バカと鈍感な戦闘狂と面白き学園生活   作:サイコロさん

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第十一問 問 次の(  )に正しい年号を記入しなさい。
『(  )年 キリスト教伝来』




霧島翔子の答え
『1549年』


教師のコメント
正解。特にコメントはありません。


坂本雄二の答え
『雪の降り積もる中、寒さに震える君の手を握った1993』


教師のコメント
ロマンチックな表現をしても間違いは間違いです。


第16話 戦争の後始末

前回のあらすじ

雄二……お前はバカだ………

 

 

 

 

「4対3でAクラスの勝利です」

 

 

俺達も視聴覚室に行くと高橋先生がそう告げた声が高い聞こえた。

 

 

「……雄二、私の勝ち」

 

 

「……殺せ」

 

 

雄二…戦争だからってそのセリフはどうよ?

 

 

「良い覚悟だ、殺してやる! 歯を食い縛れ!」

 

 

「坂本ぉ! 潔さに免じて死刑にしてやる! 覚悟しやがれやぁあ! よくも、俺達の、モテる可能性を踏み潰してくれたなぁあアァ!!」

 

 

坂本に死を! 地獄を! 絶望をッ!!(デス! ヘル! サカモト――!!)

 

 

すかさず明久や暴徒化した野郎共(Fクラスのみんな)が雄二に襲いかかる。俺は雄二と明久達の間に立ち塞がるように横入りする。

 

 

「お前ら、後で雄二を煮るなり焼くなり殺すなり拷問するなりしていいから落ち着けよ」

 

 

俺は落ち着かせるように呼び掛ける。

 

 

「だいたい、53点ってなんだよ! 0点なら名前の書き忘れとかも考えられるのに、この点数だと──」

 

 

「いかにも俺の全力だ」

 

 

「この阿呆がぁーっ!」

 

 

雄二、堂々と言うな。そして明久、お前は人のこと言えんぞ。

 

 

「アキ、落ち着きなさい! アンタだったら30点も取れないでしょうが!」

 

 

「そうです! 吉井くん、落ち着いてください!」

 

 

「それについて否定はしないが、この殺気は収まらないんだ!」

 

 

こいつ等はどうしてこんなことを堂々と言えるんだ?

 

 

「なら坂本のこと責められないでしょ!」

 

 

「くっ! なぜ止めるんだ美波! この馬鹿には喉笛を引き裂くという体罰が必要なのに!」

 

 

「明久、それは処刑の分類に入るぞ」

 

 

一回、処刑と体罰の概念を教えるべきか?

 

 

「……でも、危なかった。雄二が所詮小学校の問題だと油断していなければ負けてた」

 

 

「言い訳はしねぇ」

 

 

つまりその通りだったと……まったくもう少し勉強しろよ。

 

 

「この阿保野郎が、せめて教科書を読み直しとかしろよ。油断大敵だぞ」

 

 

そう言って雄二に近づいた。

 

 

「……すまない」

 

 

「ま、俺は構わないがな」

 

 

「え?」

 

 

そう言うと雄二は驚いた顔をした。

 

 

「なぜだ?」

 

 

「俺は戦えたことで大満足だし、こんな形でAクラスの皆の努力の結晶を奪いたくないからな」

 

 

「……」

 

 

「だから、責めないし怒らないよ………」

 

 

「…そうか」

 

 

そう言うと俺達は何も言わなかった。

 

 

「……ところで、約束」

 

 

あ、そういやあったな。

 

 

「…………!(カチャカチャカチャ!)」

 

 

ムッツリーニが異常な速さで、撮影器具を組み立てる。おい明久と野郎共、手伝おうとするな。

 

 

「わかっている。何でも言え」

 

 

そうして霧島は意を決したように口を開けた。

 

 

「……雄二、私と付き合って」

 

 

『……へ?』

 

 

Aクラスの霧島代表の告白の言葉に全員が驚くが言われた本人の坂本は予想していたのか冷静に対応していた。

 

 

「やっぱりな。お前、まだ諦めてなかったのか」

 

 

「……私は諦めない。ずっと、雄二が好き」

 

 

「その話は何度も断ったろ?他の男と付き合う気は無いのか?」

 

 

「……私には雄二しかいない。他の人なんて、興味ない」

 

 

「拒否権は?」

 

 

「……ない。約束だから。今からデートしに行く」

 

 

「おい! いくらなんでもそれは横暴だろッ!! ……ちっ! くそがぁあッ!?」

 

 

「逃がすかぁッ!!」

 

