異世界のブサイク男に転生してしまったショタコン腐女子は意中のショタと結ばれるためなら世界だって相手にできる! ~そうだ買国しよう~ 作:ゼルダ・エルリッチ
それからの私は、がむしゃらに動き続けた。
まずは、ゲラルトの今までの悪評の返上から。
グリナッヘさんに確かめた所、ゲラルトって奴は今までたくさんの女性と不始末を起こしていて、方々から反感を買っていたらしい……。
その数、明らかになっているだけでも10人以上。
うーん、覚悟はしていたけれど、予想以上の最低っぷりだ……。
このままじゃ、いくらなんでもナナキきゅんにプロポーズなんてできるはずもないよね。
その女性たちとのことについては、すでにグリナッヘさんが(大金を積んで!)話を収めてくれていたらしいのだけれど、ゲラルトの方は未だ素知らぬ顔のままでいたらしい。
だから私としては、その全ての女性に対して改めてゲラルト本人からお詫びして、許しを請うつもりだった。
謝罪の手紙を送り、(自分の財産から捻出して)お詫びの品を送り、最後は直接、本人の元へいって土下座……。
その結果、
ビンタが8回……。
グーパンチ4回……。
金的蹴り1回……(マジで死ぬかと思った……。これが噂に聞いた「男」の痛みか……)。
被害は甚大ではあったけれど、結局、彼女たちからは何とか許し(示談?)を得ることができた。
もちろん、今後、二度と顔を見せることはできないけどね……。
「ゲラルトよ……、これに懲りたら、もう軽率な真似はしないことだ」
グリナッヘさんが、顔をパンパンに腫らした私を見て、溜め息混じりにつぶやく。
「はい、父上……」
私の方は、それ以上何も言うことはできなかった(私がやったことじゃないのにー!)。
そしてその後は、ひたすらに自分磨き。
まず私が決意したのは……、
ダイエット!
こんなブヨブヨの身体じゃ、ナナキきゅんには釣り合いません!
来る日も来る日も、運動器具を使ってのダイエットメニューに励む。
まるで、どこぞの会員制フィットネスクラブの特別強化メニューかよ! って感じだ。
それと並行して、剣術、武術も習った。
ウェイン王子ほどとはいかないまでも、貴族として剣術くらいは、たしなんでおきたいからね。無様にバルコニーから転落死なんて、二度とごめんだし。
それと、少しでもナナキきゅんに近づきたいという気持ちから、武術も習った。まだ、せいぜい護身術程度のレベルだけど、自分の身を守るすべは、この世界では大事だと思う。
それに、もしもの時になったら、私がナナキきゅんを守ってあげたいしね(まあ、ナナキきゅんメッチャ強いし、私が守るまでもないだろうけど……)。
そして、これはちょっと金に物を言わせるようで気が引けたけど、もう一つ試してみたことがある。
それは……、
整形!
この世界はまだ医術が発達してないみたいだけど、大金を積んで探せば、整形手術の技術を持った名医を見付けることも可能だった。
もちろん、顔を完全には変えることはできないし、部分的な整形に過ぎないけど、それでも、大分印象を変えることはできるだろう。
結果……、
ゲラルトの大きく潰れた鼻は、すっきりと高くまとめることに成功。
カエルみたいな分厚い大きな唇も、何とか品の良い感じに近づけることができた。
おー、やったね。
期待通り、とはいかなかったけど、まあ、元が元だし、これで精一杯だろう。
それから、
三か月後……。
私は今、大きな姿見の前に立っていた。
新しく作ってもらった貴族の衣装に身を包み、少し伸ばした髪を整え、しゃん、と背筋を正す。
その姿に、我ながら感極まって目頭を熱くする。
イケメン……とはやっぱり言えないけれど、少なくとも下品なイメージは無い。
すらりとした身体に、控えめで上品な衣服、装飾品……。
ついに、やったのだ……!
そう、
ニュー・ゲラルトの完成だー!
姿見の前で、くるりと回ってみる。
おー!
おおー!
私、結構カッコイイじゃん!
