この末期の世界に曇らせ好きの愉悦部が乱入した話。   作:ネマ

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幼少期の園子の内心書くのめっちゃ悩んだ
上手く文にならないのでもう少し後に明かすつもりだった設定開示も込めて執筆。
それではどうぞ。



未だ種のバラの章

 

 

私じゃ無い私が笑ってる。私じゃ無い私が泣いている。

私が……

 

「おはよう……」

 

目をこすりながらわたしは目をさます。

マドから外をみると、いつも通りのいい天気。

部屋には色んなものがあって…そう昨日ねる前に遊んだもの片づけ忘れてる。

 

「………たいせい………さま………」

 

お母さんもお父さんもずっと言ってるのはたいせい様のことだけ。

たいせいさま。正しくは伏魔大聖真君さま。ふうふ?神としての名前は何とかのたいせいのみことさま。

今があるのはこの人のお陰だってみんな言ってるけど、違う。違うそれだけじゃ無い。

 

なんで誰も覚えていない。なんで誰も語らない。なんで誰も考えない。

大聖さまがなんで大聖さまなのか。大いなる聖たる者。最後の覚者。現人神。

ずっと目を閉じれば思い浮かぶ、あの後ろ姿を、横顔を。

私たちに及ばないほど貧相な防具で。

ただその武を誇るような片手剣だけが貴方の全てに見えて。

強くなりたかった。強くありたかった。

一度でよかった。一度だけでも良かった。

弱音を吐いて欲しかった。愚痴を吐いて欲しかった。

全部、全部分かったのは貴方が居なくなって、隣にいた親友が剣の先に浮かんだ時だった。

 

「…………ぁ………ぁぁ………」

 

小さな手のひらを見る。幼なすぎる手のひら。

剣を持つことも、貴方を抱きしめることも叶わないこの身体。

色褪せない感情と、途方もない時間の狭間に喪った記憶だけがこの幼児の身体を駆け巡る。

溢れる涙は止める術なんて無くて、謝罪の言葉は呼吸に消える。

 

「……違う。うまれたんだ。大聖様が。」

 

幼子の記憶を辿る。幼子の想いを読み取る。

そう言っていた我が子孫が、遠い遠い世界のために残した種が。

大聖様の君臨を指し示した。かつての親友が言ったように300年という長い月日が経った今。ようやく現れたのだ。この世界の希望が。

 

「……園子。と言ったか。」

 

この肉体の名前につけられた名は園子。我が子孫、乃木園子。

私の幼い頃に実にそっくりだ。だからこそ表面上私が出れたのだろうが。

長い長い時間の果てで私が私足り得る因果は喪った。

ああ。確かに長かった。本当に長かった。

大聖が変な名前で信仰され、貶められているのを見ると肉体を乗っ取って、全て覆したくなったが、その我慢も憎悪も今この時のために。

 

「すまないな。我が子孫。」

 

多くの事を押し付ける。多くの身勝手な呪いを押し付ける。

だが、それ以上の幸福が待っている事を私は知っている。

自分の核から、勇者としての因子そして多くの記憶をこの園子に譲渡する。

きっとこれから多くのデジャヴに彩られる事が起きるだろう。

 

「ああ。きっと世界の最果てで。また会おう。我が子孫、そして大聖の転生体」

 

心残りはある。あの狂った幼馴染を止めることはできなかった。

悍ましい計画は進んでいる。きっと今も何処かの誰かの肉体を使い、暗躍は続いているはずだ。それを知っていながらも止められないのは残念だ。

私の名前は乃木◼️◼️。……私をこの世界に引き留めていた楔を手放した。

もう、自分の名前さえも不明瞭だ。ただ、ただ一つだけ。もう一つだけいうならば。

 

「この目で最後、会いたかった……なぁ。」

 

意識が閉ざされていく。きっとこのねむりがわたしのさいごなんだろう。

おおくのひとをきずつけて。おおくのひとをくるしめて。

さいごのさいごまでじぶんのこいにきづけなかったばかな私だけど。

きっと、きっと後悔はしない。だってわたしのしそんだもん。

こんかいはむすばれる。そんな気がするから…………

 

 

神樹歴289年。今となっては誰も知らない物語が、泡のように消えた

 

 

 

 

 

 

「………う?………二度寝してた?」

 

時計を見る。短い針は数字一つ分動いていて、二度寝してしまったことは明らからしい。

今日は一番楽しみな日、どうしてかというと大聖様に会える日だから。

大聖様。この世界を守った神様の名前。そのてんせい?した男の子がいるらしい。

私と同い年で、きっといい友だちになれるだろうって聞いてる。

 

「………あれ?なんで涙が………」

 

わからない。分からないけど悲しい。悲しいのに分からない。

何か大切な事を言われたような、何か大切なものを預かったような。

でもそれが何か分からなくて、何か知らなくて。

 

「会いたい…会いたい……会いたい………のに。」

 

おしえて。あなたはだれ?

