穢れた血のスリザリンです...   作:sesamer

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 私自身は必要の部屋を拠点に徹底してスリザリン寮に近づかないようにしているが授業では普通に彼らに混ざって受講するため、私に接触しようと思えば授業終了後に狙えばいい。スリザリン生なら誰だってできる話だ。

 

 ただ、今のスリザリンにおける私の扱いはかなり危険だ。ちょっとした嫌がらせ程度なら誰も気にしないが、本格的に接触をした場合何が起こるかは想定できない。

 

 その理由はというと、スリザリンにも私の擁護派も存在するからだ。そんな人間いるのかよと思ってたが、どうやら最初にマルフォイに礼儀を示したのとグリフィンドールに絡まれた時のスリザリンへの評価が功を奏したらしい。

 

 そのお陰か私に接触するリスクを考えて人目がある場所ではみんなから避けられていたので、これ幸いにと割と自由に動いていたのだが……

 

「アーシュ、君は寮に帰ってないらしいが普段はどこにいるんだ?」

「マルフォイ様」

 

 ドラコ・マルフォイ。彼だけは人目を気にする必要がなく、むしろ彼は他のスリザリン生の為に私に接触する必要がある人物だった。聖28一族の一員でこのスリザリンにおいて最も力を持つ人間。彼が私に取るスタンスがこのスリザリンの中での自分の立ち位置へと繋がるだろう。

 

「まさかとは思うが、スリザリンに属しているにも関わらず他の寮の世話になっている……そんな恥知らずな行為をしているわけではないな?」

「いえ、滅相もございません」

 

 私は頭を下げて彼の問いに答える。

 

「私のような穢れた血が尊き血を持つ方々と同じ場所で眠るとは言語道断です。そして存在そのものがスリザリンの名誉を穢している私が他寮の世話になって殊更貴方方の名誉を貶めるなどでもすれば、命で償う他ないことになってしまいます」

「では、君はどこに?」

「……普段はホグワーツ内に存在する隠し部屋にて休息を取らせて頂いております。入学して1ヶ月の間、私はホグワーツには隠し部屋が存在するという話を聞き、独自で隠し部屋の発見に努めていました」

「隠し部屋、ね」

 

 マルフォイは興味なさそうに呟く。彼からすれば私が他の寮に通ってないことなど最初から知っていることだろう。だから最初の質問はただのジャブでしかない。

 

 ハリーポッターにおいては情けない姿が目立つマルフォイだが、それはハリー達の視点の話だからだ。ハーマイオニーに学力で負けるのは当然だし、二代目悪戯小僧ハリーに嫌がらせで勝つのも難しいことだと思っている。彼の恐ろしさは生まれた時から彼が社会を率いる役目を定められているということであり、簡単に言えば貴族としての振る舞いや帝王学を幼い頃から修めていることだ。

 

 だからこの会話にも彼が率いるスリザリン生へのポーズ以上の意味があると考えるべきであり、心を読まれることへの対策さえすれば安心できるダンブルドアやスネイプ以上に気を遣って会話をする必要があった。

 

 ちなみに私が記憶を封印するタイミングは彼らに会う直前だ。下手に原作知識がない状態でハリー達に接触するのは危険だし、心を読まれるのは一対一の状況でよっぽどな発言をした時くらいだろう。

 

「それならいいさ。どうやら君は穢れた血にしては分を弁えているみたいだからね」

「ありがとうございます」

「君のサラザール・スリザリンに対する考察は僕も耳にしたが中々興味深かった。父上も驚いていたよ、マグルの子供がそこまで考えられるとは、とね」

「そのような評価を頂けるとは、感謝の極みでございます」

 

 うげ、まさかルシウスに連絡していたとは。まあ普通に考えてマグル生まれのスリザリンなんて前例になさすぎて手紙の話題にはぴったりだな。

 

 ルシウス・マルフォイはホグワーツ理事の1人で凄く偉い人だ(適当)本編では序盤は黒幕として色々するけど(実はヴォルデモートからすれば彼の行動は逆効果だったりする)ヴォルデモートが復活してからは普通にお労しい人になる。彼もまたドラコ以上の貴族様であり、彼と会話した時点で私は骨まで残らないと考えておいた方がいいだろう。

