これから投稿は不定期更新気味になります。(過去形)
頼む、カルナさん来てくれ!!
俺のスマホから着信音が出た。
別に驚くことではない。
これは鞠山を登録しておいたLINEから来たものだ。
どれ、内容は『撮影するぞ~鞠山お兄さんからの素晴らしい提案だ、是非アリシナ君も呼び給え』
な、なるほど。
鞠山がカメラマンをやり、俺とアリシナが公園で鉄棒勝負をする、幻術のおかげでやらかしても大丈夫、これは中々、悪くない。
『良かろう、アリシナにもその旨を伝えておこう』
こうして俺は連絡をし、動きやすい格好(常識の範囲)になり、例の公園に向かった。
カルノin例の公園
その公園には、鉄棒、ブランコ、シーソー、ベンチ、公衆トイレに水飲み場、やや大きな樹が1つある。
公園としては中々遊具が揃っていて、鬼ごっこができるぐらいには広い。
ただ、ナニアレ。
樹の回りには見たこともないくらいに花が咲いており、樹の下にはダンボールを敷いて寝ているクソ鞠山シスベシフォーウッ!!
「おや、来たのかい。この公園は寝心地が最高だ。どうだい君も寝るかい?」
「断る」
そもそも寝るためにここに来たわけではない。
「なぁに心配することはないよ、そのための幻術さ」
そこに連絡通りこの場所へとアリシナがやってきた。
「……何だこれは、頭が痛くなる光景だ。恥を知れ!」
やって来てそうそうに俺ですら言わなかったことをあえてツッコミ入れるとは、流石アリシナ、中々にやる。
「そんなことより君達は動画を撮るんじゃなかったのかい。さぁ鞠山お兄さんがカメラマンを務めよう!!」
「「貴様が悪い!!!」」
最悪の再会を終えたところで、俺たちは動画の段取りを考えていた。
格好は鞠山のアホが幻術を掛けているので堂々と英雄として振る舞える。
まさか、これが本当の英雄作成か?!
自己紹介からの対決をするのだか、
内容としては、公園の遊具を使ったものと己の肉体を使った勝負にすることにした。
「では」
「そうだな」
「よーし、準備はいいかい?」
動画の撮影が始まったのだった。
「俺はカルノ、ただの施しの英雄だ。今日はこうして外に出て公園に来ている。最高の天気日和だ、是非運動をするべきだとそう思わないか?」
「貴様に賛同することを断りたい所だが、
ええ、受けて立ちましょう。
コホン、動画をご覧の皆様、こんにちは!!
私はアリシナ、通りすがりの授かりの英雄です。そこのカルノと公園にて対決をすることにしました。
……勝つのはこの私だ」
「そこ、カルノ君はアリシナ君を煽らない。アリシナ君を熱くなりすぎて遊具を壊さないように。でこの私はカメラマン兼常識担当、鞠山お兄さんだ。みんなよろしく」
混沌のスタートを切り始めた。
「まずは準備運動として、走りで勝負だ」
「臨むところだ、来いカルノ!!」
ルールは簡単、公園の端から端、大体100メートルあるかないか位を走る、それだけ。
「では位置についてヨーイ、ドン!!」
「先手ッ必勝!!」
「なっ?!!」
俺は魔力放出(炎)を使いロケットスタート(物理)で加速した。
……実際、敏捷のステータスでは俺はB、アリシナはA、と負けている。
だが、己の魔力全てを出し尽くす勢いで加速すれば、
「この勝負、悪いが勝たせてもらう!!」
「おっとカルノ選手、既に中間地点だー!」
事前に鞠山に渡しておいたカメラは、アリシナに高性能なものを用意してもらった。
例のごとく、それもエレベーターで降りている最中に授かったものらしい。
スーパースロー映像の撮れるものだ、恐らく撮れているだろう。
「ならばッ!!!」
アリシナの気配が変わった!!
「アリシナ選手、ゴール!!!」
「なん……だと?!」
俺にも一瞬すぎて、抜かれた瞬間光のようなものが通過したようにしか見えなかったが、一体??
「……些事」
ゴール地点には神たるアルジュナと化したアリシナ、そして、その足元、乗っていたのは
「ヴィマーナ、だと?!」
いやいやいや、本気出しすぎだろ。
思わず素に戻っちゃうわ、これは。
しかし、
「見事な勝利だ、まさか自らの宿業全てを持ってして全力を尽くしてくれたとはな」
アリシナが元の霊基に戻る。
「ふ、このアリシナ、貴様との勝負で手を抜くはずがない。ゆえの勝利だと言える」
第一回戦はアリシナに勝利を譲ろう。
次の鉄棒対決では必ず勝利を手にして見せる。
そのまま鉄棒のある場所に向かう。
「カシュッ」
は?!何だと思って、思わずカメラの方を振り返った。
「って何をしているのですか、貴方は!!」
アリシナもツッコミを入れる。
「いや〜、君達の勝負は中々面白くてね、酒の肴になる!!んぐんぐ、ぷはー!
