特級過呪亡霊バラライカ   作:GRC

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2.懐玉、あるいは彼女の金科玉条(前編)

 ()()()は雑多な文化が入り混じるタイはサータナム・ストリートにレンガ造りの古式ゆかしい洋風建築を構えていたブーゲンビリア貿易は、()()()では再開発目覚ましい六本木に相応しいモダンで硬質なビルを本拠としている。近年の土地再開発事業の目玉である高層の複合商業施設がにょきりと突き出ている様が、すぐ傍の視界に入る。地価は相当なものだろう。

 ありとあらゆる非同法な利益追求手段に手を染めているマフィアであるバラライカたちが、どうやってこの地に堂々と居座れているのか、そもそも彼女は一体何者なのか。

 彼女のもとを訪ねて通されたオフィスの応接室で、一級呪術師の夜蛾正道は何とはなしにぼんやりと考えていた。

 本革のソファに沈み込む身体と一緒に、思考も過去の記憶に沈み込んでいく。

 夜蛾が彼女と出会ったのは十年前。あの日は珍しく都内でもうっすらと積もるほど雪が降っていた。白に覆われた玉砂利、枯山水の岩肌の黒、そんなモノクロの世界に鮮烈な赤が立ち昇る。

 あの瞬間だった。冥府から亡霊が来てしまったのは。

 寒さや痛みにではなく、何もかもを破壊し尽くさんほどの怒りに身体を震わす彼女の瞳、その奥底には煉獄の炎が―――

 

「珍しいじゃない、貴方がアポ無しで来るなんて」

 

 バラライカの気安い声で、夜蛾の意識は現在に引き戻された。

 肩に掛けていたコートを斜め後ろに控える大男、副官のボリスに預けた彼女は、幾分かくつろいだ様子で夜蛾の向かいのソファに腰を下ろす。懐のシガーケースから葉巻を取り出すと、シガーカッターで吸い口を切る。すかさずソファの後ろで直立待機していたボリスが、杉のマッチを擦って火をよこした。

 バラライカがじっくり味わうように吸い、吐き出す。彼女が最初の一口を終えるのを待った夜蛾は、挨拶をすっ飛ばして突然の訪問の理由を告げた。

 

「天元様からの依頼だ」

 

 日本の呪術界を、強力な結界術で()()()()支えている天元。彼が持つ不死の術式に付随する重要な儀式を直前にして、儀式の要である星漿体の所在が敵対組織に漏洩した。

 天元は星漿体の護衛に夜蛾の教え子である五条悟と夏油傑を指名した一方で、かつて密約を結んだバラライカへ事態収拾の協力を要請したのだ。

 

 バラライカは誰よりも天元の結界を必要としており、同時に誰よりもそれを嫌悪している。

 彼女は不快に歪めた顔で応答するだろうという夜蛾の予想に反して、バラライカは淡々と、いやむしろ少し愉快そうに口の端を上げた。

 

「星漿体の件でしょう?」

「なぜ、」

「別口で話を持ち込まれたの。おおかた、五条の坊ちゃんに手柄を取られるのが面白くないとか、そういうくだらない動機でしょ」

「しかし、それでおとなしく話を飲んだのか?」

 

 御三家の一角である五条に権力が傾くのをよしとしない勢力は簡単に思い当たるが、呪術界の古狸たちとバラライカたちの相性は最悪と言える。いくら報酬を積まれても、彼女が素直に仕事を引き受けるとは考えられなかった。

 夜蛾の疑問に、バラライカが鼻白む。

 

「お前は()()()()()だろう」

 

 冷ややかな視線とともに、バラライカは投げやりに言葉を返した。

 彼女の言うとおり、夜蛾は彼女が()()()に来た場に居合わせ、どうして今なお()()()()()()のかも、知っている。

 呪術師でいるには人が良すぎる部分のある夜蛾は、心の片隅で感じるバラライカの()()への同情を否定できない。

 ばつが悪そうに身じろぎする夜蛾を一瞥したバラライカは、小さく鼻で笑うと、すぐに元の調子に戻った。

 

「ま、利害の一致ってやつね。こちらとしてもちょうど欲しかったのよ、宗教法人。この国の法律、宗教には色々と甘いじゃない?」

 

 バラライカはまるで新しい家電でも買うかのように軽々しく口にしてのけた。

 その気軽さに反して、彼女の発言が含む意味は重い。夜蛾は一瞬にして背筋が凍った。

 

「待て、盤星教は全員非術師だ、私たちが手を出すのは―――」

()()()?お前たちと我々を一緒にしないでもらいたい」

 

 彼女の左半面だけの美貌は、人間でいうところの笑みの形をとってはいるが、禍々しさに満ちていた。

 たとえ火傷によって無惨に引き攣らせた右半面がなくとも、この微笑がかもす狂気は変わらないだろう。

 

