ガンダムビルドブレイカーズ:オルタナティブsideL 作:ひほーZZ
「「じ〜っ」」
俺はいま超危機的状況に陥っている。イチカちゃんとシグレちゃんにまじまじと見られてる…バレるんじゃないのかこれ…
「おにーさん、お名前は?」
「え?あ、あぁ…ナギツジ・タクマだよ」
「えーっと…ツギハギクルマさん!」
いや間違え方可愛いかよ。
「ナギツジ・タクマさんね。ワンちゃん」
「あはは…まあよろしくね…」
…幸いバレていないようだ…よかった…
席につくとアルマ市長が口を開く。
「さてカドマツ、デンノ・イチカの事を知っているかな?」
「あれだろ?あんたのプラモトレースシステムの被検体なんだろう?結構小さめの女の子と聞いていたが…」
「おっさん、今ちっさいって言った?」
瞬間、イチカが脚のモデルガンを抜き、カドマツさんへ構える。
「ワンちゃん。ブラックサンダーあげるからステイ」
「…コホン。で、その彼女なんだが実は…あの戦女神の妹なのさ」
「おいおい待て待て!!戦女神ってこの間の日本代表戦で優勝候補って言われてたチームの!?」
そりゃ驚くものだ。こんな子があの大会最強の優勝候補と言われた湯ノ森シャイニングゼロの中でもトップクラスの実力者、
「あれ?おじさんレイカ姉のこと知ってるの?」
「あれだけ強かったら誰だって知ってるよ、ワンちゃん。はいブラックサンダー」
「(∩´∀`)∩ワーイ!」
…それにしてもカドマツさんも俺たちのチームを知っていたとは…やっぱり俺達の知名度はかなりあったようだな…
「決勝を棄権したと聞いてはいたが…あれほどのチームに何があったんだ…?」
この問いに対して、アルマ市長は何も答えなかった。市長としてもあれは辛かっただろう。俺が名前と身分を変え、街を出るきっかけとなってしまったあの悲劇…
「…彼らにも、彼らなりの事情があったのさ…深くは触れないでやってくれ」
ようやく口を開いた市長は、少しもの哀しげな表情をしながらそう告げる。
「そうか…悪いこと聞いちまったな…すまない」
「いや、大丈夫さ…さて、話を戻そう。イチカはその戦女神と同じように……素質を持っているんだ」
「ほぅ…そいつはいい被検体だな」
「イチカ、君のガンプラを出してくれるかい?」
「はーい!えーっと確かこの辺りに…あ!あった!」
アルマ市長の一言でイチカちゃんはリュックサックからザクIIベースのカスタム機、Z-ark-IIを取り出す。
「2人共、この機体を見てどう思う?」
「いいカスタマイズじゃないか。ザクIIとダブルオーガンダムを組み合わせるとは、素晴らしいアイデアだな」
「数多のファイターがガンダム系MSをベースに選ぶ中、ザクIIをベースに選ぶとは…それに形も違和感なく纏まってる…すごい完成度だ」
「わーい!褒められたー!」
「よかったね。ワンちゃん♪」
口には出さなかったが、彼女のガンプラ制作技術も格段に上がっている。成長が見られてちょっと嬉しい
「そうだろう?タクマ君が言うように、昨今のファイターはほとんどがガンダム系のベースだ。だが彼女は違った。そして彼女は…このザクIIでゴッドアストレイに匹敵するスペックを発揮出来る」
「へぇ…あの戦女神にねぇ…いい人材じゃないか」
まじかよ…と思ったが冷静に考えてあのレイカの妹なんだからあながち嘘でもないように思えてきた…デンノ姉妹…恐ろしい子達…!