 

「君がその身の不名誉を払拭する為に努力しているのは僕も知っている。これからもスリザリンの為に頑張ってくれたまえ」

「はっ!光栄の至りでございます。失礼します」

 

 下げていた頭を更に深く下げて足早に教室を去る。マルフォイからのスタンスは私の擁護派……という考えで多分いいだろう。これからの失態次第ではいくらでも撤回はあるだろうが、ひとまず彼が様子見することで周りの連中が勝手に先走る可能性は消失しただろう。マジで助かった。

 

 取り敢えず必要の部屋に戻って勉強だ。この後はグリフィンドール対スリザリンのクィディッチの試合があるためスネイプ教授のバイトもない。ハリーを助けたのに恨まれることになる教授に同情しつつも、私は他人には壁にしか見えない空間へ姿を消した。

 

 

 

ーーー

 

 

 

 アーシュが教室を去ると他のスリザリン生は思い出したかのように席を立って退室する。彼らの背を見ながら僕はマグル生まれのスリザリンという大きな問題に取り敢えずの終着点を見出せたことに安心する。

 

 スリザリンの中だけで言えばアーシュを排除したい生徒の方が多数派だろう。それほどにはスリザリンにおいてマグル生まれとは唾棄すべき存在だ。だが、その一方でスリザリン全体が彼女を排除する流れになった場合に動くのはスリザリンだけではない。

 

 勿論あの憎たらしいグリフィンドールはアーシュに度々接触を図っているようだが、それだけでは彼女の忠誠心が揺らぐことはないだろう。ただ、これがスリザリン対その他の構図になるとどうなるか分からない。マルフォイ家の判断としては彼女を受け入れる……とまでは言わないが排除しない方向性に行きたかった。

 

 だがドラコ・マルフォイが尊き血としてスリザリンに影響を与える存在というならイレナ・アーシュは穢れた血としてスリザリンに影響を与える存在だ。僕の一言だけではスリザリンを制御できない可能性も十分にあった。

 

 だからこのタイミングで接触を図る必要があった。世紀の大決戦となるクィディッチのグリフィンドール戦、その直前のタイミングで寮を二分する混乱など誰だって遠慮したいだろう。イレナも相変わらず我らに忠実で自分としても助かった。

 

「このままクィディッチも勝てればいいんだが……相手にはあのポッターもいるし。なんで奴が出場してるんだよ」

「墜落すればいいのにな」

「そうだそうだ」

「ハッ、確かにそれは喜劇だな!英雄サマも箒から落ちるってか」

 

 クラッブとゴイルのジョークを鼻で笑いながら僕達も皆に続いてクィディッチの試合へと向かった。

 

 

 

ーーー

 

 

 

「ニコラス・フラメル?」

「そう、誰かの名前らしいんだけど……イレナは知らない?」

「うーん」

 

 考える振りをしながらハリー達の様子を伺う。本来なら彼らが私と接触するタイミングはスネイプ教授のバイト前後くらいしかないのだが、今回は私自ら図書室へと向かってハリー達から接触を取り易い状態にした。

 

 ニコラス・フラメルとは賢者の石を作った錬金術師の名前だ。ヴォルデモートは石の生命力を得る為にこれを狙っていて、それを巡ってハリー達が立ち向かうのが1年目のあらすじだ。

 

 ただこの流れは完璧すぎて自分が手を加える余地は無いし、下手に協力してグリフィンドールの仲間と見られたら後が大変なので、わざわざ篩で記憶を封印してない状態で接触したってわけだ。折角マルフォイに庇ってもらったのにそれを無に帰すような行為は控えたい。

 

 そういえば、マルフォイといえばグリフィンドールとスリザリンの試合はグリフィンドールの勝利で終わったようだ。私は談話室に近づかなかったが恐らくお通夜のような雰囲気だったろう。

 

「人名かなとは思うのですが、特に心当たりはありません」

「そっか。ハーマイオニーくらい頭良さそうだから、もしかしたらと思ったんだけど」

 

 そのハリーのセリフにハーマイオニーの瞳が輝いた。私は嫌な予感を感じて慌てて訂正をする。

 