「我々の力はお前たち呪術師のそれとは比べ物にならん。我々は軍隊なんだよ、夜蛾」

 

 バラライカがボリスに右手を向けると、忠実な副官は恭しく上官の手に携帯電話を差し出した。折りたたみ式の携帯を片手で開いたバラライカは、真っ赤なマニキュアに彩られた指で数度ボタンを押す。

 

「それを今から―――見せてやろう」

 

 携帯電話を耳に当てたバラライカは、通話先の相手に母国語で端的に指示を出した。

 

Это я.(私だ)―――Все на месте?(配置についてるな)Хорошо.(よろしい)

Отлично.(万全だ)Приступайте.(始めろ)

 

 通話を終えた彼女が、両手を合わせるように携帯電話を折りたたむ。それと同時に、腹の底から響く、重く大きな爆発音が轟き、足下は小さな揺れが襲った。

 

「お前たちか」

 

 夜蛾のサングラス越しの鋭い視線にも、バラライカは一向に怯まない。にやにやといやらしく口元を歪めている。

 モダンなオフィスビルらしい全面ガラス越しの外の景色に夜蛾が素早く目を向けると、林立するビル群の中から一筋の黒煙が立ち上っていた。

 

「そう。Q、と言ったか?呪詛師集団のアジトを手始めに吹き飛ばした。安心しろ、盤星教には()()手を出してない」

「こんな街中で!?何を考えて―――」

呪術(まじない)で威嚇など、話にならん。初陣で威力を見せつける。これが我々の示威行動だ」

 

 彼女の白磁の肌に浮かぶ、真紅のルージュが引かれた唇が、破滅の始まりを告げる。

 

「我々は、立ち塞がるすべてを殲滅する―――そのために、ここに居るんだ」

 

 愉悦をたたえるバラライカの瞳の奥に、夜蛾は煉獄の炎を見た。

 

 

 呪術界の礎たる天元に危機が迫ろうと、()()()()()()()()()亡霊が舌なめずりして破滅をもたらさんとしていても、呪霊は待ってくれない。

 天元の遣いでブーゲンビリア貿易を訪れた夜蛾は、その足で呪霊祓除の任務に就いていた。

 

 仔馬ほどの大きさの蛙のような呪霊が、夜蛾の呪骸につられて跳び上がる。

 敢えて呪力を絞り、気配を消していた夜蛾は、獲物に気を取られてがら空きになった呪霊の腹に拳を撃ち込んだ。

 目や口、鼻といった穴という穴から血飛沫を吹き出した呪霊は、断末魔を上げて地に臥した。

 最後の呪霊を祓除したことで、帳が上がる。

 電波が復旧した携帯電話に早速着信が入った。星漿体護衛の任務中である五条悟からである。

 

「どうした、悟。無事か?」

『ブジもブジ。Qとかいうアホみたいな格好した呪詛師連中が襲ってきたけど、ちょっとボコったら秒で片付いたし』

 

 呪詛師集団Qが大人しく引っ込んだのは、バラライカが彼らのアジトを木っ端微塵にしたからというのが真相だろうが、夜蛾は黙っていた。つい先日も帳を下ろし忘れ、悪びれる様子もなく非術師への配慮を不要と切り捨てる五条には、悪影響がすぎる。

 バラライカたちがやらかした件で多くの補助監督が火消しに奔走しているが、爆発の原因は呪術ではなくTNT爆弾だ。痕跡がしっかり残っている上に、白昼の街中での出来事で目撃者も多い。五条の時と同じようにガス爆発で片付けるわけにもいかず、表向きは暴力団の抗争ということになっている。(あながち間違ってはいないが。)

 

『それより、天内がガッコー行くって聞かねえんだよ』

「なら、そのまま学校で護衛を継続しろ」

『はぁ!?さっさと高専戻った方が安全でしょ!!』

「そうしたいのは山々だが、天元様からのご命令だ。天内理子の要望には全て応えよと―――」

 

 夜蛾はまだ話を続けるつもりだったが、五条は何も言わず通話を切った。受話口から聞こえる無機質なビジートーンに、夜蛾の口から重いため息が出る。

 ()()()()やり合えば、一級呪術師の夜蛾ですら五条には敵わないだろう。数百年ぶりの六眼と無下限呪術の抱き合わせは、それほど強力だ。その強い力ゆえに、五条は常に周囲を彼の顔色を伺う人間に囲まれて生きてきた。当然、彼の中に協調性や社会性は育まれず、剥き出しの傲慢が根付いた。

 入学当初から比べると、夏油という無二の友を得たことで随分と角が取れてきたとは思うが、まだまだ問題児のままだ。

 このまま、何事もなく任務が終えることができればいいのだが。

 

 

