進撃の巨人〜ただ1人の為の力〜   作:ねみネム生活

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 お久しぶりです。長く期間が空いてしまってごめんなさい。不定期で書いてるのでまた、期間が空くかもしれません。長期休暇に入れば、また違うと思いますが。
 感想は次回に投稿する時に見て返信してるので、長く返信を返せてない方には申し訳ないです。

 と言う事で話は変わりますが、皆さん事故には気をつけてくださいね。
 この前、街を歩いてたら目の前の曲がり角から出てきた車が、逆走して行って、びっくりしました。
 幸い、赤信号で車が止まってたので事故にはならなかったですけど。
 皆さんもお気をつけて下さい。


10話 心に潜む者

 

「……次……」

 

 トワは壁を登ろうとする大型の巨人を次々と討伐していく。

 それによって、扉から中に入ろうとする小型の巨人は落ちてくる大型の巨人に踏み潰される。

 

「……次……」

 

 西、東と、トワは速度を落とすことなく、巨人を討伐しながら本部周囲を飛び回る。

 

「……ん……これも、交換……」

 

 討伐した大型巨人の体で扉を塞げていることを確認したトワは、少なくなったガスとボロボロのブレードを交換するために一度本部へと登った。

 

「……強い。……あの格闘技……まるで、人間みたい……」

 

 集めておいたガスボンベを拾い、自分の物と交換しながら、トワは奇行種が暴れる南側を見る。

 

 次々と向かってくる巨人を殴り飛ばし、踏みつけ、投げる。

 その動きはまるで訓練を受けた兵士の様で、並の巨人とは一線を画す。

 精鋭と呼ばれる調査兵団でも、一部を除けば戦いにすらならない程の戦闘力を持っているだろう。

 

 このまま生かしておいていいのか。

  

「……考えるのは……私の役目じゃ、無い……。敵じゃないなら……別にいい……」

 

 一瞬、そんな考えが頭を過るが、直ぐに考えることを止める。

 『まだ』敵じゃないなら、今はいい。

 どの道、現状はこの奇行種が居ないと、1人では全てを守りきれない。 

 

「……すぅ……ふぅ……」

 

 トワは大きく深呼吸をして乱れた呼吸を整え、再び集中力を高める。

 体力も限界に近いが、体はまだ動く。

 ガスの交換を終えたトワは、ふらつきながらもブレードを杖に立ち上がる。

 

「……後、少し……」

 

 そう呟くトワの目は、巨人の後ろ……外門を見据えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……みんな、大丈夫だ。落ち着いてやれば必ず成功する」

 

 アルミン達はリフトに乗って、巨人が占拠する部屋に向かっていた。

 恐怖からか震える同期を、一緒に乗っていたマルコが励ます。

 

「もう少しで巨人の元に到着する。その前にもう一度作戦を話しておくよ。僕達の役目は巨人を引き付け、この銃で視界を奪うことだ。そうすれば、後は既に待機しているミカサ達が巨人を仕留めてくれる」

 

 今回の作戦の要である巨人を討伐する役目を担うのは、ミカサ、ライナー、ベルトルト、アニ、ジャン、コニー、サシャ、クリスタの成績上位者と、本来であればその中でも上位に入っていたであろう実力を持つユミルの9人。

 

 同じく成績上位者のマルコは、その指揮能力の高さから囮班に回り、作戦開始の合図を出す。

 

「作戦が成功したら、直ぐにガスボンベをこのリフトに載せて2階に上がる」

 

 現在のアルミン達は立体機動装置を身に着けていない。

 ガスが無くて使えない、ただ重いだけの立体機動装置は動くのに邪魔だからだ。

 そのため、ガスボンベを立体機動装置を置いてある2階まで運ぶ必要がある。

 

「新たに巨人が侵入してくる可能性もある。待機組と協力して迅速に運んで欲しい」

 

 今回の作戦でリフトの大きさ上、乗れなかった者も出てくる。

 囮班にはなるべく銃の扱いが上手い者に入ってもらい、その他の者は階段に待機してもらっている。

 

