更新が遅くなってしまってすみません。
仕事の合間に書こうとはしていましたが、少しずつしか書けませんでした。
毎日投稿している方は『凄い!!』としか言えません!
あと、基本的に物語の視点は主人公ですが、たまに
-☓☓☓side-といったように他の視点を挟むことがあります。
何も書かずに始まるときは例外なく主人公視点です。
-???'s side-
〜通話開始〜
「おい、観測できたか」
「ああ、この魔力反応は間違いない、何らかの宝具みたいだ」
「ちょうどさっき、深夜の3時頃に遥か上空の雨雲を吹き飛ばしたみたいだぞ」
「それもこの街に今日来るはずだった大きな乱層雲を跡形もなく、ね」
「何かまずい予感がする」
「こちらの方でも収集をかけておくからできるだけ多くの呼び掛けをそっちでも頼んだよ」
「分かった、現地の人からも何人か向かうように言っておく」
〜通話終了〜
-軽野side-
今日は待ちに待ったコスプレ大会だ。
これは地域活性化のためのイベントで毎年3から4回ほど行われているものだ。
近所なので徒歩で行っても10分位しか掛からない。
目覚まし時計は逆にいつもより遅くセットしたため、現在の時刻は9:30である。
しかし、昨日までは大雨が降るかもしれないため、中止もあり得たが、全くもって雨雲の一つのない快晴な空である。
コスプレ会場の更衣室での登録をする際この前まではありしなが同じ時間帯で組んでいたが、30分遅らせるため再度利用者登録をする必要があり、フルネームを教えてくれと言っていたため教えた。
すると、一方的に教えられるのは良くないと
「私の真名は『有品 新太』だ」
と教えてくれた。律儀なやつだ。
噂をすればなんとやら、スマホに自撮り写真付きでアリシナからメッセージが今送信された。
写真は商店街のやや人通りの少ないところに、第三再臨姿で片手を顔に翳したようなポーズで佇む非常に高クオリティーのモノだ。
[既にこちらの準備は完璧だ、これでこそ私、これでこそアルジュナだ!!
故にカルノ、直前になってサボろうなどしたら、どうなるか分からんぞ?]
とのことだ。
俺も現地へ向かうとしよう。
持っていくものは身分証明書、やや大きめのリュック、財布、スマホ、床引きシート。
そして、Amazonで頼んでおいた大人サイズの着替え用ラップタオルである。
このタオルで全身を隠し、霊基再臨しようと考えている。
もちろん行きはフードを被って行くつもりだ。
こうして俺は自室の鍵を閉め、アパートの一階から近くの商店街にある時間帯予約制の男子更衣室受付に向かうのであった。
〜約10分後〜
感想を言おう。
正直なところ人の数を舐めていた。
普段この通りは人通りが少なく、このコスプレ大会を知ってはいたものの、実際に訪れるのは今回が初めてだ。
アリシナはこの近くには居ない。
ヤツはさっきの自撮り写真の他に会場マップへ丸をつけた画像を送り、ここで待つ、と俺に教えた。
場所は会場の受付及び更衣室付近からは見えない、やや奥の位置だ。
そして受付に着く。
すると、
「お姉さん、女子更衣室は向かって反対側の角を進んだところにありますよ」
「いや、間違ってはいない」
「違いますよ、ここは男子更衣室です」
「そうではない。まず一つ訂正しよう、俺は男だ。よってお姉さんではなくお兄さんであると」
「し、失礼しました?!ここは予約制なので事前に確認できる番号とお名前を教えてもらってもよろしいですか?」
「117番の軽野 朝日」
「次に身分証明書のご提示をお願いします」
「これだ」
「えっと、失礼に当たるかもしれませんが、コスプレメイクをあらかじめして見えにくい格好で現地に来られる方は居ますが、もしかして素顔ですか?」
「そうだ、宗教的な理由といったところか」
「失礼しました。確認できましたので、どうぞこちらへ」
ようやく案内された。
中はそこそこ広いが、ところ狭しに人がシートを敷いたりして地べたで衣装を着込んだり、キャリーケースの上に鏡を置いてメイクをしたりする様子が見られた。
すまない、俺はそのような努力の結晶とは無縁でこの場に来てしまったのだ。
申し訳ない気分になった。
コソコソと部屋の隅に寄り、リュックから床引きシートを置き、そのままラップタオルで全身を隠す。
すぐに霊衣変更をして出ていくことも可能だが、あまりに早過ぎる。
ゆっくりと上に着てきた普通の服を脱ぎつつリュックにしまい、霊衣を変更する。
アリシナに合わせて第三再臨にしようと変化したが、これは、中々、まずい。
公式によればインドラの槍を出しているときのみ腰の歯車に鳥の羽根が付いたような飾りを着けている。
今回はでかすぎる槍を持ってくるふりができなかったため、隠したままの状態、即ち、第三再臨の姿とは裸足パンイチマントなのだ!!
