取りあえずテストも一段落したのでもう少し投稿頻度を早く出来たらいいなぁ。
〜ミカサside〜
「ごめんミカサ……エレンは僕を庇って……」
嘘だ……エレンがもう居ないなんて……
そう思ってアルミンの横に居るミーナに視線を移す。
……あぁ、移さなければ良かった……
ミーナの表情を見て、嫌でも現実を突きつけられる。
もう……エレンは……
ズキリと胸が痛む。
「今は感傷的になってる場合じゃない」
そうアルミンに……いや、自分に言い聞かせる。
そう……今は感傷的になっては駄目……
この胸の痛みを誤魔化すように、私は立ち上がる。
「マルコ。本部に群がる巨人を排除すればガスの補給が出来て皆は壁を登れる。違わない?」
「あ……あぁ、そうだ……し、しかし、いくらお前が居ても、あの数は……」
「できる」
本部を取り返す……それが今の私の役目。
それだけを考えていればいい。
「貴方達は……腕が立たないばかりか……臆病で腰抜けだ……」
「あの数の巨人を1人で相手する気か?」
「戦わなければ勝てない」
この世界は残酷だ……勝者しか生きることは許されない。
敗者の生死は全て勝者に委ねられる。
生きたいなら戦って勝つしか無い。
私はそう告げて飛び出す。
あぁ……胸が痛い……大きな穴を開けられたみたいだ……
私は痛みを振り切るようにガスを噴かせる。
「ミカサ!!」
何体目かの巨人を討伐した時、突然、私の体はフッと勢いを失って落ちていく。
……ガスが切れた……
屋根に激突し、勢いのまま地面に転がり落ちていく。
足音と共に巨人が近づいてくる。
これが私の運命なのだろう……実の家族を失い……私を迎い入れてくれた家族も……失った……
……エレン……貴方が居ない世界なんて……もう……
巨人が私に向けて手を伸ばすのを見て、私は目を瞑る。
……いい人生だった……
(戦え!)
……っ!?
(戦え!!)
「……っ!!」
私は何かに弾かれる様に立ち上がりながら、折れたブレードで巨人の指を切り落としていた。
……何で……体が勝手に……
エレンと過ごした日々が頭の中を駆け巡る。
そうだ……死んでしまったらもう……貴方の事を思い出すことさえ出来ない……
……ごめんなさい……エレン……私はもう……諦めない……
私はブレードを構える。
何としてでも生きるために、私はもう諦めたりなんてしない。
「うあぁぁぁぁぁ──っ!?」
雄叫びを上げた直後、衝撃が襲いかかり、私は吹き飛ばされる。
一体……何が……
顔をあげて、ただひたすらに困惑した。
巨人が巨人を殺していたから。
ただ……困惑と同時に……微かに高揚もした……
その光景は人類の怒りが体現されたように見えたから……
ミカサが落ちていくのを見て、直ぐに助けに向かったアルミンは、巨人の前で立ち尽くしているミカサを見つける。
「ミカサ!!」
急いでミカサを抱えて屋根の上に登る。
「ミカサ!!怪我は!?」
「……大丈夫」
「アルミン!急いで離れないと!」
アルミンと共にミカサを助けに来たミーナが、前を指さして叫ぶ。
「15メートル級!?急いで離れないと!」
「待って……あの巨人は……」
「……え?」
2体の15メートル級の巨人が近くに居るのを見て、アルミンは直ぐに離れようとする。
しかし、片方の巨人がまるで目の前の巨人を相手にするかのように拳を構えたのを見て、アルミンとミーナは困惑する。
「何……あの巨人……?」
ミーナが呟いた直後、構えていた巨人が拳を振り抜き、千切れた巨人の頭がアルミン達に向かって飛んでくる。
「伏せて!」
「っ!?」
「きゃあ!」
ミカサは咄嗟に2人を押し倒す。
「……え?……弱点を理解して殺したのか……?」
間一髪避けた3人は、顔をあげて更に驚く事になる。
巨人はうなじを削ぎ落とさない限り、頭を吹き飛ばされた位では死なない。
頭を吹き飛ばした巨人は、まるでそれを理解しているかの様に、立ち上がろうとする巨人のうなじを踏み潰した。
「そ、そんな事より!早く移動しないと!」
「待って!ミカサのガスが空なんだ!」
「え!?ど、どうするの!?ミカサが居ないと本部を取り返すなんて……」
「そんなの決まってる!ミカサ、僕のガスを使ってくれ!!」
「アルミン!?それは……」
「皆を助けるには僕よりもミカサが必要なんだ!」
アルミンは自身の立体機動装置から、全てのブレードとガスを取り出し、ミカサの物と交換する。
「でも……これだけは残していって欲しい……生きたまま食われるのは……やっぱり嫌だからさ……」
そう言って、ミカサの持っていた折れたブレードを手に取る。
「……え?」
「アルミンを置いていったりはしない」
しかし、そのブレードはミカサによって奪われ、地面に捨てられる。
「そ、そんな……」
アルミンは地面に落ちていくブレードを見て、絶望した様な表情でミカサを見上げる。
「ここに置いていったりはしない」
「……でも……」
「でもじゃ無い。アルミンを見捨てては行かない。強引にでも連れて行く」
「待ってミカサ!」
「……何?」
