狂兵でしょうか?いいえ、漂流者です   作:三途リバー

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仕事がめんどすぎて短めです




 

一夜明け、私達はキャスターの案内でセイバーがいるであろう場所へ向かっていた。

 

道中雑魚の群れには幾度か遭遇したが、何やら吹っ切れたらしいマシュや流石の手並みを見せるキャスターの前には大した障害にはならない。

唯一力をセーブさせられて思うように首奪りができない豊久さんの機嫌だけが懸念事項だったんだけど…

 

「なんち!?けるとにはそげなぼっけもんば仰山おるのか!」

 

「おうともよ!どいつもこいつも見栄と武功と、酒と女の事しか頭にねぇ大馬鹿野郎共よ!だが好きだろう、そういうどうしようもねぇ馬鹿な勇士は!」

 

「薩摩にもおるど!いや、薩摩にはそいしかおらんど!前しか向けん血迷うた兵子しか!」

 

「命なんざ二の次でよ!相手が誰だろうがてめぇの道理を押し通す!」

 

「勝ち目なぞなかに、意地で槍ば引っ掴んで駆けたりの!」

 

「「ガハハハハハハハハ!!!!!」」

 

わろてる、なんかわろてる。私達が進んでる洞窟の中にすんごい笑い声反響してる。

 

いや意気投合し過ぎでしょ。ファーストコンタクトで殺し合いに発展仕掛けてなかったあなた達?

何?ひと昔前のヤンキーなの?中々いいパンチ持ってんじゃねぇか、へへお前こそ的なアレ?

 

「蛮族ズはどこでもいつでも気が合うモンなのよ。気にしたら負け、スルー安定だからもう考えるだけ無駄」

 

すごい、ジェルミさんすごい実感籠ってる。目が死んでるし心做しか髪の毛がしおしおになってる………。

 

「何時までも馬鹿話してるんじゃないわよ、そこの蛮族2人組!特に青い方、道はこっちで合ってるんでしょうね!?」

 

所長のヒステリーも絶好調。

でもなんか、これに関してはむしろ良い気がする。所長は多分責任感とかが強すぎて精神的に潰れちゃうタイプっぽいし、こうやって遠慮なく吐き出して発散する先があるのは悪いことではない…のかな?まぁキャスターと豊久さんは大変だけど。

 

「そうカッカしなさんな、オルガマちゃんよ。1回特攻かけた時にルーン刻んどいたんだ、道に間違いはねぇ」

 

「がなってん、道ば縮まっ訳ではなかぞ。喉潰れっ前にやめい」

 

「だ、れ、の、せ、い、で!こんな怒鳴ってると思ってるの!!!」

 

いや前言撤回、豊久さんはともかくキャスターは楽しんでるわこれ。おもっくそ弄りがいのあるおもちゃ見つけた顔だあれ。

 

『はは、鬼のオルガマリーも形無しだなぁ』

 

「はっ倒すわよロマン…!」

 

『いやごめんごめん、でも長らくオルガを見てきた者としてはちょっと嬉しい気持ちもあるんだよ。口を開けばキツいことばかりで相手に反論の余地すら与えなかったぼっちの帝王がこんな軽快なやり取りを…感慨深い…』

 

「取り敢えずあなたが雪山に1人でほっぽりだされたいっていうのはよぉく分かったわ……」

 

「お、ついでに着てるもの全部剥ぎ取ろう」

 

『立香ちゃん!?』

 

なんてやり取りをしながら歩くこと小一時間。

それまで狭かった道が急に開け、外界からの光が出口から注いでいる場所へと辿り着いた。

 

「さて、ここからが正念場だ。肝心要の聖杯を守ってんのは最優のサーヴァント・セイバー。その中でもありゃ別格だな。お、言ってるうちにおいでなすったぜ」

 

ガシャリ、ガシャリ。

 

甲冑が擦れる重曹な音を響かせ、それは姿を現した。

あまりの魔力量が体内に留まらず、紫黒の粒子となって立ち上る。

まさに魔力が…いや、暴力が人の形を取っているとしか思えない。

冬木における特異点、その最後の生き残りのサーヴァント。

 

「問おう。貴様が、()()のマスターか」

 

