ナビィ
「残り一時間、これ以上は本戦に差し障ります。安全域に戻って休息を」
スフィア
「まだ、戦えます!!」
手を膝に置いていたスフィアが、鬼気迫る顔で言葉を発する。
誰がどう見ても限界だ。
しかし確率を上げる意味でもまだ続けようとしていた。
ナビィ
「ダメてす。これ以上は本戦に差し障ります」
スフィア
「ですがっ?!」
抗議しようとしたスフィアにナビィは、人差し指をあてる。
ナビィ
「不安なのは、仕方が無いです。しかし作戦が失敗した場合、我々の退避後切り離しが行われます」
スフィア
「え?」
ナビィ
「わかって下さい、其程危険な作戦なんです」
スフィア
「…………」
息をととえながら、少しずつ自身のはやる気持ちを静める。
息と共に焦りを吐き出す。
吸うと共に冷静さを取り戻す。
呼吸を数度繰り返し、いつものいやそれに近いメンタルまで戻す。
スフィア
「申し訳ありません」
ナビィ
「いいえ、私も主様が無事だから冷静でいられるのです」
微笑み合う頃には、彼女のはやる気持ちは消えていた。
*******
ナビィ
「主様、最終確認です」
マスター
「問題ない、行こう」
実験場とドアの上に書かれている。
そのドアが重たい音を立ててスライドしてゆく。
ナビィ
「接敵しますマスターは後方へ!!」
飛び込んだ先、見えたのは異形だった。
大きく太い両腕、それに反して胴体は華奢で下半身はない。
まるで、穴に落ちそうな怪物がそのまま迫ってくるようだ。
スフィア
「待ってて、今…………おねぇちゃんが助けるから!!」
咆哮は、悲鳴か怒声かーー
*******
ナビィ
「浄化率80%、しかし未だに衰弱は見られず!!」
スフィア
「まだ、ダメなの?!」
ナビィ
「しかしこれ以上は……」
マスター
「まだだ、まだ終わってない!!」
叫ぶ、これが懇願であることなど百も承知だ。
けれど、それでもーー
諦めたくない!!
強く願えば、奇跡は応える。
ナビィ
「自身の出力の上昇を確認、これなら」
スフィア
「あの娘を助けられる!!」
駆けだす、絶望はもう晴れた。
ナビィ
「私は両腕を撃ちます!!スフィア様はーー」
スフィア
「あの娘を引きずり出します!!」
ナビィ
「レディ……シュート!!」
両手で構えた銃口から放たれた光線によって両腕がはじけ飛ぶ、両腕を復元しようと汚染体が集まるその隙を突き、スフィアが飛び込む。
スフィア
「柏子見柏子見申します、穢れを祓い清め。願わくば、また健やかなる日々を『天授の寿ぎ』を!!」
叩きつけるように、両手を細い胴体に押しつける。
輝きが汚染を晴らし、その中にいた少女がスフィアの方に倒れていく
スフィア
「お帰り、私の妹」
抱きしめたその少女の顔は晴れやかであった。