「突然だが君は死んだ!!」
四十近い男にたいして、なぞの人型は言った。
「誰だあんたみたいな顔をしてるね、だが答えられない」
しかしと言葉を切って
「何で死んだのかそれだけは教えてあげよう」
そう言ってガムテープを見せてくる。
「君はいびきを何とかしようとしてガムテープを口に貼った結果窒息してしまった」
「だが、君の死はあってはならない事なんだ」
「まだね」
「故に、君の死を無かったことにしなければならない」
「その方法として君を異世界に送り、異世界に行った存在として曖昧な時間をつくる」
「その間に、君を蘇生させる」
「そういう方法をとらせてもらう」
「まぁ、欠点として異世界に行った君は異世界の住人として一生を過ごすことになるのだが」
その言葉に抗議しようとした瞬間、世界が上昇いや自身が落ちているのだ。
「頑張ってくれたまえ。君が行く世界はーー」
聞こえた世界に一言、
(せめてモブでありますように!!)
言葉にならない声は
*********
「ダメでした」
orzの姿の美少女がいる。
より正確にいえば自身の姿が美少女として鏡に写っている。
流れる銀髪は絹のようになめらかに、潤んだ瞳は大海のように蒼く、汚れを知らぬ少女の顔は悲しみにくれていても何一つ美しさは変わらない。
しかしそんなことよりどうして、よりにもよって
「スフィア・ナノーグなんですか?」
このキャラは、回復特化のユニットで耐久力もあるのでフロントヒーラーとしておける数少ないキャラである。
攻撃を受けるフロント、フロントの補助としてスキルやパッシブで援護するバックスという独自の隊列システムにおいてフロントヒーラーは大抵味方を回復する前に自分が戦闘不能になる場合が多い。
が耐久型かつ星四という高レアの故のステータスの高さで敵の猛攻を凌ぎつつ回復しかも可愛い。
人気投票も高く、一桁代から落ちたことがない。
『ティア・テイルX』
涙の数だけ物語がある。よくあるソシャゲである。
が主人公がR指定か一般指定かで評価がかわる
一般指定なら分身と強化を持ちコミュ力強めのいい人なのだが、R指定ではじけた。
まあ、いろいろやらかした結果。
彼のあだ名は、鬼畜君となった。
無論彼女にも容赦なかった。
衣装差分の数だけ色々と。
閑話休題
しかし何か違和感がある、鏡を更によく見る。
じっくりと眺めていると、急に声が聞こえた。
ーー出来損ないめ!!ーー
その言葉はスフィアではありえない、希代の聖女としてもてはやされた彼女ではない、ありえない。
ではこの子は、何者だ?
疑問を浮かべた瞬間流れてくる記憶、それは彼女の証明。
「私はスペア、代用品」
つけてもらった名前はない。
不吉な双子、出涸らし、出来損ない。
降ってくる言葉は存在の否定。
だからこそ箱舟と呼ばれる遺跡に逃げ込んだのだ。
何度も何度も、ここと姉だけが救いだった。
そんなある日、世界は壊れた。
今ならわかるが、実際にはそんなこと起きていない。
その際に落とされた自分と魂的に融合してしまったようだ。
問題はそこじゃない。
今この船はどこともしれない場所にいるということだ。
シナリオ的には序章……あ!!
「ねぇ様が危ない!!」
******
目を開く、目の前に絶景があった。
後頭部の感触から膝枕されていると理解した。
???
「あっ、目覚めましたか?」
絶景の向こうから声が聞こえた。
考えなくともこの絶景の持ち主であることは容易に想像できた。
ゆっくりと絶景にぶつからないように起き上がり、その顔を見た。
銀髪碧眼巨乳の美少女がいた。
???
「初めまして箱舟の方、私の名前はスフィア」
スフィア
「スフィア・ナノーグと申します」
それまるで日輪のような笑顔だった。
わかる人にはわかると思いますが
リスペクト元はあれです