これがあのゲラルト!? って思うくらい、すっきり爽やかな感じ。
まだ、厚い唇や頬骨の辺りにゲラルトのイメージは残っているけれど、最初と比べれば雲泥の差だ(何より、細くなったしね)。
そして、外見だけじゃない。
その中身も名士に相応しいものとなるように、私は物凄く頑張った。
貴族としての立ち振る舞いはもちろん、剣術に、武術、芸術。
領地運営のための経営学。
それこそ毎日何人もの先生の元で、修業の日々に励んだのだ。
「ゲラルト様、とても素敵でいらっしゃいます」
「本当に、立派になられて……」
アントガダル家に古くから仕えてくれている使用人の皆さん達も、私の姿を見てそう言って目頭を押さえる。
彼らは本当に私に良く尽くしてくれて、私も彼らがいたから一緒に頑張ろうという気持ちになっていた。
「本当に、皆には苦労をかけてしまった。私はこれから、名実ともに名士となれるよう、頑張っていくつもりだ。これからも、私のことを助けてくれ」
貴族っぽい喋り方も、随分、さまになってきた感じ。
本当にこの三か月、よくやったよなあ、私。うんうん。
って、
それはいいとして……。
三か月……、そう、この間のひと騒動から、この世界ではもう三か月もの月日が流れていたのだ。
もちろん私は、その間、ただ考え無しに修業の日々を送っていたわけではない。
次の行動の時が訪れるまで、時間があることを承知した上での振る舞いだった。
ではなぜ、そんなことが分かったというと……、
私がこの三か月の間に、「天才王子」のアニメを全て見終わっていたからに他ならなかった。
つまり、アニメでの次の出来事に当たる第6~7話の出来事が起こるのが、前回の事件から三か月後の、このタイミングだったというわけだ。
もっとも……、
私はアニメでの知識しか持っていなくて原作小説を読み込んだというわけではないので、アニメ6話からの話が実際にいつ始まるのか? ということは知らなかった。
(アニメ見ただけじゃ、具体的な日にちについては分からなかったからね。季節くらいは何となく分かったけど。)
だから私は、非常に単純な方法をもってそれを知ることにしたのだ。
つまり、ウェイン王子に直接書簡を送り、尋ねることにしたというわけ。
『ウェイン王子。貴殿がカバリヌ王国の国王オルドラッセ王から聖霊祭へ招待されましたら、至急そのことを私、ゲラルトの元へお知らせ願います。折り入って、貴殿にお伝えしたいことがございます。これは貴殿の御身、そしてナトラ王国にとりましても、非常に重要なことなのです』
これがアニメ6~7話に該当するお話で、ウェイン王子がカバリヌ王国での聖霊祭(宗教がらみのお祭りのようなもの)に招待されるというもの。
実際は、ナトラの持つ金鉱山の利益を得るために、カバリヌ国王オルドラッセがウェイン王子を上手く懐に取り込んでしまおうとしてのことだったのだが、事はそんなに単純じゃあなかった。
ナトラ王家への反乱勢力が(騙されて)決起したり、マーデンの残党軍がナトラ傘下に付いちゃったり、カバリヌの反乱分子である将軍がナトラ征服の為にウェインの命狙ったりと、もう、しっちゃかめっちゃか。
そして、それらの全ての影には、とある一人の黒幕の姿が。
それは「選聖候」と呼ばれる、レべティア教の重役の内の一人である、シスター服の女性。
レベティア教というのは、西側諸国に古くから伝わっている最大勢力の宗教のこと。
その中でも高い権力を持った面々が、選聖候と呼ばれる人達。
その中の一人が、シスター服を着たカルドメリアという女性だった。
このカルドメリアさんが、かなりの曲者(っていうか、めっちゃ怖い人。ドSだし……)。
なにしろ、あの工作員のリーダーであるオウル君は、実はこのカルドメリアさんの部下だったのだ!
こんな怖い人に目を付けられてしまっては、ウェイン王子もたまったもんじゃない。
というわけで……、
私はこれらの悪意ある面々から、ウェイン王子を助けたいと思ったのだった。
もちろん、私が手を出さなくても、アニメではウェイン王子は持ち前の天才頭脳ぶりでなんとか切り抜けてしまったわけだけれど、だからといって、ウェイン王子の危機を知っている私が何にもしないで黙っているというわけにもいかない。
なにしろ、我がアントガダルとナトラは深い同盟関係にあるのだから。
盟友の危機を、黙って見ているわけにはいかないからね!