騎士王、アーサー・ペンドラゴン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁさぁ王?知らん。聞いたこともなか」

 

時は少し遡る。

セーブポイントからの出立前、最後の打ち合わせの席上でのことだ。

 

「そりゃおめぇはそうだろうよ。現代においては世界一有名つっても過言じゃねぇ王様だ。偉大なるブリテンの王、その手に携えるは勝利を約す選定の剣…」

 

「エクス、カリバー…」

 

わなわなと所長が口を震わせるが、それも無理はない。だって、私ですら知っているビッグネームなのだ。

持ってれば勝ち確というチートもいい所な愛剣、エクスカリバーに加えて更に厄介なのはその鞘。あらゆる傷を癒し、事実上の不死を得られるというもうどうやって斃せばいいのか教えて欲しいレベルの英雄だ。

 

「約束された勝利の剣…私の盾で、防ぐことは可能でしょうか…」

 

まさに世界最高と言っても過言ではない英雄を向こうに回す。

後ろから指示を出し、ボケっと見ていることしか出来ない私ですら冷や汗をかいてしまうのだ。マシュの感じる恐怖はどれほどか…。

 

「嬢ちゃん1人に矢面に立てたぁ言ってねぇ。無論3人がかりだ。それでも大分厳しいとは思うがな。それで良いな、シマヅ」

 

「戦ん習いじゃ。卑怯卑劣は言いっ子なしぞ。じゃっどん、そん王ちうんはそげに強がか?」

 

「さっきも言ったでしょ、トヨちゃん。英霊は知名度に応じてその力が強くなる。1500年後のこの極東の島国で誰もが名前を知ってるのよ、そりゃ手に負えないわさ」

 

『サーヴァントとして、最高最優と言っても過言ではないだろうね。通常の聖杯戦争を勝ち抜くことはわけない程度には厄介な相手だよ』

 

眉間を揉むジェルミさんに、通信越しに沈痛な声を漏らすドクター。

暗い雰囲気が場を包む中で──

 

「くはッ」

 

ただ1人、豊久さんだけが破顔っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その笑みが、不遜蛮勇と謗られて然るべき気勢が。

私の心を心地よく撫ぜたのだ。

 

「……()()、って誰のことかは知らないけどさ」

 

だから私は立てる。目を逸らさずに言葉を紡げる。

 

 

 

「私の仲間をそれ呼ばわりするアバズレが、彼のアーサー王とはガッカリだよ」

 

 

 

 

無理矢理にでも不敵に笑って、鬨の声を挙げられるのだ。

 

「バッッッカじゃないの藤丸アンタぁ!?!?あぁもうどうにでもなれ!!倒すわよ騎士王!!」

 

「着々と毒されてんじゃないのよ!でもやっぱ嫌いじゃないわ、昔思い出すからね!」

 

ごめんごめん、そんな怒らないでよ。

でも所長気付いてる?所長の顔も、ジェルミさんと同じくちょっと笑ってるんだよ?

 

「良くぞ吠えた藤丸立香!!ここでこの戯けた聖杯戦争を終わらせる!」

 

「はい!それだろうがあれだろうが、私は先輩のサーヴァント!必ず勝ちます、守ります…!」

 

キャスター、マシュ。辛いとこ押し付けちゃうけど、ごめんお願い!

一緒に勝とう、一緒に帰ろう!

 

それに豊久さん、あなたがいれば……!!

 

 

「まぁた女子か!!なんじゃおまぁ、最強の王ん首ばもいじゃろうとすごんじょったおいが間抜けではなかか!あぁもう訳ん分からん、ないごて南蛮人は女子がこげに戦場に出る!舐めちょるのか、あァ!?」

 

 

「「「「「は?」」」」」

 

 

 

「お前の首など要らん!去ね!聖杯置いてとっとと去ね!」

 

 

 

「「「「「ハァ────────ッッッ!?!?」」」」」

 

 

思えばこの時、私はどこかで甘く見ていたのかもしれない。

徹頭徹尾空気を読まない、島津豊久という英霊の病気(特性)を………。

 





FGOのストーリー、オケアノスまでクリアしました。
今のところブーディカさんとドレイク船長がいい女すぎて『抱いて…!』ってなってます。
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