「ねぇ、聞いた?明日、調査兵団が遠征に出発するんだって!任務の前に行ってみない?」
「行く行く!リヴァイ兵長を見てみたいし!」
「トワ分隊長も見てみたいよね!」
解散式の夜。
クリスタが暮らす部屋で、同室の女の子達が調査兵団の話をしていた。
「クリスタはどうする?」
「行く」
「わ、分かった」
ユミルは盛り上がっている同期を見ながらクリスタに聞く。
クリスタはトワを一目見れるかもしれないと、テンションが上がって食い気味に返答してしまい、少しユミルを引かせる事になった。
「来たぞ!調査兵団の主力部隊だ!」
「エルヴィン団長!巨人どもを蹴散らして下さい!」
「おい、リヴァイ兵士長だ!一人で一個旅団並みの戦力があるってよ!」
「その横に居るのはトワ分隊長じゃないか!?」
「やっぱ、トワ分隊長って可愛いよなぁ……」
「あぁ……あの眠たそうなのがまたいい……」
「なんて……神聖な……」
クリスタは調査兵団の出発を見送るために門の近くに来ていた。
少しすると、集まっていた民衆が騒がしくなり、クリスタが視線を向けると調査兵団の団長であるエルヴィン・スミスが見えた。
更にその後ろにはリヴァイ兵士長の姿が見え、その横にはハンジ分隊長とトワの姿があった。
「トワ……」
「お!あれがクリスタの愛しの人か……ほぉ……何て言うか……すげぇ可愛いとしか言えないな!」
ユミルはクリスタの視線の先に居る人物を見て、クリスタの好きな人を見たのと、クリスタにも引けを取らない美貌にテンションが上がる。
そして気づく。
「なぁ、クリスタ?」
「どうしたの、ユミル?」
「髪型ってどっちが真似たんだ?」
「……」
「ん~?」
顔を背けるクリスタの顔をユミルはニヤニヤしながら覗き込む。
「…………私……」
「あ~、もう!ほんとに可愛いなぁ、お前は!」
「ちょっ、ちょっと!止めてよ!」
顔を赤くして呟くクリスタにユミルは感情を抑えられなくなり、クリスタを抱きしめる。
クリスタは逃れようとするがクリスタの力ではユミルを引き剥がす事は出来なかった。
結局、ユミルが満足するまで抱きしめられることになり、クリスタが頬を膨らませる事になった。
「ちっ……うるせぇな」
「ふわぁ……」
民衆の歓声に舌打ちをするリヴァイと、その横で眠たそうに欠伸をするトワ。
「皆の羨望の眼差しも、貴方達の性格を知れば幻滅するだろうね」
「ちっ……」
「……あふ……ん?」
リヴァイを挟んでトワと反対側にハンジが近づいてくる。
「おっと、そろそろ着くよ」
調査兵団が門に到着すると、ウォール・マリアに続く外門がゆっくりと開けられていく。
「あの外に巨人達が……今回はどんな巨人に会えるかなぁ!奇行種なんか居たらもう最高なんだけどなぁ!」
「奇行種ならここに一匹いるがな」
「え!?どこ?」
「ここだ」
リヴァイの言葉に奇行種を探して辺りを見回すハンジ。
リヴァイはハンジに近付いていき、その頭を掴むと自分の方へと向ける。
「……仲、いいね……ふわ……」
そんな二人を横目にトワは気怠そうに欠伸を溢しながら前を見る。
「前進!」
エルヴィンの号令と共に調査兵団は門を通過し、巨人に占拠されたウォール・マリアへ踏み出して行く。
「ソフィ……よろしくね……」
トワは愛馬のソフィにしなだれかかる。
ソフィは何処か呆れながらも仕方が無いなぁと言った様子で走り出した。
「おい、クリスタ。本当に調査兵団に入るのか?」
「うん。トワの隣で戦いたくてここまで来たんだから」
「はぁ……分かったよ」
クリスタとユミルは調査兵団の出発を見送った後、任務である壁上に設置してある砲台の点検を行っていく。
「それで……いつ告白するんだ?」
「えぇぇぇ!?告白なんて……その……」
「可愛くて強い。更に地位もある……早くしないと取られるぞ?」
