転生:愉悦部員の章
『やぁ。』
「お久しぶりですね。カミサマ。」
やぁ。みんな僕だ。転生先は世紀末。特典のお陰で暗躍はし易かったけど結構早めに死んだんだよね。まあ曇らせ地雷は死んだ後一斉起爆するようにしてたからまあありよりのアリなんだけど。
『色々と面白くありがとう。ただ少しやり過ぎたね。』
「?」
やり過ぎたとは。正直に言うとまだまだ考えてもっと愉悦できただろうに。
今でも新しい地雷が生まれてきている。あの時点で死んだのはやっぱり少し残念だ。
『知らぬが仏とは言うけどね。君もう一度転生だ。』
「…………はぁ!?」
ええ。どうして………少なくとも曇らせることは出来たと思うんだが…
『時間は大きく離されて君が死んだ300年後だ。』
「まだ人類存在してたんだ。」
もう一度転生だとか関係なく正直その事に驚いた。
『君が……いや。元より300年という歴史は保証されていたんだ。』
君が居ようと居なくともね。なんでも無いような声で、そうカミサマは答える。
と言うことは俺が居ても居なくても歴史の流れは変わらないと言うことだろうか。
『そう言うわけでは無いね。事実、君は幾つかの因果を捻じ曲げた。』
「!?」
思考が読まれている?
ここはあのカミサマの空間だ。そう言うことができないと言うわけでは無いだろうが、前回ここで曇らせ依頼を受けたときにはそんなことなかったはずだ。
『そんな事は良いじゃ無いか。君はまた曇らせるのかい?』
「そうですね………」
正直に言うと300年後に転生とは言うが、どうなっているのかがこのカミサマは言っていない。人類滅亡3秒前かもしれないし逆に発展し過ぎてSFよろしく超ハイテクになっている可能性も高い。
曇らせも、前世で散々摂取し続けた。
濃厚豚骨ラーメンを浴びるほど食べてたら飽きてくるだろう。それと同じことが起こっている。濃い愉悦を摂取し過ぎて賢者タイムが発生しているのだ。こんな状況では愉悦に程遠い。
『転生先は曇らせやすいよ』
「曇らせてきまーす!!」
酷い手のひら返し。手のひらドリルハリケーン。お前の手はドリルで出来ているのか。
赤文字でデカく表示されるほどこの瞬間の反応は早かった。
曇らせやすいと聞くならばどう言う意味でなのか気にしない愉悦部員は居るのだろうか。いや居ない(反語)
愉悦部員として、そこは譲れないだろう。どうなるかは分からないがそれもまた一つの楽しみだ。先程は、賢者タイムがどうたら言っていたがどうせ動けるようになるのは前世と同じように何かしらの“力”を得れるまでだ。それまでに多分また昂ってくるだろう。
『それでどうするんだい?』
「分かってるでしょうに。転生しますよそのまま。」
『それはありがたい事だね。もし了承しなかったら記憶を消して転生させていたよ。』
怖っと思いながらもそうか。と納得する。
わざわざ転生させると通達させておいて、それを嫌がりゴネるのはカミサマだって嫌なはずだ。ならば手取り早く記憶を消して転生してもらう方が楽なんだろう。
まあ愉悦に惹かれて何度も死ににいくようなアホが言っても説得力というのは皆無であるが。
『準備完了。君の新しい肉体の器の生成を確認。前世による貢献の報酬を読込完了。さぁ君の道行、どんな愉悦を描くのか楽しみにしてるよ。』
「何から何までありがとう。楽しんでくるよ。“自滅因子”さん」
前世と同じような光の玉に変わりながら手を振る。
あいも変わらず前世と変わらずそのカミサマの姿は把握出来なかったがそれでも生まれ変わった命を使って楽しむことを面白そうにしているのは何となくわかる。
『………あ。そうそう。』
意識が少しずつ、ほどけていく。
ぜんせになるときはわからなかったかんかくだがこれはたしかになにかにほうようされてるような…あたたかな………
『300年も生きてる君の前世の知り合いも居るから。というか君を探してるから。』
いまなんて?
