出遅れ★ダービー   作:ババネロ

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クソ忙しくて貯めるのも厳しいので出来たのから順次投下していきます。


#17「勝負服で走ろう」

「へぇ、あれが」

「スカイさん、先輩に失礼よ」

「いやぁ〜、ここからなら気がつかないでしょ」

 私の隣でスカイ先輩とキング先輩が言い合っているが、キングヘイロー先輩の言う通りではと思う。スカイ先輩の目つきは完全に品定めしているもので、人によっては舐めるなと怒られそうだった。

 この二人は母の言う私の“友人”だが、キング先輩はともかくとしてスカイ先輩に関しては違うと言うしかない。いまだにフラワーさんへの妙な嫌疑をかけられているせいで、変につるんでいる。

「勝負服ねぇ。私たちもそのうち着れるのかな?」

「……勝負服を着れるのはG1に出れる限られたウマ娘だけよ」

 勝負服。それはキング先輩の言う通り、限られたウマ娘しか袖を通すことが許されない。G1のみ着用が許可される、個々のウマ娘に用意された専用の衣装。それぞれのパーソナリティに合わせたデザインがされ、一見厚着に見えても抜群の通気性を持っていたり、走るのに適さないように見えても、いざ走れば全く気にならないという。

 それでいて、着ればそのウマ娘の能力さえも上がると言われる。まさに“勝負のための服”というものだ。

「限られた…ですか。一生、体操服で走り続けることも十分にありえると」

「私はめんどうくさいしそれでもいいや〜」

「何を言ってるのよ。体操服を模したデザインでもない限り、それはダメよ」

 体操服を模したデザイン?というのがあり得るのかは置いておくとして、なぜこのような話題が出るのかと言えば、私たちの視線の先。学園の練習コースにあるウマ娘たちが集まっているからだ。今日現在、学園内において、台風の目になっていくと言われている世代。

 そう、母さんたち、プライズやメジロドーベル、サイレンスズカが勝負服を着てそこにいるのだ。遠目なのでどういう状況かはわからないが、偶然居合わせたようだった。

「確か、リトルさんは…あの中のプライズさんとはご親戚だったわね」

「はい。キング先輩」

「よくお話とかはされるの?」

「寮も違いますし、学年も別です。そこまで機会はないですが」

「そう」

 全く話さないわけではないが、事実として最近は母さんとあまり面と向かって話せていない。何かあったわけでもなく、今は母さんに頑張ってほしいから、変な心配をしてほしくなかった。

 キング先輩は脚質が近いから何かを参考したかったのかもしれないが、知っていたとしても教えられない。スカイ先輩経由で知り合った先輩の中では一番信用できる人だったとしてもだ。

 いや、グラスワンダー先輩は話しても問題ないか?あの人の真正面から叩き潰そうとする武士のような心構えなら知ったところで、というのはありそうだ。

「いやはや個性出てますねぇ」

「そうね。いいデザイナーが付いているのよ」

 二人の言う通りで、母さんたちそれぞれの勝負服のデザインはかなり良いものだった。

 まず、母さん。細かい部分は見えないが、ここからでもデザインはわかる。白に近い薄い水色を基調に、青いチェック柄がグラデーションで入ったワンピースタイプのドレス。左肩には短いローブのようなものもついていて、昔父に見せてもらったウエディングドレス姿の母を思い出した。

「まるでウェディングドレスね…」

「背伸びしてるみたいで可愛いね」

 母さんが可愛いことには同意するし、子供が無理して着てるような感じもわかるが、似合っている。スカートは短めだが、フォーマルさも失われていないのは流石というべきか。

「んで、サイレンスズカ先輩のほうはなんか強そうだねぇ」

 続いて、サイレンスズカ先輩。白の上着にターフの緑のような肩にかかったケープと、スカート。黒いタイツが綺麗な足のラインを出していて、いかにも速そうな見た目だ。ケープのおかげでなんとなく強者の雰囲気を醸し出している。

「いいデザインね。前に見た逃げる姿によく似合っているわ」

「確かに言えてる」

「えぇ、わかります」

 単純な速さで捻り潰される。ウマ娘としてこれほど屈辱的な負け方はないと言わんばかりの戦いを強要してくるサイレンスズカというウマ娘には、私たち後輩の元にファンとしての好意と畏怖、そして安堵が渦巻いている。