とても公の場に出ていい格好じゃない。
黒い部分もほぼ模様の入った肌のため、なんというか、肌寒い。
どっかのスパルタ王と変わらない、と思う...思う。
ここはあえて第二再臨で行くことにした。
リュックサックにタオル、シート全てを詰めて更衣室の専用ロッカーに預け、外へ向かう。
受付を抜けコスプレイヤーが立ち並ぶ商店街を歩くと、Fate作品の顔である青王アルトリアや魔術師のマーリン、特撮ヒーローの仮面ライダークウガや電王に、ジャンプの僕アカや鬼滅、アイドル系のラブライブにヒプノシスマイク、挙句の果てにはレンガ柄のシートを引いてうつ伏せでポーズを取るオルガ・イツカ、本職はボディービルダーを疑うようなムキムキのキャプテン・ファルコンに、ガンダムのシャア・アズナブルなど、有名な作品のキャラクターが現実に存在している!!
凄い、テレビの画面からそのまま出てきたかのようなクオリティーに思わず息を飲む。
このような場所に俺のような者が居ていいのかと再び思う。
後で彼らに挨拶したり、撮影をさせてもらうとして、まずはアリシナと合流せねばなるまい。
そして、ヤツは居た。
俺が今来るのが分かってたのか、仁王立ちでこちらを真っ直ぐ見ていた。
ヤツを見た瞬間、まるで焼き尽くす炎が頭の中を駆け巡る。
何だこの感情は?!
この心から、肉体から、魂から迸る激情は何だ?!?
駄目だ、まずい。
浸食の進んだ俺の思考は既に飲み込まれていってしまう!!!
止められない、止まらない!!!
もう目の前のヤツしか眼中に入らない。
ヤツも抑えられない様子でそのまま叫ぶ。
「カルナァァァアアアアアア!!!」
「アルジュナァァァアアアアア!!!」
勝手に霊基が、霊衣が切り替わる。
自身の中で最も強い姿に!!
炎と光を纏う。
この場に神の姿は二つ。
俺は燃える三神の衣、スーパーカルナに。
アリシナは神たるアルジュナ、アルジュナオルタになってしまう。
抑えようとすればするほど、内側から噴き出す熱は更に勢いを増し、その位置から双方が商店街上空へと浮き上がる。
そのまま思考を置き去りにして身体が勝手に動き、音速を越える戦闘を開始した。
変形した、大槍を幾度と振るいつつ、あの付随した球体の爆風や光線を潜り抜け、接近し廻剣部分と数度打ち合う。
近接は分が悪いのか、背中から生えた尻尾のようなもので強く弾き飛ばされ、追撃の光の柱を避けると、
「ガーンディーヴァ、標的確認..発射!!」
弓へと形態を変えこちらへ強力無慈悲な破壊の矢が発射される。
「神眼を持って応じよう。貴様を見抜き、そして射貫く‼」
左手を通して増幅された眼光を持って迎撃をする。
とてつもない爆風と衝撃を伴って、相殺。
視界を一瞬、光に取られ、恐ろしいほどの魔力の収縮が天に昇る。
「崩壊の時は来た!力を見せてみろカルナアアア!!!!!」
全力の宝具を開帳するようだ、
ならばッ
「全てを差し出す時だ!!アルジュナアアア!!!!!」
全力を持って返礼しよう!!