強引にアルミンを抱えようとするミカサに、ミーナが待ったをかける。
ミカサはアルミンを連れて行くことを反対するのかと鋭い視線をミーナに向ける。
「アルミンは私が抱えるよ。ミカサは自由に動ける方がいい」
「分かった」
1人で巨人を討伐する力が無いミーナより、ミカサの方が自由に動けたほうがいい。
ミーナの意見にミカサも納得し、目つきを元に戻してアルミンを渡す。
アルミンは何とか自分を置いて行かせようとするも、2人は断固としてそれを拒否する。
「……待って2人共!」
「置いてけと言う話は聞かない」
「提案があるんだ!やるのは2人だから、2人に決めて欲しい!」
ならばと、何かこの戦況を変える手段は無いかと辺りを見渡し、1つの作戦を思いついた。
「もしかしたら、この状況を何とか出来るかもしれない」
「うおぉぉぉぉ!!危ねぇ!!」
クリスタ達は本部へ突撃する一団からかなり遅れながら移動していた。
「良い囮だ!クリスタ、今の内に行くぞ!」
「え!?」
「おい!?」
巨人がコニーに気を取られている隙に、ユミルはクリスタを引っ張って通り過ぎる。
ユミルの言い草に、コニーは文句を言いつつも巨人の腕を躱してユミル達に追いつく。
「てめぇ……人を囮にしやがって」
「……お前なら大丈夫だと思っただけだ」
「そ、そうか……信頼してくれてたってことか……それなら悪い気はしねぇな」
追いついた当初は、ユミルに文句を言っていたコニーだったが、ユミルの言葉にすっかり気分を良くする。
「どうする?」
「行くしかねぇだろ。どのみち残りのガスじゃ、迂回してる暇はねぇしな」
立ち止まるクリスタ達の視線の先には、丁度、訓練兵達を捕食し終えた巨人が3体。
出来ることなら、気づかれない様に迂回したいが、かなり遠回りをすることになるため、残りのガス量では難しい。
「クリスタ!ユミル!」
「コニー!」
2人では心元無いと思いつつも、仕方が無いと覚悟を決めたクリスタ達の元に、聞き覚えのある声が聞こえる。
振り向くと、ミカサ、アルミン、ミーナの姿が見える。
「皆、無事だったんだね!」
「……アルミン……お前……」
「……言わないで……」
「普通は逆だろ……」
「……」
ユミルは、ミーナに抱えられるアルミンを見て、つい言葉が漏れる。
アルミンも気にしていたのか、ユミルの言葉に顔を覆ってしまう。
「アルミン……今は恥ずかしがってる暇は無い」
「……分かってる。3人に協力して欲しい事があるんだ」
ミカサの言葉に、アルミンは気持ちを切り替えると、クリスタ達に作戦を話す。
「はぁ!?あの巨人を本部まで誘導するって……本気か!?」
「うん。どのみち、僕たちが本部に辿り着けても、巨人に侵入されたらガスを交換出来ない。でも、あの巨人は僕たちを襲わないし、並の巨人より強いから、上手く誘導出来ればガスを交換するまでの時間を稼いでくれると思う」
「つまり、あの巨人を本部まで誘導出来れば安全にガスを交換出きるって訳だな」
アルミンの作戦に一度は正気かと疑ったコニーだが、説明を聞いて納得する。
「しかしよぉ、あの巨人は一体何なんだ?」
「奇行種と言うしか無いんじゃない?」
「……奇行種……ねぇ……」
ミーナの言葉に、ユミルは話の巨人が3体の巨人を圧倒するのを見ながら、誰にも聞こえない位小さな声で呟く。
「ねぇ……クリスタが背負ってる人って……」
「トワ分隊長だ。生きてはいるが、意識が戻らねぇ」
クリスタに背負われるトワの姿を見て心配するミーナに、ユミルはアルミン達と別れた後の出来事を話す。
「そっか……出来ればトワ分隊長にも力を借りたかったんだけど……」
「それは駄目」
そう呟くアルミンに、クリスタが即座に反応する。
「トワはもう限界……我儘って言われるかもしれないけど、私はこれ以上、トワに無茶させたくない」
それは、いつも笑顔で優しいクリスタでは無い。
例え、アルミン達を敵に回しても自分の意志を貫く、と言う覚悟を感じさせる。
「……まぁ、気絶するまで無理をして私らを助けてくれたんだ。これ以上を期待するのは酷だろ?」
「……そうだね。僕もトワ分隊長に救われた身だから、恩人に無茶はして欲しく無いかな」
アルミンもトワに救われた身なので、ユミルの言うことも理解できる。
それに、元々はミカサが1人でする予定だったのだ。
アルミンは、コニーとユミルが協力してくれるだけでも幸運だと考える。
「話を戻そう」
アルミンは作戦に話を戻す。
巨人を殺す奇行種。
それは近くの巨人に引き寄せられる様に移動している。
だから、近くの巨人を倒していけば、本部まで誘導する事も可能なのでは無いかと考える。
「3人には負担を強いることになるけど……」
「任せて」
「気にすんな!」
「……まぁ、クリスタのためだしな」
申し訳無さそうに告げるアルミンに、3人は気にするなと言って立体機動に移る。
「さぁ、アルミン!行くよ!」
クリスタとミーナも、それぞれトワとアルミンを抱えて3人の後に続いた。
「ミーナ、やっぱり僕が抱えた方が……せ、せめて背中に……何でも無いよ……」