感想欄でクルックシャンクスはハーマイオニーが3年生になってから飼い始めたペットであると御指摘を受け、この小説ではハーマイオニーが入学時にクルックシャンクスを買った設定にしました。作者の記憶はガバガバなのでこのようなハリポタ愛溢れる指摘は本当にありがたいです。
それにしてもハーマイオニーは2年間の間ペット持ってなかったのか...
「すみません、私の部屋ってどこにありますか?」
「はぁ?」
私の質問の内容が理解できなったかのようにスリザリンの女の子達が聞き返してくる。私は彼女達に伝わるように事情を説明する。
「えっと、私の部屋がどこにあるかを忘れちゃって……」
「はぁ……」
目の前の少女達は揃って私を見てため息を吐く。もしや彼女達は実は純血のお偉い方で、私は彼女達にかなり失礼な態度を取ったのだろうか。パンジーやダフネなど聖28一族の有名どころは覚えているのだが、それ以外の人の名前や顔を私は覚えてないのだ。
「も、申し訳ありません!穢れた血風情が純血に馴れ馴れしく話し掛けてしまって、本当に申し訳ありません!」
取り敢えず土下座をしようとして顔を下げたら、目の前にいる女の子に顔を手で挟まれて持ち上げられる。
「純血じゃないし。アンタ1ヶ月ちょっとしか寮にいなかったからって同室の顔を忘れたの?」
「ふ、ふひはへん」
どうやら彼女達は私の同室の子達だったようだ。申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら彼女達の問いに答える。
「見たところ荷物全部持ってきてるようだけど……いつも住んでた隠し部屋とやらから追い出されたの?」
「ええっと、そう、ですね……」
確かにホグワーツの隠し部屋や隠し階段の中にはかなりお茶目なものもあり、意志を持って個人的(個室的?)に嫌いな人を入れなくしたり、進行を妨害することもあるらしいが生憎そんな記憶もない。
そもそもその隠し部屋とやらがどこなのか、今まで自分はどうやってそこに行っていたのかがさっぱり分からないのだ。
ーーー
「「「「記憶喪失!?」」」」
「まあ……そんな感じです」
自分の事態の深刻さを本当に分かってるのかと思わず疑ってしまうほど能天気そうな様子のイレナ・アーシュを見て、アタシは目の前の女がスリザリンの異端中の異端として噂が上がるほどの生徒とは思えなかった。
アタシ達のグループはその殆どが半純血や一般の魔法族の生まれでスリザリンの他寮とは全く違う貴族様式に1年間必死に食らいついてきたが、イレナ・アーシュは前代未聞の半純血ですらない圧倒的に格が低い身分にも関わらず貴族達から排斥されるばかりか、1年間でこの寮トップに位置するドラコ・マルフォイに直々に手を加えて守ってもらえるほどの立ち位置に収まったのだ。
しかも彼女は入学して1ヶ月後には誰も足取りを追えなくなるほどの秘密主義者で、噂では彼女が恐るべき闇の魔術を研究していてその研究を手柄にマルフォイに恩を売ったのではないかと言われている。
そんな荒唐無稽な噂話が飛び交うほど、このスリザリンでマルフォイは雲の上の存在だ。気安く半純血が彼に声を掛けるなど許されることではなく、それだけに何度か彼に話し掛けているイレナを恐れる気持ちがよく分かる。
だが蓋を開ければ目の前の何も考えてなさそうな少女が出てきたのだ。そもそも記憶喪失などとはいったい何があったんだ。闇の魔術が暴発でもしたのか。
「というか記憶喪失ならマダム・ポンフリーの元に行きなさいよ。放置していていいものじゃ絶対ないでしょ」
「ええ?そうですか?別に死にはしないからそこまで問題でもないと思いますよ?そもそも記憶喪失って言ったって普段どうやって過ごしていたのかをちょっと忘れちゃっただけで、授業とかには何の支障もありませんよ」
「そうかな……そうかも……まあ本人の言うことならアタシ達も何も言わないけど」
