起床したら施しの英雄だった件   作:天井 静兼

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UA3000突破ありがとうございます。
今回もプロット自体はあったのですが、書いていくうちに内容が膨らんでいき、その、難産でした。


第3話 取得、面接、通話

 

-軽野side-

今の時間帯は朝の6時頃、つまり早朝だ。

 

アルバイトの面接自体は昨日電話口にて出てくれた店長曰く、昼頃に行うと言っていた。

 

「しかし電話というものは事伝えに対し便利なものだ」

 

...んん??

 

現代人であるはずの俺がこんな感想を抱くはずがない。

 

恐らくカルナボディとマイソウルの融合が進み、徐々に侵食されているのかもしれない。こわッ。

 

早起きは単純に良いことだが、早く起きたのにも別に理由がある。

 

一つは保険証以外に身分証明できるものが運転免許証くらいしかなく、もちろん顔写真は施し顔になる前の写真、どう見ても同一人物には見えない。

 

そのため、顔写真の変更をするため免許センターに行く必要があるのだ。

 

そしてもう一つ、免許センターまでは正直言ってかなり遠い。

マイカーは無いし、原付ではバイパスを通れない。

バスも良いが時間がかかる。

 

なのでApocryphaみたいに飛んでいこうと思った。

 

まぁ、早朝ならバレないだろう。

 

ということで準備した。

 

免許証、ヨシ。

 

顔写真、ヨシ。

 

変更費、ヨシ。

 

地図兼スマホ、ヨシ。

 

リュックin第二再臨モフモフ、ヨシ。

 

免許の彼方までさぁ行くぞー!!

 

近所の公園に移動した。

 

地面損傷を考慮し、垂直に高く跳ぶ。

 

そして、魔力放出(炎)Aが唸る。

 

足裏から猛烈な炎を噴出させ飛ぶ!!

 

アイ・キャン・フライ!!

 

人類初の快挙を成し遂げたと言ってもいいのでは??

 

そのまま航空写真視点になるくらいまで上昇し、他の人から見えないようにした。

 

ホバリングはできないと思っていたが、推進力が無いだけで、炎を纏わなくてもなんか気合いで浮けてしまった。

 

これだからインドは。

 

とりあえず、スマホのマップと見比べて飛ぶべき正しい方向を見定める。

 

確認したら、空中でクラウチングスタートポーズを取ってから、加速ッ!!!

 

一瞬空気が爆発するような音が体の周りから鳴り響く。

 

ははーん、これが音の壁かー。

 

さらに加速し、気合いで急停止。

 

辺りを見回し、マップを確認すると、なんと加速しすぎて台湾の上くらいに着いていた。

 

これはまずい。まずすぎる。

 

国際問題とかなったら、インドまで訴えられて、最悪インド大戦勃発とかしちゃう。

 

放任主義のスーリヤさんが久しぶりにキレちゃうかもしれん。

 

逆方向に亜音速くらいのスピードで下をよく見ながら飛ぶ。

 

そして目的の免許センターを発見する。

 

ただ、まだ、受付開始時間には早すぎるため、近くの公衆トイレのある広場に入り、人前に出れる格好へ着替えた。

 

それでも時間があるため、SNSを流し見していると、

 

【紳士、淑女の皆様おはようございます。

 

私アリシナは此の度を持ちまして動画投稿サイトにてチャンネルを設立しました。

 

その名も『アリシナと授かりのThe final dark godチャンネル』

 

どうでしょう、最初はシンプルに『アリシナチャンネル』にするつもりでしたがインパクトが足りないと思い変えた次第です。

 

ヤツとネーミングセンスが一緒と思われたくないとは、決して、けっっっして思ってはいませんので、ご了承ください。

 

さて重要なのはその内容だと言えます。

 

設立して初の内容は

『No.1鯖人アリシナが教えるマサラチャイの作り方』です。

 

私のようなコスプレ兼成りきり勢をひとまずは鯖人、読みはサバンチュと呼ぼうと考えました。

 

こほん、長々と文章失礼しましたが、是非見ていただけると幸いです。】

 

とても長いツイートだった。

コイツもしや俺に共感して、

 

\ピロン/DMが届いた。

 

[共感したわけではない。カルノ、貴様にできてこのありしなにできないはずがない、寧ろ越えて見せる]

 

心を読まれただと?!