 同じ世代でなくてよかった。そんな声を聞く度に私は悔しくないのかと思ってしまう。幸いにして、私の隣にいる先輩二人は少なくともそうではないのに安心しているが。

「………揺さぶりは効かない……根性勝負も強そう……なら単純な速さ?……いやいや…」

 スカイ先輩がブツブツと何かを言っている。大方、自分が挑んだらどうなるか考えているのだろう。シニア級の彼女たちとぶつかることはあり得るのだ。可能性がある以上、仮想敵として意識しておくべきだ。

 そして、最後にメジロドーベル先輩。メジロ家のお嬢様、という前評判からするとノースリーブに、膝上丈の短いメジロのカラーともいえるエメラルドグリーンのスカート。左右の太ももにベルトも巻いていて、思ったよりも……。

「凄いわね。あれだけ肌が見えても上品さが消えてないのは」

「同感です」

 露出が想像以上にあるが、色味や各所にあしらわれたフリル、本人の素材の良さも手伝ってか、上品さが失われていない。キング先輩の言う通りである。

「それにしても、なにするんだろうね」

「大方、勝負服の試運転じゃない?」

「やっぱそうかなぁ」

 勝負服の試運転なのは当たりだ。昨晩、母さんから連絡があった。明日、勝負服を試すと。

「模擬レースとかやってくれないかなぁ」

「それを見てどうするんですか、スカイ先輩」

「いやいや、暇だしさ」

 抜け目ないこの人のことだ。どうせ母さんたちのデータが欲しいんだろうな。

 まだ本格化を完璧に迎えていなくても短い距離での模擬レースは数度私も行っている。スカイ先輩の実力は中でも飛び抜けている。しかし、それはサイレンスズカ先輩のような速いわけではなく、思考という面で。

 レースを策で翻弄し支配する。デビューもまだ先だというのにスカイ先輩の視野の広さは驚嘆に値する。だからなのか?私がフラワーさんと話しているとかならず視界に映るのは。

「ふあ、キングとリトルも見ていく〜?」

 あくびをしながらそう言っているスカイ先輩に、私とキング先輩は顔を見合わせながら視線を練習コースへと向ける。見ていかない、という選択肢は基本的に存在しない。私もキング先輩も、スカイ先輩を挟むように並んだ。

 練習コースが校舎から見えるこの空き教室は特等席だ。

「そういえば……転校生が来るかもって噂で聞いたわね」

「転校生〜?こんな時期に?」

「北海道から…だったかしら」

「へ〜、地方から転入かな?」

「そこまではわからないわよ」

 転校生が来る、という噂。それも北海道から?私たちの方では聞かないから先輩たちの学年なのだろう。

「しっかし転校生ね〜、去年はウララが来たけど」

「そういえばウララさんも去年転校してきたのよね」

「キングは四六時中いるからそんな気してないのかな?」

「なっ、四六時中って」

 ウララ、というとハルウララ先輩か。キング先輩と同室と伺ってるけど実力は未知数だ。小柄で、私でさえも異常と思うほどの愛嬌の良さ。地方から中央への入学を果たすということは相応の力があるとは思うが、あれで速かったら即座にアイドルウマ娘として上り詰めそうなものだ。

 スカイ先輩の言う通りで、ウララ先輩はキング先輩とかなりの頻度で一緒に行動しているところを見かける。側から見てもドジっ子なウララ先輩を甲斐甲斐しく世話する姿は母親か、手のかかる彼氏を助ける姉さん女房のようにも見える。スカイ先輩のからかうような視線も多少はわかる。