「記憶だって許されざる呪文とか覚えれば戻ってくるかもしれませんしね!」
「ごめん、そのジョークはあんまり面白くないわ」
それに、と言いながらイレナは荷物の入った鞄を持つ手とは別の手で大事そうに抱えていた本を見せる。その顔は絶妙に美しさと可愛さとウザさが混じった独特なドヤ顔だった。
「記憶の手掛かりならここにありますからね!……多分」
ーーー
あるぇー?意味ありげに抱えていたから、てっきりこの日記帳に失った記憶に関する情報があると思ったんだけどなぁ……
この「T.M.リドルの日記」は記憶を失ってホグワーツのどこかの廊下に突っ立っていた私が大事そうに抱えていた本だ。孤児院育ちの私にはどこか懐かしい感じがする質感の紙でできており、多分私がリドル何某から貰ったか、もしくは普通に盗品だろう。後者の可能性を抹消して私は日記を読む。
だがこの日記帳には何の記述も残っておらず、私の記憶探しの探索はスタートの手前で足踏みすることになったのだ。だがあれだけ同室の子達に自信満々で見栄を張った手前、ギブアップしてポンフリーの元でお世話になるのは抵抗がある(男の意地)
それにこんだけ意味ありげに持たされていて記憶と何の関係性もないなどメタ的に考えてありえないだろう。どこか情報が隠されているに違いない。
まず私は図書室に行って魔法の本の読み方を調べてみることにした。本を読む為の本を探す、ってなんか身に覚えがないはずのトラウマが刺激された気がする……
図書室に関する記憶は残っていたがどうやら私はそこまで勉強熱心ではなかったみたいで、その記憶はふんわりとしたものだった。ただこれは私の予想だが、本の読み方なんてアバウトな探し方をしてもクリティカルに見つかるとは思えない。精々見つかるのは胡散臭い自己啓発本かなにかだろう。
こういう時に頼れるのは司書の存在なのだが……マダム・ピンスにリドルの日記帳を見せてこの読み方を教えて下さい、と頼むのは少し不味くないか?この本が私の物だとはいえ、司書経由でそのリドルって人に連絡が行けば没収される可能性がある。これは決して盗品じゃないんだけど。
だが彼女以上に図書室の本に詳しい人物などいないだろう。諦めて彼女の元に向かいつつも私は都合の良い妄想を広げた。
あー、どこかに図書室の本を片っ端から読むような本の虫で、尚且つ人の事情には踏み込まない気配りができる良い子で、その上で多少の規則違反に目を瞑ってしてくれるほどの融通が効いた悪い子はいないかなぁ〜
「あ、イレナじゃない。久し振りね」
「おるやんけ!」
おるやんけ!
ハーマイオニーに事の次第を説明すると(流石に余計な心配は掛けたくないので記憶については除いたが)彼女は二つ返事で了承してくれた。どうやら友人のハリーとロンは空飛ぶ車でホグワーツへと侵入したことへの罰則を受けていて、彼女は暇だったらしい。ひょっとして馬鹿なのだろうかあの2人。
ただ彼女とあれこれ考えて色んな手段を取っても特に反応は示さなかったので、私達は結局この本に魔法的な仕掛けは施されていないと判断して解散するのだった。
ハーマイオニーが駄目なら多分マダム・ピンスに見せても同上だろう。これはピンスを馬鹿にしてるんじゃなくて、あれこれと色んな手段とそれが書いてある本を取り出してきたハーマイオニーの博識さに大変驚いたから出る言葉なのだが。
まあ記憶に関してはどうしようもないが、今回は分厚いノートが無料で手に入ったと思うだけでもよしとしよう。取り敢えず名前を書いて丁度出されていた魔法薬学のレポートでも取り組むか。
そう思って自室に戻って日記帳にレポートを書き始めたら驚いた。本にインクが消えていき、その代わりに本から反応が届いたのだ。
ーーー
こんにちは、イレナ・アーシュ。僕はトム・リドルと言います。君はどうやってこの日記を見つけたのかい?