するとシグレちゃんが声をかけてきた。
「ねぇ、タクマさん。私のガンプラも見せるからあなたのガンプラも見せて欲しいな」
「えっ?君のガンプラを見るのはいいけど…俺のは…」
だって君たちと違って俺のやつそのままのクアンタだし…と言おうとするとイチカちゃんがずいっと前に出てきて、
「いーじゃん!おにーさんのガンプラも見せてよ!」
とキラキラした目で言ってくる。…そんな顔で言われたら断れないですやん…
「…そこまで言われたら断れないな。わかった。俺のも見せよう」
「(∩´∀`)∩ワーイ!」
「ありがとうございます。じゃあまずは私の方からですね」
そう言うとシグレちゃんは自身の小物バッグからデスティニーガンダムベースのカスタム機を取り出した。
「私のガンプラ、リファインデスティニーガンダムです。どうですか?」
「デスティニーガンダムをベースにカスタマイズしてるのか。いい機体だ。バスターライフルやアロンダイトを持たせているのは、君の戦い方に合わせているのかい?」
「はい。高火力の武装で攻め立てるのが得意なんです」
「なるほど。自分の戦い方に合わせたカスタマイズ施してるのも、すごくいいと思う」
「えへへ…褒めてもらうと嬉しいな…///」
シグレちゃんはちょっと照れ気味に喜んでた。可愛いな…この子も。
「ねぇねぇ!おにーさんのガンプラも見せてよ!」
イチカちゃんがまたずいっと来た。
「まぁ、約束だしね。……はいこれ」
俺は自身の小物バッグからタウンカップで共に戦ったダブルオークアンタを取り出して見せた。
「ほわぁぁぁ……ダブルオークアンタだぁ!!」
「すごい…細部まで完璧に塗り分けられてる…!」
「実際にそこまで細かくしたのは大会1週間前だけどね…」
ここに来たばかりの時はシールで済ませてた所も完璧に仕上げていた。
「ほぉ、ダブルオークアンタか。いい機体チョイスだね」
「改めて見るとすげぇ完成度してるな…よくここまで作れたものだ」
気づいたら話し込んでた2人も俺のガンプラを見てくれてる。ここまで評価高いと嬉しいな。
3人お互いのガンプラを見せ合い、3人ともそれぞれのバッグにしまい込んだ後、アルマ市長が突然こう言い出す。
「ところでタクマ君。もうすぐ部屋に閉じこもるかどこかへ身を隠した方が良さそうだよ?」
「え?それどういうk」
バコォォォン!!
「アイズッ!」
突然ふっ飛んできたドアがアルマ市長の頭に直撃した。
「ひゃっ!?」
「きゃあ!?」
「な、なんだぁ!?」
(……この感じ…まさか…)
すると玄関から聞き慣れた声が…
「やっと見つけたわぁ♪私のイチカ〜♪あ、お邪魔してます♪」
「あ!レイカ姉!」
「レイカさん、こんばんわ」
「レ、レイカって…あの戦女神の…本物、なのか!?」
(うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!戦女神でたァァァァ!?!?)
ちょっと待て!よりによって元チームメイトであるレイカが来るなんて!!下手したら命の危機まであるぞこれ!?
「突然すみません。イチカの姉のレイカです。以後お見知りおきを♪」
「え、えぇと…ハイムロボティクスのカドマツだ。よ、よろしくな嬢ちゃん」
「ナ、ナギツジ・タクマです。よ、よろしく…」
「よろしくお願いします〜♪ところで…」
レイカはいきなり振り返り、アルマ市長の襟元を掴んで笑顔で詰め寄る。
「お父さんとお母さんが公認してるとはいえ、私の許可なくイチカを連れ出すというのはどういう了見でしょうか?」
笑顔なのに目が笑ってない…バレたら確実に死ぬぞ…
「そう怒ることはないさ。彼に用事があって観光ついでに連れてきただけさ。無断で連れ出したことについては謝るよ」
彼というのはカドマツさんの事だ。実際にカドマツさんに用事があったようで、ガンプラ見せ合いっこの時に2人で話し込んでた。内容については後で聞くことにする。
「そうだったんですね。突然胸ぐら掴んだりしてすみません…」
「はっはっはっ、君の妹思いなところは分かってるつもりさ。ところでレイカ君、君はあれからどこで何をしていたんだい?音信不通になっていたのだが…」
レイカお前も音信不通になってたんかい。というか何してたんだろ…
「恥ずかしながら、修行ですよ。約束を果たすためにも、私の拳を世界へ轟かせないといけないので……」
「……え…」
「最初はそれはショックで泣いていました。でもそれじゃダメだって思って今も師匠の元で修行してます…」
「…だそうだよ、タクマ君」
いやなんでここで俺に振るし!?