それに今回は、(ナトラ王家への反乱勢力たちによって)ナトラ国そのものも危険にさらされることになるのだ。
ということは……、
ナナキきゅんの身にも、危険が及ぶ可能性は充分にある。
アニメでは触れられていなかったけど、実際はナナキきゅんだって危ない目に遭っていたかもしれない。
だったらこの私が、黙ってなんかいられないでしょ!
私(ゲラルト)にだって、できることはきっとあるはず!
ところで……。
私がリクエストしたナナキきゅんとの会合についてはどうなったか? というと……、
ナナキきゅんがナトラへ帰ってからほどなくして、ナトラから書簡での返答があったのだった。
ドキドキワクワクしながら開いたその書簡の内容は……、
『ゲラルト殿、貴殿のご来訪をいつでも歓迎致します。王室の者一同、国賓として喜んで迎えさせて頂きます。では、取り急ぎ。 ナトラ国、王太子。ウェイン・サレマ・アルバレスト』
う~ん、なんかニュアンスが違うんだよなー。そういうことじゃなくて。
私はただ、ナナキきゅんと二人だけでデート(?)がしたいだけで……(ナナキきゅんに頼んだのに、手紙の差出人はウェイン王子だし)。
とにかく。この書簡を受け取った時は、私はまだ、ダイエットやらなんやらの修業の真っ最中だった。
なので私としても、ナナキきゅんに会うのは先送りしてもらうことにしたのだ。
いずれ、ニュー・ゲラルトとして完成してから会いたかったからね。
ナナキきゅん、私の新しい姿を見てどう思うかな?
カッコいいと思ってくれるだろうか?
何にせよ、うふふふ、楽しみだぜ!
(ちなみに。
天才王子のアニメは全て見終わってしまっていたわけだけど、ナナキきゅんが登場するシーンのたびに、私が一人で悶絶していたのは言うまでもない……。
うおおーー、ナナキきゅんがマドレーヌ食べてる!! カワイイ!!
うおおーー、ナナキきゅんとニニムちゃんの2ショットだーー!! 二人ともカワイイ!!
そして最後は、ナナキきゅんの居眠りシーンが可愛すぎて即死……。
12話全部が終わってしまった時には、悲しくて二時間くらい号泣し続けた。
あーー、終わっちゃったーー!!!
どんなアニメでも最終回を迎えるたびに寂しく思うけど、今回ほど寂しさの募ったことはない。
2期頼む! 絶対2期あるよね!? ね!?
それはそうと。
今季のアニメも最高だぜ!
阿波連さんカワええ! 抱き着かれてえ! うへへへ。
シャミ子ちゃん! また会えたね! 愛してる!! うへへへ。
……節操ねえのか、ショタコン兼ロリコン!)
そしてついに、その時が訪れる。
私がニュー・ゲラルトに変身して間もない頃、私の元にナトラからの書簡が届いたのだ。
それは、ウェイン王子がカバリヌ王国の国王オルドラッセから、聖霊祭へ招待されたことを告げる内容だった。
……ついに、動いた。
アニメにおける、第6~7話の出来事が始まったのだ。
次の日の朝。
決意を胸に、私は早速ナトラへの旅路を急いだ。
ウェイン王子に至急面会し、様々の危機をしらせ、助言を行うためだ。
アニメではウェイン王子が一人で考えて事を切り抜けたわけだけど、それに対してのアドバイスくらいなら私にもできる。
特に、カバリヌ王国が非常に危険であるということ、そしてマーデン残党軍がナトラにとっての力となってくれることをしらせることができれば、大きく力になれるはずだ。
ナナキきゅんのためにも、きっと力になれるはず。
愛の力は止まらないのだ!(下心丸出しだけど)
それから無事に、ナトラ王国へ到着。
ゲラルトの命を狙うような輩はもう(多分)いないだろうとは分かっていても、馬車での旅路はちょっと緊張してしまった……。
(ちなみに、グリナッヘさんにはお留守番していてもらうことに。グリナッヘさんが一緒だと、ウェイン王子と色々秘密の相談とかがしづらくなるからね。)
馬車が王宮の入り口前まで来ると、そこにはすでに、ナトラの皆さんが出迎えに来てくれていた。
私のことを一番に迎えてくれたのは、他ならぬウェイン王子だ。周りには、ウェイン王子の側近の護衛の人たちが囲んでいる(ラークルムさんだっけ? アニメで良く見る顔だね。カッコイイ!)。
その斜め後ろの方に、ニニムちゃんがいるのも分かった。
ナナキきゅんは……、やっぱり居ないか。残念。
「ウェイン王太子殿下、ゲラルト・アントガダル、ただ今まかり越しました。歓迎を感謝致します」
貴族らしい大仰な仕草を取って、深々と頭を下げる。
これも、貴族としての修業の賜物の一つだ。
そして顔を上げた時……、
ウェイン王子が、ポカーンとした顔をしたまま固まっていた。後ろの方で、ニニムちゃんが驚いているのも分かる。
その意味するところは一つ。
私(ゲラルト)のあまりの変わりように、驚いているからに他ならない。
「いや、驚きました。随分と、その、スリムになられたのですね」
しばらくして、ウェイン王子が平静を装って応える。
そうだろそうだろ! 苦労したんだよ!