まさか千里眼は伊達じゃないということか??

疑問を返信してみる。

 

[ならばチャンネル名も揃えればよいだろう]

 

すぐに返ってくる。

 

[黙れ、だが、見なくてもいい、いや見るな、私を見るなァァァ]

 

多分こいつはノリが非常に良い。

 

ダチョウ倶楽部的なノリで言葉裏は恐らく絶対に見ろという意味だろう。

 

とりあえず

 

[承知した](特別意訳:絶対見ると誓おう)

 

と送った。

 

そして動画を視聴した。

流れはこうだ。

 

自己紹介、鯖人という造語の説明、買い出しの過程も見せますと言い、玄関付近、いやコイツ多分お金持ちだ。

 

タワーマンションだろ絶対。

 

編集がうまいのもあってボカシ系のモザイクのお陰で特定はできないようにしてあるが、エレベーターで降りるのにこんないっぱい人が乗り降りするか?

 

しかも画面では基本的に手元あるいは足元しか写していないにも拘らず、エレベーターの人が乗り降りするたびに色んな物を受け取っていた。

 

エレベーターから降りて1階に着いたときヤツの言った言葉は

 

「...まさか外出して買い出しをするはずが外に出ることもなく全て集まってしまうとは、自身の宿業が恐ろしい」

 

と手提げに箱、全身とその足元に様々な物品が置かれており、行く前に取ったメモと見比べて確認すると一切の過不足なく揃っていたそうだ。

 

「ではすみません、予定を変更して自宅に戻ります」

 

といい、帰宅した後は俺のようなぐだぐだな調理でなく、まるでプロのシェフのような優雅さのある手際、ミスなく適切にこなした。説明も分かりやすい。

 

最後の締めをするときも無駄のない様子だった。

 

自称No.1鯖人は伊達ではない、ということか。

 

もちろん高評価に入れ、コメントも書く。

 

[流石はアリシナだ。

今度お茶会を開くべきか?

お前のチャイ、是非飲み比べたい所だ]

 

と、アリシナの動画は質もよく、長い割には見ている時間を忘れてしまうほどの出来で、気づけば免許センターの受付開始時間手前になっていた。

 

急いで免許センターに入館し、列に並ぶ。

 

夏休みと行ってもそれは学生だけのため、普通に平日だから混んでいた。

 

特に今日は金曜日、明日と明後日は休みのためやっていないのもあるのだろう。

 

受付では写真変更しにきたと言い渡すと書類を渡され、向こうでここに記入してくださいと言われた。

 

最初、受付のお姉さんは小声で日本語通じるかな、とか言っていたが、こちらから言ったため安堵していた。

 

恐らく、どう見ても日本人ではないし、外国出身だとしたら母国語はともかくとして英語を言わなくてはならない。

 

自信が無かったか、それとも英語すら通じないと思われたのかもしれない。

 

元々、英語は苦手な部類だが...。

 

書類を書き、現在の免許証と変更費3000円弱と共に提出した。ウッ出費が痛い。

 

渡してすぐにあまりに容姿が異なったためか、本人確認を取らされたが保険証や諸々の確認できるものを予め持ってきたため、どうにかなった。書類上はだが。

 

もし王族系サーヴァントだったらカリスマで誤魔化してたに違いない。

 

1時間位して新しい写真になった免許証が完成して、現在10時頃。

 

バイトの面接が12時からなので、帰りはバスでゆっくり帰った。

 

なお、距離が距離なのでバス代はそこそこ高かった。

 

〜昼時〜

 

遂に来たアルバイト面接、決戦の時!!

