穢れた血のスリザリンです...   作:sesamer

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最近はハリーポッターの二次創作が活発で楽しいですね。
もっと増やせ(インペリオ)


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「あ、あの時はトレバーを探してくれてありがとう」

「いえ、お気になさらず。結局私は貴方のペットを見つけることはできませんでしたし」

 

 ファングに先導されながら私とネビルは禁じられた森を探索していた。それにしてもこの班分けは改めて考えると厳しいものがあるな。いくらハリーが大事だとは言ってもハーマイオニーハグリッドとネビルファングじゃあまりにも戦力差が酷い。原作でマルフォイがネビルに嫌がらせをして班分けを変更したのはこの班分けに不満を持ったのもあるんじゃないか?まあその班分け自体マルフォイが希望したんだったか。

 

 まあ私としてはハリーが歩いてる方向にヴォルデモートがいるのは分かってるし、いざとなったらネズミになって隠れればいい。それにしてもファングがいる限り森の動物は手出しできないとは言ってたが、それは森の奥深くに住むアクロマンチュラ達にも適応されるのだろうか?ファングはそこまで強そうに見えないのだが。

 

 アクロマンチュラは蜘蛛の怪物で人を食べるのが特徴の危険度高ランクの魔法動物だ。そのリーダーはハグリッドと個人的な親交があり、彼だけはアクロマンチュラの縄張りに入っても食べられないらしい。2年生になったハリーとロンは諸事情で縄張りに侵入し命からがら逃げ切るのだが、そんな危険生物が学校の所有する森に出没するとは夢にも思ってなかっただろうな。

 

「それにしてもわざわざスリザリン生に感謝を伝えるとは、グリフィンドールの中での私の評価はどうなってるんですか?確か貴方はスリザリンに虐められてたはずです」

「う、うん。確かに僕は虐められてるよ」

 

 ネビルは私の直球な指摘に動揺するが、真っ直ぐ私の目を見つめ返して答える。

 

「でも君はスリザリンだけど悪い奴じゃないと思う。それは僕のトレバーを探してくれたのもそうだし、ハリー達に協力してるのだってそうだ。グリフィンドールの中で君は、グリフィンドールに相応しい高潔な精神を持ってると言われてるよ」

「ふふ、高潔な精神……ね」

 

 ネビルの言葉がおかしくて思わず笑ってしまう。少なくとも一年生の中では私が最も狡猾な人物だろう。それこそ資質だけで生まれや希望を全て無視してスリザリンにぶち込まれた天性の狡猾さと言っても過言ではない。

 

「そういえば貴方はマルフォイを止める為に夜間外出をしたんでしたね」

「?そ、そうだけど」

「しかし件のマルフォイを見つけられず、彼は外出をしていないことが分かった」

「いや、それは違う!マルフォイは間違いなくハリー達の妨害をしに出歩いてたはずなんだ!」

 

 確かに彼は計画の何日も前からハリー達を尾行していて、ハグリッドがドラゴンを飼っているのを確認していたし、それから取引計画を邪魔しようとも考えていた。

 

「ですが実際彼は見つからず、罰則も受けてない」

「そ、それは……誰かがアイツを庇ったんだ!スネイプや他のスリザリン生の誰かが!」

 

 私は笑みを深めながら残酷な真実を告げる。

 

「なんだ、分かってるじゃないですか。そのスリザリン生なら目の前にいるじゃありませんか」

 

「そ、そんな……いやだって、君はペットのネズミを探していたはずだ!」

「ふふ、私がスネイプ教授の元でお手伝いしていた話はハリー達から聞きましたか?実はその時にある魔法薬を作る指導を教授にお願いして受けてたんです」

「ある魔法薬?」

「それは人を動物に変身させる動物変化薬。ちょうどその時は人をネズミ変える魔法薬を持ってたんでしたっけ?」

「ま、まさか……」

 

 顔を青くしたネビルの様子に仄暗い悦びを感じながら、私はノリノリで本性を見せつける。

 

「そうなのです。私はマルフォイ様をネズミに変身させて逃し、彼の代わりに罰則を受けているのでした〜」

「う、嘘だ!そんなことをする理由がない!目的はなんだ!?」

「目的ぃ〜?」

 

 私がおうむ返しで聞き返すと彼は勇気を振り絞っているのか、さっきまで青くしていた顔を赤くして応える。

 