「なんで俺に振ったんですか…でも、あなたにもあなたなりの想いと約束がある。なら、それを果たせるように頑張ってください」
俺はあえて他人行儀で接した。理由はもちろん…バレないようにするためだ。
「ありがとうございます。何故かあなたと話してると少し懐かしい感じがしちゃう…何故かしら?」
「えっ?な、なんででしょうかね…はは…」
待って?これやばくない?俺今日命日にならない?
するとクローゼットから突如人が出てきた。
「こんなところで何をしているか、レイカよ」
「あ!師匠!ごめんなさい、イチカの気配を感じてしまってここまで来ちゃいました」
東方不敗、クロス・ヨウスケだ。…いやちょっと待て、今マスターどっから出てきた!?
「俺の部屋のクローゼットは異空間にでも繋がってるのか!」
「お久しぶりです、マスターアジアさん」
「おいっすー師匠!」
何はともあれ助かった…あのまま詰め寄られてたら間違いなくバレてたよ…
「ところでカドマツ、僕は今偶然ながら土鍋を持ってきてるんだが、コンロはあるかい?」
ん?土鍋?
「ん?あぁ今引っ張り出す…って今から鍋でもすんのかよ!?」
え?嘘でしょ?あでも具材がないから無理なのでは…
「ほう、ワシも鍋の具材を買って来ていたのだ。ちょうどいい、ここで食っていくとしよう」
なんで都合よく買ってきてるの!?しかも人数分…これ逃げられねぇ…
そして数分して…鍋が煮込みきった。
「……あらイチカ、お行儀が良くないわよ。もう少し待ちなさい」
「……レイカ姉、お肉狙ってるでしょ?」
「…………」
「ふふ、かつて導く者と呼ばれた人間として、
…空気が肉ごときでピリピリしてる…いや野菜食いなさいよ…というか市長まで何してんすか…
「…なぁ、俺たちさっき居酒屋で飯食ったばっかだったよな…?」
「……なんで今鍋なんでしょうね…」
グツグツと煮込まれている鍋を見ながらそんなことをボヤいていた。
「でぇっはっはっ!さぁ食べるがいい!」
ヨウスケさんがそう言うや否や、レイカがありえないスピードで肉を取り去る。いやだから野菜も食えよ。しかし次の瞬間、
「もーらい♪」
と横からシグレちゃんが肉を強奪する。がさらに横から、
「シグちゃん隙だらけー♪」
と今度はイチカちゃんが横から強奪する。肉で争うな肉で
「おいおい…もっと静かに食べられんのかねぇ…」
「あ、あはは…ですね」
言えない…湯ノ森ではこれが普通だなんて口が裂けても言えない…!!