 

今朝取得したマイ免許証、施しフェイス証明写真を貼り付けた履歴書、後印鑑と筆記用具。

 

店長曰くこのぐらいが面接に必要なものだと言っていたが、あの声何処かで聞いたことがあるような無いような??

 

まあ、面接を受けてみればわかるってことよ。

 

店に着き、事前に聞かされていた従業員専用通路を通る。

 

表はお洒落なややレトロ感あふれる内装で夜空をイメージしているのか、天井は宇宙のような絵が書かれており、オブジェとして古びた望遠鏡や異国の文字が綴られた石板等が置かれた喫茶店だったが、裏は何だか無機質な白い通路、バックヤードにしても不思議な光景だ。

 

店長が指定している部屋へ行く。

 

おっと、開ける前に3回ノックをする。

 

「どうぞ〜」

 

中からほんわりとした男性の声がする。

 

引き戸タイプのため横へ動かす。

 

そして部屋へ入り、用意された机と椅子に

 

「座ってくれて構わない」

 

と言われたため、やや茶髪気味の雰囲気がほわほわした成人男性の前に机越しに座る。

 

「君が新しくアルバイトの応募をしてくれた軽野 朝日君だね」

 

「そうd...はい」

 

「もしかして緊張してる?もっとリラックスしていいよ。大丈夫、面接と言っているけど雑談で終わると思うよ!」

 

「ならば一ついいk...いいですか!」

 

「何かな?」

 

「店長の名前を教えて下さい、いつもお客側として店に訪れたときマスターとは声も違いますし、見たことが無い方だったので」

 

ちょっとズバズバ言い過ぎたか?

 

「おっと、これは悪かったね。

僕の名前は秋間 論太郎、ここは家族と親戚、近所の君のようなバイトと正社員を含んだ喫茶店で、店長と店のマスターは役割が違うんだ。

 

前者の僕は社長兼裏方、妻と一緒に原料の管理や仕入れをしていて、店のマスターの栄村さん、栄村志郎さんは表で料理、店の清掃などの実践と教育をする正社員の方なんだ。」

 

なるほどここ『占星喫茶シャーローム』は表と裏で役割分担しているからここ最近5年以内にできた喫茶店にしては安定した伸びを見せているのかと感心した。

 

偉そうに思ったが、純粋に凄いことである。

 

不意に扉が叩かれる。

 

「来たみたいだね」

 

秋間さんが呼んだみたいだ。

 

「こちらが僕の娘の桐絵だよ、この店で一応バイトリーダーをしている」

 

メガネを掛けていて、父親と似た茶髪の真面目そうな女の子だ。

 

「はい、父から聞いていました、軽野さんですね。

紹介通り、私は秋間 桐絵といいます。

よろしくお願いします」

 

「よろしく頼む...お願いします」

 

「そんなに堅くならなくても大丈夫です」

 

「桐絵の言うとおり堅くならなくていいけど......娘に手を出したら」

 

一瞬槍をつい出してしまいそうになる程の圧を感じたッ!?!?

 

この人のただのゆるふわパーマおじさんじゃない、何者だ???

 

「まぁ、軽野君なら多分大丈夫そうだしね。

えっと、雑談じゃなくて面接終了するね。合格だよ」

 

良かった。何が良かったかわからないが、合格したらしい。

 

ゴソゴソと後ろの棚から取り出した。

 

制服とエプロン、その他書類だ。

 

「来週の月曜日の今の時間頃にまた来て欲しい。

この服を着て研修や自己紹介を行うからね。

あとこの書類にも目を通したり、記入箇所を書いてね。

何なら今ここで書けるやつは書いて提出してもいいよ」

 

「あ、あと」

これだけはどうしても聞きたいことがある。

 

「なんだい?」

 

「理解しているが、俺の姿は周りと異なる、簡単に受け入れてくれることに疑問を持ったまでのこと、どうだ??」

 

