ソードアート・オンライン/コンプリート・ストラテジー   作:空素

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キリトVSヒースクリフ戦、決着!?


終結、そして結末

 

「んなッ!?」

 

大きく剣を弾かれ、仰け反る。

弾かれた事で、ソードスキルは《失敗(ファンブル)》となり、俺は硬直を強いられる。

 

驚愕と同時に、数多の疑問が浮かび上がる。

何故、障壁が現れたのか、茅場は嘘を吐いたのか、ならば何故もっと早い段階で発動しなかったのか、それとも茅場にとっても想定外の事態なのか。

 

対するヒースクリフと言えば、追撃する様子は無く、体勢を整えると呆然と虚空を見詰めた。

いや、何か遠くのものを見据えている、睨め付けているようにも見える。

やはり、この事態は茅場が意図したものではなかったようだ。

 

俺は警戒しながらも体勢を立て直し、身構える。

どう行動するか考えていると、背後から怒声が飛んだ。

 

「テメェ茅場ァ!!不死属性を切るって言ったのは嘘だったのかよ!!」

 

野武士面で、和風の甲冑を着込んだ、カタナ使いのクラインだ。

 

ヒースクリフーー茅場はクラインを一瞥するが、反論や弁明をすることは無く、俺に向き直った。

 

「先ずは謝罪しよう。私の“不始末”で、決戦に“邪魔”が入った事、深くお詫び申し上げる」

 

そう言い、茅場は頭を下げた。

“不始末”とは、“邪魔”とは何なのか。

素直に答えてくれるとも思えなかったが、問わずにはいられなかった。

 

「どういう事だ?」

 

「言葉通りに捉えてくれれば良い。私の“調整不足”で、“外部干渉”が入ってしまった。例え、このまま戦闘を続けたところで、先程と同じ現象が発生し、決着が着く事はないだろう」

 

結局、上手くはぐらかされてしまった。

このまま追求したところで、口を割ることはなさそうだ。

 

「やってみなきゃわからないだろ」

 

そう言い、戦闘体勢に入るが、茅場は身構える事なく、悠然と直立したままだった。

 

「私としても、非常に不本意だ。覚悟を決め、君と相対し、そして、私は先程、自分の敗北を認めた。本来であれば、これでゲームはクリアされていただろう」

 

そう語る茅場に、敗北の否定や生への執着などは感じられない。

淡々と事実を述べているだけのように思えた。

 

「だったら、GMの権限なり何なりでゲームクリアした事にすりゃあ良いだろうが!!」

 

再び背後のクラインから檄が飛ぶ。

確かに、GM(ゲームマスター)である茅場ならば、権限でシステムを書き換えるなど造作も無い事だろう。

敗北を認めていると言うのであれば、この場でゲームクリアとし、全プレイヤーを現実に帰還させることも出来る筈だ。

 

「確かに、クライン君の言う事も最もだ。だが、君達も見たはずだ。私が解除した筈の《不死属性》の障壁が発生した瞬間を。つまり、これは私の意図に相反し、GM権限に干渉する力を持つ者が引き起こしたと言う事だ」

 

茅場の言っている事には、一応、辻褄が合う。

と言うより、そうとしか考えられない。

これならば、最後の一撃の時にのみ発生した事も、それまで一切、発生しなかった事にも納得がいく。

 

「例え、私がゲームクリアと認めても、それを認めない存在がいる。その存在をどうにかしない限りは、君達はゲームクリアに到達することは不可能と言うことだ」

 

だが、GMに匹敵する程の権限を持つ存在とは一体何なのか。

GMが最上位の権限を行使出来る存在ではないのか。

 

「だったら、どうするんだ?あんたがどうにかするまで、ここで待っていろとでも?」

 

「これは推測になるが、ゲームクリアを阻止した存在は、この第75層でクリアされる事に納得いかなかったのかもしれない。自らの発言を取り消し、約束を反故にする形にはなってしまうが、君達には、このまま76層に進み、第100層を目指して貰いたい」

 

茅場の発言に、攻略組のプレイヤー達が騒つく。

 

「何言ってやがんだテメェ!そんなん納得できる訳ねぇだろうが!それでこの先、どれだけ多くのプレイヤーが死ぬと思ってんだ!死ぬ筈じゃなかったヤツも死ぬかもしれねぇんだぞ!!」

 

クラインが今までに無い程の激情を露わにする。

 

自身に勝利すればゲームクリアとし、解放すると言っておきながら、敗北した立場で土壇場になって発言をひっくり返したのだから。

納得できる筈もない。

 

だが、結局のところ、それは理想であり、空想なのだ。

現実は、クリア出来ず、解放される事はない。

このまま行ったところで平行線だ。

だから、この場で事を進められるのは俺だけだ。

そして、俺が全て背負えばいい。

怒りも、憎しみも、背負うことには慣れている。

 

「茅場、100層まで進めば本当にクリア出来るんだな?」

 

否とは言わせない。

そんな気迫を込めて、茅場を睨み付ける。

 

「キリトォ!!」

 

背後からクラインの悲痛な叫び声が届く。

 

「ごめん、俺には他に考え付かなかった」

 

肩越しに振り返り、微笑みかける。

 

「そうじゃねぇよ…!大馬鹿野郎が…!そうやっていっつも…!」

 

クラインは消え入りそうな声で、掠れ声を上げる。

 

そんなクラインを尻目に、再びヒースクリフへ目を向ける。

 

「それで、どうなんだ」

 

提案や疑問を投げかけるのではなく、有無を言わせず強制する形で言い放つ。

 

「無論だとも。必ず決着が着き、ゲームをクリアできる状態しておこう。当然、約束を反故にした埋め合わせも支払おう」

 

「それは俺にじゃなく、他のプレイヤーにしてくれ。苦しむのは、他のプレイヤー達だ」

 

俺の選択が、今後も多くのプレイヤーを苦しませ続ける事になる。

俺の選択で、今後も多くのプレイヤーが悲しみ続ける事になる。

 

だが、受け入れなくてはならない。

そして必ず100層に辿り着き、再びヒースクリフーー茅場を打ち破ってみせる。

 

俺の言葉を聞き届け、茅場は再び頭を下げた。

 

「理解、感謝する。当然、君にも埋め合わせをさせて貰う」

 

そう言うと、茅場はおもむろにシステムウィンドウを開く。

マスターコマンドで移動するつもりなのだろう。

阻止したところで何も出来ない。

今は見届けることしか出来ない。

 

「次は必ず、決着を着ける」

 

コマンドを操作する茅場ーーヒースクリフへ決意を込めて言い放つ。

だが、それは自分へ言い聞かせる言葉でもあった。

 

「私も、そう望んでいるよ」

 

ヒースクリフは、不敵の笑みを浮かべ、光に包まれた。

 

光が消えると、そこにヒースクリフの姿は無かった。

 




VSヒースクリフ編、一先ずは終了となります。

ちょっかいをかけてきた人が気になるところですが、プロローグはもうちょっとだけ続くんじゃ。

あと、アスナさんが空気でクラインがヒロインしてますが、今後はヒロインアスナさんがINするから楽しみにしててね!

アスナさんにはあまりこう言う場面で叫ぶイメージが無かった…。

逆にクラインはガンガン喚き散らすイメージがあったので…。

P.S.作者はプログレッシブのちょっとツンが入ったたまにイケメンなアスナさんが好きなので、原作よりちょっとツンツンするかも…。
デレアスナさん好きが居たら申し訳ない(改善する気無し)
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