「いえ!それは間違いなく過大評価です。私はハーマイオニーのように頭良くなんてありませんよ」

「む、まだテストも受けてないのになんでそうと言い切れるのかしら?その話は期末試験で決めましょう?」

 

 爛々と瞳を輝かせて話すハーマイオニーの勢いに飲まれ取り敢えずコクコクと相槌を打つ。ハリーがコホンと咳払いをするとハーマイオニーは恥ずかしそうに後ろに下がった。

 

「僕らも人名であることは予想してるんだけどそれ以上の手掛かりが無くてさ」

「じゃあ私から出せる情報は皆無ですね、お役に立てずすみません」

「まあスリザリンなんか最初から期待してないさ。重要なのはスネイプからもその話を聞かなかったってこと、そうだろ?」

「はい、私とスネイプ教授の会話のほとんどは魔法薬に関する講義の延長のようなものだったので」

「えっ、ズルいわ!何を教えてもらってたの!?」

「「ハーマイオニーは黙ってて」」

「……ごめんなさい」

 

 しゅんとしたハーマイオニーの可愛さに心を打たれながらも(どうしてこの2人は平気なんだろう?)私は離れていく3人の背を見送った。この後の展開はクリスマス休暇に入ってハリーが屈指のチートアイテム透明マントを入手したりするのだが……仮にハリーに尾行された時にどうすればいいんだろうか?

 

 透明マントだって触れることはできるから無敵じゃないんだが、尾行や隠密行動において姿を完全に消せるというのは破格の強さだろう。うーむ、今年は大丈夫だろうが、いつかのために対策を用意しておくのは重要だろう。視覚以外で対象を認識する手段って魔法界にあるのだろうか。

 

 

 

ーーー

 

 

 

 クリスマス休暇は必要の部屋とホールの食事とスネイプ教授の研究室を行き来するいつも通りの生活だった。むしろスネイプ教授が本気でパシリにしてきたのもあって普段より忙しいまであった。

 

 ただ、その甲斐あって動物変身薬とその解除薬を作れるようになったのは大きな進歩だった。と言っても私が作った魔法薬はスネイプ教授曰く53点らしいのでまだ暫くは補習続行なのだが。

 

 そしてこれで本格的に物語の舞台に上がる準備ができた。ちょっと前に賢者の石は私が手を出す余地が無いと言っていたが、それはあくまでハリーの物語としての話で、私自身がやりたいことがないわけではない。

 

 それはマルフォイへの貸しを作ることだ。休暇が終わるといよいよハリー達はニコラス・フラメルが賢者の石の製作者であることを突き止める。ただそこでハグリッドがドラゴンを秘密裏に飼っているという爆弾が投下され、ハリー達はその対処に追われる。

 

 それを盗み聞きしたマルフォイはハリー達がドラゴンを取り引きする現場を押さえようとし、マクゴナガル教授に捕まってしまう。ハリー達もその後捕まってしまい、彼らは罰則として禁じられた森の調査を命じられる。そこでヴォルデモートがユニコーンの血から生命力を得る姿を見てしまい……というのが大まかなストーリーだ。

 

 おぼっちゃまにとって夜の森、しかも危険な魔法生物がわんさかいる禁じられた森(ハグリッドが持ち込んでる分もあるが)は大層な恐怖だったことだろう。原作ではかなりの挙動不審だったことに加え、ヴォルデモートを見かけた彼は一目散に逃げてしまった。いや、この判断は正解だわ。

 

 そこを私が代わりに罰則を受ければ彼に相当な恩を売ることができるだろう。しかもマルフォイの性格から考えると自分のやらかしをルシウスに報告する可能性は低い。つまりルシウスに名前を覚えられることなくスリザリンのリーダーの好感度を上げることができるのだ。

 

 そもそも原作でのマルフォイの20点減点はハリー達の150点減点で目立たないとはいえ、リーダーとしてはかなりの失態だ。今はマルフォイのお陰で私は安全でいられるが、彼の影響力が落ちることでそのバランスが大きく崩れる可能性だって考えられる。

 