「スーリヤよ、ご照覧あれ」
「世界の歯車は壊れた」
「もはや戦場に呵責なし」
「今こそ粛清の時」
「我が父よ、許したまえ!」
「今こそ壊劫の時」
「空前絶後!」
「我が廻剣は悪を断つ」
「「「『日輪よ、死に随え(ヴァサヴィ・シャクティ)』ィィィッ!!!!!」」」
「「「『帰滅を裁定せし廻剣(マハー・プララヤ)』ァァァッ!!!!!」」」
〜40秒前〜
-???'s side-
「ほら見たことか、まずい事態になった!!今幻術を咄嗟に掛けて誤魔化したが、アルトリア!!」
胡散臭そうな魔術師の男が隣の騎士格好の女性に必死な声をあげる。
「了解しましたマーリン、緊急なので詠唱の代わりに魔力を込めてッ!!
『きみをいだく希望の星(アラウンド・カリバーン)』!!!」
女性は姿を魔術師に変え、杖を振るう。
商店街全体に対粛正防御が張られるが、
「全力で宝具を撃たれたら流石に厳しくありませんか?!」
と言う。
そのとおりだ。仮に商店街を守れたとしても、彼らの宝具は対軍に対界、しかも彼らの神性はA以上で粛正防御と相性が良くない。
それが対象範囲外に、地球自体にダメージが行けば近隣住民どころではない。
噂をすれば、更に上空へと飛び上がった両者からこの世の地獄という例えしか浮かばないほど、濃密な魔力が収縮し、天が裂け、太陽と宇宙が出現する。
「そのための彼らじゃないか、では頼んだぞう」
商店街通路反対側に居るキャプテンファルコン、オルガ・イツカ、シャア・アズナブルに声を掛ける。
「お任せをッ!!!」
自慢の筋肉、そして槍、円状の盾を示す。
「任せろ!」
立ち上がり、盾を取り出す。
「行きましょう」
仮面に手を添える。
彼らは常人離れしたスピードで自身に求められた役割をこなしに動いた。
シャア・アズナブル、否、
「道を開けよ、出陣である!
この仮面を脱ぎ、蘭陵王の証明とする。ふっ、退け、魔性ども!」
蘭陵王は周囲の視線を上空から逸らすために宝具を発動させる。
キャプテンファルコンとオルガ・イツカ、否、レオニダスとアキレウスは商店街の中で最も高い建物の屋上に移動し、
「これだッ『炎門の守護者(テルモピュライ・エノモタイア)』ァァァッ!!!」
全ての攻撃の的を自身に集中させて一瞬耐える。
その一瞬のうちに、
「『蒼天囲みし小世界(アキレウス・コスモス)』ゥゥゥ!!!!」
盾を投合し、全身全霊を込めて宝具を開帳、内包した世界を使い潰して、威力を抑える。
反動で弾き飛ばされた盾と受け漏らした攻撃を
「I am the bone of my sword.
『熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)』ッ!!!」
赤い外套を着た男が受け止める。
「あ、貴方は」
「間に合ったか」
「ここからは任せておきたまえ、
So as I pray, 『UNLIMITED BLADE WORKS』!!」
全力の宝具を開帳し、すぐ上空に浮き佇んで、また戦闘を始めそうなスーパーインド人達を固有結界に収容するのであった。
-軽野side-
全力の宝具を打ち合い俺達は消耗していた。
最初に着ていた霊衣に戻るほどに、だ。
だが、浮きつつも次の戦闘を開始しようとしたとき、周囲は一変していたのだ。
「ここは一体、いやまさか」
この空に浮かぶデカい歯車、墓標のようにそこら中に突き刺さっている剣の群れ、見たことがある。
どう見てもエミヤさん家の固有結界です、ありがとうございます??!
「は?何だこれは、カルナ貴様の仕業か?」
「違う、だが知っている、これは」
言おうとしたとき、
「その前に君達、何か言うことはないかい?」
そう言われ、やっと目の前の団体に気が付く。
キャスターのマーリンにアルトリア、セイバーの蘭陵王、アーチャーのエミヤ、ライダーのアキレウス、ボロボロになったランサーのレオニダスの計6名がとてもご立腹の様子で横に並んでいた。
あのマーリンは商店街で1番最初に目にした、ってそうだ、俺たちは侵食されて覚醒した本能に引きずられる形で人々のいる場所を戦場としてしまった。
な、なんてことを。
「申し訳ない、いや、申し訳なかった」
「わ、私としたことが、いえ本当に、本当にすみませんでしたッ」
「反省したなら、まず、その物騒な武器をしまってくれたまえ」
俺は槍を、アリシナは弓を霊体化させて仕舞う。
「反省したなら良いじゃないか、よし、栄村くん固有結界解いていいよ」
「しかし、鞠山、この二人を野放しにはできん。また暴れたら今回のように止められるか分からないぞ」
え、もしかしてこの人栄村さんなの?!
