この末期の世界に曇らせ好きの愉悦部が乱入した話。   作:ネマ

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数ヶ月ぶりの更新になるか〜(前回投稿日確認)

………一年前!?ウソやろ……マジか。

はいというわけで待たせてすみません。待ってるかわかんないけど書き終えたんで一応投稿です…
一応生きては居たんですよ?ただこの間にゆゆゆいサ終だとかあったんでマジゆゆゆに関して執筆する気落ちてしたわ…

それでは続き。聖が病院にシューット!された後の園子たちです。どうぞ


残された華たち

 

 

 

「ギリギリ一命は取り留めました。」

 

これも神樹様の意向でしょう。そう声が耳から抜けていく。

私たちはその後。バーテックスは銀の一撃で両断されたのを知った。

そしてその、銀の、足元で無残に転がる……

 

『……ひー……くん??』

 

赤い、赤い、赤い、赤い、赤い、赫い、緋い、朱い、アカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイ……なに、あれ

 

『……嘘……嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘』

 

『すみさんっ!園子も…っ!』

 

何も、分からない。いや脳が、体が心が、その全てが理解することを拒んでいる。

聖が倒れるなんて、あり得ない。聖が、今目の前で死にかけているなんて認めない。なんで…?どうして??

 

あ。夢か。

 

そう、だよね。私たちは今、夢を見てるんだ。

今日もいつものように一緒の布団で目を覚まして、何でもないようにご飯を食べてたまに私から食べさせてって強請って、いつものようにわっしーとミノさんとひーくんとようやく楽しくなってきた学校生活を過ごしてるんだよね。この前はバーベキュー行ったから今度は、海で一緒に泳ぐのも────────

 

『二人とも正気に戻りやがれっ!!』

 

鳩尾に思いっきり鉄塊が突き刺さったような衝撃を受けた。

後でなんとか情報を整理できたけど、どうやら唯一現実を受け入れられていたミノさんがひーくんの応急処置の合間に私たちに正気を取り戻させるために鳩尾をぶん殴ったらしい。けどそのお陰か、せいか知らないけど正気に戻れたわけで。

 

『!?……ひーくん!?』

 

『………聖っ!……聖っ!!』

 

そこに転がるは、どす黒い赤色に染まった勇者服のまま倒れているひーくんと、そんな倒れているひーくんの胸元をひたすらに押さえ続けているミノさんの、姿。

そんなミノさんの勇者服も元から赤色だったのに、その時のミノさんの勇者服で血と思えるような特徴的な赤色が着いていなかった所は無かった。

 

『園子っ!何か、何か知らないか………!』

 

『っ!!……知らない!知らない…何も知らない!!』

 

きっとミノさんが私を起こした理由は一つだけ。それこそ大赦の上層部しか知らなそうな隠された勇者服の機能とか……あってほしかった。怪我したらすぐに治っていくようなそんな奇跡みたいな機能は、あって欲しかった。

 

『……心臓は!?臓器は怪我してないの?!』

 

『多分、ズレてるっ!!……でも血が!!止まら!!』

 

思い出せ。思い出せ。今この時、この戦いで何もできなかった私が今までの会話全てを遡って、勇者服の特性を、勇者の特性を。その全て言われた関係ある事を思い出せ。

 

無限にも、須臾にも、刹那にも似た私の今出来る最善のために。ひたすらに脳内から情報を搾取する。例え今この瞬間私の全てがどうなっても構わない。

それでも状況は一刻を争う。ひーくんの命はまるで流れ出ていくように血が止まる感じではない。……けどこれほど血が出ていて尚、心臓の鼓動の音が聞こえるなら心臓は一応無事だ。まだ、まだ、終わりじゃない。

 

『………光、が』

 

満ちる。極光が満ち始める。遅い、遅い樹海化の終わり。

それでも私たちは手を休めることは出来ない。3人がかりでひーくんの傷を手で覆う。せめて、せめて滴り落ちていく命が堰き止められるように。

 

 

