才能全振り野郎が美少女に頑張れ頑張れされる話 作:不知火勇翔
今回は短いです。
カマキリに荒らされた首都に戻った僕と神条さんは、帰ってすぐ口論になった。
「どうしてすぐ引き籠るんですか!というか引き籠る備蓄があることにも驚きなんですけど!」
「うるさい。引き籠りに引き籠る理由なんて聞くな」
あの聖母状態といつものオカンとの落差に僕は今衝撃を受けている。
「どうしてそう、・・・・・・・あああもう!分かりました!家を破壊しますね!」
「ちょいちょいちょい!!!人の家を壊すのは犯罪でしょ!」
「知りませんよ!グータラ星人が悪いんじゃないですか!」
僕も神条さんもただの一軒家を取り壊すなんて造作もないため、僕は本当にやりそうな神条さんの相手をするしかなかった。
ちなみに、引き籠りなのは『トラベラー』に対する偏見に嫌気が差したからだ。
「やって良い事と悪い事があるでしょ!」
「奏吏さんは私が今ここにいる意味をちゃんと分かっているんですか!?あんまりだと私が殺されるんですよ!?」
「は??」
思わず聞き返していた。
殺、え?
「・・・・・・え、本当に分かっていないんですか?」
「え?」
「「・・・・・・・・・・」」
「シンク様のやり方は知っていますか?」
「邪悪なんでしょ?」
「やり方です」
「・・・・・・・・・・」
「説明しますね。シンク様は目の前で人質を殺して反応を楽しむのが大好きなんですよ。それで、奏吏さんにとっては私が人質です。あんまり私が役立たずだと、」
「目の前で?」
「はい」
言葉を失うというのを人生で初めて経験した。本当に、頭が真っ白になった。
「私がダメなら次がいます。それを何度も何度も見せれ「分かった。」、はい・・・・・・」
「倫理観とか常識が無いのは分かっていたつもりだったけど、甘かったね。・・・・・・分かった。言う通りにする」
「ちなみに言いたくはなかったんですが、西には」
「分かった!」
僕が怒鳴ると、神条さんはビックリしたのか体を震わせた。
少し罪悪感が沸いた。
「っ、それで?僕は何をすればいいの?引き籠りを辞めただけじゃ何も変わらないよ」
シンクは僕の才能を買って、神条さんをよこした。つまり僕を強くしたい筈なのだ。
「その前に、少し歩きませんか?」
カマキリがいなくなった首都の夜は、犯罪で溢れていた。
軍も警察も動いてはいるが雀の涙程度。
隠れていた人や戻ってきた人、住む場所を失った人などで街は混乱していた。
とある建物の屋上からそれを眺めながら、僕はこれを見せた神条さんの狙いを図りかねていた。まぁすぐに分かるだろうが。
「奏吏さんの予想は当たりですよ。あのカマキリと戦った時点で奏吏さんはコチラ側です。それを知ってもらいたくって連れて来たんですけど、どうですか?」
どうですか、か。
貴金属店に入って堂々と盗みをやっているのは勝手にしろ、と思うが誘拐されているのを見ると流石に介入したくはなった。カマキリが来る前は、ハッキリ言ってどうでも良かったかもしれない。
確かに、ソッチ側かもね。
「・・・・・・・・・・沼だね。ヒーローごっこって」
「ですね」
神条さんの声は、どことなく嬉しそうだった。