「だ、だっておかしいじゃないか!何故君がマルフォイを庇う!?君達は友達でもなんでもないんだろう!?」

「あぁ、なんだ……そういうことか」

 

 今までの興奮が嘘のように冷える。てっきり私はネビルらしい愚鈍さで何も分かってないのだろうとでも思ってたのだが、単純に彼と話が噛み合ってないことに気づいた。要は彼はスリザリンがどのような場所か知らないのだ。聖28一族に名を連ねる癖に。

 

「まあ貴方には一生分かりませんよ、特に血を裏切った貴方には」

「ッ!」

 

 その顔は正直に言って写真に撮りたいくらいの美しく歪んだ顔だった。

 

 

 

ーーー

 

 

 

「そっちは何かあった?ネビル」

「……特に何も見つからなかった」

 

 罰則も無事終わり、グリフィンドールの寮に帰宅する最中にハーマイオニーが聞いてくる。どうやらハリー達は余程衝撃的なモノを見たらしく、特にハリーの様子は輪にかけておかしかった。

 

 (まあ貴方には一生分かりませんよ)

 

「ッ!」

「……どうしたのネビル?貴方泣きそうな顔してるわよ」

「な、なんでもない!」

 

 顔を覗いてきたハーマイオニーから逸らすように顔を俯ける。彼女、イレナの本性についてハリー達に相談する気にはなれなかった。本当なら裏切っているのはイレナで僕達は裏切られてる被害者なのだから、彼女の本性を告げ口してハリー達を助けないといけないはずなのに。

 

 (特に血を裏切った貴方には)

 

 それは何に対する裏切りなのだろうか、お爺ちゃんお婆ちゃんから聞いた話ではロングボトム家は純血の名家で家柄だけならマルフォイ家にも負けないなんていう話を聞いたことがある。

 

 実際後で調べてみるとロングボトム家は聖28一族に連なる家系で、その歴史は古くから存在していたらしい。ただ、ロングボトム家はマグルを拒絶しない家系であり、純血主義のブラック家を筆頭に血の裏切り者と蔑まれ、血統としては彼らに劣ると言われていた。

 

 ただ、ネビル・ロングボトムは自分のことをそのような大層な身分だと思ったことはないし、自分の存在はロングボトムという家や偉大な父と母にすら相応しくないとすら思っている。だからイレナの血を裏切ったという言葉に何の実感もなかった。

 

 彼女が僕を嘲笑しようとして何故か泣き出しそうな顔をしていたのかの理由も。

 

 ハリーとハーマイオニーは石がどうとか言っていたが、僕は彼女の顔ばかりが顔をよぎって彼らが何の話をしているのかも分からなかった。

 

 僕には分からないことばかりだし、誰かの助けにもなれてない。確かに偉大なロングボトム家や父と母の血を裏切っているといえばその通りだった。

 

 

 

 期末試験中も最悪の気分だったがなんとか乗り切ることができた。変身術の試験ではネズミに恐怖を抱いたせいで嗅ぎ煙草入れにすることはできなかったし、魔法薬学の試験ではスネイプ教授の圧に怯んで余計なものを入れてしまった気がするが、薬草学の試験では空欄を全部埋めることができたし、飛行学の授業は不恰好で遅くともなんとか飛ぶことまでできた。

 

 だが試験が終わってからも僕の気持ちは晴れないままだった。イレナの真意やハリー達の行動が気になるのに彼らに介入する勇気がない。ハリー達も僕のことなんか気にも留めてないし、イレナの方は誰も目撃してないらしい。

 

 それでも何もしていないことに平気でいられるほど僕は図太くもなくて、夜も眠れずにボケっと談話室で過ごしていた。そんな時だった。

 

「ここから先は時間との勝負だ、スネイプよりも先に石を手に入れる。透明マントを3人で被ると動きづらくなるかもしれないけど、もう見つかっても4階の廊下まで走って部屋に入るくらいのつもりで行こう」

「ええ」「うん」

 

 ハリー達3人がそんな話をしながら談話室に現れたのを見て僕は椅子の背に隠れる。彼らは真っ直ぐ出口の肖像画の元まで向かって歩いている。彼らは夜間外出をするつもりなのだ!つい先日それで150点も減点されてグリフィンドールは寮杯の獲得争いから脱落したのに!