「で、でも……断られるかもしれないし……その……自信が無いと言うか……」
「ヘタレか……」
「うっ……」
顔を赤くしてもじもじするクリスタにユミルは呆れる。
「はぁ……じゃあ、帰ってきたら先ずはデートに誘ってみろ」
「ど、どうやって誘えばいいかな……?」
「それを私に聞くか?」
クリスタにデートに誘うように提案してみたユミルだが、自分もそういった経験が無いため何も案が思いつかない。
「ま、まぁ、それは後で考えよう。それより早く終わらせて飯でも食べようぜ」
「ふふっ……」
ユミルは誤魔化すように作業を再開する。
その様子にクリスタが笑みを溢した時……
「きゃあぁぁぁ!」
「何だ!?」
突如、凄まじい音が響き渡る。
「あ、嘘……門が……」
二人が音の発生した方向に視線を向けると、開閉門に大きな穴が空いていた。
「クリスタ!一度本部へ向かうぞ!早くしろ!」
呆然と立ち尽くすクリスタをユミルは強引に引張って連れて行った。
「それでは訓練どおりに各般ごと別れ、駐屯兵団の指揮の元、補給支援、情報伝達、巨人の掃討等を行ってもらう!」
本部に集まった訓練兵達に、駐屯兵団隊長であるキッツ・ヴェールマンが指示を出していく。
「前衛部を駐屯兵団の迎撃班、中衛を支援班が率いる訓練兵団、後衛を駐屯兵団の精鋭班がそれぞれ別受け持つ!」
クリスタやユミルは訓練兵の為、中衛部を引き受けることになる。
「また、伝令によると先遣班は既に全滅したとの事だ!」
キッツの話では門で巨人の侵入を阻んでいた兵士達が全員巨人にやられ、既にトロスト区内に巨人が多数侵入してしまったらしい。
5年前のシガンシナ区の様にいつまた鎧の巨人が現れ、内門を破ってもおかしくない状況にある。
その情報に集まった訓練兵達に動揺が広がる。
「静粛に!現在は前衛で迎撃中だ!本防衛作戦の目的は一つ!住民の避難が完了するまでウォール・ローゼを死守することである!なお、承知しているであろうが、敵前逃亡は死罪に値いする!皆、心して命を捧げよ!解散!!」
「「「はっ!!」」」
解散の合図と共に訓練兵達は一斉に出撃の準備を開始していく。
「何で今日なんだ……明日から内地に行けたっつぅのに……」
「ううぉえぇ……」
「大丈夫!?」
そんな中、ジャンは頭を抱えて座り込んでいた。
その近くでは恐怖の余り嘔吐してしまったダズの背中をクリスタが優しく擦っている。
そんなダズの様子を見たジャンは恐怖を拭うように早足でその場を離れていく。
その途中で、下を向いていた為前から歩いて来ていたエレンとぶつかってしまう。
「どうしたんだ、ジャン!」
「どうしただと?俺は明日から内地行きだったんだぞ!?」
エレンは何時もと様子が違うジャンを腕を掴んで引き止める。
「落ち着け、ジャン!」
「落ち着いて死にに行けっていうのか!?」
「違う!!思い出せ!俺たちが血反吐を吐いた3年間を!!」
エレンは激昂するジャンの胸倉を掴み、柱に叩きつける。
「3年間……俺たちは何度も死にかけた。実際に死んだやつも居る。逃げ出したやつも、追い出されたやつも。でも、俺たちは生き残った!そうだろ!今日だってきっと生き残れる!」
エレンの言葉は蹲ることしか出来なかった訓練兵達に希望を与える。
「今日生き残って明日内地に行くんだろ!?」
そしてそれはジャンにも……
「……くそっ!行くぞダズ!何時までも泣いてんじゃねぇ!」
ジャンは覚悟を決めたようで何時までも泣いて蹲っているダズに声をかけて巨人の討伐へ向かう。
ダズも何とか返事をしながらジャンの後を追っていく。
「クリスタ……私達もそろそろ出撃だ」
「うん……」
そしてクリスタとユミルも同じ班のメンバーであるコニーと共に巨人の元へ向かった。
クリスタの髪型は原作やアニメと同じです。
トワが先にその髪型にしていて、クリスタが真似をしていると考えて下さい。