「リトルさんもそう思っているの?」

「何を、どう思っているのかはわかりませんが、お二人のことは微笑ましいと思っています」

「全くあなたまで……そういう貴方たちも、ニシノフラワーさんとは仲がいいじゃない」

 その話題を出さないでいただきたい。いやだ、と思った時にはもう遅い。左隣から少々の威圧感が増す。

「私はどうかな〜、リトルは教室で席が隣だから、よく話してるんだよね」

「席が隣だから話すのはそうでしょうね」

「フラワーが言ってたよ。自分よりもノートとか纏めるのうまくて、参考にしてるって」

「確かに、参考にしたいと数度頼まれたこともありますね」

「頼られてますなぁ」

 キング先輩がなんともいえない、顔を青くして、口を半開きにしていた。ドン引きしているらしい。私にもその視線を向けるのはやめていただきたい。

「私は至って、フラワーさんとは健全なお付き合いをさせていただいています」

 友人、と少しは胸を張って言える数少ない相手ではある。そう告げたはずが、余計にスカイ先輩からの威圧感が増した上に、全く笑っていないように見える笑顔を向けてきた。

「へぇ、お付き合い、かぁ」

「何か問題が?」

「別に?フラワーが誰と仲良くしても私は関係ないからね」

 関係なくない、と顔に書かれている。キング先輩が私とスカイ先輩を交互に見ている。何か盛大に勘違いをしていらっしゃらないか?

 この茶番から抜け出そうと視線を練習コースに向け直せば、既に母さんたちは軽く流しで走っていた。

「あ…もう走ってる」

「えっ」

「本当ね……」

 あくまで勝負服のための流しなのか、本気では走らなかったようだ。それでもサイレンスズカ先輩の走り方は異様なまでにスムーズで美しさすら感じるフォームだし、メジロドーベル先輩も勝負服のおかげか優雅さが漂う。母さんはドレスで走っているせいか一生懸命さが増している。

「ちぇ〜、やっぱり軽く流すだけかぁ」

「…サイレンススズカ先輩は参考になるのでは?スカイ先輩」

「いやいや、セイちゃんはあんなに楽しそうに走れませんな〜」

「確かに、あの人は楽しそうに走っているわね」

 キング先輩の言葉通り、サイレンスズカ先輩の走りは本人が楽しそう、という印象がある。勝てて楽しい、というわけではなく、走ることそのもの、そこに楽しさを見出しているような。

「……羨ましいわね。ただ、走ることだけが楽しいなんて」

 絞り出すような先輩の言葉に、私も思わず母さんを見る。母さんは、楽しそうに見えない。いや、今は、か。気負いすぎている。そんな気がする。表面上はいつも通りだ。しかし、走っている時に、母さんは本性が出る。デビュー戦時に見せた、我が儘な子供としての姿。

 父さんが言うにはあの何もかも譲りたくない姿こそがプライズというウマ娘元の性格らしい。

 母さんが心配だ。

 

 

 

 私の勝負服が出来たよ!とルックさんに言われたので早速袖を通して練習コースに行ったらスズカ先輩もちょうど出来たらしくてコース上で出会ってしまった。ドーベル先輩も出来てたので、3人でどうしたものかとお見合いしてしまった。

 スズカ先輩の勝負服はなんというか、物凄く強そうな感じがする。ケープがいい味出してる。実際速いし。

「………よく似合ってるわ。プライズ」

「ありがとうございます。先輩もですよ」

「そうかしら」

 私の勝負服を誉めてくれたけど、私の勝負服、ちょっと背伸びかなと思っちゃう。白と水色のドレス。薄く青い色のチェッカーの入ったアームカバーに、いつものビルの髪飾りがついた青いリボンが右耳に。背伸びした感じに見えちゃう気がしたけど、そうでもないのかな?

「そうだね。プライズによく似合ってるよ」

「ドーベル先輩まで。照れちゃいますよ」

 ドーベル先輩までこう言ってくれるのは照れちゃうな。

 ただ、いつまでもこうして3人で勝負服を見ているわけにもいかない。今日は勝負服で走るテスト日だ。どうしたものかとお互いのトレーナーの方を見ると顔を合わせて話していた。耳を立てて聞いてみよう。

「――こうして話すのは初めてですね。ルックアップミートレーナー」

「そうですね。武藤トレーナー」

 笑顔で挨拶を交わす二人のトレーナーさんたちの横に、タキオンさんと…あれがサクラチヨノオー先輩かな。なんか犬っぽい感じがしてかわいい先輩だなぁ。

「初めまして!サクラチヨノオーです!」

「アグネスタキオンだ。こうして伝説を目の前にできて光栄だよ」

「そ、そんな、伝説だなんて」

 タキオンさんの目が明らかにモルモッ……トレーナーさんを見る目と同じだ。変なことされないといいけど、ダメだろうなぁ。

「タキオン…先輩に失礼なことしなければいいけど」

「ドーベル先輩…たぶん無理だと思います」

 ウマソウルの件でわかったけど、タキオンさんの研究対象の一つはやっぱり“ウマ娘の本格化”っぽいので、サクラチヨノオー先輩の話を聞く限り“三女神の加護”受けたらしい彼女には興味が絶対あるので、毒牙にかかってしまう気がする。