そして、私たちは光に満ちる。

 

 

その後いつものように出てきた祠には多くの大赦の人と、お医者さんだろうか白衣を着た多くの人が私たちの姿が見えた途端に怒号と悲鳴が満ちた。

そりゃそうだろう。大聖の生まれ変わりであるひーくんは胸に大きな穴が空いて、そこから血が流れている。そしてその傷口を抑え続けたせいで私たちの両手は生温い赤い液体が滴るほどだ。勇者服なんて自分達の怪我の傷だけでも赤くなっているというのに、全員の勇者服がどす黒い赤色に染色されているのだから。

 

『緊急オペを開始しろっ!!』

 

勿論そんな私たちからひーくんはすぐにお医者さんの手で一眼見るなりその場でオペが決まった。少し離れた所に白いテントも立っていて、大赦の人達がひーくんを乗せた担架を人が出せる限界速度レベルの速さでテントに突っ込んだのが見えた。

 

『勇者の皆様はこちらへ。』

 

『『『…………………』』』

 

けどもう私たちには立ち上がる気力も全部が無くて。

今なら、わかる。樹海化がどれだけ“優しい世界”だったか。現実に戻って、大地を踏み締めて、私たちはようやくひーくんが冷たくなってきているのが分かった。樹海化の中ならまだひーくんは寝ているかのような人並みの温かさを持っていたのに。

私たちはようやく、ひーくんから落ちていく命を本能的に分かってしまった。樹海化の中なら気にならなかったような本能的に忌避したくなるような血の匂いが。

 

 

 

そんな白痴に近い状態であっても手当は進む。須美と園子の頭の傷はもう血が出てないとはいえど頭という重大な箇所。この後すぐに検査になるし、内臓の件もある少なくとも数日は病床の上だろう。そして銀だが、こちらの傷はかすり傷(勿論検査になるが)など軽度なのが多いが……一番甚大なのは精神的であると判断された。

 

『話を、聞いてもいいかしら』

 

『『『……………………………………』』』

 

大赦の女性が少女達の前に座っても、少女達は目も合わせない。俯き続け、園子の底抜けな自由な空気も、須美の厳格の中の愛らしさも、銀の底抜けの明るさも今や見る影もなく、全員が失意の中で止まったまま。

 

それもそうだろう。少女達は何もできなかった。ただ無様に隙を突かれ戦闘不能まで追い込まれ、たった一人に殿を任せてそして、挙句の果てには目の前で致命傷が与えられるまで何もできなかったのだ。こんなのが勇者を名乗るなんて片腹痛い。正直勇者としての気概と才覚を疑うだろう。………それでも少女達は勇者なのだ。

 

『……始め、私たちは二体のバーテックスだと思ったんです』

 

司令塔が園子が口を憂鬱そうに開く。バーテックスが数体同時に襲ってくるという事象は神樹暦では珍しいことであるがそれでも数件ある。そして今回は大赦が誇る大英雄“大聖”の転生体のお役目。そしてそれに準じて天の神…引いてはバーテックスからの侵攻が激しくなると予想された。……事実、現に今の世代の勇者達が戦うバーテックスと先代までのバーテックスを比べればその耐久性や攻撃力が大幅に強化されていると確認された。

 

勇者に致命的な一撃を与えた強襲。そしてその直後の大聖の転生体を弱らせるほどの猛毒。そしてそんな猛毒下であっても殿を任せることしか出来なかった状態にまで追い込まれ、そして園子が気が付いたら涙で頬を濡らしながら私たちの近くで泣いている銀。そこからは動くことの出来ない私たちを置いて銀に未だ殿で耐えている聖を助けるように促した。………そしてあの地獄。

 

『…………三ノ輪さん』

 

『ひっ……あ……ぁ………ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさ』

 

『………銀落ち着いて』

 

