「皐月賞は回避するんですか…!?」
「えぇ。調整が間に合わないってトレーナーさんが」
スカイちゃんが加入してしばらくしたある日、いつもの5人で久々に放課後の校内を歩いて寮に帰っていたらスズカ先輩がまさかの皐月賞回避をカミングアウトした。
「あっ、スズカさんもなんですね!」
「ってことはフクキタルも?」
「そうなんです。……プライズさんたちとは走りたかったのですが、残念です」
なんとスズカ先輩だけでなく、フクキタル先輩も出ないらしい。クラシック3冠、確かに獲れれば大変な栄誉って言われてるけど、色々調べたらレースを回避する子もいるので、これ自体は珍しいことじゃない。残念ではあるけど。
……ただ、これなら皐月賞は今の所絶対に敵わない二人が出なくなるから、素直な気持ちで言えば運が向いてきた、って思ってしまうのは…ううん、やっぱりいい気持ちにはならない。このあたり、私はやっぱりまだ、子供なのかな。
「プライズ、そんなに落ち込んで」
「い、いいえ、そんな落ち込んでるわけじゃ」
考え込んでたらドーベル先輩が心配されてしまった。私は慌てて首を横に振っておく。だがしかし遅かった!
「プライズ!元気出してクダサーイ!」
「わひゃぁ!」
例の如くタイキちゃんに抱っこされてしまった。そのまま肩車まで。私軽いけどさ!それにしても視点が高い。タイキちゃんおっきいもんね、ほんと。
「タイキ、こら。急にやったら危ないでしょ。プライズの足、今はまだ少し安静しなくちゃなんだから」
「オゥ!そうでした…ソーリー!プライズ!」
「大丈夫だよ。タイキちゃんなら落としたりしないだろうし」
「プライズ、だから甘やかしすぎだって」
「そんなことないですって」
寮だと高い高いもされたことがあるし。このことは言わないでおこ。
「そういえば今日は珍しく皆さん空いてるんですよね」
フクキタル先輩がそのように言ったけど、その通りで、今日は珍しく5人とも放課後の予定が空いていたのでこうして一緒に帰れてる。タイキちゃんと私はいつも一緒に帰ってるけどね。タイキちゃん、帰る時いつも私の教室に迎えに来るから。
「そうだね。最近は忙しかったし」
「そうね。思えば、みんな年末はレースに、家の手伝い、たくさんあったものね」
スズカ先輩が思い返してるけど確かに年末年始は私以外忙しかったし、タイキちゃんもアメリカに帰省してていなかった。落ち着いた時間は5人で遅れたのほんとに久しぶりだ。うーん、こう考えてるとなんか何かしたくなっちゃうな〜。
この私の気持ちが伝播しちゃったのか、タイキちゃんもなんかウズウズしてる。こういう時ぐらい、歳上らしく何か切り出さなきゃ!って思うけど子供の頃、中学の時はむしろ周りにされるがままだったので切り出しづらい。
なので、それとな〜くドーベル先輩の方に目配せしたら、先輩はくすりとしつつも、代わりに切り出してくれた。
「せっかくだし、5人でどこか寄っていく?」
「ナイスアイディア!」
「いいですね〜!では吉方を探って…!」
タイキちゃんとフクキタル先輩は結構ノリノリで、スズカ先輩も微笑を浮かべてるのでオッケーっぽい。やったね!ありがとう、ドーベル先輩。
ただし、いざ行くとなると途端に問題が浮上した。
「じゃあ喫茶店にでも」
「土手で走りましょ」
「BBQ!」
「では当たると噂の占いに…!」
「ゲームセンターいきましょ!」
ほぼ同時に、5人がバラッバラの場所を上げちゃった。……そういえばそーでした!私たち、なんでつるんでるのかよくわからないぐらいにみんな趣味が一致しないんだった!あまりにも意見が揃わないので全員固まってしまった。ここまでバラバラになっちゃうことある?
「ここまで揃わないなんて…」
「ねぇスズカ、遊びに行く、って行ってるのにトレーニング染みたことするのはどうなの?」
「え?」
「……ごめん、ツッコんだアタシが悪かった」
ドーベル先輩が折れるの速すぎる!そりゃそんな曇りない目で返されたらそうなるけど!