 午前七時を少し過ぎた五つ星ホテルの喫茶ラウンジは、静謐でありながらも適度な雑音が耳に心地よい。

 普段はどうやっても目立ってしまうバラライカの金髪碧眼も、ボリスの見上げるほどの巌のような体躯も、世界中から集まる観光客やビジネス客に紛れて、背景のようにそこに溶け込んでいた。

 

 バラライカはティースプーンでジャムを一匙掬うと、それを直接口に含んだ。口の中に広がる甘ったるさを、熱い紅茶で流し込む。

 ロシアでは、砂糖の代わりに紅茶にはジャムを添える。濃く煮出した紅茶を、サモワールと呼ばれる湯沸かし器から注いだ熱湯で割って飲む。熱々の紅茶を冷まさぬように、ジャムは直接舐めながら楽しむのが、本場のロシアン・ティーだ。

 極寒の生まれ故郷で身についた癖が抜けないのか、イギリス式のポットから注がれた紅茶を、ロシア式で味わう上官の様子に、思わずボリスは声を掛けた。

 

「ロシアン・ティーなら別に用意させますが」

「いや、手間がかかるのはご免だ」

「ではトーストは」

「食べたいか?軍曹」

「いえ、自分はけっこうで」

「朝食は抜くな、体に悪い」

 

 体が資本となる軍人として、常であれば二人ともこの場で朝食を口にしているところだ。しかし、同じ(テーブル)に着く不愉快な客人の顔により食欲が全く失せてしまっていた。

 呪術界上層部からの遣いだと宣ったその男は、朝から肉汁のしたたるミディアムレアの牛フィレステーキを口いっぱいに頬張っている。ナイフとフォークに不慣れなのか、はたまた目の前の二人をそこらのチンピラと侮って態となのか、陶器と金属のぶつかる音が耳障りだった。

 

 バラライカは男の存在を無視して、副官に状況の報告を促す。

 

「―――さて、軍曹、状況の推移を説明してくれ」

「は、昨夕から攻撃対象をQの残党が潜伏した地下祭壇(サバト)へ変更。二件を撃滅、損害なし。痕跡は、消毒済みであります」

完璧(スパシーバ)だ、軍曹。星漿体は?」

「昨日一一○○時、闇サイトで天内理子への懸賞金が発動。対象が星漿体と知らず、金に釣られた呪詛師が散発的に襲撃を試みるも、五条、夏油が対処、星漿体は無事です。一三三○時に星漿体の世話役が拉致され、二一○○時に身柄の引き渡し場所として沖縄が指定されました。星漿体は五条、夏油らとともに本日○六一五時成田発の便で人質奪還のため沖縄に向かっています」

「懸賞金の依頼元は?」

「同額の資金が盤星教の裏口座から引き出されていた事を確認。加えて会長のプライベートジェットが事前のフライトプランを無視して昨日二○五○時に那覇空港へ着陸しています。盤星教が絡んでいることは確実ですが、人質拉致の実行犯の正体については、まだ調査を進めているところで……」

「情報の確度は生死を分ける。迅速に調べを進めろ」

 

 バラライカは戦術として星漿体の護衛には直接加わらず、敵勢力への攻撃を選択していた。そもそも、()()五条が星漿体に付いているのだ。遊撃隊(ヴィソトニキ)の投入は過剰戦力と言える。

 呪詛師集団Qは行動も分かりやすく、壊滅は容易かった。洋の東西を問わず、あの手のならず者気取りはバラライカたちにとって赤子の手よりも脆い。

 対して盤星教の意図ははかりかねていた。端金(はしたがね)で十把一絡げの野良呪詛師をけしかけては蹴散らされ、素人の片手落ちの計画かと思いきや、上手く星漿体を遠方へ誘き寄せている。狂信者ゆえの破綻が成せる業か、それとも隠蔽された意図が裏にあるのか。

 優秀な指揮官として、戦局を分析するバラライカの耳に、不愉快な雑音が入ってくる。

 

「ふん、流石だな、バラライカ。天元様もあんたに一目置くわけだ。仕事も話も早くていいな」

 

 居丈高な男の態度に、バラライカの眉がぴくりと跳ね上がる。一口、口に含んだ紅茶の(ぬる)さも、彼女の不快指数を上げた。

 

「……誰の尻拭いをしていると思っているのかしらね。泣きついてきたのは上層部(そちら)でしょう。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 仕事の進捗を尋ねてきた男に、報告を聞かせてやるという体裁は整えてやった。もうこの場に用は無い。立ち上がったバラライカの肩に、ボリスが素早くコートをかける。

 

「とにかくこの事態を片付けて、私は自分の仕事に戻りたいの。呪術界(あなた達)にかかずらっている暇なんてないのよ」

 