 

 ハリー達がなんで夜に出歩こうとしているのかは分からない。ひょっとしたら凄く重要なことがあって、僕のような脇役には邪魔するべきではないのかもしれない。ああそうだ、なんせあのハリー・ポッターだ。きっとこのホグワーツに誰も知らない危機が迫っていて彼らは秘密裏にその危機からホグワーツを助けようとしてるのかもしれない。

 

 だったら僕が出る幕なんてない。彼らの邪魔なんかしたら僕は今後ハリー達にどんな顔をして会えばいいのか分からない。イレナにもそうだ。このまま何もせずに震えるのが僕に相応しいことで……

 

 (まあ貴方には一生分かりませんよ、特に血を裏切った貴方には)

 

 このまま何もせずに震えているのがネビル・ロングボトムに相応しいことなのか?伝統あるロングボトム家に相応しいことなのか?僕を守ってくれた父と母に相応しいことなのか?偉大なグリフィンドールに相応しいことなのか?

 

 いいや違う、それだけは断じて違う。例え闇の軍勢に勝てずとも勇敢に立ち向かった父のように、精神が壊れても未だに幼い僕を守ろうとしている母のように、僕もグリフィンドールを背負って彼らに立ち向かわないといけない!

 

「ここは通さないよ。君達を通したらグリフィンドールはもっと酷いことになる」

「ネビル!」

「どいてくれネビル!君は分からないことだけどこれは重要なことなんだよ!」

「だったら教えてくれよ!分からないことで悩むのはもうごめんだ!」

「時間がないんだよ!このバカ!」

「バカなんて言うな!規則を破ろうとしてるバカはそっちじゃないか!」

 

 力を振り絞って声を上げる僕に3人は怯んだ。僕は震える脚を無視しながら両手で彼らの先を塞ぐ。ハリーは困ったようにしつつもハーマイオニーに目を合わせる。

 

「何があってもここを通すもんか!やれるものならやってみろ!」

「ごめんなさいネビル、こうするしかないの」

 

 ハーマイオニーは僕に杖を向ける。博識なハーマイオニーは馬鹿な僕なんか比べ物にならないたくさんの呪文を覚えているだろう。間違いなく未知の呪文を受けることに凄まじい恐怖を抱きながらも僕は心の底で喜んでいた。

 

 そうだ、ようやく立ち向かうことができた。これで血を裏切らないと言える、家族を裏切らないと言える、グリフィンドールを裏切らないと言える……

 

 

 

 

 (スリザリン生なら目の前にいるじゃありませんか)

 

 

 

 そうだったのか、もしかして君もスリザリンを裏切らないために……

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 果たしてロンはチェスに身を捧げることで勝利を収めることができたのか、ハーマイオニーは論理パズルを解けたのか、ハリーはクィレルに勝利することができたのか、まあそれはどうでもいい。

 

 肝心なことはハリー達は無事に石を守ることができたということと、今年の寮杯の行方は大逆転劇を披露したグリフィンドールのものということだ。

 

 そのせいで現在スリザリンのテーブルはお通夜みたいな雰囲気になってるし、私だってお爺さんが喜びそうな出来の悪い学芸会に萎え萎えだ。なんかネビルから視線を感じるし。

 

「はぁぁぁぁぁ………」

 

 正直ネビルにちょっかい出したのが大人気なさすぎて凹んでるんだよぉ……グリフィンドールとの対立自体はスリザリンにいる限り仕方ないし早い方が良いから全然許容範囲だとしても、精神年齢が親子くらいの差がある相手の心折ろうとするの情けなさすぎるだろ常識的に考えて……

 

 相変わらずスリザリンにおける私の立場は微妙だし、さっさと食事も切り上げて必要の部屋から休暇中に暇を潰せそうな本でも探すか……

 

 ちなみに必要の部屋にすらギルデロイ・ロックハートの本はありませんでした。いや、ロックハートの本は普通に出来が良いらしいから必要としてる人はいるだろうし、これは単に私が心の底から必要ないって思ってるだけなのだろう。あー残念だなーもし教科書指定の本があれば教科書代浮いたのになー

 

 

 

 いや本気で残念になってきた。なんであんなのを金出して買う必要があんだろうか。そう思いながら私はホグワーツを後にしてホグワーツ特急に乗り込んだ。

 

 ちなみに定期試験はそこそこだった。魔法薬学は必死の勉強の甲斐あってハーマイオニーに次ぐ2位を記録したが(例え1年間一教科のみを必死に勉強しても彼女に勝つのは不可能だろう)その他は平均を超えるのでいっぱいいっぱいだった。こう、授業を飲み込んで理解するのは得意なんだが反復して覚えるのがねぇ……歳のせいかも(12歳)

 

 取り敢えず前回と同じように空いてるコンパートメントに座って今度こそローブを被って寝る!昨日は暫くは呪文使えないということで必要の部屋で広めの部屋に入って結構暴れたのだ。前回のように全然眠れないなんてことはないはずだ!