〈暗闇に満ちた何処かの部屋〉
『総員揃ったか。』『皆、神樹様と大聖真君に礼。』
『それでは今回の会議を始める。』
『巫女衆、並びに巫女長から神託があったと。』
『ほう。』『素晴らしい。』『吉兆でありましょう。』
『日、大聖真君は君臨なされると。』
『何!?』『それは……』『素晴らしい。何と吉兆な事よ。』
『何処に降臨なされるのかね?』
『上里の血を辿り、大聖真君は今一度お産まれになられる。』
『素晴らしい…』『なんたる朗報……!』『再臨の日はなさられるのですね……!!』
『心せよ。心せよ。英雄は産まれ、三人の勇者と共に魔を祓う。』
『おおっ……!!』『救いは……!』『我らが待ち侘びたその日が…!』
はろはろ。おぎゃあと生まれて早三年。前世は大聖と崇められていた愉悦部とは自分のことだ。正直に言うと前世から容姿も性別も何も変わってなく、本当に小さくなった前世の姿というのは特典なんだろうか。だがそう言うことは一切言ってなかった気もするがどうなんだろうか。
「たいせい………ね。」
そうそう。今世の産まれは余程の名家の生まれらしく、箱入り息子となっている。
部屋は非常に広く、前世大聖として過ごした馬鹿でかい部屋と同等レベルの広さと言えばおかしさ分かるだろうか。
そして多くの使用人。一人でもいればブルジョワ感覚の自分だが、この家には自分でさえ把握出来ない程の使用人が居るのは確定だ。
外に出ることは許されないが、言えばありとあらゆる物が揃えられる。正直に言うとあまりにも不気味だ。こう形容したくは無いが、正に軟禁されているのはこう言うのだろう。
ただ無為に時間を過ごすのはあまりにも惜しすぎる。
ならば自分が動けるまでに多くの事を知れる。情報というのは千の知識をも凌駕することがある。
使えるツテ(使用人)にゴネまくって、この家の蔵の中で埃を被っているような本全てを掘り起こした、そしてその中で幾つか分かったことがある。
・西暦というのは大聖が死んだ数年後に“神樹暦”という物に変わっている。
・大聖を支援するという組織だった“大社”は“大赦”という名前に変わっている。
・そしてこの家は大赦の中でも最も位の高い“上里家”ということ。
色々とツッコミたいことがあるがなによりも目を引いたのがこの情報。
・神樹様が守る結界の先は殺人ウイルスが満ちており、私たちは神樹様の結界に守られている。ということ。
……………控えめに言ってどういうことだ。
あのカミサマを疑いたくは無いが、これ本当にあの300年後の話か?
バーテックスの存在が隠蔽されている?何故?何のために?
だというのに大社は、大赦は存在している。神樹だってある。大聖の時に見た姿と同じ形で存在している。
何だろうか。このなんとも言えない得体の知れなさは。
情報が要所要所で欠落している感覚。何も知らない人間からすれば全く謎を感じ得ないほどの完璧な隠蔽は。
考えることは簡単だが、それは今では無いのだろうか。
そして上里家。ここが問題だ。
この神樹が守る四国は(四国という名称や県の名称に関しては変化なかった)大赦が多くの事を担っていると聞いた。(3歳だから詳しくは言われなかったが、考える最悪としては大赦の独裁になっていると言われても不思議では無い)
その中でも、特に名家として大赦を率いる者達が上里、乃木、郡、土居、高嶋、伊予島、鷲尾、三ノ輪、白鳥、赤嶺。(権力が)一番上から数えたが、それでも幾つか見覚えがある苗字が多い。
上里、乃木、郡、土居、高嶋、伊予島。
この上位6家は特に権力が強いと聞くが、本当に既知感満載だ。
ここまで前世、後を任せた者達の苗字が完璧に揃っているのはあまりにも出来すぎている。300年かどうかはまだ分からないが、少なくとも自分が大聖と崇められていたあの時代より大きく後の話だと分かる。
そして一番上の“上里”。あの時巫女だった者が一番上というのが気になるが、どうなんだろうか。大聖の、自分の巫女をしていたから位が上なんだろうか。
不思議は消えるどころか増していくが、一ついいたい。
NTRやんけ〜!と。
(上里ひなたと)寝てから言えやと一人ツッコンでいたが、もし自分の先祖がかつて乃木の子を色んな意味で好いていて、大聖の巫女まで成り上がったり、その後どういう意味で子を拵え、そして大赦の頂点に立ったというのが事実ならば本当に何とも言えない事態になってしまう。その為、自分はまだ家系図を開けずにいる。(掘り起こしてもらってなんだが。)
それでも、みんな立派な大人になって天寿を全うしたんだろう。
幼馴染だった郡ちゃんも、勇者として気を張っていた乃木ちゃんも、よく拳をあわせた高嶋さんも、よく三人でと誘ってくれた土居さんも伊予島さんも。
前世で心残りがあるとするならばきっとあの時曇らせの餌にした彼女達が立派になってくれたのならば何も言うことはない。
まあ。今頭を悩ませているのはそこでは無い。
「伏魔大聖真君…って………」
何とも厨二臭い名前で前世の大聖としての記述を見つけた。
伝承曰く、一太刀で海を切り裂いた。その御姿は神樹様に愛されており傷つく事無かった。その最期は民を守るためわざと裏切り者となり大赦に未来を任せた。
………一言言っていい?