 呪術師とも呼べないヤクザ者の、こちらを歯牙にも掛けない態度は男のプライドに傷をつけた。立ち去ろうとするバラライカの背中に向かって、怒りに震える声で言い放つ。

 

「……調子に、調子に乗るんじゃねぇぞ、バラライカ。俺だって禪院の血筋だ。御三家に顔がきいて、上層部でもそれなりの地位なんだぞ」

「あら、ご免なさい。腕より金で昇った人は、印象が薄くてねぇ。忘れないよう、万札に名前を書いておかなきゃ」

 

 ちらりと顔だけで振り返ったバラライカの、凍てついた視線が男を貫く。男はぎくりと一瞬身を強張らせたが、羞恥と憤怒が彼の口を動かした。

 

「……吠えやがれ、軍人崩れの雌犬が!」

 

 バラライカは小さく嘆息し、それからやおら男へ手を伸ばす。するりと滑らかで、全く作為を滲ませない自然な動作だった。男は前髪を捕まれるその瞬間まで、彼女の意図に気付けなかった。バラライカは掴んだ男を軽々と持ち上げ、テーブルの上にその上半身を勢いよく叩き付けた。

 

「忠告だけしておく。私が()()()の世で我慢ならんものが二つある。一つは冷えたブリヌイ、そして間抜けな呪い師(ラスプーチン)もどきのクソ野郎だ」

 

 突然の暴力に圧倒され、細く喘ぐ男の顔にバラライカは鼻面を寄せた。覗き込んだ男の目に浮かぶ隠しきれない恐怖の感情を、欠片も逃すまいと彼女は至近距離でじっくりと堪能する。

 彼女は犬歯をむき出しにして、歪な笑みを浮かべていた。その薔薇の唇は、地獄の声をつむぐ。  

 

「困ったものだ、そうだろう?弾にだけは当たらんよう、頭は低く生きていけ」

 

 言葉の真意とは裏腹な、やわらかな囁きだった。

 男は、ようやく目の前の女の正体を思い知り、固定され動かない首のかわりに目で頷いた。

 

 

「事前告知の無い帳が下りている?」

 

 星漿体(天内理子)世話役(家族)である黒井の奪還のために、沖縄へ向かう五条たち一行の足の確保や、七海と灰原の現地派遣というバックアップを終え、夜蛾がようやっと一息ついたのはを正午を少しまわった頃だった。

 星漿体を狙う呪詛師集団Qは、昨晩のうちに遊撃隊に残党も掃討され、完全沈黙。補助監督たちにはバラライカたちの次なる標的となる盤星教を監視するよう指示が出されていた。

 そんな折、数多くある盤星教の関連施設のいくつかで、帳を確認した窓から複数連絡を受けた補助監督が、夜蛾へ報告に来た。

 

「現場近くの補助監督が確認したところ、帳の効果は非術師への認識阻害のみ。帳への出入りに制限は無く、呪術師であれば中の様子も容易にうかがえるそうです」

「対非術師に縛ったステルス効果か」

「昨日の爆発騒動に加えて、Q残党への銃撃事件もあり、警察の警戒は相当跳ね上がっています。十中八九、帳は遊撃隊が警察避けのために下ろしたものかと」

「上層部の指示は?」

「……引き続きの監視と、帳内での非術師への()()()()使()が確認された場合のみ介入せよと」

 

 呪術規定の9条で定められているのは、あくまで呪術、呪霊または呪物を用いて非術師に危害を加えないことと、それらの脅威を看過して非術師に危害を及ぼさないことだ。

 バラライカたちが盤星教(非術師)を現代兵器で攻撃しようが、呪術師にそれを助ける義務はない。

 規定の隙間を上手く利用して、目の上のたんこぶである盤星教を潰したい上層部の意図が透けて見える。

 

「夜蛾一級術師、我々はこのまま指をくわえて見ているしかないのでしょうか?」

 

 補助監督のすがるような視線に、夜蛾は静かに首を横に振った。

 

 ―――夜蛾の頭には、昨日訪れたブーゲンビリア貿易での一幕が過っていた。

 暴力団でも無い一般の非術師への害意を隠そうともしないバラライカへ、夜蛾は一応の牽制を入れたのだ。

 

『もし我々がお前たちの盤星教襲撃を阻止する場合―――』

『……「そういう寝言を言ってきたら」という、仮定の話で言えば』

 

 バラライカはことばを区切り、葉巻の灰を灰皿へと落とした。

 

『目標に一つ、名前が増える。仕事も何も変わりなし、世はこともなし。それだけのこと、よ』

 

 事も無げに言い放つバラライカの冷めた瞳と、その奥に臥せる苛烈さは、夜蛾に警告を告げていた。

 

 

 遊撃隊が同時多発的に展開した無告知帳に紛れ、都内の老舗料亭にもひっそりと帳が下りていた。

 