 勿論原作の影響を考えて私が代わりに減点を貰うつもりだから私に対するスリザリン生の心象は酷くはなるが、マルフォイの口利きさえあれば余裕でカバーできるだろう。貴族社会とはそういうものだ。

 

 ハリー達のドラゴン輸送作戦(取引の為にはドラゴンを絶対にバレない所に移すのが条件だった)に関してはハリーから直接聞くことはできなかったものの、彼らと授業前後のマルフォイの自慢話を合わせれば決行日を割り出すのはそう難しいことではなかった。

 

 

 

ーーー

 

 

 

 ドラゴンは魔法界ではそこまで珍しい存在ではない。だがその強さは伝説通りで、普通の魔法使いが束になっても敵わない。まさに僕の名前に相応しい存在だ。

 

 だからドラゴンを飼うのは危険すぎて魔法界では禁止されているし(というかあれを飼うことを認められる世界なんてあるのだろうか)その法律違反をしているのがホグワーツの森番であることが知られたら一大スキャンダルだ。父上にかかればハグリッドをホグワーツから永久的に追放するなど容易いことだろう。

 

 だがそれだけで終わらないのがこのマルフォイ家嫡男ドラコ・マルフォイだ。僕はハグリッドをポッター共が庇っていることに注目し、彼らが法律違反のドラゴンに関わっていることを白日の下に晒すことで上手くいけば奴らを一網打尽にできると考えた。

 

 その為には直接的な証拠と現場を押さえる必要があるが、それも裏切り者のウィーズリーのお陰で取引の内容を知れたのでそう難しいことではない。前回は決闘に誘ってポッター共を真夜中に徘徊させたが腹立たしいことに奴らは捕まらなかった。逆に言えばとろくさい奴らでさえ捕まらないのなら僕1人で行けば捕まる可能性はないということだ。

 

 クラッブとゴイル?アイツらはとろくさいから却下。

 

 

 

 そして決行の日、僕は奴らの取引場所である塔の入り口でポッター共を待っていた。下手に廊下で奴らを待つと別の階段から通った奴らとすれ違う可能性があるし、かといって取引場所の最上階に近づくとドラゴンの取引相手に僕が排除されてしまう可能性がある。いくら僕でもドラゴンを扱うほど熟達した魔法使いを相手にはできないし、ここならば騒ぎを聞きつけても彼らがここに来るまでには結構な時間が掛かる。

 

 そう思ってここで待ち構えていたのだが、突然背後から口を抑えられた。混乱から立ち直る前に矢継ぎ早に後ろから説明を受ける。

 

「突然の非礼をお許しください。イレナ・アーシュです、近くにマクゴナガル教授が来ています」

「ぐっ、アーシュ!これは一体何の真似だ!?」

 

 僕は小声でアーシュの目的を探る。もしかしてコイツは僕を尾けていた?一体なぜ?まさかアーシュはポッター達の味方だった?確かに奴らが会話している場面を他のスリザリン生が確認しているが、あくまでちょっとした会話くらいだった。僕らの知らないところで奴らとの交流があったとでもいうのか?周囲を覆う暗闇も相まって僕の想像は悪い方向に行くが、幸いアーシュの目的は単純だった。

 

「私はマルフォイ様に助力するために馳せ参じました。直にここはマクゴナガル教授に見つかります。この魔法薬をお飲みください」

 

 良かった、この状況で敵が増えたらどうしようもなかったが、穢れた血とはいえ味方は味方だ。そう思って安心していると、アーシュの勢いに流されるままに小瓶に入った液体を飲まされる。その直後僕の視界はぐるぐると回り始め、気がつくと

 

 体が縮んでしまっていた。

 

「そこの貴方!一体何をしているんです!?」

 

 ヤバい!マクゴナガル教授に見つかった!混乱の真っ只中でも取り敢えず逃げようとしたらアーシュの大きな手に体ごと持ち上げられる。一体僕の体はどうなってるんだ!?