そして銀は一人だけ聖が重症を負った原因を知っているのだ。

それが、どれほど銀の心を陵辱しているのか。それは銀しか知らぬこと。ただ俯いたと思っていたら話しかけた途端、心の底から恐れたモノが現れたように半泣きで後退りながらただひたすらに謝罪の言葉を呟き続ける。少なくともその姿を見て正気だとは言えないだろう。

 

そしてそんな銀に須美が声を掛けた。……ただ今この瞬間、それは悪手と言わざるを得ないが。

 

『ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめん』

 

『銀っ!!』

 

その瞬間、銀は耳を両腕で塞いだと思ったら泣きながらまるで耳を削ぎ落としたいのかと言わんばかりに耳を引っ掻き続ける。そこに力加減は無く血が出て来ているのも関係ないように“ごめんなさい”を泣きながら呟きながら。

そんな明らかに発狂している銀の姿に園子と須美は銀の両腕を押さえつける。

だがそんなのになっても銀は泣きながら謝罪の言葉は続けられ、そして遂には鎮静剤が打たれることになった。

 

鎮静剤が打たれ、体力をほぼほぼ使い切ったのか銀の意識は糸が切れるように崩れ落ちる。そんな勇者達の姿を前に大赦は現状では聞き出すのは難しいとして、カウンセラーを準備するようにと、上層部に伝令される。

 

 

『とりあえず傷は塞ぎました。』

 

『!!』

 

『この後、すぐに搬送します。』

 

そのほぼ直後。勇者達がいた白いテントの中に白衣を血塗れにした医者が入ってくる。そう、それは聖の傷を防いでいた医者だ。搬送する時間さえ命取りだと直感的に判別した医療陣は、白い天幕に無菌室やその他諸々限りなく手術室に近い空間を用意していた中で緊急オペを開始した。

 

オペは無事終わったが術後までは病院で無くてはならない。

とりあえず直接的な命の危機は去ったとして搬送する事を大赦に伝えた。

その報告に大赦は極限まで緊張が走っていた空間には喜びの空気が走る。

 

 

 

 

 

 

「ギリギリ一命は取り留めました。」

 

その後、聖は大赦の病院…そしてその中でも特に厳重な注意が敷かれた集中治療室に入れられることになった。私たちはそれをガラス窓から覗くことしか出来なくて、そこには大きなマスクを付けて色んな管が通された聖の姿を見る事になった。

あれだけ大きくて、大人っぽくて。私たちの希望だった筈の少年は今、どこにもいない。

 

銀は意識が戻ると同時に自傷するように暴走する。自らを痛め付けるように苦しめるように謝罪の言葉と共に行われるその無我夢中の自傷は悪夢と言って差し支えなかった。

 

「…………………………」

 

私の、せいだ。

 

「……………………………」

 

全部、私のせいだ。

 

「……………………………」

 

全部、全て私の怠慢だ。

 

「…………………………………」

 

私の怠惰が、傲慢が、脆弱が、惰弱が、嫉妬が、

 

「………………………………………」

 

愛しい人を、傷つけた。

 

 

「……………………しねよ」

 

しね。しね。しね。しんでつぐなえ。しんでわびろ。

何もできなくただたおれていくぶざまなじぶんを、あのときしんでしまえたらよかったのだ。あのとき、なにもできないでたおれるから

 

「しんでしまえ」

 

ぐちゃぐちゃになってしまえばよかったのだ。

しんでしまえばよかったのだ。

そうすれば聖がきずつくこともなかったはずなのに

 

「………なんでいきてるの?乃木園子」

 

いまだおでいのようにけらがわしく、みにくく、ごみのように、すくいようのないかすのようにまだみにくく生にしがみついている。なんともみにくい。

 

鏡だけが残酷に私を見返す。涙に濡れて、目も血走り、憎悪でじぶんを見つけてる愚かで救いようのない私を、私だけが見ている。

 

 

 

ただ鏡だけが、見下している。

 

 

 

「その答えは貴方が一番よぉぉく知ってるんじゃない?」

 

「………………だれ」

 

声が聞こえた。

誰も居ないはずのこの部屋で、誰も入れないはずのこの部屋で声が聞こえた。

 