「このままではせっかくの時間が勿体ありません!ここはこの5人で行ったこと、やったことがないことにしませんか!?」
「ならゲームセンター!デスネ!フクキタル!」
「そうですね!」
揃いはしないけど、すぐに纏まるあたりはみんなすっごくいい子なおかげなのかなぁ。まさかの私の案が採用されたのはびっくりだけど。
「みんな行ったことないんですか?」
ふと、気になったので聞いてみる。女子高生な4人なら行ったこともありそう…と聞いてみてからいや、行ったことないというのもありえると思った。何せここにいるのは名家のお嬢様、走ることに全力な子、レジャー大好きな子、占いに一直線な子。縁がなさそう!
「アタシは騒がしいの苦手だから避けてたかな」
「……行こうと考えたことがないわね」
「見たことはアリマース!」
「右に同じ!」
予想通りの回答がみんなの口から出た。というか、ドーベル先輩は苦手なのに平気なのかな。
「ドーベル先輩、苦手ならやめておきましょうか?」
「ううん。みんなとなら、たぶん大丈夫」
無理してないかな〜って思ったけど、大丈夫かな?気にしないで、と笑顔で言ってるので。あ、そうだ。うるさいの苦手ならアレを貸してあげようかな。私はタイキちゃんに担がれたまま移動し始めた状態でバックの中を漁った。
「プライズ?ナニしてるデース?」
「あ、ごめんね。頭の上で」
「気にしないでくだサイ」
あった。ちょうど予備のだし、フリーサイズだからいいかな。
「ドーベル先輩、これあげます」
そう言って私はドーベル先輩にそれを投げた。ドーベル先輩は見事にキャッチする。
「なにこれ?透明なメンコ?」
渡したのは使い捨てタイプの透明なメンコだった。吸音性がみんながつけてるファッション用のより高めで、聴覚がヒトより優れてるウマ娘がそれこそゲームセンターとかうるさい場所に入り浸る時に使えるやつ。私はちょくちょくゲームセンターにいってたので持っていた。
「吸音性が高めの使い捨てのメンコです。つけるとヒトと同じぐらいの聴覚になるのでゲームセンターとかでも大丈夫です」
「へぇ〜。便利なものもあるんだね。いいの?もらっちゃって」
「はい。いくつか持ってるので、よければみんなの分もありますよ?」
というわけでみんなにも渡して、ゲームセンターへと向かうことになった。道中、タイキちゃんに担がれたままだったのはちょっと恥ずかしかったのである程度進んだところで降ろしてもらったけど。
「ここがゲームセンター」
「はい。学園の近くだとここが一番大きいですね」
ウマ娘の足で十数分という位置にあるゲームセンターはよく他の生徒たちも通ってる大きめのところで、もちろん有名なサトノグループの運営。UFOキャッチャーから大きな筐体の対戦ゲームまでなんでもござれだ。
「平日の夕方だけど結構人いるんだね」
「はい。ここ、調べてみたら近場の中だと一番大きいみたいなので」
ドーベル先輩の言う通りで、ここは平日でも繁盛してるんだよね。私がよくやるのはUFOキャッチャーとかリトちゃんの影響でガンシューティング。あとは夫とはレーシングゲームとか。
みんなはどんなのやるんだろう。
「おや?あのUFOキャッチャーは」
フクキタル先輩が何かに気がついて店頭に置かれているUFOキャッチャーへと近づいていく。私たちもそれに続くと、中身は“ぱかぷち”だった。ぱかぷちは実在する選手をモデルにディフォルメされた人形のシリーズだったはず。私はあんまり取ろうとしたことがなかったので、現在のラインナップは気にしたことがなかった。
「やっぱりです!スズカさんやドーベルさん、タイキさんのぱかぷちがありますよ!」
どれどれ、と見てみたら確かにあった。今言われた3人のぱかぷちが。ぱかぷちに選ばれる基準がよくわからないけど、やっぱりG1級の子が優先されやすいのかな?といっても勝ったの去年の12月だよ?並ぶの速すぎない?
「もう出たの!?」
ドーベル先輩も驚いていた。ほんとだよね。……せっかくだし、ちょっと狙ってみようかな、3人の。
「プライズ、もしかして、ゲットするんデスか!?」
「先輩たちのですし、せっかくなので!」
財布を出してお金を筐体に投入するとBGMが流れ出した。スタートしたわけだけど上手く取れるかなぁ〜。
「頑張ってくださいプライズさん!念を送りますよ〜〜〜!むむむむむっ……!」
それ占いじゃないのでは?