えっ!凄い!コレ魔法の交換日記みたいなヤツなの?
ええ、まあそうとも言えるかもしれません。僕はこの本に自分の記憶を移した。そのお陰で君と僕はこうしてお話しできる。
ほへー、魔法ってそんなこともできるのか。じゃあ私の名前を当てたのも魔法?
いや、それは君が誰かの名前を書いたから推測しただけだよ。
なんだ、他人の名前を遠隔から読み取る機能でもあるなら新世界の神も難しくないのに。
……それで、君は僕のことをどうやって見つけたの?
あれ?ひょっとしてトム怒ってる?私がこの本を見つけた方法とか場所はよく分からないんだよね。
……怒らせてる自覚があるなら本当のことを喋ってほしいな。
ああ、ごめんなさい。これは本当のことなの。どうやら私、記憶喪失みたいなんだ。
……は?
ーーー
それで、今日は服従の呪文を教えてほしいな!!!
ええいうるさい!君は記憶を戻す為の方法が知りたかったんじゃないのか!
確かに記憶も大事だけど許されざる呪文なんて激レア呪文を教わる機会なんか他にないじゃない!スリザリンの私としては許されざる呪文の一つや二つくらい覚えておきたいですもの!
スリザリンだからって皆が許されざる呪文を覚えてるわけじゃないぞ
でもトムは許されざる呪文覚えてたんでしょ?なんてたって監督生だし。
……まあそうだけど。
「(クソ、なんだこの女は?どこをどう見ても馬鹿の文章にしか見えないのに、時折こちらを断定するほどの強い確信とハイペースな話の流れのせいで教えたくない情報まで教えてしまう!幸い警戒心の無い馬鹿だから許されざる呪文なんていう、明らかにただの魔法道具から出てきてはおかしい情報を聞いても警戒するどころか、それに釣られて一層日記にのめり込むだけで済んでいるが……)」
「(いや、これはむしろチャンスか。コイツの闇への探究心はこの僕にとってはより魂を奪えるチャンスだ。ただの興味本位で闇に手を出したらどうなるかを教えさせてやる!)」
分かった。そんなに言うならどれか一つだけ許されざる呪文を教えてあげようじゃないか。
えー、ひとつだけなの?トムはケチだな。
普通の人間には許されざる呪文は使いこなせないんだ。ましてや君のような典型的な凡人にはひとつだけでも途方もない努力と運を要するんだ。
それって、私じゃ許されざる呪文をマスターできない?
はっ、誰にものを言ってるんだい?この僕に任せれば君がどんなに馬鹿で才能無しであろうと完璧にマスターさせてやろう。
スゲェ!流石トム!私トムのこと全然知らんけど!
別に調べるほどの者ではない。ただ弱冠16歳にして特別功労賞を受賞した、ただのホグワーツの主席さ。
出、出ーwww隙自語奴www
うるさい。それで君は何の許されざる呪文を覚えたいんだ?やっぱりアバタケタブラか?
インペリオ!インペリオ!インペリオ!
うるさい!連呼するな!それにしても、そっちじゃスリザリンの継承者とやらが暴れてるそうじゃないか。アバダケダブラじゃなくていいのか?
いや、だってスリザリンの継承者なんかに勝てるわけないし。そんな目先の利益に目が眩んでアバダケダブラなんていう産廃呪文覚えるわけないんだなぁ〜
は?アバダケダブラが産廃だと?
だってアバダケダブラで死んだ人間の特定は簡単じゃん。そっから魔力跡辿られて捕まるのなんてすぐじゃん。クルーシオもそうだけど。
いや、アバダケダブラがあれば追跡してくる奴らも殺せるぞ?その間に身を隠すなんて造作も無い。
ええ〜?本当でござるかぁ〜?確かアバダケダブラって滅茶苦茶消耗する魔法だろ?そんなポンポン撃てないでしょ。
いや、卓越した精神力と魔法力を持つ者なら例えアバダケダブラであろうと連発するのは容易い。
これだから頭でっかちは。そんなの机上の空論じゃん。
は?僕なら撃てるんだが?