「君がアグネスタキオンだね。……うん、いい足を持ってる」

「おや、勧誘かい?」

「まさか」

 スズカ先輩のトレーナーさん、初めて名前知ったけど武藤トレーナーはタキオンさんの足を見ながら言う。ウマ娘のトレーナーさんは素質を見抜くのが出来て一人前って夫が言ってたけどやっぱりそうなんだね。

 足を誉めた武藤トレーナーの前に、ルックさんがタキオンさんを影にするように動いた。ど、独占力…っ。

「ダメですよ。タキオンは私の担当なんですから」

「僕は君のように何人も持てないタイプだから、二人が限界だよ」

「……ならいいですけど」

 うわぁ、という顔を私とドーベル先輩はしていたと思う。牽制がすごい。

 ん…?私“の”担当…?私“が”担当、の間違いじゃない?

「それで、そちらも勝負服で試走ですか?」

「そんなところだよ。もしよければ一緒にやりませんか?」

「模擬レースはしないので、流し程度であれば」

「こちらもそのつもりです」

 元々、走った時の違和感がないか、その程度の確認なので一緒に走るぐらいは簡単にOK

だすよね。3人で目を合わせて、私たちはルックさんたちに近寄った。

「プライズ、ドーベル。聞いてた思うけど、そういうことだから」

「流すだけだよね?」

「そう。ただ、ちょっと踏み込んだりとかはしてね。激しい動きをしないとわからないこともあるし。プライズもね」

「わかったよ、トレーナー」

「はーい」

 まずないと思うけど走ってる時に勝負服が壊れたりしたら大変なので確かめないとね。

「スズカも、好きなように走っていいよ」

「はい。トレーナーさん」

 武藤トレーナー。そんなこと言ったらスズカ先輩は本気で走ってしまうと思うんですが。

 

 

 

「いや速っ!」

「スズカ先輩!?」

 案の定スズカ先輩は流すなんて到底無理で私たちを置いて行ってしまった。いや速いよ!?本気で走ってるってことではなさそうだけど、スタートダッシュだけ絶対に本気でしょ!?

「どうします?ドーベル先輩…」

「………無理はしないようにしよう」

「最後ぐらいちょっとスパート練習しません?」

「それぐらいならまぁ」

 ゆっくり走りながらそう決めた。ぐんぐんスズカ先輩との差は広がっていく。遠目に見ても、スズカ先輩は楽しそうだった。明るい栗毛色の髪が揺れて、ケープは風を切って靡く。フォームは黒いタイツのせいか余計に綺麗さが際立ってる。