3人のぱかぷちは割とあっさり取れた。どうにもこの台のアームは強めらしい。本人様も遊びにくる可能性があるからかな?噂だと学園の生徒らしい“ワガハイちゃん”って言うプレイヤーがこのゲーセンのリズムゲームランキング総なめしてるらしいし。
「うん!初めて取りましたけど可愛いですね!」
取ったぱかぷちを抱きしめて可愛がっているとドーベル先輩が照れていた。本人も可愛いね。スズカ先輩は見てみたいというので渡してあるけど、よくできてるわね、と感心しているようだった。
「プライズのはマダ無いみたいデスネ」
「あはは、流石に私はまだないですよね」
タイキちゃんが探してくれたみたいだけど、他の筐体にも私のぱかぷちはなかったらしい。そりゃそうだ。それにしても、勝つとこうして自分のぬいぐるみができたり、なんというか、本当にウマ娘ってただのアスリートとはちょっと違うというか。
レースに勝てばこういうのの契約金とか貰えるんだよね。うん、がんばろう。
「それじゃあ中に入りましょうか」
「そうだね。といっても何のゲームをすれば……」
店内に入りドーベル先輩が中の様子を見て戸惑っていると、どこからか歓声が上がった。何事?と思いみんなで盛り上がってるところを目指して見ると、どうやら¬ガンシューティングのゲームで何かすごいスコアが出たのか筐体の周りに人だかりが出来ていた。
「す、すげぇ!ワガハイちゃんのスコアを超えたぞ…!」
「だ、誰なんだあの子…学園の生徒なんだろうけど」
「まだデビュー前の子じゃないか?」
周りの人たちから聞こえた声から察するに学園の生徒のどなたかが、例のワガハイちゃん越えのスコアを叩き出したらしい。ダンスゲーム以外でも記録をこさえてたワガハイちゃんすごいな…それを超えるその子もすごいけど。
どんな子なんだろ、とぴょんぴょんと跳ねてみたけど見えないな〜。
「よっ、と」
「あ、タイキちゃんありがと」
気を利かせてまたタイキちゃんが肩車をしてくれたので人だかりの向こうが見えた。
そこにいたのは栗毛のロングヘアのウマ娘。学園の制服を着ていて、私も知っている子だった。
「あの子は………」
「……おや?」
丁寧な動作で手に持っていた銃型のコントローラーを筐体に戻したその子は、肩車されているという変な私に気がついて視線を向けた。青い瞳に、穏やかそうな雰囲気。リトちゃんのお友達だというグラスワンダーさんだ。ただ顔を合わせたのは初めてかな。
周りの野次馬さんたちもこっちに視線を集中させると、ちょっとした騒ぎになった。だってそりゃ、いきなりG1ウマ娘3人が目の前に現れたんだから。
「お、おいこの子たちって…!?」
「G1ウマが3人も……!?こんなところに…!?」
「いや普通に学生さんだからくるでしょ」
うーん、近づいちゃったの失敗だったかなぁ〜って考えてたら野次馬さんたちは次第に散っていった。空気を読める人たちだったらしい。それに、ここに来てる人たちはゲームの方に興味あるから、おそらくスーパープレイをしたであろう彼女のプレイが終了した時点でいなくなるつもりだったのかな?
