を取られたくなかった。

 

だが間に合わない。

マグネのその早すぎる判断力、行動力が悲劇を生んだのだ。

 

左手の指先でマグネの左腕に触れる。

すると次の瞬間、マグネの上半身が消し飛んだ。

それを見ていた4人が目を見開き、マグネの血がボタボタと落ちる。

 

「先に手を出したのはお前らだ」

 

「マグ姉ー!!!?」

 

男が血を浴びながら立ち上がるとトガが叫ぶ。

服に血が付いた男は、不快そうに服を擦っていた。

 

「ああ汚いな…!!これだから嫌だ」

 

すると、Mr.コンプレスが男に飛びかかる。

 

「待てコンプレス!」

 

Mr.コンプレスは、男を圧縮しようとした。

だが、左肩を何かで撃たれ“個性”が発動できなくなる。

Mr.コンプレスの左手の指先が男の左腕に触れると、男は顔に蕁麻疹を発生させてMr.コンプレスを睨む。

 

「触るな」

 

そして、そのまま手を払い除けるとMr.コンプレスの左腕が吹き飛んだ。

 

「ってえええ!?」

 

Mr.コンプレスが尻餅をつきオーバーホールが腕を擦っていると、死柄木がオーバーホールに触れて身体を破壊しようとする。

すると、オーバーホールが咄嗟に叫ぶ。

 

「盾っ」

 

その直後オーバーホールの前にペストマスクの男が現れ、代わりに男の身体が破壊される。

 

 

「うぐっ…!」

 

「危ないところでしたよオーバーホール」

 

すると弾丸のようなものが飛んできたため、死柄木は大きく後ろへ跳んで回避した。

 

「なるほどーーー…ハナからそうしてりゃ幾分わかりやすかったぜ」

 

すると、倉庫の壁を破壊してペストマスクの男達が現れる。

 

「待て、どこから!!尾行はされてなかった!!」

 

「大方どいつかの個性だろう」

 

「遅い」

 

「一発外しちゃいやした…しかし即効性は十分でしたね」

 

オーバーホールと呼ばれた者の横に立つ男は、Mr.コンプレスを撃ったと思われる拳銃を持っていた。

 

「穏便に済ましたかったよ、敵ヴィラン連合。こうなると冷静な判断を欠く。そうだな…戦力を削り合うのも不毛だし、ちょうど死体は互いに一つ…キリもいい、頭を冷やして後日また話そう。腕一本は負けてくれ」

 

「てめぇ殺してやる!!!」

 

「弔くん、私刺せるよ。刺すね」

 

トゥワイスとトガはマグネとMr.コンプレスの仇を討とうとする。

だが、死柄木は二人をを止めた。

 

「………駄目だ」

 

「責任取らせろ!!!」

 

スピナーがそう叫ぶ。

 

「賢明だ、手だらけ男」

 

「すぐにとは言わないが、なるべく早めがいい。よく考えてみてくれ…自分達の組織とか色々…冷静になったら電話してくれ」

 

そう言ってオーバーホールとその部下たちは去った。

彼らの連絡先が記された名刺を残して。

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

マグネを殺されたというのに僕は怒り狂ったりはしていなかった。

どんどん自分が変わっていく気がする。

僕は僕のことが嫌いなのかも知れない。

 

 

僕はマグネのことを気に入っていたはずだったんだけどなぁ、と考えた。それはたぶん、恋愛感情とかそういうものではなくて、たとえば、仲の良い友達に対する好意に近いものだったんじゃないかと思うけど……。

いや、どうだろう? わからない。

僕は自分の気持ちが自分でもうまく理解できないでいた。

「…………」

まあ、いいか。

そんなことは今さら考えても仕方がないことだ。それよりも今はもっと大事なことがある。

 

そうやってすぐに切り替えられらところは僕の美点なのかも知れない。少なくとも、あの逃げ出した日と逃げるために決意した日に、僕の中で何かが決定的に変わってしまったことだけは間違いないのだけれど、その変化に対して、僕は驚くほどあっさりと順応してしまっていた。

それはそれで問題なのかな、とも思う。

 

 

 

遠くで誰かが僕を呼んでいる。

おいでおいでと呼ぶ声の裏で嗤いが隠されているような気がした。

 

そんな夢を見た。

 

 





そういえば無事コロナ感ッ染ッッッ!
初めてかかったけどインフルのが辛いなこれ。
あっ一応ボーイズラブタグ追加しました。
保険です

メインヒロインは?

  • 王道ツンデレ系ヒロイン相澤先生
  • アツアツ系ヒーローエンデヴァー
  • いつも仲良しマグネちゃん
  • 頼れる保護者枠義爛さん
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