撃ったことあるの?
ない。
ーーー
秘密の部屋は開かれたり。
継承者の敵よ、気をつけよ。
その恐ろしさを感じさせる文言とその下に吊り下げられたミセス・ノリスの惨状はホグワーツに新たな脅威が到来したことを確信させるものだった。
僕達は去年のように独自でこの事件の犯人を調査することにした。ただ、今回は決して前回のようにホグワーツの教師陣が信用できなかったからじゃない。去年のことも今から考えると、教授達をもっと信用すれば上手くやれたんじゃないかと思うのだが、今年はそうはいかない。
何故ならこの僕ハリー・ポッターが事件の犯人だと疑われており、その疑惑を晴らすために行動しているからだ。
継承者とはサラザール・スリザリンの血を引く者だと思われており、つい先日決闘クラブで僕がパーセルタング、通称蛇語を話したのは決定的な出来事だったらしい。その前に僕に付き纏っていたコリン・クリービーが石にされたのもあって僕のことは公然の秘密となっているらしい。
スリザリン以外の誰もが僕のことを継承者だと疑っており、僕達はその疑いを晴らす為には10や20の校則違反など恐れてはいられなかった。
「スリザリン生に変身してマルフォイに直接聞けばいいのよ!」
だからといってハーマイオニーの考えた作戦はおおよそ正気の行動ではなかった。ロックハートを煽てて禁書棚からポリジュース薬という魔法薬が載っている本を借りて材料を集め、手に入らない材料はスネイプの研究室から拝借し、その魔法薬を使ってスリザリン生に成り代わってスリザリンの寮でマルフォイから継承者のことを聞くというのだ。
仮にバレたらどうするんだろうか。スネイプの研究室から材料を盗むのがバレたら間違いなく殺されるし、グリフィンドールの生徒がスリザリンに潜入していることがバレたら同じく殺される。そんなことする生徒は恐らくホグワーツが設立してから僕らが初めてになるだろう。
だけどそんなことを気にしてられる場合ではないのは確かだった。僕の名誉は勿論、何よりハーマイオニーの命が危ない。スリザリンの継承者は今のところマグル生まれの生徒を次々と襲っているのだ。
マグル生まれと言えば、イレナはどうなのだろうか?彼女はマグル生まれでマルフォイ達も彼女をハーマイオニーと同じく穢れた血と蔑んでいたが、スリザリンの継承者ならスリザリンに入れられたマグル生まれをどう扱うのだろうか?
その問いの答えが分かったのはそれほど先ではなかった。
魔法薬学の授業。普段から僕はこの授業を受けたくない気持ちでいっぱいなのだが、今回はその比ではなかった。何故なら今回はあのスネイプの目の前で校則違反を犯すことになっているからだ。しかもその罪状はスネイプの研究室への無断侵入と窃盗。ハッキリ言って遠回しの自殺だと思う。
だからといって今回はハーマイオニーが体を張っているのに僕らが尻込みしているわけにはいかない。僕は悪戯好きのフレッドから貰った(スネイプの研究室から盗みに行くって言ったら大喜びをしていた)フィリバスターの花火を取り出し、着火してゴイルの大鍋に向かって投げた。
ゴイルが調合していた薬は大爆発を引き起こし、教室中は大混乱に陥った。その隙にハーマイオニーは教室を飛び出す。
我が事ながら、教室の惨状は酷いものだった。膨れ薬が降り注ぎ、その飛沫を浴びた生徒は悲鳴を上げた。マルフォイの膨らませた顔とゴイルが大きくなった目を必死に抑えているのを見て噴き出しそうになったが、その時一際大きな悲鳴が辺りに響いて僕はそっちを振り返った。
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!」
