才能全振り野郎が美少女に頑張れ頑張れされる話   作:不知火勇翔

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7話 無視1

 

 トラベラーだと疑われて、住んでいた地域から離れた高校に進学した。そこでもトラベラーだと疑われて、僕は引き籠もった。

 退廃的な生活を送る筈が、優香が来て。

 カマキリに始まり、特訓と大会。

 そして今日、遂に家を引き払う。

 順を追って説明すると、まず日ノ本の人間は、トラベラーだと判明した時点でとある全寮制の学校へ入学を強制される。

 『春風学園』。

 初等部から高等部まであるその学校は正にトラベラーを一カ所に集めて監視するための学校で、結構歴史がある学校だ。

 『春風学園』を卒業したトラベラーはすぐ軍隊に入れられ、日夜怪獣の警戒と鍛錬に明け暮れることになる。

 ちなみに、トラベラー以外の人がトラベラーに対する理解が足りない原因の1つに『春風学園』のシステムがある。単純に、トラベラーと接触する機会が少ないのだ。

 まぁクソみたいなシステムだ。人権とは?と問い質したい。ただトラベラーの試合は娯楽として人気だ。近くにいなければ楽しめる、というグラディエーターみたいな扱いだ。

 ただこれが日ノ本の普通。状況を受け入れるしか、トラベラーに選択肢は無い(過激派のトラベラーもいるにはいる)。

 僕は『春夏羅』の大会で優勝してしまった。

 日ノ本政府は無名の僕を調べ上げ、トラベラーだと申告していなかったことが判明。僕は『春風学園』に転校することを強制された。

 なので、実家から離れた高校に通うために借りたアパートも、今日限りだ。

 カマキリのせいで借りていた不動産屋が残っていないので半ば放置に近いが、状況が状況な(僕には選択肢が無い)ので仕方ない。

 一応の戸締まりはして、いざ出発だ。

 トラベラーなので空を駆けていき、しばらく走ると日ノ本の中間。『我留葉(がるは)』に着いた。

 ここからは歩きだ。

 『我留葉』は元々(戦国時代は)何も無い地方都市だったが超々マンモス校の『春風学園』が建てられたことで一変して、トラベラーの貢献もあって日ノ本の3トップに入る巨大な都市に成長している。

 『我留葉』の人はトラベラーと身近に接しているため寛容らしく(トラベラーにも色々なのがいると知っている)、そこは期待している。

 少し『我留葉』を散策していると、お店の人から声をかけられた。

「アンタ、つい最近の大会で優勝した人よね!カッコ良かったわよ!」

 応援の言葉と共に、コロッケを貰った。

 話について行けず固まっていると、また別の人にも注目された。

 恥ずかしかったのでコロッケの礼だけ言って、僕は離れた。

 いや、優しすぎない?