 

「ミス・アーシュ、貴方ですか!一体何があってこんな所にいるのですが!?」

「すみませんマクゴナガル教授。ペットのネズミを紛失してしまい、ここまで追っていました」

「ペット!その為に貴方はホグワーツの規則を破ったのですか!?」

「申し訳ありません。普段は目につく場所で管理しているはずなのですが、今日は朝からどこにも見当たらなくて、不安で居ても立ってもいられませんでした」

 

 マクゴナガル教授は僕とアーシュのことをじっと見つめている。というか僕はネズミになっているのか、道理で体が小さいと思った。それにしてもアーシュは息を吐くように嘘をつくな……もしかして結構腹黒いんじゃないか?

 

「どんな理由があれど、規則違反は規則違反です。スリザリンに20点減点、それと寮監のスネイプ教授に貴方のことを報告せねばなりません。着いてきなさい」

「迷惑をかけて恐縮です」

「それなら最初から迷惑を掛けないで下さい!」

 

 アーシュは僕を胸に抱えながら怒った様子のマクゴナガル教授についていく。僕は変身術の教師に自分の変身がバレてないかヒヤヒヤしながらアーシュに振り落とされないようにしがみついていた。

 

 

 

「失くしたペットを探して深夜徘徊か。君らしくない失態だな、ミス・アーシュ」

「スリザリンにご迷惑をお掛けして本当に申し訳ありません」

 

 スネイプ教授の人を殺さんばかりの勢いの視線を受けながら、アーシュは普段通りの態度で平伏していた。一度も見たこともないレベルの不機嫌そうなスネイプ教授の顔を見て、他寮から見た寮監の顔はこんなに怖いのかと実感した。これに立ち向かうポッターのことを多少は見直してやらんでもない。

 

「減点は既にされ罰則は後日通達する。今の君に伝えることは何もない。大人しく去りたまえ」

「……ありがとうございます」

 

 アーシュは何故かスネイプ教授に感謝しながら魔法薬学の研究室を出ていく。その会話と退室直前の会話に僕はちょっとした違和感を覚えながらも今まで神経を使いすぎて疲れていた僕はその会話を気にも留めなかった。

 

「特別授業の成果は存分に発揮されたようだな。それならばもう吾輩が目を掛ける理由は無いだろう。今後の手伝いも来なくていい」

「はい、ご指導ありがとうございました」

 

 

 

 スリザリンの談話室に戻り、解除薬で元の姿に戻してもらう。スリザリン寮に久しぶりに姿を見せたアーシュと彼女が連れたネズミに対して、まだ起きていたスリザリン生が嫌がらせをしようと僕達に近づいたが、ネズミの正体が僕であることに気づくと一目散に自室へと戻っていった。

 

「今回は助かったアーシュ。この恩は然るべき時に返そう」

「いえ、私ごときがマルフォイ様のお力になれて光栄でございます」

 

 相変わらず低姿勢なアーシュに感心を通り越してちょっとした畏怖を感じながらも僕は取り敢えずの義理を通そうとする。

 

「君が被る20点の減点は元々僕が受けるはずだったものだ。君に対する心象がこれ以上悪くならないよう、スリザリンの皆には僕が口利きしよう」

「それにここから普段使ってる隠し部屋まで行くのは大変だろう?自室……はルームメイトがいるから僕の裁量だけじゃ無理か、談話室でいいならここで休憩してもらってもいい。誰にも文句は言わせない」

「助かります」

 

 今僕にできることはこれくらいしかないだろう。アーシュと別れて自室に戻る。ルームメイトが大冒険をして大ピンチに陥っていたにも関わらずクラッブとゴイルは爆睡していた。その姿を見てコイツらを連れて行かなくて本当に良かったと思いながらベッドに入る。

 

 普段はこの時間なら眠っているはずなのにさっきまでの怒涛の出来事で気が昂っているのか全然眠くならない。いや、確かに恐ろしい目に遭ったのは確かだが、僕の頭を居座って離れないのはアーシュに抱きかかえられた時の彼女の胸の暖かさだった。

 

 




マルフォイ親子が強キャラである二次創作ってあまりないですよね。この小説はイレナが社会的に最弱キャラなので彼らは相対的に強キャラになります。
というかイレナはどこに出しても恥ずかしくない雑魚キャラです。この小説の最初の構想が誰でもできるお辞儀封印チャートなので。
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