 

雄二が逃げ出そうとしたところ、俺がスタンガンで動きを封じる。

 

 

「……ありがとう、コーチ」

 

 

「いいってことよ。さあさあ早く雄二(こいつ)人生の墓場(結婚式場)に送ってくださいな」

 

 

「おい! 颯人、貴様裏切ったのか!?」

 

 

「黙れ! 昔からずっと思ってきた、"雄二と付き合いたい"という霧島の思いを大切にしろよ! こんなべっぴんさんをほっといて、明久とギャーギャー騒ぐんじゃねぇ!!」

 

 

俺は今まで溜めていた思いを暴露する。

 

 

「お、おい! なぜお前がそれを知って「同じクラスになってからさんざん聞いておるわ! ボケがぁ!」!!?」

 

 

「俺は昔から、霧島にお前との惚気話をさんざん聴かされていたのに、お前はなんだ!? ……というわけでこちらをどうぞ。霧島」

 

 

そして俺は、霧島にとある映画のペアチケットを渡す。

 

 

「……! これは……!」

 

 

「『地獄の黙示録』という戦争映画でな、3時間ぐらいある映画なので、これで映画デートしてきな。……ボソッ……映画中では雄二にくっつくことが可能だぞ……

 

 

「……コーチ………!」

 

 

「おっと礼は要らないぜ。ただし雄二とのラブラブ写真を一枚だけでも送って欲しいけどな」

 

 

「……わかった。……必ず、送る。ジャラジヤラ」

 

 

霧島の愛には俺もお手上げよ。そして雄二は鎖に繋がれ、引きずられながら、幸せになった。

 

 

「ぐぁっ!放せ!やっぱこの約束はなかったことに──「バタンッ!」」

 

 

そしていつもより重厚な音を出して閉まった。呆然となるみんなだが、俺は……

 

 

「雄二と霧島に送ります……曲名は"幸せになれよ。雄二。(ハッピーエンド)"」

 

 

例えるならば愛の歌。陽気ながらも寂しく、悲しい恋の歌。だが愛は必ず幸せの結末(ハッピーエンド)にしてくれるだろう。

 

 

「なんで颯人は、ギターを引くの?」

 

 

「これはなぁ、雄二と霧島に対する幸せの歌なんだよ」

 

 

「さて、Fクラスの皆。お遊びの時間は終わりだ」

 

 

俺が明久に説明している時、西村先生が現れる。

 

 

「あれ? 西村先生。僕らに何か用ですか?」

 

 

「ああ。今から()()Fクラスに補習についての説明をしようと思ってな」

 

 

ん? 我が……ッ!! まさか!?

 

 

「おめでとう。お前らは戦争に負けたおかげで、福原先生から俺に担任が変わるそうだ。これから一年、死に物狂いで勉強できるぞ」

 

 

『なにぃっ!?』

 

 

なんと言うことだ……あの西村先生が担任なんて……!

 

 

「いいか。確かにお前らはよくやった。Fクラスがここまでくるとは正直思わなかった。でもな、いくら『学力が全てではない』と言っても、人生を渡っていく上では強力な武器の一つなんだ。全てではないからといって、ないがしろにしていいものじゃない」

 

 

ごもっともです。

 

 

「風神と吉井、それと坂本は特に念入りに監視してやる。なにせ、開校以来初の『観察処分者』とA級戦犯、そして学年トップに近い学力の持ち主だからな」

 

 

「ちょっっっと待ったぁ!! なんで俺まで!? 別に問題ねぇよな!?」

 

 

「風神、お前は本来の総合点は3600点ぐらいなんだぞ。これでは今までのテストは、手を抜いたではと思うだろ」

 

 

「……ッ!」

 

 

……やるじゃねぇか……!

 

 

「そうはいきませんよ! なんとしても監視の目をかいくぐって、今まで通りの楽しい学園生活を過ごしてみせます!」

 

 

「そうです! 明久や雄二を弄る面白おかしい学園生活を満喫してみせます!」

 

 

「……お前等には悔い改めるという発想はないのか」

 

 

ちくしょう! これはお手上げか!?

 

 

「とりあえず明日から授業とは別に補習の時間を2時間設けてやろう。風神はもとからそうだったから大丈夫だろ?」

 

 

えぇぇぇ……けど口で言われるとな~。

 

 

「さぁ~て、アキ。補習は明日からみたいだし、今日は約束通りクレープでも食べに行きましょうか?」

 

 

「え?美波、それは週末って話じゃ……」

 

 

ん? 明久はクレープを食べに行く約束もしていたのか。

 

 

「じゃあ、アタシたちも行きましょうか」

 

 

「さあ行きましょ♪」

 

 

「そうですね♪」

 

 

……?

