起床したら施しの英雄だった件   作:天井 静兼

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第1話 目が覚めたら

ジリジリジリジリジリジリ!!

 

目覚まし時計が鳴り響く

 

「ん、んん~」

 

いつもの感覚で目覚まし時計に手が伸びる。

 

それを止めた時、妙な感覚があった。

 

昨日寝床に着いたときには無かったものだ。

 

頭から腰にかけて何だかもふもふしたものが敷いてある。

 

目を開けてそれを確認しようと体を起こすと、布団が穴だらけになっていた。

 

「どういうことだ、んん??」

 

俺の口から遊佐風のイケボが出た。

 

そして気づく、手が真っ黒、ゴツゴツした金属の鎧のようなものが皮膚に付着していたのだ。

 

「なんだこれは??」

 

首だけ動かして後ろを見るとピンク色の綿が埋め尽くすように存在している。

 

振り返ったときに左耳からチャリという音と引っ張られるような重みを感じた。

 

慌てて触ると、耳に円形の大きな耳飾りが付いている。

 

「は?」

 

飛び上がるように洗面所へと駆け込む。

 

視点の高さや体の動かしやすさについては今は無視だ。

 

なんとなく思い当たることがあり、洗面台の鏡で自身の体を見る。

 

白く尖った髪型、病的に美白な肌、鋭い目付きに赤い隈、そして黄金の鎧に耳輪。

 

「カァルナじゃあねぇかアアアア!!!??」

 

思わず叫ぶ。

 

「えっ、え!?」

 

全然冷静になれない。

 

とりあえず、鎧が脱げないか試してみることにした。

 

結論を言おう、皮膚に付着どころが埋め込まれているのか、全く取れない。

 

ヤバすぎる。黒い部分はなんか気合いで消せたが仕組みが分からない。

 

絶望していたが、やや落ち着いてきた。

 

人は慣れる生き物だというし、俺はカルナさんになってしまった??

 

大学生になってから初の夏休み、俺が何かしましたかスーリヤさん!?

 

鏡のカルナさん??とにらめっこしても何も変わらないので寝室兼リビングに戻る。

 

するとベッドのすぐ横に金色の棒状のものが落ちている。槍だ。間違いない。

 

そ、そうか。

 

俺はFateシリーズに登場するランサーのサーヴァント、施しの英雄ことカルナさんになってしまったようだ。

 

確かにFGOでは推し鯖だったし、聖杯も種火も寝る間も惜しんで注ぎ込んでたし、こんなこともあるのかもしれない。(ない)

 

だが、俺自身がカルナさんになることだ状態は望んでないのだ。困った。

 

学生証や運転免許の写真とはどう見ても別人、FGOを知っている人間にはすぐ分かってしまう造形、そして体格の変化や体の鎧によって持っている服がほとんど着れない。

 

ベッドの上にはその証拠に昨日着ていた寝間着が無惨にも切り裂かれバラバラな布くずと化していた。

 

不幸中の幸いとして、今は夏休みであり、一人暮らしのため同居人はいない、まだ家に来て遊ぶような友達かいないことである。悲しい。

 

だが、希望もある。

 

FGO基準なら霊基再臨の段階を変化させることで鎧の無い姿になれるはず。

 

そもそも霊体化すればとか思ったが、感覚的にできる気が全くしない。

 

アニメ及び宝具演出の「日輪よ、死に随え」でも鎧は解かれているが、同時にとんでもない熱、炎を伴っている。

 

これは感覚的にできる気がするのだ。

 

ランチャー的眼からビームもやれる気がする。

 

でももしかしたら、FGO基準じゃなくて解いた途端に宝具かもしれない。怖い。

 

だが、現状が進まないことに段々と嫌気が差してやってみることにした。

 

できた。できてしまった。

 

どうやらFGO基準で簡単に霊基再臨段階を弄れる。

 

しかも、サンタカルナさんにもなれる。

 

ただ、実際にプレイヤーが操作できない姿にはなれなかった。

 

ガバガバ霊基である。

 

問題は第三再臨状態のときのみ、槍がでかくなるのだ。

 

どうしたもんかとやってみたところ、霊体化はできないくせに、槍は好きなように出し入れできるようだ。

 

他に何が出来るか試してみると、第三再臨の襟のようなマントじみた物も出し入れできた。

 

これは凄い発見である。

 

ただし、黄金のパンツは脱げないし消せない、俺に童貞のまま死ねと言うことか解せぬ。

 

排泄とかどうなっているのか、など色々と考えて頭を使うが......

 

「とりあえず朝食とするか」

 

そんなことより腹が減った。

 

食事中に思ったが、カルナさんの信仰している神様的に牛肉はアウトかもしれない。

 

マジか......この先牛肉を食べれないのか。

 

いや、食べることは可能かもしれないが、

スーリヤ神の加護とか剥奪されちゃうかもしれん。

 

好物のビッグマックとか食べれないのはちょっときつい。

 

行儀は悪いかもしれないが、食べながらスマホでカルナさんの情報収集をしていたところ動画サイトでエクステラリンクのプレイ集を見つけた。

 

その際に見たテラリン青カルナ衣装に霊基変更できてしまった。

 

動画で見ただけでラーニングできるなら恐らくスーパーカルナにだってなれるだろう。

 

家にあったチキンカレーをモグモグと食べながら俺はそう考察するのであった。

 

今の暮らしは親の仕送りという名の施しによって俺は生きることができる(ありがとうございます)なので、せっかくの夏休みにバイトを始めようかと思っていた。

 

しかし、逆に何のバイトならできるんだ現状ゥ。

 

容姿を利用するなら動画投稿者とコスプレイヤーぐらいしか浮かばなかった。

 

例えば

「太平洋に【日輪よ死に随え】を撃ってみた」いぇーい、とか......

 

「施しの英雄がチャイを作ってみた」とか

 

意外と向いているかもしれない!!

 

いや、一回試しにスーパーとかのレジに応募してみるのもありか。

 

もしかしたら、受かるかもしれない。

 

と思い、履歴書を書こうとするが、証明写真を撮りなおす必要があると感じ、外に出掛けようとする。

 

が、着れる服がない、というか悪目立ちすぎて外出られなくね、オワター。

 

充分へこんだところで、俺は道を決めた。

 

俺、動画投稿者兼コスプレイヤー(本人?)になりますッ!!

 

手順1、カルナさんなりきり投稿者垢をトゥイッターに作る。

 

手順2、リビングで適当に撮ったカルナ自撮り写真を生成する。

 

手順3、自己紹介と相方(アルジュナ)を求める文(きもい)、

コスプレ始めたなどを書いて写真と共にSNS で投稿だ!!(やけくそ)

 

反応を待っていると、ピンポーンと玄関から

 

「宅急便でーす」

 

と声がする。

 

今いいところなのにと思いながら、いつも通り

 

「はーい」

 

と出る。

 

そう、いつも通りに出てしまったのだ。

 

「えええ、あのすみません、こちら軽野 朝日様のご自宅でよろしいですか!??」

 

「あっ、はい」し、しまったぁ~!!

 

Amazonの箱を手早く受け取ると、宅配のお兄さんはそそくさに

 

「あれ?日本人の名前だよな??え、んん??」

 

怪訝そうにしながら頭を傾げて玄関を後にしていった。

 

ほーん、普通の人の反応はあんな感じなのか。(一般不審者顔)

 

得たいのしれないスーパーインド人はこうなるのも宿命かもしれない。

 

ちなみに、SNSはかなりのいいねを貰えてホクホクした。




続きます
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