才能全振り野郎が美少女に頑張れ頑張れされる話   作:不知火勇翔

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今週はレポートが無いぞー!やったー!三連打ぁ!!!


8話 無視2

 

 『春風学園』の寮は何不自由無いぐらい、設備が充実していた。

 トラベラーなので基本お金に困らない人達の寮なのだから、当然と言えば当然かもしれない。

「奏吏。学校案内してあげる」

 そして、転校した翌日。

 昼休みに不知火さんが話しかけてきた。

 ここまでくると、思ってしまった。

「不知火さんってさ、シンク側の人?」

 出会ったばかりの時の優香と、奏吏には不知火吏音が重なって見えたのだ。

 すると不知火吏音は、当然のように頷いた。

「ん。優香が死んだら、次は私」

「」

 優香は前に言った。

 人質を目の前で殺して楽しむのがシンクのやり方。何度も何度も人質を送って殺せば、奏吏は否が応でも動かざるをえない、と。

 そういう話だった。

 つまり、不知火吏音もシンクの被害者という訳だ。

「ッ・・・」

 強烈に、奏吏は胸を痛めた。

「・・・奏吏。今更心を痛めるのは遅すぎ。私の失敗例は他に沢山、「分かってる」・・・」

 実際に現場を見るのは別だが、伝え聞く範囲で奏吏はちゃんと自覚していた。

「それで。学校を案内してくれるんだっけ。お願いできる?僕はまだ学校のこと知らないし、甘菜先生はノータッチの方針みたいだし、」

「優香とも仲直りしたい?」

「それは別日でいいかな。何故か無視してくるし」

「押し倒したら万事解決」

「は?」

 流石に奏吏は聞き流せなかった。

「優香、待ってるよ?」

「ないから。はい、終わり。案内して」

 奏吏が吏音の小さな肩を押すと、吏音は奏吏の目を見て聞いた。

「・・・・・・・・・放置して大丈夫?優香、スッゴいモテモテ。離れてたら誰かに取られるかも」

「」

「想像した?」

 ニマニマする吏音。

 奏吏はこの瞬間に、自覚した。

「・・・・・・不知火さんには一生慣れないかも」

「それだけミステリアスな女ってこと」

「そうだね」

 

 

`^`)/場所移動。

 

 

 

 

「優香」

 夕焼けのオレンジが差し込む、放課後の廊下。

 1人で歩いた優香の腕を掴み、奏吏はそのまま壁ドンして拘束した。

「うぇ!?そ、奏吏さん!?」

 突然の蛮行に慌てる優香だが、身動ぎ1つせず奏吏の様子を窺っていた。

「優香。どうして無視するの?」

 奏吏がズイッと顔を近付けて問い詰めると、優香は目を逸らした。

「・・・・・・私の任務はここまでですから」

 しおらしく言う優香だが、内心で奏吏の反応を見て楽しんでいた。

「嘘をつかないで。ちゃんと答えて」

「嘘じゃありませんよ?」

「優香の仕事は僕の人質でしょ?このままじゃ俺が不知火さんに流れるかもよ?」

「それは・・・・・・」

「人質としては失敗でしょ?」

「・・・」

 価値の落ちた人質を、シンクは放置しておかない。

 必ず楽しんでから処分する。

 この場合、奏吏が優香から離れた瞬間、優香は奏吏の目の前で殺されることになる。少しでも奏吏に情が残っているのなら効果は見込める。

 2人とも共通して、シンクならやると確信できていた。

「・・・優香は、死んでほしくない。だから一緒にいて」

「むぅ・・・・・・」

「いや、シンクを理由にするのはアレだよね。ちゃんと言う。僕は、僕は優香が欲しい。ずっとずっと一緒にいて欲しい。お願い。何がしたいのか知らないけどさ、」

 不知火吏音と話して自覚した、奏吏の中に渦巻く黒い感情。

 それは支配欲だった。

 

 

「離れないで」

 

 

 奏吏が優香に対して初めて吐いた、心からの叫び。

 それが優香の想像より1,2歩先だったため、優香は一瞬言葉を失った。

「その後、2人はラブラブちゅっちゅを・・・」

「「しないから!」」

 近くで盗み見ていた吏音が割り込み、雰囲気をぶち壊した乱入者に2人が怒鳴った。

「おー。熟年夫婦の被り」

 更に煽る吏音。

「というか吏音ちゃん!どうしているんですか!?」

 優香が1人になるのを待っていた奏吏ならまだしも、この時間帯まで校内に吏音が残っているのは不自然だった。

「それは勿論、優香の痴態を眺めるため」

 堂々と言う吏音に、優香は頭を抱えたくなった。

「変態じゃないですか!」

「痴態になることは否定しない・・・」

「なりませんから!」

 今度は奏吏。

「する?」

「する?じゃありませんよ!何考えてるんですか!!」

「いや、、キスぐらいでそこまで騒がなくても、(笑)」

 笑いながら茶化す奏吏。明らかに悪意があった。

「変態」

 追い討ちの吏音。

「ちが、もう何なんですか!私が悪いみたいじゃないですか!」

 集中放火をくらった優香の声が、オレンジ色の廊下に響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

`^`)/おまけ。

 廊下での会話の後。

 優香は謝罪と共に放置プレイの理由を語った。

 いわく、奏吏は優香無しでは生きられないと知っているから、反応を楽しみたかったのだと。

 あまりにあんまりなやり方に、奏吏は決心した。

 絶対にやり返そうと。

 そして翌日。

「どいて」

「は、い?」

「聞こえなかったの?」

「・・・ちょ、奏吏さん」

 袖を掴んで引き止める優香に、奏吏は冷たい表情をして言い放った。

「あのさ、優香」

「は、はい」

「僕はもう優香に興味無いんだよね。さっさと視界から消えてくれないかな」

 ポカンとした優香は、すぐに申し訳なさそうな顔をした。

「・・・・・・昨日のこと、怒って、ますか?」

「・・・・・・」

「その、あれは、ほんの出来心、」

「(キッ)・・・」

「・・・・・・・・・ごめんなさい」

 奏吏が睨み付け、優香の声が更に小さくなる。

 この段階になって、奏吏は終わりが分からなくなっていた。

 確かに仕返しはしたかったが、ここで終わるべきなのか、仕返しはできたのか分からなかったのだ。

 結果、謝罪を無視して奏吏は背中を向けた。

 

 

すると。

 

 

「グスッ「(あ、やべ)」・・・・・・・・ぅぇぇぇん」

 嗚咽は小さいものだったが、優香がガチ泣きした。

 クール系の涙に、奏吏は2秒で頭を地面にこすりつけて謝った。

「ご、ごめん!ごめん!冗談だから!冗談!優香は大好きだから!大好き!大好きだから!!!」

 泣き止まない優香に、奏吏はジレて抱きついた。

「ごめん。ホントごめん。嫌いじゃないから。違うからさ」

 奏吏が優しく語りかけるが、優香は何も返さなかった。

 そして抱き締めために、奏吏からは優香の顔は見えなかった。

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・ごめん。仕返しのつもりだったんだけど、本当にごめん」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・優香」

「・・・・・・・・・」

 奏吏の背中に腕を回した優香は、今までに無いくらい強い力で抱き締めた。

 そしてか細い声で、言った。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・もう、しないで下さい。絶対に」

「・・・・・・ごめん」

 

 

 

 

 

 

 後で黄金色の和服を着こなす黒髪の美女にドツかれる奏吏が、目撃されたとかされなかったとか。

 

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