「駄目です、外部に全く連絡が取れません」

 

 帳の中には、今朝バラライカにねじ伏せられた男が、部下たちと共に閉じ込められていた。

 呪術師とも呼べないヤクザ者と侮っていた女にやり込められた、などと馬鹿正直に報告するはずもなく、男はバラライカたちは大人しく自分の言うことを聞いていると上層部に嘯いた。都合の良いホラ話で上層部の老人からのおぼえもめでたく、景気付けに酒でも呑むかと馴染みの料亭へ繰り出していたのだ。

 そこへ、突然の帳が下りた。

 通信は遮断され、外に出ることは叶わない。

 

「もう一度だ。つながるまで掛け直せ」

「し、しかし帳のせいで電波が入りません。帳を解除する条件を探した方が……」

 

 部下の()()に、男の苛立ちが限界を迎える。肴のきんぴらを食べていた箸に呪力を込めると、やにわに立ち上がり、部下の手のひらに突き立てた。

 

「てめぇ誰に物言ってやがる?俺が「もう一度」と言ったら、「もう一度」なんだ。焼酎流し込んで片手間で低級呪霊(雑魚)祓ってるだけのクズどもめ。たまには俺の役に立つことをやったらどうだ?」

 

 部下の手のひらを容易く貫通した箸を、男はさらに痛めつけるようにぐりぐりと左右に揺らす。部下の苦悶する声に、他の取り巻きたちも固唾を飲んだ。

 しかし、こんな事をしていても、事態が解決するわけではない。男は箸から手を離すと、どかりと腰を下ろした。あぐらをかいた足に肘をつき、顔を覆う。

 後悔が、男の口を滑らせる。

 

「くそっ、くそ、くそ、クソッ!()()()デタラメ抜かしやがったな。星漿体の情報が漏れても大したことにはならねぇんじゃなかったのか……!」

「旦那様、あの男とは?いったい今何が起きてるんで……?」

「……()()()は言ったんだ。天元様の同化の儀式が危ぶまれたところを、バラライカを使って解決すれば、俺の上層部での地位も盤石になる。簡単なマッチポンプだってな」

「上はこのことを―――」

 

 部下のことばは、突如彼らを飲み込んだ()()()にかき消された。

 忌避感を呼び起こすカサカサとした音を発しながら、波はねっとりと纏わり付くように男と部下たちを黒く染め上げる。まるで巨大な粘菌のようだが、それは小さな虫の集合体だった。

 ぬらりと黒光りする上翅に、長い触角、人が最も嫌悪する虫―――ゴキブリだ。

 無数のゴキブリたちが人間たちの肉を食い破ると、ものの数秒で骨だけが残った。獲物を食い尽くした黒く小さな捕食者たちは、通気口や畳の隙間から散り散りに去って行った。

 

「あれ、骨が残っちゃってる」

 

 障子が開き、青年が入ってきた。グレーの()()()のスーツに、無地の白いYシャツ、紺の無難なネクタイを合わせている。

 服装だけ見れば、どこにでもいる平凡なサラリーマンのような出で立ちだ。だが、その額には()()()が真っ直ぐ真一文字に走っている。人の良さそうな柔和な顔立ちに、それはちぐはぐな印象を与えていた。

 

「ねえ、(コレ)は食べないの?―――黒沐死」

 

 青年が振り返った先、小さな池泉庭園にぽつねんと異形が佇んでいた。黒く長いローブのようなもので全身を覆い、唯一むき出しの顔面は昆虫のような形をしている。複眼には人間のような瞳がいくつもぎょろりと蠢き、長い触角が左右に三本ずつ、目と頬、顎から伸びていた。

 

「私ハ、鉄ノ味、ガ好キ」

 

 異形―黒沐死は、男でも女でもない不思議な声で、途切れ途切れに答えた。ゴキブリは雑食で知られているにも関わらず、ゴキブリの呪霊である黒沐死は肉を好む偏食家であるようだ。

 

「はあ、もういいよ。()()

 

 青年が嘆息すると、黒沐死はするりと彼の手のひらへと吸い込まれていった。彼は転がる人骨を眺めながら「うーん、困ったな」と、無感動につぶやく。()()()そんな感情を浮かべていないのだが、()()()()()()()癖のようなものだった。権力に媚びを売るしか能の無い呪術師がいくら死のうと、その亡骸がどうなろうと、彼の眼中にはない。既に用済みだ。

 

 ()()は、天元が最も無防備になる同化の儀式を永く待ちわびていた。

 呪術界上層部の情報を探り、御しやすい男をそそのかして、星漿体の情報を漏洩させた。だが、その程度では儀式は、因果は揺るがないことは、()()()()()()()()()