「そろそろ着く。……みんな、構えて……」

 

 巨人のいる部屋の直ぐそこまで来たマルコは、声を落として銃を構える様に告げる。

 マルコの指示通り、アルミン達は2列に並び、全方位に銃を構える。

 

「まだだ……まだ……」

 

 リフトに乗って、部屋の中央に降りてきたアルミン達に気づいた巨人が一歩ずつゆっくりと近づいていく。

 

「まだ……」

「はぁ……はぁ……」

 

 もはや誰のものか分からない息遣いが大きくなっていく。

 そして、遂に巨人が目と鼻の先に迫る。

 

「撃て!!」

 

 マルコの号令と共に、銃の発砲音がけたたましく鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 クリスタはミカサ達と共に、鉄骨の上に隠れて時を待っていた。

 下を見れば、小型の巨人が徘徊している。

 

「はぁ、はぁ……」

 

 恐怖で息は荒くなり、体は震える。

 

 クリスタは目を瞑る。

 思い返すのはトワの事。

 1人にさせないと、隣に立つと誓った。

 

 そのために、3年間もの間必死になって努力してきた。

 だけど、足りなかった。

 トワの隣に立つどころか、後ろで守って貰うことしか出来ない。

 

 トワとの実力差は嫌という程思い知らされた。

 この先いくら努力しても届かないかもしれない。

 

 でも、だからと言ってトワの隣に立つ事を諦めることは出来ない。

 

「だから、この程度の事で怖気付いてる暇は無いんだ」

 

 クリスタはブレードを力強く握りしめ、大きく息を吐いた。

 

「来た」

 

 その時、音をたててリフトが降りてくる。

 その音に気づいたのか、巨人が中央のリフトに向けて近づいていく。

 

「まだ……」

 

 クリスタは何時でも走り出せるように構える。

 

「まだ……まだ……」

 

 息が荒くなり、心臓の音が激しくなる。

 緊張が高まっていくのが分かる。

 

「撃て!!」

「今っ!」

 

 マルコの声と共に、銃弾が放たれ真っ直ぐ巨人の目に目掛けて飛んでいき、その視界を奪う。

 

 同時に、クリスタは鉄骨を駆け、視界を奪われ、無防備にうなじを晒している巨人に向けて飛びかかる。

 

「やぁぁぁ!!」 

 

 仕留め損なえば『死』。

 死にたくないなら、誰も死なせたくないなら……この一撃で決めるしか無い。

 クリスタは叫びながら力の限りブレードを振るう。

 

「……皆は!?」

 

 うなじを削ぎ落とし、床に着地したクリスタは、直ぐに周りを見渡す。

 前のライナーやベルトルト達は巨人を討伐しているし、左隣のアニの足元にも巨人が倒れている。

 

「サシャとコニーだ!」

 

 ホッと息を吐きそうになったその時、マルコの声が響く。

 振り向くと、サシャとコニーが担当した巨人が倒れること無く立っていた。

 

「援護、急げ!!」

 

 2体の巨人が振り向き、サシャとコニーにそれぞれ迫る。

 それを見て、クリスタは弾かれた様に動き出す。

 

「コニー、避けて!」

「うおぉぉ!!」

 

 クリスタは近いコニーの元に向かうと、背中を向けていた巨人の足の腱を断ち切る。

 バランスを崩して倒れてくる巨人をコニーは慌てて避ける。 

 

「アニ!お願い!」

 

 クリスタは叫ぶ。

 確証は無かった。

 それでもアニなら必ず来てると信じていた。

 

 アニがクリスタの横を通り過ぎ、倒れる巨人の背中を駆け上がってうなじを削ぎ落とす。

 

「……よく、私が来てるって分かったね」

「確証は無かったけど、アニなら来るって信じてたから」

「……そう」

 

 直ぐ横でも巨人が倒れる音が響く。

 見れば、倒れている巨人の横で、サシャが涙を流しながらミカサとユミルに縋りついていた。

 

「良かった……みんな無事で……」

 