 

 

 

 

「ああ。わかるね。園子。」

 

「はい……名前をいうんだよねー」

 

正解だ。そうお父さんは頷く。

夕方。太陽さんはビルの中に消えて、私たちはクルマに揺られながら今から大聖様に会いに行く。

正しくは、私のお披露目も兼ねてるらしいんだけど多分確実に大聖様のお披露目会に食べられてしまうんだって…

 

どんな人なんだろうか。大聖様って。私と同じで、きっと話も合うだろうって。

そんな事を考えていると、わたしはいつの間にかお姫様みたいなドレスを着ていてドアの前に立っていた。

この先に大聖様が居るんだって、わたしの胸はドキドキし始めた。

背中を押されて、わたしは前に進む。少し怖くなって、足元で後ろに隠れてしまう。

 

 

とても眩しい所に来てしまった。光が当たってそしてすごく高い。

人がいっぱい私をみていて、すこしこわい…

 

「我が娘。園子だ……園子??」

 

横を少し見る。見てしまう。何も、どんな言葉でさえ、あの時の感動は言い表せない。

会いたかった。謝りたかった。胸の中から言葉にならないほどの何かが溢れ出してくる。

あの人の瞳に写りたい、名前を覚えてほしい、触れさせてほしい。

撫でてほしい、笑いかけてほしい、言葉を交わしてほしい。

貴方の体温を感じさせてほしい。貴方の全てが知りたい。

貴方のためになりたい。貴方のために捧げたい。貴方の横がほしい。

気がついたら私はもう走り出していた。大好き大好き大好きっっっ!!

 

「会いたかったっ……!!会いたかったっ!!」

 

「……ああ。僕も。会いたかった………」

 

きっとわたしはこの日のために生きてきたんだ。

 

 

 

 

「なんて懐かしいよね〜」

 

時間は過ぎて行く。私たちはいつの間にか小学生になって、神樹館小学校という所に、ひーくんも一緒に行った。あの日からわたしたちはずっと一緒で、片時も離れたくなかった。

 

だから全力で縛りつけた。

 

朝起きてから、学校行って、帰って一緒にお菓子食べて、夕ご飯まで遊んで、夕ご飯食べたら、一緒にお風呂入って、一緒に寝る。全部、全部一緒で同じことした。

私にとってひーくんの知らないことはないし、ひーくんも私について知らないことはない。

何が好きで、何が嫌いで、何時に起きて、何時に寝て、身長はどれぐらいで、体重はどれぐらいで。数え出したらキリがない程知り尽くした。でもまだ足りない。もっともっともーっと知りたい。

 

「どうした?」

 

神樹館小学校って所に行かなくちゃならなくなった。でも関係ない。

一番後ろで、ひーくんの隣で、ただ時間が勝手に過ぎるだけの時間は至福そのものだ。勉強だってそんなの簡単に分かるものなんて一緒にいるためのスパイスだ。

ひーくんは本当に凄い。私にだって解けないような問題も簡単に解いちゃうし、私以上に物知りだ。私を一番に分かってくれるのは、ずっとひーくんだけだった。それで良い。それが良い。

 

「ううん。なんでもないよ〜」

 

学校に行くまで、車に揺られながらひーくんに肩を預ける。

ひーくんもリラックスしてるのか、私に少しだけ肩を預けてくれてるのがとても嬉しい。隣にいることが出来てるようで、胸の中がとても暖かくなる。

それでもやっぱりひーくんの髪の毛は凄く手に馴染む。

私から見ても羨ましいぐらいに真っ直ぐな髪に、鏡にも見えるぐらいに綺麗な黒色。

 

ひーくんの正体も、私のお役目も聞いてる。

ひーくんの正体はかつて四国で語られる神樹の使徒、大赦の創始者。

伏魔大聖真君。その人の生まれ変わり。その件で何度か大赦に行ってるけど、大人たちは凄く喜んでる。耳に挟んだ程度だと、少しづつ意味記憶と手続き記憶?って言うのをひーくんから聞くらしい。

私のお役目。それは結界の外からやってくる化け物。バーテックスという化け物を倒す勇者ということをするらしい。

ひーくんは大聖として、私は勇者として、これは運命なんだって。

そう遠くない未来、私たちは戦うって事になる。きっと痛いことも起きるだろうけど、私にはひーくんが居る。大赦の人が言うには、この戦いを乗り越えられたらひーくんの隣にずっと居て良いんだって。

なら、何が何でも乗り越えよう。ひーくんと一緒なら何の心配もいらないんだから。

 

「ひーくん…ひーくん?」

 

「?そーちゃん?」

 

ただ呼んでみただけ。そう笑って笑う。

ひーくんの微笑みが見える。何時ものように髪を弄り合い、何でもないように時間が過ぎる。

誰も彼も私たちの間にも、中にも入れない。今までも、これからずっと、ひーくんと私はずっと一緒。そーちゃんって言う私の呼ぶ言葉も気に入ってる。誰も言わせないし、考えさせない。

 

「………だいすき………」

 

「?」

 

大好き大好き大好き。

ずっとずっとずっと一緒だよ。

ね。ひーくん?