 案の定、天元は星漿体に六眼の護衛を付けた。ゆえに、青年は今は骨だけになっている男を使って、バラライカという()()()()を投入した。

 天元の結界を必要とするバラライカは、儀式の邪魔者を次々に排除している。当代の六眼は未熟で、星漿体に情を移している。このまま事が運べば、星漿体をめぐって、バラライカと六眼がぶつかる。

 バラライカが勝てば、天元と星漿体は同化するが、六眼は殺される。六眼が勝てば、六眼は星漿体を逃がし、同化は失敗する。

 どちらに転んでも、損はない。

 

 頭をかいた青年は携帯を取り出すと、電話帳をたどって一つの番号を呼び出した。人骨の引き取り先の()()を思い付いたのだ。

 

「あ、いつもお世話になってます。岡島です。今、お電話よろしいですか?組屋さん―――」

 

 青年は、その装いに相応しいホワイトカラーのビジネスマンのような口調で通話を始めた。さっきのつぶやきと同様、このビジネスマナーは青年の()()()()岡島緑郎に染みついたものだった。

 

 

「畜生!いかれてやがる!こんなこと有り得るか!」

 

 自ら駆るアウディA8セダンの車内で、盤星教代表役員の園田は宗教者にあるまじき罵詈雑言の限りを尽くしていた。

 夜半の中央自動車道は、大型トラックがまばらに走っている。八気筒エンジンを全開でうならせ、トラックを次々と追い越しながら、園田は羽田空港へと向かっていた。何度か速度違反取締装置(オービス)のフラッシュが閃いたが、そんなものに配る気は残っていなかった。

 

 真っ昼間から堂々と下りた帳が、都内の盤星教の施設を覆い隠しても、信者たちは何も気付かなかった。信者たちは皆非術師で、呪力による結界である帳は認識出来ない。誰の出入りも制限せず、非術師の認識のみを阻害する帳は、静かに、しかし確実に盤星教の施設を外の世界から隔絶させた。

 

 そうして()()()()が確立すると、遊撃隊は実に鮮やかな手際で動いた。

 

 彼らは、盤星教幹部たちの家族を誘拐、拘束すると、信者たちの目の前で幹部たちに身代金と盤星教の法人格の引き渡しを要求したのだ。

 天元を唯一絶対の一神教とする盤星教の信者は、(天元)家族(それ以外)を天秤にかけるなどもっての他だ。だが、幹部たちは違う。喜捨である献金が非課税なのをいいことに、さんざん私腹を肥やしてきた彼らにとって、もはや教義に身を捧げるという信心は形骸化している。

 幹部たちは神への信仰など欠片も見せず、みっともなく遊撃隊に縋り、命を乞うた。

 

 バラライカはそこまで見越して、部下に命じていた。

 決して幹部は殺さず、その生殺与奪は信者たちに決めさせろ、と。

 

 信者たちにとって、幹部はもはや彼らを教え導く者ではなく、卑しい背叛者に成り下がった。星漿体(少女)の死を望むメンタリティの盲信者が、そんな罪人の存在を許すはずがない。

 一人が幹部に殴りかかると、あとはたがが外れたように暴力の輪が形成され、あっという間に集団私刑(リンチ)になった。

 各地の施設にいる幹部陣が同じやり口で排除されると、次いでバラライカがあらかじめ()()を付けた信者たちが名乗りをあげた。

 

『盤星教の腐敗しきった現状を見過ごせず、やむを得ず外部の協力者の力を借りて強硬手段に出た。旧体制を打倒した今こそ、我らは変わるべき時なのだ』

 

 かくして盤星教幹部陣の首はすげ替えられ、バラライカは便利な宗教法人(フロント団体)を手に入れた。

 

 

「あの女……呪術師のくせに非術師である我々の教団を乗っ取りやがった!魔女め!心臓を釜で煮られるがいい!」

 

 呪術界の存在も知る教団代表役員の園田は、いち早く帳の存在を気取って命からがら逃げ延びていた。当然、遊撃隊の所業について呪術界に抗議もした。

 しかし呪術界の上層部は「帳は直接的に信者たちに害をなしていない」だの「遊撃隊は呪術でもって攻撃を行っていない」だのと、のらりくらりと言い訳して、不介入を決め込んだ。星漿体暗殺を目論んだ盤星教への、呪術界からの報復的措置であることは一目瞭然だった。

 星漿体暗殺を依頼した呪詛師の仲介人とは、案の定連絡が付かなかった。海千山千の界隈の人間だ。危険を察知して逃げ出すのは園田よりも早いだろう。

 警察には駆け込めなかった。強引な勧誘方法が逮捕・監禁罪と見做され刑事起訴されそうになったり(民事で被害者と和解(金で解決)して不起訴に持ち込んだが)、高額献金を引き出した信者の家族からの民事訴訟を抱えていたり、後ろ暗いことが多すぎた。