アーチャーエミヤじゃん、エミヤさんじゃん?!
「じゃあ君達、サクッと仲直りをして握手でもしたまえ」
と言ってもだなぁ。
「この男と仲直りだと?!いや、仲直りはともかくとして握手などできるか!!」
こいつも変なところで潔癖症だ、不可能では??
「しろ、してくれ。済まないが、そろそろ固有結界を展開する魔力というものがだな、尽きてきたというところだ。それとも自首でもするかね?今なら隠密にしてやらんこともないだろう」
「ッ!...分かりました。今回は引き分けということで、おい、カルノ」
おお、アリシナが手を差し伸べてくれた。
「承知した、アリシナ改めてよろしく頼む」
終わりよければ全て良しと聞いたことがある。
まさにこれのことなのだろう。
「ではお疲れさまでした、皆さんのお陰です。栄村さん、解除お願いします」
「了解した」
また、辺りの風景が変わる。
いつの間にか商店街に降りていた。
特に被害も無く、俺達を見てもコスプレイヤーがただ居るくらいで治まっている。
「何故俺達を批難しない?」
「君達がたった2人のインド大戦へ夢中になっている間、この私、鞠山お兄さんが咄嗟に幻術を張り巡らせて」
鞠山さんは顔を青王、騎士王アルトリアの方に顔を向け
「彼処で騎士王の格好をしているキャストリアが対粛正防御を商店街とその周辺まで施して」
更に通路反対側のキャプテンファルコン、オルガ・イツカ、シャア・アズナブルを見て、
「宝具同士の衝撃を抑えてもらったり、人の意識が間違っても向かないようにと頑張ってもらったよ」
「それは多大なる迷惑を掛けてしまったようだ」
「まぁ、結果的に商店街が無くならなくて良かったよ。私個人としてもここが無くなると努力と時間を費やした彼らの感情をバイキング形式でいただけなくなってしまう。実は割と死活問題でね」
「な、なるほど」
「そういうわけで、君達も今年で10年目になる冬岸町商店街名物のコスプレ大会を楽しんでいってくれたまえ」
「だ、そうだアリシナ。一緒に撮影したり、見て回らないか?」
「良いだろうカルノ。元々は私が提案したことだ。この約束を違えるつもりはない」
この時をもって俺達は先程の暴走からは一旦目を逸らしたのだ。
二人揃って立っていると、カメラを持った一般の方が声をかけてきた。
「すみません、二人並んだところを撮らせてもらっても良いですか?」
「良いでしょう」
柔らかい口調でアリシナが応える。
「良かろう、だが、悪いぞ」
ここは陽射しが強い、多分スーリヤパッパも張り切っているのだろう。
「えっと?」
「おい、カルノ!!」
「どうかしたか、アリシナ?」
「全く...すみません。この男は『撮影よろしくお願いします。しかし、この場所は陽射しが強くなってきたので白飛びして写りが悪くなるかもしれません。』と言っているだけなので問題無いです、大丈夫です」
「あ、ありがとうございます!!」
二人で横並びに立ち絵風で撮影された後、個別に数枚ずつ撮られ、解放された。
「カルノ、一言足りてないどころでは無かったぞ」
「すまない翻訳助かった。既に侵食の影響で無意識だった」
こんなこともありながら、他のコスプレイヤーさんの写真も撮ったりして、実に充実した一日を過ごしたのであった。
「このような催し物があればまた誘ってほしいところだ」
既にコスプレ大会は終了し、現在は目立たない霊衣とその上にフードを被っている。
その点アリシナは髪型や髪色が割と普通よりなので羨ましい。
「ええ、私として、アリシナとして、カルノ、貴様、否、貴方を好ましく思っている。是非誘いたいと、思う」
俺よりも白と黒の二つによって思考回路が捻じれやすいと感想を言っていたアリシナが侵食を跳ね除けて、自らの意思を伝えてくれた。
「必ず応じよう、ではまた」
「はい、また会いましょう」
俺達はそれぞれの帰路に向かっていった。
続けます、続けてみせます