「ふふふ……おバカなわたし、誰よりも救えないわたし」

 

「…………だれ、と言ってるの」

 

ううん。私はもう気がついている。

だってこの声との付き合いが長いことを私は知っているからこそ。

 

「ねえ?乃木園子ワタシ?」

 

「………………………」

 

そう。誰よりも聞き慣れた私の声。

鏡の向こうでワタシが笑っている。どうしようもなく救えない私を嘲笑って。

 

アナタワタシが弱かったから、あの見え見えの攻撃を避けきれなかった」

 

蘇る。戦いの記憶。“頼られた”事による気の緩みがあの畜生共…バーテックスの追撃を見逃して鞭のような体当たりのような攻撃を受け身も取れないままノーガードで受けてしまった。

 

アナタワタシがバカだったから聖を1人っきりにしてしまった」

 

うっすらと覚えている。バーテックスの毒にやられながら血反吐を吐きながら銀に笑って後を任せた聖の後ろ姿。倒れてただ任される銀の泣き顔と捨て身であることを悟った聖の笑みだけが残っている

 

アナタワタシが強かったら聖を1人っきりにすることなんて無かった」

 

もし私が、私だけでもあのバーテックスの攻撃を避けていたら、きっと私たちを助けるために聖が毒を喰らうことも聖がそこから殿を1人でこなす事も無かったはずだったのに。

 

「ふふふふ…………」

 

「…………なに」

 

笑っている。ただ私が笑っている。

私の無力を、徒労を、無価値を、無意味を、無為を、無駄を、無駄を、

 

笑っている。

 

 

アナタワタシはそうやって」

 

「……………………」

 

鏡の中からワタシが出てくる。

私を嘲笑うその笑みだけを残して

 

 

「自分を責めて、責め続けて…責め続けるだけで何もしない」

 

「………………………」

 

私を呪うかのようにワタシの指先が私の首筋を撫でる。

 

 

「何もできない」

 

「……………………くっ」

 

私を、ワタシが、私だけを呪う。ただひたすらに。

 

 

「この世の不利益は全て当人の能力不足」

 

「………………めて…………」

 

私が弱かったから、守れなかった。

私が弱かったから、何もできなかった。

私が弱かったから、聖に守らせてしまった。

私が弱かったから、聖を殺してしまうところだった。

 

 

「ぜぇーんぶ、アナタワタシが招いた事でしょ?」

 

「ぁ……………ぁぁ………ぁぁ……」

 

もう、やめて。もう、ゆるして。

 

 

「“偶然”?…“災難”?……それとも運?」

 

「……………………」

 

偶然じゃない。私たち“勇者”とはそういう者だ。バーテックスと戦い時には命をも落とすかもしれない。四国の民の代弁者。

災難でもない。勇者としてバーテックスが襲ってくるのは神樹様も教えてくれているのだから。突然襲われる災難でもない。

……では運なのか。これも違う。私たちが出会うことを運命と呼ぶのなら、これは全て私の選択ミスと判断ミス。

 

 

「いいえ。違う。あれは全て状況と状況の組み合わせ」

 

「……………………」

 

もうここまで言えば分かるだろうとワタシが嘲笑う。

 

 

「ではその“状況”を作ったのは誰だと思う?」

 

「そんなの………」

 

知っている。そんなこと、とっくに知っている。

 

 

 

アナタワタシよ」

 

 

 

ワタシが指差し笑っている。心底バカにするように笑っている。

………ああ。でもその嘲笑は間違いなく真っ当なモノで。私はただその笑い子を見る事しか出来なかった。

 

 

 

 






ゲラゲラゲラwwww実に実に可哀想だなぁ!小娘たちww
惨めだなぁ!この上なく惨めだなぁ!!
愛しい人さえも守れず!ただその背中で!!愛しい人の散りざまだけ見ることを許され!!!

自分を呪う事しかできないその姿っ!!


…………ああっ!まさに……愉悦……っ!!
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