ここは2074年の日本。ここでは、知名度の度合いはよく分からないけど、一人の少年が侵略宇宙人のジュラル星人と戦っているんだ。
少年の名前は泉研。胸元のKの文字が特徴的な全身黄色のタイツを纏う彼は今、通っている学校の裏庭に呼び出されていた。
裏庭にいるのは研を除いて三人。ポニーテールの少女エメ、ツインテールの少女プチ、サイドテールの少女タメ。いずれも違うクラスの美少女である。
そんな三人が一斉に研に向けて、それぞれあるものを差し出す。
それは、白い便箋をハートのシールで口をふさいだもの。勘の鋭いものなら分かるだろう?
これはラブレターだ。
「「「わ、私……泉君のことが好きです!!」」」
「えっ!?」
三人の告白に思わず驚く研。
それもそのはず。なぜなら彼にとってはこれが初めて女の子に告白された経験。しかも三人同時となれば、驚きも一入というものだろう。
しかも次の彼女達の発言が、さらなる衝撃となって研を襲う。
「「「も、もしも泉君さえ良かったら……三股でも構いませんから!!」」」
なんと、三人は三股を公認でOKするというのだ。これには流石の研も言葉が出なかった。
「「「それじゃ、お返事待ってます! 明日の同じ時間にまたここに来ますから!!」」」
だが三人は研の返事も待たずその場を去ってしまう。
仕方ないので研も大人しく家に帰った。
「で、そんなにデレデレしてるって訳ですかい」
「デヘヘ……困っちゃうな僕……!」
家に帰り研は早速さっき起きたことを話した。
すると一番最初に嫌味を言ってきたのはバリカンだ。彼はデレデレする研に白目を向けている。
「お兄ちゃんったら不潔!」
「そうよ研。三股なんて私は許さないわよ」
白目を向けているのは研の妹のキャロンと、ママのさゆりも同様だった。
これには流石の研もタジタジだ。
そこに、ここまで口を挟まなかった彼のパパが助け船を出す。
「まあ、最終的にどうするかは研が決めることだ。今日一日、よく考えなさい」
「はぁい」
そして夜。研はベッドに入るも眠れなかった。理由は当然の如く、告白の返事について悩んでいたからだ。
流石に三股を選ぶつもりはないが、正直三人ともよく知らない相手なのだ。一体どうすればいいのだろう。
彼は答えを出せなかった。
「……散歩でもするか」
気分を変えるため、夜風を浴びながら散歩をすることにした研。
あてもなくぶらぶらしていると、彼に今日告白してきた少女の一人、ポニーテールのエメが何やら虚ろな目で歩いているのを彼は見かける。
(一体こんな夜にどうしたんだろう?)
不審に思った研はエミの後をこっそりつけてみると、やがて小さな空き地にたどり着く。
そこには、エメと同じく今日彼に告白してきた少女、プチとタメ。更には青いトレンチコートとハットを纏い、サングラスをかけた怪しげな男の姿があった。
男はあるものを三人にそれぞれ渡しながら、優しく語り掛ける。
「きちんと告白はできたかい?」
「「「はい!」」」
「そうかい。ならば後は明日、これを研に使えば、彼は永遠に君達の物になるよ。頑張りなさい」
「「「あ、ありがとうございます!!」」」
何かを渡し、恋のアドバイスをする謎の男。
しかし研は見た。男が渡したものは、刃渡り鋭いナイフであると。
やがて三人の少女がいなくなると、男は一人語り始める。
「ククク……まず催眠で小娘たちに研を好きだと思い込ませ、研が油断した隙に刺し殺させる作戦も後一歩だ。何、あの小娘たちは本当に地球人。我々ジュラル星人ならともかく、地球人相手なら研は手も足もでまい」
「そういうことだったのか!」
男の企みを全て知った研は、即座に彼の前に現れた。
そう、謎の男の正体はジュラル星人であり、今日受けた告白も研を倒す作戦の一部だったのだ。
「き、貴様はチャージマン研!」
「お前達、今度という今度は許さないぞ!!」
研が強く宣言すると、チャージマンに変装すべく、彼はいつものポーズを取った。
「チャージング、ゴー!!」
研はチャージマンに変装した。
同時に、人間に化けていたジュラル星人も本来の姿に戻り、なぜか三人に増えていた。
「それっ」
変装と同時にまずは一発、近くのジュラルに蹴りを浴びせる研。
負けじとジュラル達も目からビームを発射し研の顔面に当てるが、どういうわけか通用しない。
「えいっ!」
「ぬおおおおおおお!!」
そのまま研はアルファガンをジュラル星人の内一人に当てて、そのまま消滅させた。
「キェェェェイ!!」
負けじと別のジュラル星人が飛び掛かるが、研はあっさりと躱し、代わりにアルファガンで反撃。
「ギャアアアアア!!」
撃たれたジュラル星人は消滅。
そしてそのまま最後の一人に向けてアルファガンを発射。
「それっ!」
「お、チャ、アーッ!!」
哀れジュラル星人は全滅し、戦いの決着は着いた。
そして翌日の放課後。研は自分の家で不貞腐れていた。
「じゃあ、昨日お兄ちゃんがされた告白はジュラル星人の仕業だったの?」
「そうだよ。それでも、もしかしたらエメちゃん達が来るんじゃないかと思って待ってたけど、ちっとも来やしない」
あからさまに不機嫌な研の顔を見て、呆れるキャロンとバリカン。
やがてバリカンはやれやれと頭を振りながら、研に向けてこう言った。
「ま、オイラには最初から分かってたけどね~。だって、研がバリカン大先生よりモテるわけないじゃないですかぁ~」
「なんだと!?」
バリカンの言葉に怒った研は、そのまま追いかけまわし始める。
それを見て慌てて逃げだすバリカン。
「ひぇ~お助け~!」
「待て~! バリカーン!!」
「ウフフフフ! アハハハハハハ!!」
そんな光景を見て、思わず笑いだしたキャロンの声が家中にこだまする。
泉家は今日も平和だった。
こ れ を チ ー ト ハ ー レ ム と 言 い 張 る 勇 気