そこではイレナが背中を庇って床を転がっていた。その顔は酷く歪んでおり、膨れ薬の作用によるものだけでは到底起き得ないことが起きていることは明白だった。
「鎮まれ!膨れ薬を浴びた生徒はここに縮み薬を置くから各自飲んでおけ!」
スネイプは一喝してイレナの方へと向かう。酷く不機嫌な彼に道を譲るように他の生徒は騒動の中心から離れ、膨れ薬を浴びた生徒が教卓に殺到する。僕はその混乱を他人事のように見つめていた。
「その背中はどうした、ミス・アーシュ!」
「いっ、いえ!ただ膨れ薬が当たっただけでっ、ちょっと驚いちゃっただけっ、です」
床に這いつくばりながら、イレナは荒々しく呼吸をしながら誤魔化すように弱々しい笑みを浮かべる。
「黙れ。そのような戯言を聞きたいわけではない。さっさとローブを脱げ」
「ちょ、ちょっと!?何言ってるかっ、分かってるんですかっ、セクハラですよ!」
「服ごと切り裂かれたくなければさっさと脱げ。5、4、3……」
「ああもうっ!分かりましたよっ!ッ!」
痛みを堪えながらイレナがローブを脱ぐと僕を含めた男子が彼女から目を逸らそうとする。だがその酷い様相に僕らは思わず目を見開いた。
彼女の背中には何度も包帯が巻かれており、その中心には大きく斜めに切り裂かれた痕が赤々と残っていた。更に傷口は膨れ薬のせいか爛れており、溶けた包帯と混ざってグロテスクな映画に出てくるワンシーンを想起させた。
「アーシュ。この傷はどこで作った?何故ポンフリーの元へと行っていない?」
「いえ!気づいたら出来ていて!怖くて放っておいてたんです!」
「また貴様はそんな戯言を!」
顔を赤くしたスネイプは痛々しく床に伏せていたイレナの髪を掴んでその顔を持ち上げる。側から見たら暴漢に襲われている場面にしか見えなかった。
だがスネイプは彼女の顔を暫く睨んでいると今度は逆に動揺したかのように見えた。彼は動揺を抑えるかのように乱暴な口調で怒鳴る。
「貴様、知っていることを吐け」
「だから何も知らないんですって!記憶喪失なんです!」
その痛々しい叫びと惨状には、彼女に継承者の裁きが下ったのだと判断するには十分すぎる迫力があった。
ーーー
はあ……マダム・ポンフリーに捕まっちゃった。マジムリ…ツライ…
……ああ、ついに背中の傷がバレたか。
ちょっとトム君反応悪くない?ここは、なんだって!?とかいったいどうした!?って叫ぶシーンでしょ?
だってその傷はかなり深いじゃないか。むしろ良く今までバレなかったな。
あれ?傷のことはトム君に話したけど深さとか話したっけ?
……君が事あるごとに背中いてぇーって書いてたじゃないか、鬱陶しい。
ああ、ごめんごめん。つっても、授業サボってトム君とお話できるからトム君からすればむしろ好都合か〜!
……そういえば、マダム・ポンフリーは君になんて言っていた?
照れて話題を変えるトム君も可愛げがあるなぁ。確かあの人は私に生気がないから暫くはここで療養なんだって。
「(く……このままではやがて生気を失っていくイレナを不自然に思われて僕の存在がバレてしまう。だが、これほど効率的に魂を分けてくれる餌は恐らく他にはいないだろう。この次の襲撃で一旦日記を引き離すか)」
じゃあ暇になったんだし呪文でも教えようか?
やった!インペリオ!インペリオ!インペリオ!
はいはい、そのやる気ならあと今週中にはマスターできるんじゃないかな……
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
その異常なまでのインペリオへの執着はなんなんだよ…
いや、なんかインペリオさえ覚えれば道が開くような気がするんだよ。私もインペリオのおかげで記憶も戻り、身長も伸び彼女ができました!
頭おかしいんじゃないのか?