 残るは、高飛びしかない。

 園田は通称星の子の家と呼ばれる本部の隠し部屋に保管してあった現金をありったけ持ち出していた。都内には盤星教の施設が多数ある。全て掌握するにはバラライカでも時間はかかるだろう。金さえあれば、後はどうとでもなる。

 まずはプライベートジェットでどこか暖かい国へ行こう。あのロシア女の顔が浮かんでこないような、太陽が燦々と輝く場所がいい―――

 

 自らを慰めるように南の国でのバカンス的な逃亡を思い描いていた園田は、やにわに合流車線からぶつかってきたベンツに反応することさえ出来なかった。猛スピードで走っていたアウディは、突如として横合いから加わった衝撃によりベクトルを狂わされ、ぐるぐるとスピンしてから停止した。

 頑健なアウディの車体と、シートベルトとエアバッグのおかげで園田に大きな怪我は無かったが、スピンによって激しくシェイクされた脳みそは現状を把握出来なかった。激しい耳鳴りと揺れる視界が園田を襲う中、サイドガラスをかち割ってドアロックを解除した節くれ立った大きな手が、園田を車外へ引きずり出す。

 呆然とする園田が見上げると、大きな傷跡が袈裟懸けに走る厳めしい男の顔が無表情で園田を見下ろしていた。

 バラライカの副官のボリスだ。

 

「な、何をする―――」

 

 園田の弱々しい問いかけには一切答えず、ボリスは後ろに控える部下に園田の拘束を指示する。手慣れた様子の男たちによって、たちまちの内に自由を奪われた園田は、ベンツのトランクに放り込まれた。

 

 ボンネットから煙をあげるアウディを残して、ベンツは何事もなかったかのように闇夜を走り去った。

 

 

 頭から浴びせられた冷水の刺激によって、園田は目を覚ました。

 椅子に座った状態で後ろ手に縛られ、両足も椅子の脚にくくりつけられていた。打ちっぱなしのコンクリートの床が、水を吸って色濃くなっている。

 真っ暗なトランクの中で極度の緊張状態が続く中、ふと気が緩んだタイミングで園田はいつの間にか意識を失うように深い眠りに落ちていたらしい。眠る園田をボリスたちはどこかの建物に移したようだ。

 唯一自由に動く首を巡らせる。水をかけられて崩れた前髪がすだれとなった視界に、窓のない狭い部屋が映る。裸電球がゆらゆらと揺れており、それがまた不安を駆り立てる。

 後ろから、女が声をかけてきた。

 

「ようやくお目覚めかしら」

 

 女はゆっくりと園田の背後から正面へと回り込む。彼女が履いているハイヒールが、カツンカツンと硬質な音を立てた。正対した女の顔、右半面を見て園田は息を飲んだ。

 

焼傷顔(フライフェイス)……ば、バラライカ……」

「あら、私のことをご存知のようね」

「ふざけるな!こんな、こんなこと私に、非術師にして許されると思っているのか!」

「おや、私のことを()()()()()()()()()()()()

 

 バラライカは園田を通り越して、その後ろの誰かに語り掛けた。園田が首だけで振り返ろうとすると、大きな手に後頭部の髪をぐいと引っ張られた。視線が天井に固定される。フランケンシュタインの怪物のような大男ーボリスの顔がぬっと視界に現れたと思ったら、すぐさま布が被せられた。厚手の布だ。太い繊維の編み目越しにぼんやりと電球の淡い光が揺れている。

 

「い、いったい何を―――」

 

 園田が不安に口を開いたタイミングで、布の上から大量の水が注がれた。突然のことで飲み込んだ水にむせる。酸素を取り込もうと喘ぐが、水を吸った布が口にまとわりつく。密着する布の上から、さらに水が注ぎ込まれる。

 園田は陸にいながら、溺れていた。

 

ヤンキー(米軍)どものやり方を踏襲するのは少々癪だが、なるほどこれは元手がかからんでいいな、軍曹」

「は、水と布であれば、比較的調達は容易ですからね。合理主義が好きな奴らの考えそうなことです」

 

 水責めは断続的に続いた。

 はじめは抵抗らしい抵抗を示した園田だったが、次に金銭的な交渉を持ち掛けた。それも完全に無視されると、最後には弱々しい態度で懇願を繰り返すだけになった。

 憔悴しきった園田の顔から濡れた布を取り払うと、バラライカが本題に入る。

 

「さて、()()()はもういいだろう。星漿体の情報はどうやって入手した?」

「……たれ込みだ。星漿体の情報を買わないかと持ち掛けられたんだ」

「だが、裏も取らずに大金を出すわけではないだろう?」

「当然確かめたさ。情報源は、上層部とも繋がりのある禪院の筋の男だ」

 