誰こいつ??
ほんま誰なんや。こいつ。前世の自分っぽいが……本当にどういう事なんだ(ガチ困惑)
過去の記述は色々とおかしい物があるらしいが、事実その当時を生きたものからしたら爆笑モノだ。その功績は神樹の使徒として四国の民の平定を行い、大赦を遣いなされた。とある。まあ確かに、(バーテックスを殺して)安全という名の平定とも言えるし、(勝手に出来た組織ではあるが)大赦、大元を辿れば大社を作ったのも前世の自分だがここまで評価されているのは何か気恥ずかしい気もしなくは無い。
最終的に、曇らせが見たい衝動で裏切って千景の膝枕で死んだがまさかここまで美化されている物だとは思わなかった。ある意味悲劇である。
〈暗闇に満ちた何処かの部屋〉
『総員。神樹様と大聖真君に礼。』
『予言の日。我が上里に一人の男子が産まれた。』
『何と…!』『大聖真君がついに降臨なされた……!』
『そして当時大聖真君が生まれたであろう時間に、神樹様が突然花を開花させました。』
『当時、巫女衆にも神託が下り大聖真君がお生まれになったと…』
『つまりあの子が予言にある大聖真君の生まれ変わり。と言うわけですな。』
『だが、何処で大聖真君としての記憶を思い出すかは不明だ。』
『大聖真君……いや。名付けた名前は聖。恐れ多くも大聖真君よりいただいた。』
『素晴らしい……』『御目通り願いたい物ですな…』
『大聖真君が3歳となった暁には、お披露目会を盛大に取り行おう。』
『ならば我が娘も合同で行いましょう。』
『なるほど…かつての勇姿を再現するのですな。』
『ああ。……上里より生まれた大聖真君と我が乃木より生まれた新時代の勇者。あの時代の勇姿を今一度。』
『『『『『『全ては、我らが大赦のために』』』』』』
3歳のある日。自分はあまり関わりが少ない親に連れられ、広いホテルのような場所に連れられた。言うには、自分のお披露目会らしい。名家になるとそう言う縁が物を言う場合もあるその為、跡継ぎはこう言う会を盛大に行うのだと言う。
何とも雲の上の話だったが、今回は自分の疲労も考えられているようにもう一人同じようにお披露目会をする子が居るようだ。簡単に言うと合同お披露目会ということか。
「お父様。お母様。どうでしょうか。」
「ああ。よく似合っている。」「お似合いですよ。聖。」
遅れたが自分の名前は聖。
親が深く信仰する伏魔大聖真君からいただいた名前らしい。
何とも前世の因果が消えない物だと何とも言えない感じになるが、まあ前世ひたすら大聖呼ばれてきたのだから、ある意味その名前に自分かどうか悩まなくてすむのはありがたい。
「私が紹介したら、名前を名乗るだけでいい。分かったな聖。」
「はい。お父様。」
あ゛〜!!まじで今世もこの口調で過ごさないとダメなん?
ストレスが溜まると言うか、慣れない物だ。愉悦しようにもこの年齢では溜まる一方だ。光源氏計画よろしく、誰か育てて愉悦の的にしようか本気で考えている。
「それでは行こうか。」
「はい。」
うお眩し。
壇上から出てきたその瞬間。その感想しか出てこなかった。
スポットライトがアホみたいに当てられ、光の加減のせいで熱くなってくるレベルだ。少しは自重してくれ。
しかも、聞いていた話だとそんなに人居ないと言っていたのに、大会場が満杯になるレベルとは聞いていない。何処がそんなに人居ないだ。上からだと結構人が見えるぞ。この野郎。
「我が息子。聖だ。」
「皆様はじめまして。上里 聖です。このような会を開いていただきありがとうございます。」
大聖時代によくした笑みを浮かべ、声を張り上げる。マイクひとつないとかどうなってるんだ。マジで。え?今からこの人達と全員会話するの?結構いっぱい居るよ?マジで言ってる??
あっ。今から乃木家の御令嬢のお披露目会をするのね。端っこに寄りましょ。
……乃木かぁ………若葉似なんだろうかそこは。
「我が娘。園子だ……園子??」
壇上に父と似たような男が出てきたと思ったら、その後ろから金髪、金眼の本当に若葉によく似た少女が顔を見せてくる。
わぁ…本当に若葉とそっくりです、ありがとうございました。
本当に、若葉の遺伝子仕事しすぎ…し過ぎじゃない??