内心ではウェイン王子は、
『うお、マジか! これがあのゲラルト!? 一体どうしちゃったんだ、こいつ!?』
って、叫んでるに違いない。
ふっふっふ、予想通りの反応だね。
そのまま、ちょっと自慢したかったけど、そこは抑えてこっちも冷静に応えた。
「私も、少しでもウェイン殿下の容姿端麗さに近づきたく存じまして、自らを磨いてまいりました」
そう言って、品の良さを意識して微笑む。
鏡見て、笑い方の練習してきたからね。貴族っぽく、上品に、上品に。
「容姿端麗などと、ゲラルト卿も口が上手い」
ウェイン王子が受け流し気味に応えて、そのまま私を城内へと案内する。私は軽く会釈をして、会合の席へと急ぐことにした。
城内の廊下を歩きながら、視線を感じて目をやると、ニニムちゃんがこっちを見ていた。私と目が合って、慌てて会釈をしてくる。
やっぱりニニムちゃんも、私の変わりようが相当気になるみたいだね。
そんなニニムちゃんに、私はおだやかに微笑んでみせる。ニニムちゃんの方は、少し照れたように頬を赤らめると、そのまま視線を逸らした。
初対面の時の反応とは、やっぱり大分違うね。
私も立派になったもんだ。うんうん。
しばらくすると、一行は、大きな扉の前で止まる。
ここは、以前に私とウェイン王子とロワちゃんの三人で、秘密の会合をした部屋だ。
今回もまた、ここで秘密の会合というわけだね。ウェイン王子も、私が持ってくる情報の重要さを分かっているみたいだ。
部屋に入って、扉を締める。
ウェイン王子が振り返って、早速、話を切り出した。
「さて、ゲラルト卿。お話を伺いましょうか」
私はそれに応えて微笑むと、静かに話し始めた。
「はい、実は……」
……………………
……………………
それから、二年の月日が流れた。
アントガダルとナトラの同盟は続いていた。
今では、我がアントガダルの五千の兵力は、ナトラのためにいつでも動かすことができるようになっていた。
言ってみれば、アントガダルの兵力はナトラの兵力でもあり、まさに一蓮托生といった感じだ。
グリュエール王とナトラとのあの戦い以来、ナトラは経済的に苦しくなってしまっていたけれど、それも最近なんとか持ち直してきている。
御禁制だったマーデン経由のナトラ産物資の輸出も、少しずつ復興を遂げてきている。
それはウェイン王子が講じた、レベティア教の中枢の乗っ取りとも言えるあの大それた計画のためだったのだけれど、それについては、また時を改めて伝えることにしよう。
ウェイン王子は相変わらず、ナトラ王国の王太子として活躍している。そしてそんなウェイン王子のことを、ニニムちゃんはいつでも支え続けている。
ロワちゃんは、帝国の新たなる皇帝として即位することになった。
その影には、ウェイン王子の「人には言えない」裏工作があったのだが……、それについても、またいずれ伝えることにしておこう。
世界は動き続けている。
そして、人々も活動し続けている。
でも……、
私の望む未来は、一つだけ。
そう、ナナキきゅんと過ごす、この幸せな時間の先に待つ、幸福な未来だ。
……………………
私は今日も、自室でナナキきゅんとゲームに興じていた。
「ナナキきゅん、モンハンうめえ!」
まだ初めて一週間も経っていないのに、私なんかよりも全然うまくなってる……。やっぱ、本職は違うのか。
「実戦で慣れてるからな」
そういうナナキきゅんは、ちょっと得意気だった。カワええ……!