 クリスタは誰も死なずに済んだ事に安堵して今度こそホッと息を吐いた。 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ……」

 

 アルミン達がリフトを使って移動していた時、トワは本部頂上で激しく息を切らせながら膝をついていた。

 

「……血が……」

 

 ふと鼻から液体が流れる感覚に、手の甲で拭えば、そこには真っ赤な血が付着していた。

 

「……限界、か……」

 

 流れ続ける血は地面に真っ赤な水溜りを作っていく。

 長時間に及ぶ戦闘による疲労に、出血による血の減少が加わり、トワは視界がぼやけていく。

 

「ガァァァァァァァ!!」

「っ!」

 

 そのまま意識を飛ばしそうになったトワだったが、奇行種の叫び声にハッとして舌を噛み切る。

 痛みによって意識を覚醒させたトワの視界に映るのは、巨人に群がられ、抵抗出来ずにその体を貪られていく奇行種の姿と、壁をよじ登り、トワに向けて手を伸ばす巨人の姿。

 

「くっ!」

 

 トワは即座に立体機動に移り、その手を躱すと背後に回り込んでうなじを削ぐ。

 そのまま、討伐した巨人の背中を蹴り、奇行種に群がる巨人へとアンカーを放つ。

 

「……させ、ない……!」

 

 今まさに、奇行種のうなじへと噛みつこうとしていた巨人を討伐し、続けざまに群がっていた巨人を片付ける。

 

 更に集まってくる巨人に、トワは奇行種を足場にしようとしてその肩に降りた。

 

「っ!?」

 

 その瞬間、ゾクリと悪寒がトワの体を悪寒が走る。

 まるで体の中で、何かが目覚めたかの様な感覚に、トワは奇行種から飛び退き本部へと移る。

 

「今のは……っ!?」

 

 頂上に登ろうと飛んでいたトワだったが、突如、体に力が入らなくなり、壁に空いた穴へと落下していく。

 

「かはっ……」

 

 立体機動装置を操作することも出来ずに、トワは勢い良く床に打ち付けられ、肺から息が漏れる。 

 

「この感覚……あの時の……!?」 

 

 体の奥から溢れ出てくる底なしの憎悪に、トワは胸を抑えて蹲る。

 

「あがっ……ぐぎっ……」

 

 感情を感じ取れると言う超感覚の性質上、トワは普段から感情を『理解』しても『共感』しなくて済むように、強靭な精神力で自身の感情を制御している。

 

 クリスタの事で少し制御が緩んだが、それでもちょっとやそっとの事では共感はしない程、トワの精神力は人並み外れていた。

 しかし、そんなトワでも抑えきれない憎悪がトワを襲う。

 

 それは、徐々にトワの感情を侵食していき……

 

「……殺す……っ!?」

 

 トワの思考さえも塗りつぶしていく。

 

「あ、アァァァァァァァァ!!」

 

 トワを侵食する憎悪と、それを抑えようとするトワの理性がぶつかり、激しい痛みがトワの心を壊していく。

 そして、それは限界ギリギリで、精神力だけで動いていたトワの体に追い打ちを掛けた。

 

「あ、あぁ……」

 

 限界を超えたトワの体は無理やりトワの意識を刈り取る。

 

「トワ!!」

 

 薄れていく意識の中、トワは自分の名前を呼ぶ声を聞き、そして……

 

「……触るな」

 

 自分の声なのに酷く冷え切り、まるで自分の声じゃないと錯覚させる程の憎悪が籠もった声が口から出るのを耳にした。

 




???「……リヴァイ達はまだなの?っていうか、トロスト区だけで長くない?」
アウラ「え、誰だろう?ま、まぁ……、一回の文章量が少ないし、それに重要な所だと思うから仕方ないんじゃないかな?で、でも、そろそろ最終場面ぽいし、次にはリヴァイ兵士長も来て終わりになるんじゃないかな?」
???「リヴァイが来ても、まだ防衛戦が終わっただけで、奪還戦があると言う……」
アウラ「…………」

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