 

 そうやって目を閉じて意識を落とそうとしていると、扉が開く音がして目の前に座った気配があった。マジかよ、こう言ってはなんだけど私って結構近寄り難い雰囲気とか出してると思うんだが。

 

 そう思いつつ薄目を開けると、正面に座っていたのはネビル・ロングボトムだった。

 

「はぁ!?」

「う、うわっ!びっくりした」

 

 いやびっくりしたのはこっちだわ!確かにテーブルではネビルの視線は感じてたけど、あれってこう、お前とは敵対するぞ的な視線じゃなかったの!?それともここで堂々と宣戦布告でもするのか、ネビルが!?

 

「ごめん、寝てるかと思って邪魔したらいけないって」

「いや、それは全然大丈夫です。それよりもなんで貴方がここに?私結構貴方に酷いこと言った覚えがあるのですが……」

「確かにあの時はどうしてそんな酷いことを言うんだろう、って思ったんだ。まさかマルフォイの味方なんかしてるとは思わなかったし」

 

 彼の言うことは正しい。あの時ちょっと魔が差して本性を表しちゃったけど、それ以前まで私の擬態は完璧で彼からすればその落差で裏切られたと思ったはずだ。

 

「だけどそれは僕の甘えだった。ハリー達に立ち向かってから気づいたんだ。それまでハリーは僕に何も教えてくれなかった。だから僕は彼らの事情を無視して友達同士でぶつかるしかなかった」

「君の時も同じだ。僕が君のことを全く知らないのに勝手に分かったつもりになってたから、君が僕に本当のことを話しただけで僕は裏切られたように感じてしまったんだ」

 

 彼は……

 

「全部僕が知らなかったから起きたことなんだ。今までは君の言う通り逃げてばかりだった。だけどこれからは血を裏切らずに立ち向かいたいんだ」

 

 彼は……本当に……あのネビルなのか?

 

「まあ……立ち向かうって口では言っても体が動くとは限らないんだけどね。ただ、そんな僕でも相手のことをきちんと知ることはできるから」

 

 いや、確かにネビルは終盤になるともう1人の勇者の名に違わずグリフィンドールらしい英雄へと成長する。だがこれは、既にその片鱗どころか英雄までもうちょっとの域まで来ているのではないか?

 

「一体何が……いえ、貴方は何の答えを得たのですか?」

「え、えぇ?答え?どういうこと?」

「私との問答から何が得たものがあったはずです」

「あ、ああ!あの時の君の目的のことかい?」

「ええ、まあそれでもいいでしょう」

 

 彼は思い返すように目を閉じる。私は彼の姿にどうしようもない憧憬を抱きつつ彼の言葉に耳を傾ける。

 

「君があのマルフォイのことを庇ってると聞いた時はどうしてそんなことをしてるのか不思議だった。だって君はスリザリンの皆と距離を置いているし、それどころかグリフィンドールの皆でさえ君がスリザリンの誰かと会話しているのを見たことがないから、てっきり君はスリザリンの中でも凄い浮いてるのかって思ったんだ」

「ええ、まあ確かにそうですね。マルフォイとも数回しか話したことはありませんよ」

 

 というかスリザリンの中で1番話してるのがマルフォイの可能性ですらある。寮監含めていいのならスネイプ教授なんだけど。

 

「だけど僕があのハリー達を邪魔すると決めた時、その胸にあったのはグリフィンドールの誇りを傷つけさせないという覚悟だった。それだけで僕は友達に対して立ち向かうことができたんだ」

「だから、君も同じなのかなって。スリザリンの為に君はマルフォイを庇って彼の名誉が傷つくのを防いだのかと……」

「スリザリンの為、か」

 

 良かった、流石に分かってないみたいだ。ネビルがちょっと成長したからってスリザリンの思考回路を完璧に理解してたらマジで怖いから逆に助かった。

 

「やっぱり貴方はグリフィンドールですね」

「そ、そう?そう言われると嬉しいな。ということは合ってた?」

「いえ、全然違います」

「そんな〜」

 

 ちょうど良いタイミングで列車が揺れたため、ネビルがズッコケたように見えて思わず笑ってしまう。

 