「よーし、じゃあ次は、コールオブ・デューティーで勝負だ!」
「それ、もう飽きたよ。バトルフィールドにしようぜ」
……………………
「このアニメ、面白いな。魔法少女ってなんだ?」
「フレッシュピーチ・ハートシャワー!」
「……なんだそれ?」
一緒にアニメも見て、ギャグに笑って、感動シーンで泣いて。
なんて幸せなんだろう。
この幸せを守るためならば、私は、世界だって相手にできる!
……とは言ってみたものの、
実際の所、私はまだ、ナナキきゅんと結婚したというわけではない……。
色々なことがあった結果、私は、ナナキきゅんからの護衛対象として一緒に生活することになったのだった。
色々なこと……、というのは、ここでは差し控えたい。
私も一端の要人になったのだ、ということだけ伝えておこう。
とにかく、私はナナキきゅんに守られながら日々を過ごしている。
私がナナキきゅんのことを守る、というのではないのがちょっと情けないけど……仕方ない。
今はとにかく、ナナキきゅんと一緒に暮らしているという、この現実に、ビバ!
ちなみに……、
ナナキきゅんには、もう求婚済みだ。
「は?」
それがナナキきゅんの第一声だったけど……、私はあきらめない。
ウェイン王子にも、ニニムちゃんにも、グリナッヘさんにも、すでに伝えてある。
ナナキきゅんと結婚したいんです! と。
今はまだ、ナナキきゅんの心を動かすことはできないのかもしれない。
でもいずれ、振り向かせてみせるよ!
私の本気を、ナナキきゅんに認めてもらうんだ!
その一環として……、
アントガダルは、自国領にフラム人の人達を迎え入れた。
そして今、帝国内を始め、西側諸国にも少しずつ、フラム人に対する扱いを見直す運動が広がっている。
フラム人に対するレベティア教の解釈も、少しずつ見直そうという動きも出てきている。
それは、ウェイン王子とニニムちゃん、ロワちゃんを始めとする、たくさんの人達の尽力があったからに他ならない。
そして恥ずかしながら、その陣頭指揮を執ることになったのが私だった。
その成果は、少しずつ表れてきているようだ。
しかしまだまだ、世界は広い。
不穏な動きを見せる国も、まだまだ存在する。
でも……、
今は、ナナキきゅんとのこのささやかな幸せを満喫していたい。
いずれ来るだろう、新たな激動の時までは――
………………………
「こらゲラルト、起きろ」
爆睡していた私の顔に、枕が叩き付けられる。
「ぶげ!」
慌てて飛び起きると、ナナキきゅんが枕を持って胸を張っていた。
「今日はナトラへ行く日だろ。忘れたのか」
「分かってるよー」
やや不機嫌そうに身体を起こす。そして……、
「ナナキきゅん、おはようのキスは?」
くちびるを伸ばす私の顔を、再び枕が襲った。
「ぶげ!」
「寝ぼけてないで、さっさと支度しろ」
ナナキきゅん、つれないなあ……。
でも……、
そっぽを向いたナナキきゅんの頬が、ちょっと赤くなっているのが分かる。
ナナキきゅんのツンデレ! たまんねえ!
早々に支度をして、ナトラへ。
ナナキきゅんは私の護衛なので、当然、私と一緒に馬車に乗り込む。
「久しぶりのナトラだね。ナナキきゅん、嬉しい?」
「……まあな」
素直じゃないなあ。そこがまたカワイイんだけど。
ナトラの王城に着くと、門の前にたくさんの兵士たちが出迎えに出ている。
そして、馬車を降りた私を一番に出迎えたのは、ウェイン王子だった。
「ようこそいらっしゃいました、ゲラルト卿。さあ、今日も有意義な時間を過ごそうではありませんか」
私はそれに応えて微笑むと、ナナキきゅんと共に王城の門をくぐった。
おしまい♪
というわけで、ここまででお終いでございます。
お読みくださりありがとうございました!
もっと続ける予定だったけど、書きたいことは書いたので良しとしよう。
また次回作でお会いしましょう♪
ゼルダ。