ーーー
その少女は遣いの声に導かれ、やがてその部屋の前に辿り着く。
その扉を開き、探し求めていた存在に手を伸ばす。
ーーー
ハーマイオニーの考えた荒唐無稽な作戦はその荒唐無稽さの割には意外にも着々と準備が進み、その途中でハーマイオニーが離脱するというハプニングが起きたものの、クラッブとゴイルに扮した僕達は無事マルフォイの元へと到達することができた。
だが、マルフォイはロンの父の失態を迫る父親のことを自慢するばかりで、継承者が誰かについては全く知らないようだった。完全にあてが外れた僕達は混乱しつつも彼に片っ端から心当たりを聞く。
「そういえば、イレ、アーシュはどうなったんだ?」
「退院したのか?」
「お前達がアイツのことを気にするのは珍しいな。いつもは興味なさそうじゃないか」
「いや、確か継承者の裁きを受けたんだろう?あいつは……穢れた血だからな」
その話をすると、マルフォイは苦虫を噛み潰したような顔をして答えた。
「いや、その件に関しては僕も不思議に思って父上に連絡したんだ。確かにアーシュは穢れた血だが、スリザリンに入ったのなら狙われるのはおかしいと思って」
「その時の父上の返答も妙だった。確かに彼女は狙われてもおかしくはないがその被害状況は継承者によるものではないと言ってた」
「「継承者ではない?」」
マルフォイは深刻そうに頷いた。
「恐らく今のホグワーツには、スリザリンの継承者とは別に暗躍している奴がいる。敵の狙いから僕達ではないだろうがお前達も細心の注意を払え。あり得ないとは思うが道にお菓子が落ちてるからって拾うなよ」
そんな馬鹿みたいなことするわけ……とハリー達は思ったが、ついさっきお菓子に釣られてまんまと僕らに倒された彼らを見て沈黙した。
と、その時クラッブに変身したロンが呻いた。彼を見ると髪の先端が赤く変色している。薬の効果時間が切れそうなんだ。僕らは立ち上がろうとするとその時談話室の扉が開いたことに気づいた。
秘密の部屋騒動で多くの人が実家に戻っている中でホグワーツに居残ってる生徒はそう多くない。扉から現れたのはさっきまで話の種であったイレナ・アーシュだった。
「おや、マルフォイ様。クラッブ様ゴイル様が苦しそうでございます。私が保健室まで連れて参りましょうか?」
「ああ、ちょうどいい。胃薬でも飲ませておけ」
了解しました。と一礼すると、イレナはクラッブとゴイルに扮するハリー達の背中を支えながら談話室を出る。彼女はその直後に彼らに囁いた。
「マルフォイ様に正体をバラされたくなければそのまま私について来てください」
これにはハリー達も酷く驚いた。いくら変身が切れかかっているとはいえ、まだ図体は彼らのままで、ちょっとの違和感くらいに収まると思ってたのに!
無言で彼らの背中を押さえながら歩くイレナについていくと、誰もいない廊下へと辿り着いた。すっかり元の姿に戻ってブカブカになったローブを正しながらロンが彼女に問い詰める。
「な、なんでバレたんだ?いったい何が目的なの?」
彼女はつい先日までの弱った様子が嘘であるかのように目を細めて笑みを浮かべる。
「そうですね、このまま貴方達をスネイプ教授の元に連れていくと言ったらどうしますか?」
ハリーは絶望した。恐らくこの前の騒ぎは自分達がやったのだとバレているのだ。そう考えると彼女の刺々しい態度の理由も分かった。
「ご、ごめんなさい!この前のはわざとじゃないんだ!ただポリジュース薬の材料を手に入れる為にスネイプの気を引きたくて」
ハリーの必死の弁明にイレナは聞いてるのか聞いてないのか分からない様子で彼らを眺めていたが、良いことを思いついたかのような顔を浮かべると、ひとつの提案をした。
「ロン、貴方にひとつ渡してもらいたいものがあります。なあに、大したものではありませんよ。また後でご両親に買ってもらえばいい」
というわけで今回は大好きな推理小説を参考に出題編と解答編を分けて書いてみました。是非イレナが考えた策をご考え下さい。
それと弁明になりますが、私は決して女の子を虐めて喜ぶような趣味は持ってないんです。ちょっと気がついたらイレナを虐めてただけなんです!誤解しないでください!