彼は、馬鹿なんじゃないかと思う。
フェイトちゃんも、口では素直で可愛いって言ってたけど、あれはオブラートに包んでいただけだと。
なのはも、大概みんなに馬鹿にされることが多いけれど、それでも、彼よりは頭はいいと思う。
だから、彼に徹底的にコテンパンにされて、馬鹿にされるとひっじょーに腹が立つ。
そんな事を思いながら画面内にいる私のカービィが彼の使うピカチュウに吹き飛ばされた。
ことは数時間前。
今日も六課は忙しくデスクワークに励んでいた。
なのはは教導官としての日誌を書いているところ、フェイトは今度の事件の資料のファイリング、はやてはギャルゲーを進めていた。
彼は、色塗りに飽きてからそもそもここへと来ていない。
時計の針が12を指した頃。はやてに内線がかかってくる。
「はい、もしもし。はやてですけど。はいはい、あー、まぁ、通しちゃってええよ」
「はやてちゃん、なんだって?」
「あぁ、彼が来とるんだと。守衛はまぁ一応の報告やな。もう、通したてゆうてたし、じきここまで来るんとちゃうかな?」
「ホント!?」
それを聞いたなのはは、早々に日誌を机に戻し、そわそわと髪の毛を弄り始めた。
「はは、なのはちゃんは分かりやすいなぁ」
「それを言うならはやてちゃんだって。さっきと比べると喋り方が全然違うよ」
「「あははははは」」
そう言って二人はチラリとフェイトを見た。
フェイトは懐から手鏡を取り出すと唇に薄いピンク色のリップを塗り始めた。
そのリップは彼がフェイトにプレゼントしたもので、本来ならフェイトは化粧をしないほうが映えるのだが、こういう時にはそのリップだけは使っていた。
そして、リップを付け終わると手鏡に向かってニコリと、笑顔を作った。その笑顔を向けられた者は男女問わず心をときめかすであろう。
フェイトは椅子から立ち上がり、スカートを二回程折った、先ほどまでは膝下だったスカートの丈が膝のちょっと上にまで上がる。スカートの裾が斜めになっていないのを確認すると再び椅子に座りファイリングの作業を始めた。
それを見たなのはとはやてはコロコロの付いている椅子に座ったまま近寄って小声で会話を始める。
(なのはさんなのはさん、見ました? いまの)
(見ましたよ。はやてさん)
(あざといですなぁ。フェイトさん)
(ほんとですよ。さっきの化粧はまだ良いとしてあの笑顔。あの笑顔を向けられて落ちない男っているの??)
(それがおるんやなぁ。彼や)
(まぁ、落とされても困るからいいんですけど)
(せやなぁ・・・・・・。ん? どうやら来たみたいやで)
六課室内にまで響くドタドタという走ってくる音。
その音は六課の扉の前で止まりウィーンという機械的な音を立てて扉が開かれた。
そこには、彼がいた。彼は手に64を持っていた。もう一方の手にはむき出しのソフトと、コントローラーが三つ握られている。急いできたのだろう、すごい息切れだ。
彼は、はやてにその手に持っている物を突きつける。
はやてはそれを見るために彼に近付いていく。
「はやて!! 持って来たぞ!! 64版のスマ○ラだ!! もうこっちでゲットするの大変だったよ!!」
「おぉ、懐かしいなぁ。リアルファイトゲーやないか。うおっ、コントローラーも懐かしい。こっちでどうやって手にいれたんや」
「そりゃもち、ヤフオクですよ。奮発しちゃった とにかく早速やろう!!」
フェイトは自分の事などほったらかしでゲームに夢中な彼を見てふぅと溜息をついた。
「お? どうしたフェイト お前もゲームやんぞ!! なのは1人じゃ不利だかんな!!」
「ちょっ、何それ。私昔に比べればゲームも上手くなったよ!! ね? フェイトちゃん」
「ごめんなのは、それはないよ」
「フェイトちゃんまで!?」
突然のフェイトの裏切りに驚くなのは。
一方はやては彼の持ってきたコントローラーを弄っていた。
「やっば、この持ち手やっぱ」
はやては狂ったかのように笑い転げていた。
そんなこんなで始めたゲーム。
昔に比べれば、上手くなったほうだと思うんだけど。
なのはの使うキャラクターはことごとく皆に吹き飛ばされていた。
うーん。おかしいの!!
結果
なのは惨敗!!