ここまでそっくりだと本当に転生を疑うが………え??若葉の子孫ちゃん??
「会いたかったっ……!!会いたかったっ!!」
男(子孫ちゃんの父かな)の後ろにいたと思ったら眠たげな瞳が自分を見た瞬間、目を見開き驚くべき速さで抱きついてきた。もはや飛び込んできたレベルだ。
「……ああ。僕も。会いたかった………」
泣きじゃくりながら、俺に抱きつくその若葉の子孫ちゃんにそう可能性を感じてしまったのだ。そうこれこそ運命なんだろう。
前世、カミサマが曇らせやすいと聞いたが、つまりそう言うことなんだな…?
まずはこの子を曇らせろって事だな!!よし、昂ってきた。
「私の名前は乃木園子。これからずっとよろしくね!」
「僕の名前は上里 聖。長い長い付き合いになるだろうね。」
ああでも確かによく似ている。あり得ないほど。
確かにこれは運命だ。長い長い付き合いになるのは確定だろう。
それはそれでとても楽しみだし、これからきっと多くのことに巻き込まれるだろう。乃木の子孫だからあんまり危険に関しては考えてないけど。
「……あっ…ああ。どうする?少し二人で話すか?」
壇上。しかもスポットライトが全力で照らしているこの空間での出来事だ。
当然よく見える。本当によく見える。やっちまったなぁ!と頭の中で考えるがどうしようにも取り返しはつかない。子孫ちゃん…言い方悪いな。園子ちゃんは抱きついたまま離れないどころか、ナワバリを主張する猫のように擦り付いて離れない。少しでも離れようと動くと、泣き出しそうな目でずっと見てくる。流石の俺も、なけなしの母性が強引にどかすのはちょっと…と声をあげている。
「えー。皆様。300年の長き………」
父に手を取られ、園子ちゃんを引っ付けたままステージ下に降り外に出る。
園子の父は、どうにかこの場を治めるようだ。少し離れたところでも大きな拍手の音が聞こえる。…肝心の園子ちゃんは変わらず擦り付いて離れない。
もはやこれは、だっこというか……離れない。
「話したいこともあるだろう。終われば扉を開けてくれ。」
一つの部屋に入り、父は空気を読んだかのように部屋を出て行く。
何とも言えない空気の後に、抱きついて周りを見ていなかった園子ちゃんが顔を上げる。
「………あれ?」
「さぁ。話し合おうか。乃木園子。」
面談のお時間だ。カミサマが言うには転生先にも300年前から生き続けて、俺を探し続ける存在がいるらしい。誰がとも明確に言ってないし、事実かどうかでさえ疑わしいが、今日の乃木園子の反応を見ると記憶があるそぶりをしていた。
もし、記憶を持っているなら曇らせにくい(IQ3)
愉悦するために、愉悦のネタを知っているのは非常に困る。それはそれで面白いがそういうシチュは考えてなかった。
「……え?どうしたの?怖いよ………」
え゛…なんか泣き出したんですけど〜ちょっと男子〜
はい。洒落にならん。どうするべ…どうするべ……
「乃木若葉って名前に覚えある?」
「………無い。」
えぇい!めんどくせぇ!!(深夜テンション)どうとでもなーれ。
「だって会いたかった。会いたかったの。」
園子ちゃんが引きじゃくりながら言葉を辿々しく紡ぐ。
言いたいことを要約すると、運命だと。ずっとずっと前から会いたかったのだと。
………前世とは関係ないことを考えたらどう言うことだろうか。
まさか乃木若葉が会いたかった……とか?
考えてても仕方ない。今は動く時じゃ無い。
〈9年後〉
「………お役目。勇者……そう言うことか!!」
畜生。完全に騙された。やられた、そう言うことか。
あ゛ー!恨むぞ9年前の自分っ!!
キャラ紹介
大聖→上里 聖(うえさと ひじり)
ここら辺に幼女泣かせた愉悦部が居るらしいですよ?
はい。大聖の転生体ですね。お疲れ様でした。
この度、転生しました。性格は前世据え置き。最悪やな。
300年後に伝えられている大聖の正式名称は伏魔大聖真君。夫婦神としての名称は……
“魔”を調“伏”する大聖という意味。仙人の位である真君なのは実は意味がある。
愉悦できなくてストレス溜まってた所にいい感じの幼女見つけてやべぇこと考えてる。
基本的に、愉悦オリ主の視点→原作キャラ達の視点となってます。
原作キャラは特定の誰かが出てくるとかは有りませんが、出来る限り全視点書いて行こうかなと考え中。
次章「未だ種のバラの章」
感想…感想お待ちしてますっ!!