「ふふ、グリフィンドールにスリザリンの考えを当てるのは難しいようですね」

「うう、それなら教えてくれよ……」

「そう難しい話でもカッコいい話でもないですよ。ただ私のようなマグル生まれがスリザリンに認めてもらう為には彼らへの献身が必要っていうだけです」

「そ、それって不公平じゃないの?だってそれだけでマルフォイが受けるはずの罰則を君が受ける道理には……」

「まあスリザリンはそういう世界なんです。私も納得してあの場所にいるので同情や感傷は不要ですよ」

「そっか、じゃあなんであの時あんな顔してたの?」

 

 突然意味不明な質問をされて固まってしまうが意図を聞き返す。

 

「あの時とはなんでしょうか?あの顔とはなんでしょうか?きちんと言語化しないと意図が伝わりません」

「ご、ごめん。ちょっと僕もあやふやで……君が僕のことを血を裏切っているって言った時、君は悲しそうな顔をしてたんだ」

「悲しそうな顔???」

 

 思わず自分の頬を触る。自分の中ではかなり悪い顔してた覚えがあるのだが……

 

「そうですか、悲しそうな顔をしていたかは分かりませんが……」

「いや、今にも泣きそうな顔をしてたと思う」

 

 泣きそうなッ!?そんな顔してた覚え無いぞ!

 

「……それなら多分、私は貴方に嫉妬しているのでしょうね」

「それって、僕の血のこと?」

「それもあります。仮に私が純血だったら友達も何人かはできたでしょう」

「ただ、私は貴方達のような生き方に憧れを抱いてるのかもしれません」

「生き方?」

 

 この世界に転生してから常々思っていたことだ。何故自分のような捻くれ者のコミュ障が転生したのか?同じ物語にしろ俺以外にもっと良い役者がいくらでもいたはずなのに……

 

「誰かを騙して、誰かを陥れて。そうやって得た束の間の平穏に何の価値があるのか。例え犠牲者が増えてでも悪役は勇者が倒す方が良いのではないのか。そういう虚しいことばかり考えてる生き方より、ハリーやロン、ハーマイオニーや貴方、そしてマルフォイ達のような目の前の現実だけ考えて必死に生きてる方がカッコいいでしょう?」

「うーん、僕には君の言ってる意味が分からないけど……」

 

 彼は言葉を選ぶように辿々しく話す。

 

「僕からすれば、君のようにいつも考えてくれる人がいるから、僕みたいな目の前しか見えない人も生きてられる……のだと思う。そんな人を僕は尊敬するし、カッコいいとも思う」

「……カッコいいですか?」

「う、うん。秘密裏に悪を倒すヒーローみたいでカッコいいと思うよ」

「そうですかそうですかカッコいいですか!」

 

 例え社交辞令だとしても好きな本に出てくる英雄(まだ卵だけど)に褒められるのは凄い嬉しい気持ちになる。ちょっと頬の表情筋が壊れてる。

 

「(カッコいいと褒められて嬉しがる女の子は初めて見たな……)」

「ま、まあ今みたいに自信を持って笑ってる方が良いよ。あんな無理して笑おうとしててもこう……こっちの心にくるから」

「ええ!頑張ります!」

 

 そのコンパートメントは行きの時より更に人数が減ってるにも関わらず、行きの時より賑やかになっているのだった。




というわけで賢者の石編終了です。
もっとささっと進めたかったのですが、せっかくの区切りだしもっとキャラの深掘りしようということでネビルをストーリーに絡ませました。
そのお陰で書きづらいわネビルが凄まじい成長を遂げているわイレナのキャラが崩壊しかけてるわで大変でした。

ここからは性癖の語りになるので読み飛ばして欲しいのですが、自分の中でTSキャラの男っぽさをどこで表現するかはかなり重要な問題でして、その点イレナは普段口調が丁寧、一人称も私でそれが簡単に表現できないので結構それ以外の場所で気をつかいました。
例えば語り出した時に敬語が抜けたりとか、地の文を粗野にするとか、特に今回の話はTS女らしさが出たのではないかと勝手に思ってます。
それとは別に作者は女の子の性格を悪くしたい病も患っているので、イレナは悪辣で捻くれたキャラになってしまいました。皆さんは彼女をどう思ってるのでしょうか。
取り敢えず秘密の部屋の構想までは大体決まってる(そこまでしか決まってない)のでノンストップで駆け抜けたいなぁ。
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