 

 

それでも時間は進んでいく。

 

 

「……勇者ね~」

 

勇者の為のお勉強が始まる。勿論勉強と呼べるものではない。紙に書かれて幾つか黒塗りで書き消されている勇者縁記とか言う代物の中から必要な情報だけを抜き出す。勇者というのは、私たちのお役目の事を指す。そしてこの勇者は少女しか選ばれない。大聖様であるひーくんを除いて。

そして、私たちが勇者となってすることは、結界の外から現れるバーテックスを追い出すと言うこと。

そしてその結界の内側でも時間制限がある。それは、神樹様に敵が触れてしまったらゲームオーバー。四国が滅び去ってしまう。

ゲームオーバーになるまでにバーテックスを討伐する。それが私たち勇者の使命。

でも今回は今までとは違うらしい。ひーくん、つまりは大聖様の生まれ変わりが一緒に戦闘に出るのだから、勇者は力不足なんじゃないかって。

でもひーくんは昔の大聖様みたいに大きくない。だからこそ私が何とかしないと。

 

勿論、それと同時に身体も少しずつ鍛える事になっている。

勇者の力を使うと、その身体能力は鍛えている男の人を大きく越えるらしいが、勿論それも自分の身体の素の力に比例するらしい。だからこそ最低限、動けるようにと大社から言われている。

これはもちろん、ひーくんも同じだ。

 

「……ふ~………」

 

隣を見てみると、まだひーくんが腕立て伏せをしていた。私のトレーニングメニューよりよっぽど重いみたいで、最近では早くに寝てしまうことが多いみたい。よっぽど疲れてるんだと思う。だって寝たら朝まで起きてこないし。

まあ役得とはこう言うんだろう。だって何してもひーくんには怒られないし。

 

「ひーくんもおつかれ~」

 

「うん。そーちゃんもね。」

 

ひーくんも今日するトレーニングメニューも終わり。最近じゃ余裕を持って終わらせられるようになったらしい。でも、それ以上に覚えさせられることが多いらしくて前以上に一緒に居られなくなってる……

 

仕方がないと言われれば仕方がないことなのか。

認めたくない。認めたくない。ひーくんは確かに大聖様の生まれ代わりなのかもしれない。でも私が大好きなのは上里聖その人なのだ。昔の亡霊がなんだ。今さら、ひーくんに囁いて何をさせるつもりだ。亡霊は亡霊らしく見守ってくれてるだけで良い。今更、ひーくんを使って何をする気だ。

 

「ひーくんはひーくんなんよ~」

 

「?どうしたの急に?」

 

なんでもないよ~と首を振る。

今は分かんなくても良い、今は……ね。

でも忘れないで。私は乃木園子はいつだって貴方の事を……

 

「大好きだよ!!」

 

ずっとずっとずっと永遠に…愛してる

だからひーくんもずっとずっとずっと…私だけを見てて愛してくれないと嫌だよ?

 

 

 

⦅神世紀298年 4月25日⦆

 

「………お役目。勇者……そう言うことか!!」

 

…………え?あれ?なんでどうして……???ひーくん……?

 

 






乃木園子

幼少期はよく分からない亡霊にとりつかれていた系幼女。急募:お祓い
この亡霊の祝福のお陰で勇者の適正が上がったとか上がってないとか。
その後大聖と再開?し覚醒。ガンギマリ系聖ガチ恋勢に進化。誰が言ったか即落ち0コマ。(感想より抜粋)
決して病んだとは言ってはならない。いいね?
起きたときから寝るときまで殆ど一緒。勿論お風呂も。ストーカー?いいえ。まだ小学生にもなるかならないか程度なのでセーフ。純愛。
なあ知ってるか?こいつらまだ10歳にもなってないんだぜ……

大聖(なんか凄いくっついてくるんやがこの子……いやでもひなたも大概やったな…)

大聖(記憶は少しずつで、抜け落ちてる方が愉悦できる風潮。あると思います)

次章《愉悦部員が愉悦の種を蒔く章》

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