「タイキちゃん、おろして」
「OK、プライズ」
よいしょ、と降ろされて私はグラスワンダーさんの前に立った。優しそうな子だなぁ。
「初めまして、プライズと言います」
「あなたが…初めまして、グラスワンダーです。リトルカンパニーさんのお母様ですね」
「はい。いつも娘がお世話になっています」
「いえいえ。こちらこそ」
お互いお辞儀する。礼儀正しい子だな〜。なんというか、ものすごい大和撫子って感じ。タキオンさんと前に映像見た時、アメリカ出身って言ってたけど本当なのか疑ってしまう。
「先輩方も、お初にお目にかかります」
私だけじゃなく、後ろのドーベル先輩たちにも模範的なお辞儀をするグラスワンダーさん。そんな雰囲気に釣られてか、タイキちゃんですらちゃんとお辞儀していた。
「グラス、久しぶりデース!」
「ふふ、そうですね、タイキ先輩」
「あれ?顔見知り?」
「イエス!グラスと、あとはグラスのルームメイト、エルがこっちに来た時学園の中を案内しました!」
あ〜、なるほど。同じアメリカ出身だからね。
「グラスワンダーさん……スペちゃんのお友達ね」
「サイレンススズカ先輩ですね、この前のホープフルステークス、圧巻でした。スペちゃんと見ていましたよ」
「ありがとう。グラスワンダーさん。スペちゃんからお話は聞いているわ」
「そうなのですね」
グラスワンダーさんはドーベル先輩とフクキタル先輩にも挨拶をして、本当に礼儀正しい子だなぁ。
けど、こんな子がガンシューティング?というのもギャップあるな〜。しかも上手いっぽいし。
「えっと、それでグラスワンダーさんはこれをやってたの?」
「はい。たまには、と思いまして」
「……グラス!せっかくデス!勝負、しませんか!?」
「タイキ先輩と?」
タイキちゃんが唐突にグラスワンダーさんに勝負を申し込んだ。このゲームは二人で協力プレイも可能なので、スコアを競う形になるけど、タイキちゃんやったことあるのかな?
「ドーベル先輩、タイキちゃんこういうの得意なんですか?」
「得意というか……タイキ、本物の銃撃ったことあるみたいだから」
「YES!早撃ちは得意デース!」
手で銃の形を作って構えるタイキちゃん。さすがアメリカ出身。グラスワンダーさんもそうなのかな?
「タイキ先輩は操作方法わかりますか?」
「ワカリマセーン!」
「では、ご説明します」
グラスワンダーさんはそう言ってお金を筐体に投入した。シナリオがあるゲームなのでしばらくムービーが流れる。なんか生物兵器?を運んでるテロリストを止めるっていう話みたい。
「操作方法は簡単です」
微笑は崩さずに、グラスワンダーさんが筐体からコントローラーを抜くと、突然柔らかな雰囲気がなくなってまるで武士みたいな凄みが出た。え?誰!?この人誰?さっきまでの大和撫子どこいったの!?
「敵に向けて引き金を引く。あとはたまにペダルで物陰に隠れるだけ、ですよ♪」
動きに迷いなんかなくて的確な動きでグラスワンダーさんは画面の中の敵を撃ち倒していた。つ、つよ。
「OK!理解しマシタ!」
タイキちゃんは今の説明だけでほんとに大丈夫なの!?あ、お金入れた。
「こうですね!」
途中参加できるゲームだったのか、タイキちゃんもプレイに加わると初めてプレイしたとは思えないぐらい的確に敵を倒していった。倒したあとにタイキちゃんは手に持ったコントローラーを不満げに眺めた。
「反動がアリマセン」
タイキちゃんの貴重な不満そうな声を聞いた。いや、初めて聞いたよこんなトーン。ドーベル先輩とフクキタル先輩がなんとも言えない顔をしてる。スズカ先輩だけは「上手ね」と手放しで誉めていた。
「実銃のような反動があっては怪我をしてしまいますから。ここは遊び、ということで。これはこれで楽しいんですよ」
笑顔でまたグラスワンダーさんはトリガーを引いてる。動きが鮮やかすぎる。敵の出現位置覚えてるのかな…?とも思ったけど、よーく見ると目で見つけてから手を動かしてるみたいだからそういうわけじゃないみたい。余計に怖いよ!