 

 

「なあ優子。俺の目に狂いなければ、愛菜と凛が俺の肩を掴んでいるだが?」

 

 

「さあ、私たちも早く、映画館に行くわよ♪ だって『負けた方は何でも一つ言うことを聞く』って条件でしょ?」

 

 

…って俺も!?

 

 

「い、いや。それは代表たちの決めたことで…」

 

 

「『代表が』決めたんなら、クラスで決定したことでしょ。言い訳しないでね」

 

 

「ぐ………愛菜ぁ……」

 

 

「さ、行きましょ♪ 颯人兄さん♪」

 

 

そう言われ引っ張られていく俺。くそったれ、雄二め。ここに来ても俺を苦しませるのか……!

 

 

「あ、姉上達が行くならワシも行くのじゃ!」

 

 

「秀吉まで!?」

 

 

ヤバい! このままでは俺の財布がピンチに! 来週からはモヤシ生活に!

 

 

「に、西村先生! 明日からと言わず、補習は今日からやりましょう!思い立ったが仏滅です!」

 

 

「【吉日】だ、バカ」

 

 

「なんで仏滅なんて言葉がでてきた! このバカが!」

 

 

逆によく知ってたな!

 

 

「そんなことどうでもいいですから!」

 

 

「俺も! なんなら教える側もしてもいいぜ! こう見えてAクラス並みの成績だからな!」

 

 

「うーん、お前等にやる気が出たのは嬉しいが──」

 

 

と俺達を見渡した西村先生。

 

 

「無理することはない。今日だけは存分に遊ぶといい」

 

 

ニヤニヤとして言う西村先生。絶対面白がってる。

 

 

「おのれ鉄人! 僕が苦境にいると知った上での狼籍だな! こうなったら卒業式には伝説の木の下で釘バットを持って貴様を待つ!」

 

 

「斬新な告白だな、オイ」

 

 

「ならば! 俺は、西村先生の机にFクラスのみんなの靴下を詰めこんでやる!」

 

 

「地味な嫌がらせだな、オイ」

 

 

ちっ! 他の先生なら一撃なのに!

 

 

「アキ!こんな時だけやる気を見せて逃げようったって、そうはいかないからね!」

 

 

「ち、違うよ! 本当にやる気が出ているんだってば!」

 

 

「ちょっと颯人。まさかアタシの誘いを断って逃げないわよね」

 

 

そう言って良い笑顔をする優子。誘いなんてかわいらしいものじゃないよ。脅迫だよ。

 

 

「い、いや。そういう訳じゃないんだがな…」

 

 

「じゃ、行きましょ♪」

 

 

そうして近づいてくる優子、周りには詰めてくる愛菜と凛。 問題 Q風神は追い詰められたらどうなるでしょうか?

 

 

「クソがぁあッ!! 逃げるんだよぉおおおッ!!!」

 

 

「あ! こらっ、待ちなさい!」

 

 

A."逃げるんだよぉおおおッ!!!"でした。みんなはわかったかな? 

 

 

『アキ! こんな時までやる気を見せて逃げようったって、そうはいかないからね!』

 

 

『ち、違うよ! 本当にやる気が出ているんだってば!』

 

 

『吉井君! その前に私と映画ですっ!』

 

 

『いやぁぁっ! 生活費が! 僕の栄養源がぁっ! 離してぇええええ―――!!』

 

 

畜生ッ!! 明久はやられたか!!

 

 

『先輩! 僕もご一緒します!』

 

 

『律子、私たちも行くわよ!』

 

 

『了解! 遅れないでね、真由美!』

 

 

『え、えっ!? なら…私も……!』

 

 

ハンター増加。もはや絶体絶命。

 

 

「雄二めぇ! 霧島とのデートが終わったら覚悟しやがれやぁあ!!」

 

 

こうして、数日間に及んだ第一次AF対戦は終わりを告げた。Fクラスは鬼の補習"西村先生"が担任となり、一部の男子生徒は財布が軽くなり、雄二は幸せになった。

 

 

 

 

 

 

…………雄二だけズルくない?




そしてこの第一次AF対戦は、文月学園の歴史に載った。この戦争はいかに代表が頑張らないといけない重要さについて、書かれてあるだろう...

次回 俺と祭りと野球…?。

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