 バラライカの中で、点と点が繋がる。ホテルのラウンジで彼女を侮辱し、返り討ちにあったあの男だ。奴がなぜ天元の依頼より先にバラライカへ話を持ち掛けられたのか。何ということはない、奴自身がリーク元だったからだ。

 

「それで?星漿体の暗殺を企てたのか」

「教徒たちの手前、経典に記された禁忌(タブー)は絶対に阻止しなければならない」

「……"教徒たちの手前"、ね。まあ、今はお前自身の信仰について言及する場ではないし、私も信仰に詳しいとは言えん身だ」

 

 バラライカが育ったソヴィエトは、共産主義体制下で宗教弾圧が行われていた。もはや共産主義を信望していない彼女だが、信仰という行為や心情に馴染みがないのは変わらなかった。

 

「話が逸れたな。暗殺の依頼先は一人だけか?」

「ああ。呪詛師のブローカーをやっている男に依頼した。名前は孔時雨(コン・シウ)、確か中国人だか朝鮮人だか……」

「韓国人だ。奴にはまんまと逃げられたよ。我々が辿り着いた時には既に大使館に逃げ込まれていた」

 

 裏サイトで星漿体にかけられた懸賞金の依頼元をバラライカたちが突き止めていないはずがなかった。しかし孔もさすがに裏の世界に生きる人間。ボリスたちが孔のセーフハウスを突き止めた時には、既に危機を察知してバラライカたちが手を出せない場所、在日韓国大使館へ駆け込んでいた。

 孔はかつて刑事時代に築いたコネと人脈、呪詛師界隈で掴んだ脅迫ネタを使って、母国の政府の人間を動かした。外ナンバーで羽田に乗り付けると、韓国政府専用機まで使って韓国に飛んだ。

 さすがのバラライカたちも指をくわえて見送るしかなかった。

 

「我々が知りたいのは、その先だ。コンはブローカーだ。奴が実際に暗殺をするわけじゃないだろう。ブッキングされた呪詛師は誰だ?」

「詳しくは知らない。名前もだ。私は非術師の立場を貫いてきたし、呪詛師についても知り得ない。ただ……"術師殺し"、そう呼ばれている、としか」

「……よし、もう充分だ」

 

 ようやっとこの地獄から解放される。バラライカの()()のことばに、園田は期待を込めて視線を上げた。

 待ち構えていたのは、冷たく黒い銃口だった。

 驚愕と恐怖を浮かべる園田の眉間を、バラライカは何も言わずスチェッキン・マシンピストルで撃ち抜いた。

 

 

大尉殿(カピターン)、こちらが術師殺しの資料であります」

 

 園田から暗殺者の情報を引き出した後、バラライカの優秀な部下たちは術師殺しの情報をものの数時間でまとめあげた。バラライカのオフィスでボリスは淡々と報告する。

 

「名前は伏黒甚爾。御三家のひとつである禪院家当主の甥に当たりますが、呪力を持たない体質により一族内では冷遇されていたとか。禪院家を出奔してからは裏稼業に身を置き、中でも術師相手の殺しの腕は抜きん出ていると」

「それで付いた二つ名が"術師殺し"、か」

 

 ボリスの寄越した資料には、これまで術師殺しの手に掛かったであろう呪詛師や呪術師のリストも含まれていた。いくつもの名がずらりと並んでいる。

 

(まじな)い師というものは、呪力や呪術を盲信しているからな。人間はそれ以外の手段でも簡単に死ぬということを連中は知らん。呪力が無くとも殺せるだろうが―――それにしても多いな」

「は、まさに。奴はかつて禪院家の武装部隊に所属していたこともありますが、呪い師の訓練で我々のような技量が身につくかというと、疑問が残ります」

「……天与呪縛、というものを聞いたことがある。生まれつきの"縛り"の代償に、特別な力を得るらしい」

 

 バラライカは資料の中の写真を手に取った。望遠レンズによる隠し撮りだが、写真の中の術師殺しはカメラの存在に気付いてこちらに中指を突き立てている。三百メートル以上離れた相手の気配を察知する、まるで野生の獣のような男だ。

 この男が呪力の代償に得たものが、超人的な身体能力であるという答えを、バラライカは導き出していた。

 

「……良くないな、こいつの目は。気に入らん」

 

 眉間に皺を寄せたバラライカが、ボリスに向かってデスクの上で写真を滑らせた。

 

同志軍曹(スタムルシ・セルジャント)、こいつの目を見ろ。何か気付かんか?」

「……戦士ですな」

「正解だ、軍曹。しかもそれだけじゃない」

 

 二人の脳裏には、狐狩り(復讐)に狂った猟犬の姿が浮かんでいた。彼女の目と、写真の中の男のそれに、重なる何かが、確かに存在している。

 

「こいつは()()()()の、狂犬だよ」

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