昼間から飲むビールは最高だ!!」
鞠山はダンボールの上で何処から出したかわからないが、缶ビールを開けて飲んでいた。
おいおい、今撮影してる最中だよな。
なんだこの呑んだくれは?!
「でこれが私のおつまみ、自慢の花から作ったお浸しさ、これがまた絶品で、もぐもぐ」
おい、カメラで撮影するな。
急に食レポ始まって視聴者びっくりしちゃうだろ。
「貴方って人は……」
「君達、動画撮影はいいのかい?」
「「お前が言うかァァァ!!!」」
「た、たすけて〜ロイDOMAN(棒読み)」
「おや、拙僧をお呼びで」
ひょこりと、樹の後ろから出てきたのは
リンボ。
蘆屋道満。
でかい、いつからいたんだ。
「初めまして、林 歩(はやし あゆむ)というものでございます。
親しい方からはリンボと呼ばれております。
どうか、どうか、ンンンンンン〜、
拙僧も、お仲間に入れてございませぬか」
はい、そこカメラ目線やめて、どうぞ。
「おっと、リンボ選手乱入だ〜」
「一体これはどうなっている、カルノ貴様知っていたのか」
「いや、俺も初めてだ」
カオスすぎだろ。収取がつかないぞこれ。
「ちょっと待てリンボ君、それは私のお浸しとビールであって」
「ンンン、甘露、甘露ォ!!!」
あ、パクパクゴクゴクと勝手に鞠山の物を食べ始めた。
「さ、流石の私も怒ったぞ〜、私のパチンコで勝った戦利品を生臭坊主に奪われては!!」
鞠山が立った。
「拙僧と勝負するおつもりで、ハハハハハハ」
いきなり樹の枝を折り始めた。
1つを鞠山の前に置く。
「この枝を剣に見立てて、英雄剣豪1番勝負として如何に」
「面白い、騎士王に剣を教えたことがある私と敢えてチャンバラ勝負に出るとは、乗った!!カルノ君、これ持ってて」
カメラをこちらに渡してきた。
「では」
林歩が鉄棒の上に跳躍して乗る。
そして、枝を手にしていない右手を頭上に掲げると晴れた空は雲が渦を巻くようにして集まり、曇り空となる。
どっかでみたな、この光景。
「拙僧が絶望を送って差し上げましょう」
あ、あれだ。
「まさかこの二人」
どうやらアリシナも気づいたようだ。
「そのようだ」
鞠山と林歩は飛び出し、枝で鍔迫り合いをし、数度に打ち合う。
見切ったように林歩が鞠山の攻撃を交わすが、鞠山の上段からの振り降ろし攻撃で一瞬怯む。
すぐに枝を打ち付け、距離を取るように空中へ退避する。
すると、鞠山が頭上で枝を振り回しながら跳躍、頂点で枝を構える。
「これが私の超究武神覇斬ver.5だー!!」
いつの間にか拾っていた複数の枝を投げ、高速で枝を足場にしつつ、枝を居合の如く何度も林歩にぶつけてゆく。
「この勝負、恐らく鞠山の勝ちだろう」
「……私としては既にお腹いっぱいなのだが」
何故か枝は地面に刺さり、その中央で勝者の鞠山が立つ。
その後ろ、背を合わせた林歩は膝をついた。
そして枝を両手で構えつつ、鞠山は言った。
「思い出の中に、じっとしてくれたまえ」
顔だけ振り向くようにして林歩は
「拙僧は思い出にはなりませぬ」
最後まで撮影し終えたところに、スタスタとアリシナがやってくる。
「返せ」
いきなり、カメラをぶん取られた。
そして、アリシナは自撮りをしつつ、
「というように私達アリシナ、カルノは思い知らされました。
真剣勝負は犬も食わない、もしくは部外者は呼ぶべきではないと。
では皆様、動画のご照覧ありがとうございましたー!
是非『ありしなと授かりのThe final dark godチャンネル』の登録、評価よろしくお願いいたします!!」
「『カルノチャンネル』にも是非頼む!!」
「では次の動画でまたお会いしましょう」
「相まみえることを楽しみにしている」
一旦動画として一本取り終えられた。
正直色々と疲れたのでその場解散になった。
あと、林歩は負けたため、死ぬほど鞠山に居酒屋でハシゴされながらたかられたそうだ。ナムサン。
アドベントチルドレン風でした。
忘れもしませぬ
あれは拙僧が片翼の天使だった頃……
まあそんな事実はなかったわけですが……
次こそは全力の戦闘を……!!!