ソードアート・オンライン/コンプリート・ストラテジー   作:空素

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今回もアルゴ&シノンパートでっす!





密談

「その通り名で呼ぶのやめて欲しいのだけど?」

 

シノンの言葉を聞き流し、テーブルを挟んで、椅子に座るように促す。

自分は武装を解除して、ベッドに座る。

 

シノンは槍だけを解除し、椅子に座る。

 

「ニャッハハー、もうすっかり有名人だナー、“シノっち”は!お蔭で攻略組にもシノっちに興味を持ったプレイヤーが出て来てるゼ〜?」

 

茶化しながら、水入りのコップを渡す。

 

シノン自身の情報はそれほど広まっていないが、それでも、先のキリトからのメッセージにもあるように、最近になって凄まじい勢いで駆け上がるプレイヤーの存在が上層攻略組の中でも噂になっているようだ。

 

アスナにしても、そのプレイヤーを自分達のギルドに引き込めないか情報を集め、思案する為に、アルゴに依頼して来た事もある。

 

アインクラッドはその他多くのMMO同様にリソースが有限だ。

どれだけ効率良く狩りをしたとしても、デスゲーム開始当初から戦って来たプレイヤー達に追いつく事は難しい。

 

難しい筈なのだが、目の前の少女ーーシノンは、最近になってから突如として厳しい階層攻略を開始し始めた。

 

階層攻略と言っても、殆どのフィールドやダンジョンは踏破され、イベントもほぼ残っておらず、宝箱も開けられてしまって旨味もなく、ボスモンスターも撃破されてしまっている。

 

「そう。それなら近い内に声が掛かると良いんだけど」

 

しかし、シノンは攻略ギルドが保有している狩場を避けてー狩場の情報をアルゴに買いに来ることもあるー迷宮区を中心にレベリングを行いながら、階層を進んで行っている。

 

迷宮区は、モンスターが多く、1体1体もフィールドに比べて強力な為、一見レベリングに向いているようだが、基本的に狭く、パーティーを組んで団体で戦闘を行うギルドからは迷宮区でのレベリングは忌避されている。

 

だが、危険を伴うことを享受することが出来れば、リスクに見合う、大きな見返りがある為、ソロプレイヤーが迷宮区でレベリングをすることもままある。

 

しかし、最前線のソロプレイヤー(例の黒いヤツ)にとっては、迷宮区でのレベリングは、攻略中の他のギルドと鉢合わせる可能性がある為、基本、行わないようだ。

そもそも、最前線の迷宮区に到達する頃には、十分に安全マージンが取れている為、レベリングの必要がないのだ。

更に言えば、迷宮区でレベリングを必要とするような攻略方法では、最前線でソロプレイヤーとして生きていけない。

 

シノンの場合は、既に攻略され、迷宮区内を彷徨くプレイヤーもそれほど多くない為、成り立っている。

また、迷宮区内の情報もアルゴの攻略本で公開されており、初期攻略時程の危険性が無いと言うこともある。

 

それでもモンスターが弱くなる訳でも、迷宮内の罠が無くなる訳でも無いが、未知と既知では、大きなアドバンテージの差が出て来る。

 

当然、シノン自身の目利きとプレイスキルもあるが。

 

「オレっちが推薦してやっても良いゾ?」

 

ニッシッシ、と笑うと、シノンは少し考え込んだ後、目を逸らした。

 

「……考えておくわ」

 

その目をアルゴは知っている。

何処ぞの黒いヤツと同じく、他人との干渉を避けようとする人間の目だ。

 

彼女にも何かしらのトラウマがあるのだろうか。

 

しかし、それを掘り起こすような配慮の無い人間ではないアルゴは、話題を変える事にした。

 

「それはそうと、今は何処まで進んだんダ?」

 

以前、会って話した時は、65層あたりでレベルは76だった筈だ。

 

「74層迷宮区のボス前くらいまでは進んだかしらね。帰る直前まで進んだところは強敵ばかりだったから。ボス部屋まではまだまだ遠そうだけど」

 

素直に驚いた。

最前線はすぐ目と鼻の先だ。

 

以前もトッププレイヤーとは言えないものの、上位プレイヤーと呼んで差し障りない程だった。

 

だが、彼女はそこに甘んじる事なく、己を鍛え続けた。

 

74層迷宮区まで進んでるのであれば、レベルも85を超えているはずだ。

アインクラッドは、その階層に10を足したレベルが十分な安全マージンとなる。

 

とは言え、それはあくまでもパーティーでの戦闘が基準だ。

 

ソロともなれば、プラス5〜10は欲しいところだ。

 

とは言え、それもまた、ボス攻略を前提としているところもあり、一概には言えない。

 

しかし、レベルが高ければ高い程、良いのは間違いない。

 

「そんな場所にソロで潜るなんてシノっちも大概だよナァ」

 

基本的には、シノンはソロではなく、他のパーティーと組むことが多い。

だが、今まで特定のパーティーやギルドに所属することは無く、行く先々で協力者を変えながら転々としている。

 

だが、止むを得ず、今回のようにソロで迷宮区やダンジョンなどに潜る事も少なからずあった。

 

「しょうがないじゃない。組めるパーティーが居なかったんだから」

 

シノンも階層に対するレベルの安全マージンは取っているだろう。

 

それでも、普通のプレイヤーならば、そこで諦めるか、協力者探しを続行するだろう。

 

そもそも、パーティーを転々とすること自体がおかしな事なのだが。

 

「普通ならそれで潜るヤツはバカーー死にたがりの極みだヨ」

 

失言に対し、シノンは不機嫌になると言うことは無かった。

 

ただ、暗い表情で、俯いた。

 




シノンは強くなる為ならかなりストイックなイメージ。

それこそ初期アスナのように。
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