しかしここでマスターことクロス・ヨウスケが動く。
「この馬鹿者共があ!!静かに食わんかぁ!そらそらそらそらそらぁ!」
次の瞬間には全員の器に均等に具材が分けられていた。いや速すぎるだろ…
「さすが師匠!動きがすごいです!」
肉への執着心どこいったんだよレイカ…
「すげーな…さながら本物の東方不敗だな…」
「…にしても相変わらず早いな…」
「よいか!食事とは天然自然の力を頂くこと!それを遊びにするようなことは古今東西どこにいようがこの東方不敗マスターアジアが決して許さん!心して食せい!!」
「はい!師匠!」
「相変わらず東方不敗のことが大好きだね。レイカ君」
「うにゅ…///そ、そんなことないですよぉ…///」
こういう時だけ可愛い顔しやがって…
「…うん、火の入り方とか完璧だな…」
カドマツさんもうツッコミ諦めちゃったよ…まあ俺もだけど…
そして食べ終わって片付けをしてる時だ。
「カドマツ、ちょっと彼を借りるがいいかい?」
俺はアルマ市長に呼ばれた。どうやら話があるらしい。
「あぁ、構わない。その間俺が嬢ちゃん達の面倒を見とけばいいんだろう?」
「そういうことだ。ではよろしく頼むよ。さぁこっちへ」
そうして俺は外へ連れ出された。
「……ここならいいだろう。さて、調子はいかがかな?ヒカル君」
「分かってるんじゃないんですか?まあ、今日のタウンカップでは順調な滑り出しでしたよ」
「…知っているよ。覚醒が早速バレたというのがね」
「うぐっ…痛いとこついてきますね…まあ、幸い正体はバレてないので、大丈夫かと」
「そうか。ところで話なんだが…イチカとシグレ君についてだ」
「あの二人について…ですか?」
「そうだ。はっきり言おう。あの二人はレイカ君はおろか、マスターアジアをも凌駕する程のポテンシャルを秘めている。君も今度戦ってみるといい。確かに勝てるだろうが、覚醒を使わざるを得なくなるはずだ」
…正直驚いた。レイカを超えてくるのは薄々分かってはいた。だがマスターアジアさえも凌駕してくるほどのを秘めているとは…
「イチカちゃんを溺愛してるだけ……では無いみたいですね。そこまで言われると、一戦交えたくなる」
「彼女たちは、言い方が少し難しいが…システムを取り込む力を持っている」
「システムを…取り込む…?」
「あぁ。それは素晴らしいことだ。だが同時に問題点もある」
「…問題点?」
「彼女たちのどちらかが堕ちた時、制御できる人間がお互いしかいないということだ」
「なるほど…それは確かに問題ですね…」
「そうだ。そして最も危惧しているのが、双方が堕ちる時だ」
「二人とも…ですか。そんなこと…本当にあるんですか?」
「無い…とは言いきれない。何せ確率の話だからね。だがもし暴走するとすれば、大切な物を無くし、憔悴しているところにトリガーとして誤った方向へ導くと言ったところだろう」
…確かにあの子たちのことだ。そうなることは十分考えられる…
「…分かりました。その時は俺もできる限り力を貸します」
「ありがとう。やはり君にこの話をしてよかったよ」
「元チームメイトや故郷を守るためです。当然の事でしょう」
「今は街を出ているじゃないか」
「それは言わないお約束でw」
今思えばこう軽く流したこの話が…現実になるなんて、思ってなかった。
カドマツさん宅にもどるとアルマ市長が直ぐに帰り支度をしてしまい、帰ることとなった。
「ご馳走様。それじゃ僕達もお暇するよ」
「ばいばーい!カドタケおじさんとナギフミさん!」
うん、惜しいねイチカちゃん。
「カドマツさんにナギツジさんね、ワンちゃん」
「では、ワシらも帰るぞレイカ」
「はい!師匠!あ、お邪魔しました〜♪」
そうしてみんな帰って行った。
「はぁ〜…疲れたな…ったく…」
「あはは…今日はもう休みましょうか」
そうしてお互い自室に戻り、ベッドで眠りについた。
「こうやってまたチームメイトとプラモ作りができるなんて嬉しいなぁ♪」
「おう、約束通り今日からチームエンジニアとしてお前らをサポートする。よろしくな」
「すごい…エンジニアがいるだけでここまで変わるのか…」
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