 勝負服を着てこうして走っていると少しだけ、何かが違う気がする。胸の奥、じんわりと感じるものがある。タキオンさんの仮説が正しければ、これがウマソウルなのかな。

 スズカ先輩の姿を見ていると、不思議と、あんなふうに走れたらなんて思う。そういえば、レースを今まで、楽しいって思ったこと、あったっけ。

「ドーベル先輩」

「なに?プライズ」

「レースって、楽しいんでしょうか」

「え?」

 なんか変な質問をしてる気がする。ドーベル先輩はスズカ先輩の方を見ながら、答えてくれた。

「人それぞれじゃない?」

「そうでしょうか」

「うん。スズカやタイキはきっとそう。楽しいと思う」

 タイキちゃんも楽しむタイプだと思う。…でも、きっとそれは。

「けどね、アタシやプライズはあの二人とは違うよ」

「楽しめない、ってことでしょうか」

「どうなんだろう…アタシ、そんなこと考えたことなかった」

 ドーベル先輩にも背負っているものがある。だから、きっとプレッシャーがレースではのし掛かる。

「でもさ、あんなに気持ちよく走られちゃうと、こっちも気持ちよくなるよ」

 少し、ドーベル先輩が増速する。私も続いた。

「アタシ、タキオンやトレーナーを見てて、なんとなく思ったんだ」

「何をですか?」

「もう少し、自分勝手に生きてもいいのかな、って」

 自分、勝手?あの、ドーベル先輩からこんな言葉が出てくるなんて。

「メジロのことも、アタシの夢も、周りからの期待も…大切だから、捨てちゃいけない」

 気がつけば、もう第四コーナー近くだった。スズカ先輩もまるで誘うように差が縮まっている。

「それでも、アタシも。スズカやタイキ、フクキタル、それに、プライズ。アタシもみんなみたいに」

 え。私みたいにってどういうこと?

「ちょっとだけ、自分本位に…我が儘に、楽しんでもいいのかなって!」

「ッ!?」

 ひゅんっとドーベル先輩が踏み込んで加速する。置いてかれる!?楽しそうに、ドーベル先輩がこちらをちらりと見る。レースは、私の本性を晒してもよくて、必死だから、楽しいなんて思ってもいない。

 なのに、なんでだろう。私も、楽しんでもいいのかな?勝ち負けなんて、二の次で、走って、いいのかな?

 影みたいになってしまう二人に、私は離されたくない、そんな気持ちになって、踏み込んだ。体全体に薄く温かみが広がった感じがする。足が、いつもよりも軽い、地面の奥深くまで力が伝わってる気がする。

 遠かったはずの背中が近い。ドーベル先輩のその先、スズカ先輩が見えた。こっちを見て、一瞬目を見開いていた。そしたら、もっと増速しようとする。

 けれども、流す程度のはずだったコース設定ではそこまでだった。ラインを切って、“楽しい”時間は終わってしまった。

「……ふぅ」

「あはは…なんか最後、本気になってたかも」

「けれど、私の方が速いわ」

「いつか、絶対追いつくからね、スズカ」

「………追いつける?二人に」

 並んで止まった先で、佇んでいるスズカ先輩に問われる。追いつけるのか、と言われてもそんなのわからない。だってまだ、

「やってみなきゃわからないですよ、先輩」

 どうしてだろう。勝負でもなかったのに、この悔しさ。悔しさが、ワクワクしたものに変わってくる。楽しそうに走るスズカ先輩に影響されたのかな。こんなのいけないって思うのに。

 私の言葉に、スズカ先輩が微笑んだ。綺麗だった。――ゾッとしてしまうほどに。それでさえも、私は楽しく感じてしまう。本当にどうしてしまったんだろうね?

 

 

 

 初めて、私は“プライズ”をレースで意識したかもしれない。

 追いつかれる。そんな気が今日の二人からはした。こんなこと、考えたこともなかった。だから、焦った。好きなように走ってはいいって、そう言われたけど、本気で走れとは言われてないのに。

 思わず、驚いてしまったのもよくなかったかもしれない。私だけの景色に、入ってこようとする二人が、もっと近づいてきていた。

 走り終わって、普段は言わないようなこともプライズに言ってしまう。私は、こんなにも負けず嫌いだったのかしら。いいえ、違うわ。私の視界に、誰も入れたくないだけ。

 タキオンにも色々言われていたけど、これまでのレースを見て、プライズをどこか、私は視界の外に追いやろうとしていたのかもしれない。けど、それはできない。プライズは私の前へ、入ろうとしてくる、ドーベルやタイキ、フクキタルと同じだ。

 初めて会った時、ランニング中に見かけた時、一緒に走る一人だと知って、レースを見て、この程度なら、と思って。

 でも、今のプライズは違った。いずれプライズは――並んでくる。そんな予感がしてしまう。

 認めなくちゃいけないわ。プライズを。

「………追いつける?“二人”に」

 私はもっと速くなる。誰も私の視界には入れさせない。

 




ルック「ところで二人とも、勝負服の方はどうかな?」
ベルプラ「「あ」」

ラスボスに認識されてしまった主人公の明日はどっちだ。
スズカさんは原案衣装のほうが好きなので原案衣装です。ベルちゃんはアプリ仕様。

先頭民族気味なのも最初期のPV見てるとついついやりたくなってしまう。
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