 よく分からない奇襲にあったが気を取り直して。

 『我留葉』の端にある丘の上に、例の『春風学園』がある。

 さっきも言ったが初等部から高等部。トラベラーの小学生から高校生までが、この学校に集められている。

 多分魔窟だ。

 緊張しながら、普通の学校より高い塀に備え付けられたインターホンを押すと、職員室か何かにいた人が出た。

『は~い。どなた、あー辻奏吏君ね。聞いてる聞いてる。ちょっち待っちょいな』

 初手から不可思議な日本語が飛んできた。

「・・・・・・」

 待つこと数分。

 校舎からちびっ子が出てきた。

 金髪のロングで、白衣を着ているのだが教師なのだろうか。

「はいはい初めまして~。甘菜(あまな)で~すぅ。お兄さん1人?」

「え、まぁ、はい」

「ありゃ?反応足りないよ?もっと元気出して出して!」

 さっきから危ない発言ばかりなのだが、ワザとだろか。

「えっと。辻奏吏です。宜しくお願いします」

「あ、は~い(ハート)。土御門甘菜で~す。よろちくね」

「ち?」

「今決めた語尾。どう?可愛い?」

「はぁ、まぁ」

 なんなのだろうか、この人は。

 トラベラーは強い人ほど変人奇人に偏るとは言うが、この甘菜先生もその1人なのかもしれない。

「えっと、土御門甘菜、ちゃん?先生?」

 大人に見えない、を思いつく限りオブラートに包んで聞いてみると、甘菜某は頬を膨らませた。

「失礼な。これでも立派な教師なんだけど?」

 ふてくされた土御門甘菜先生、甘菜先生は付け加えた。

「まぁ、私今16歳で確かに若年なんだけどね?これでも1年3組のミステリアス美女担任教師なんだから」

 ・・・・・・?意味が分からない。

「あーそこから?イメージの世界は才能頼り。ドゥーユーアンダスタァンド?」

 ・・・・・・・・・・・・理解はした。

「はい」

「そういうこと。今開けるね」

 甘菜先生が指を鳴らすと、閉じていた校門がひとりでに開き始めた。

 

 

 

 

`^`)/移動中。

 

 

 

 

 ロリっ子女教師こと『土御門 甘菜(つちみかど あまな)』は僕が転入するクラスの担任だったらしく、教室まで案内してくれるそうだ。

「あ、その前に制服だったね。ちょっくらコッチについちょくれ」

 連れて来られたのは物置みたいな部屋だった。

「コレが春風学園の、高等部の制服だよ~。早速コピーしてくれるかな?」

 流石はトラベラーの学校。当然のようにコピーを要求された。

 制服をコピーして、そのまま着て、それからまた移動。

 2つの校舎を通り過ぎて、ようやく教室に到着した。

「今からHRだから、空いてる席に座ってね~」

「え、はい」

 空いてる席?

 甘菜先生は僕が首を傾げているのを放置して、教室の扉をスパンッと音が鳴るぐらい勢いよく開け放った。

「やーやー我こそはベリービューティー甘菜ちゃんだよーーーーーーー!!!皆5秒でHR済ませるから1秒で席ついてねーーーー!!」

「!?」「何してるの辻君!あと3秒だよ!」「あ、はい!」

 慌てて、教室内の空いてる席(1つしかなかった)に座った。

「よし皆集まったねOK皆また明日!解散!」

 本当に1秒で生徒が席につき、甘菜先生が宣言すると全員が立ち上がってお辞儀した。

「「「お疲れ様でした!!!」」」

 テンションについていけず僕が固まったままでいると、バラバラとクラスの皆が席から離れ始めた。

 どうやら本当に解散らしい。

 甘菜先生は教卓で立ちっぱで、1人2人の生徒が話しかけていた。

「・・・・・・」

 座ったら、終わった。・・・・・・え?次何すれば?

「・・・・・・君が、優香のアレなんだ」 

 呆けていた僕の、隣に座っていたツインテールの女の子が話しかけてきた。

「・・・私、不知火吏音。よろしく」

 教科書をカバンに詰め込みながら、話しかけてきた。

「あ、うん。よろしく。僕は辻、」

「知ってる。優香のコレなんでしょ?」

 不知火さんが小指を立てて、見せてきた。

「(違うんだけど、実際どういう関係なんだろうか)」

「甘菜。奏吏借りていい?」

 僕の言葉を無視して、不知火さんはまだ教卓に立っている甘菜先生に、よく通る声で聞いた。

「もち~よ~ぉ」

 甘菜先生が遠くから声を張り上げて言うと、不知火さんは頷いた。

「ん。じゃあ奏吏。行こっか」

「?どこに?」

「優香の所。会いたいんでしょ?」

「・・・・・・まぁ」

「ラブラブちゅっちゅするんでしょ?」

「それはしない」

 

 

 

`^`)/移動。

 

 

 

 トラベラーは軍を辞めることができない。

 しかし優香はカマキリの後、軍を辞めている。

 これは如何に、と聞いたことがあったが『シンクが無期限の休みを用意した』というのが真相らしい。

 学校も休んで僕の所に来て、僕がコッチへ来たから優香も復学する。それが今の状況なのだが。

 おかしい。

「優香?」

「(ぷいっ)」

「ゆ、優香?」

「あ、佐藤さん。少しお話が・・・」

 おかしい。

「ゆ、「吏音ちゃん。こんにちは」」

「・・・」

「優香。今日変」

「変じゃありませんよ?それより昨日はありがとうございました」

 まるで僕がいないかのように、優香は振る舞っていた。

 

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