「あ、あ〜そのことね。ここだけの話何だけど君みたいに若くして白髪みたいな子は初めてじゃないんだ。

 

実はね、正社員の栄村さん何だけど、一見渋い白髪のおじさんに見えるけど、実はあの髭は付け髭で、今30代いくかいかないかくらいなんだ。

 

この話はオフレコで頼むよ」

 

「承知した、では来週からよろしく頼む」

 

正直びっくりしすぎていた。

 

以前からこの店には通っていたがあの渋くてニヒルな、いぶし銀マスターが、年齢にして15歳くらいしか離れていないという事実に。

 

我ここにあらずといった風に、俺は自宅にふらふらと帰っていった。

 

そして、現実逃避のゲーム、夕食、お風呂、洗濯を行い、時刻はあっという間に21時頃になってしまった。

 

明日は近所の地域活性化を目論だコスプレ会場へ行き、ありしなとコスプレオフ会をすることになっているが、どうも不安だ。

 

一応ありしなに連絡を取っておくか。

 

いや、いい事を思いついた。

 

早速ディスコードのアカウントを新規作成する。

 

〜DM欄〜

[準備は良いかアリシナ、これを使え]

 

いきなり招待コードを送りつける。

卑怯だとは思うまい。

 

[仕方がない。入るしかないか]

 

渋々とした様子だが、流石だ。

 

[通話をしたい、できるか??]

 

確認を取る。

 

[誰にモノを言っている!できて当然だ!!]

 

同じチャンネルでボイスをオンにして待つ。

 

〜通話開始〜

「もしもし俺だ、わからないか、俺だ」

 

「貴様から始めたのだろう、オレオレ詐欺じみた始め方は止せ、カルノ」

 

「それもそうかアリシナ、文で伝えても良かったのだが、感情が伝わりにくい文では誤解も生じるだろう。明日の予定についてだが」

 

「それはこの間全て決めたではないか」

 

「俺の感が囁いている、アリシナ、お前と更衣室で出くわすのはマズいと。時間をずらさないか」

 

「一理ありますね、確かに私も直感的に、否、本能的に感じました。これはマズいと。」

 

冷静になったのか知らないが、口調が落ち着くのを初めて聞いた気がする。

 

「分かりました。では私からも提案です。私が先に行きます。集合場所は私が待っている場所を伝えますので、30分ほど遅れで来てください。」

 

「承知した。それともう一つ」

 

「?何か?」

 

またヒートアップしてしまうかもしれないが、

 

「その後オフ会、食事を一緒にしないか?」

 

「!!!何だと...だが、よろしい。受けて立とう」

 

なんかガッツでも積んでいるのか。

キレずに耐えた、見事だ。

 

しかし、

 

「まるで本物のアルジュナのようだ。喉にグランドガーチャーでも住んでいるのか?」

 

こいつの声は本人よりも本人、まるで実物が現実に居たらこんな感じをリアルに味わっている気分だ。

いや、まさか...ッ

 

「そんなわけ無いだろう!!!これは地声だ。そういう貴様こそ常に声真似でもしているつもりか、カルノ?!」

 

「地声なのはお互いか、アリシナ」

 

こいつ、同業者か?もしや、と思ったがこんな不思議なことが起きている人が偶然巡り合うことがあるのか?

 

スタンド使いか?

 

「では同じ鯖人同士、明日の会場でよろしく頼む。チャイの動画は素晴らしかった、とても素晴らしかった。ではな」

 

「ま、待て!!!貴様見ていたのか!?!まさか動画のコメントは悪質な偽物ではなく本人だと!!切るな、逃げるな、カルノァァァ!」

 

〜通話終了〜

 

通話を切る直前、何かありしなが喚いていたが、俺が切断するほうが早かったみたいだ。

 

よし明日のために珍しく徹夜しないで寝ますか。

 

〜決戦の日(オフ会)は明日ッ!!!〜




続きます。
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