隣でタイキちゃんはたまに見せる腕組んで何かを凝視してる時の顔をしながらやってる。グラスワンダーさんみたいな洗練された感じじゃ無いけど、慣れた動きだった。
「あ、そろそろボス戦ですね」
「BOSS?」
「はい。強い敵ですね。あ、きましたよ」
「What!?」
ボスらしい半裸のムキムキの男が出てきた直後だった。なんかすごいバズーカみたいなのから弾が飛んできてタイキちゃんは直撃をもらってしまい体力が一気に瀕死状態になってしまった。
「No!!人に向けて撃っちゃダメでーす!」
「いやいやタイキ、ゲームだから」
「ブッダフェイスもスリータイムマデデース!」
「まだ一度目では!?」
ドーベル先輩の宥める声と、フクキタル先輩のツッコミは残念なことに届かず、タイキちゃんはあえなく連続でボス周辺の雑魚敵から追撃をもらってゲームオーバーになった。が、即連コした。
「ふふ、そうこなくては」
「グラス!絶対負けマセーン!」
タイキちゃん、そこまで負けず嫌いじゃないのかな、って思ってたけどこれ、遊びに全力になってるからこそこうなっちゃったのかな〜。その姿なんとも幼くて可愛いなって思った。
数分後、ラストステージをクリアしたグラスワンダーさんとタイキちゃんのスコアはグラスワンダーさんの勝ちだったけど、意外にもそこまで大差ではないのでタイキちゃんはゲーム内のスコアランキング3位になっていた。
「ふぅ。やっぱり、誰かと遊ぶのが一番楽しいですね。ありがとうございました、タイキ先輩」
「むぅ〜〜!悔しいデース!けど、楽しかったデース!グラス!」
「よかったです」
二人はハイタッチを決めていた。あ、なんか今のグラスワンダーさんの動きは素っぽいね。したあと「あらいけない」って感じで咳払いしたし。
「私はこれで。すいません、引き止めてしまって」
「そんなことないですよ、グラスワンダーさん。二人ともかっこよかったですよ!」
「ありがとうございます、プライズ先輩」
「プライズ、センキュー!」
「わっ、ちょっ、タイキちゃん」
誉めたら全力でタイキちゃんからお礼をされた。わざわざしゃがんでハグである。慣れてるのでよしよし、とタイキちゃんを撫でつつ、その場から一礼して去っていくグラスワンダーさんに手を振っておいた。
「それにしても、あの子、確かセイウンスカイさんの、同期、だよね?」
「はい、ドーベル先輩」
「……落ち着いてる子だね」
落ち着いてる子だね。ドーベル先輩は去りゆくグラスワンダーさんの背中を眺めながら何を感じてるんだろう。強そう、とか、そういう?となればスズカ先輩はどういう反応をしてるのかな、と見てみればスズカ先輩はさっきまでいたはずの私の横から消えていた。
「あれ!?スズカ先輩!?」
「どうしたの?っていない!?」
ドーベル先輩とあわてて周囲を見渡すと、私から離れたタイキちゃんが「あそこにイマース!」とすぐ見つけてくれた。行動の切り替え早過ぎ!何してるの、と早歩きで近づいたらやっていたのメダルスロットだった。
席に座っているのはフクキタル先輩で、スズカ先輩はどうやらプレイを見ていたらしい。
「わ、私のメダルが………」
「早いわね。擦るの」
どうやら一瞬にしてフクキタル先輩はメダルを擦ったらしい。こっちも早すぎるよ!!
「ふふっ、あれがリトルさんのお母様、そして、“異次元の世代”なのですね」
抑えきれないほどのこれは、歓喜でしょうか?はしたない、と思っても、堪えきれません。まごうことなき強者たちを前にできたことで、その抑えきれない気持ちで体が震えています。
「セイちゃんはズルいですね。あんなすごい人たちと一足先に走ろうだなんて」
本当にズルいと思います。まったくもう、あぁやって抜け出すのは得意なんですから。
それに、スペちゃんが尊敬するサイレンススズカさん。あの人こそ、本当の怪物でしょう。どこまでも、どこまでも速くなっていきそうなあの人をスペちゃんは憧れだけで、
あぁ、いけません。彼女たちに挑むにはまだ、遠い。倒さなくてはいけない相手がたくさん残っています。
エルコンドルパサー、キングヘイロー、セイウンスカイ、リトルカンパニー、スペシャルウィーク、そして、他の同世代のウマ娘たち。
「それまで、今の熱い視線は覚えておきますよ、メジロドーベル先輩」
振り返る。ゲームセンターの中にいる彼女。もし戴冠するのなら…その首級、欲しいですね。
ベルちゃん先輩「うっ、なんか首元に寒気が…」
主人公「ネックウォーマー使います?」
ベルちゃん先輩「プライズ、色んなのもの持ってるね…」
ウォーモンガーに目をつけられてしまった未来の女王様の命運はいかに
…ほんとはスズカさんと声帯が同じ某お空のキャラの衣装を着せてウマネストやりたかったけど筆が進まなかったので。